日本発エビデンス|page:1

研修医のどのくらいが臨床で生成AIを使用しているか/東大ほか

 生成AI(GenAI)は、われわれの日常生活にも広く浸透しており、臨床現場でも活用されている。では、臨床で医師、とくに研修医はどのくらいGenAIを使用しているのであろうか。このテーマについて東京大学大学院医学系研究科生体防御感染症学の三輪 俊貴氏らの研究グループは、研修医の臨床現場における検索エンジンとしてのGenAI使用状況を調査した。その結果、GenAIの使用は「知識の崩壊」を示唆するような自己申告行動とは関連しておらず、GenAIの非使用者におけるリテラシーは依然として限定的であることがわかった。JMIR AI誌2026年7月17日号に掲載。

ペムブロリズマブ投与後の好酸球割合、irAE発現リスク評価の手掛かりに

 免疫チェックポイント阻害薬はがん治療に大きく貢献している一方、免疫関連有害事象(irAE)への対応が課題となっている。今回、転移性尿路上皮がん患者を対象とした研究で、ペムブロリズマブ投与3週間後の好酸球割合が、irAE発現リスクを評価する手掛かりとなる可能性が示された。研究は名古屋市立大学大学院医学研究科臨床薬剤学分野の小田切州広氏、同大学医学部附属西部医療センター泌尿器科の内木拓氏らによるもので、詳細は7月1日付の「Cancer Medicine」に掲載された。

日本人片頭痛患者の特徴と治療パターンが判明~OVERCOME研究

 片頭痛が個人の生活に及ぼす負担は、その人の背景と関連している。しかし、日本においては、年齢、性別、就労状況、収入、家族の介護といった要因と患者報告アウトカム(PRO)や片頭痛の治療パターンとの関連に関するエビデンスは限られている。大分・おおば脳神経外科・頭痛クリニックの大場 さとみ氏らは、日本における片頭痛の疫学・治療・ケアに関する観察研究であるOVERCOME(Japan)第2回研究のデータを用い、人口統計学的サブグループごとの片頭痛による負担および治療薬の使用状況について解析を行った。Pain and Therapy誌オンライン版2026年7月14日号の報告。

食事速度は将来の体型に影響するか/藤田医科大

 「早食いは肥満や糖尿病のリスク」ということはよく知られている。食事の速度は体重の推移とどのように関連するのであろうか。このテーマについて藤田医科大学医学部臨床栄養学 主任教授の飯塚 勝美氏は、約56万例の健康診断データを解析し、食事速度と長期的な体重推移との関連を検討した。その結果、食事速度が長期的な体重推移の区分に関連する行動特性である可能性が示唆された。Nutrients誌オンライン版2026年7月24日号に掲載。

大腸がん検診60%目標、2028年達成は困難か

日本では大腸がん検診の受診率向上が公衆衛生上の課題であり、2028年までに受診率60%を達成する目標が掲げられている。一方で、都道府県や性別による受診率の差が目標達成に及ぼす影響は十分に定量化されていない。そこで、一橋大学のHasan Jamil氏らは、2013~22年の全国データを用いて、2028年に大腸がん検診受診率が60%目標に到達する可能性を都道府県別に予測した。その結果、全国の受診率は2028年時点で60%に届かず、多くの都道府県で目標達成確率が低いと推定された。本研究結果は、International Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2026年7月27日号に掲載された。

研修医のメンタルヘルス、医師との結婚で良好か

 医師の婚姻状況はウェルビーイングやキャリア選択と関連する可能性があるが、結婚を含むライフステージと若手医師のウェルビーイングやキャリア選択との関係については、これまで十分に検討されていない。そこで、長崎 一哉氏(藤田医科大学)、西崎 祐史氏(順天堂大学)らの研究グループは、日本の卒後2年目研修医を対象に、婚姻状況と心理的ウェルビーイング、志望診療科との関連を全国横断調査で検討した。その結果、婚姻、とくに配偶者が医師であることは、抑うつ症状の少なさおよび仕事満足度の高さと関連していた一方、診療科選択との明確な関連は認められなかった。本研究結果は、Academic Medicine誌オンライン版2026年7月1日号に掲載された。

日本の心不全診療、2013年から転帰の改善状況は?(JROADHF)/Eur Heart J

 心不全(HF)診療では薬物療法や介入、退院後管理が進歩している一方、実臨床での診療内容の変化と患者転帰への影響は十分に明らかになっていない。米国・マサチューセッツ工科大学の遠山 岳詩氏らは、日本の2つの大規模HFレジストリを比較し、HF診療と転帰の変化を検討した。その結果、ガイドライン推奨治療や患者教育の実施率が増加し、1年死亡およびHF再入院はいずれも低下していた。本結果は、European Heart Journal誌オンライン版2026年8月8日号に掲載された。

日本人2型糖尿病へのGLP-1薬、MACE・死亡リスクへの影響は?

 日本の大規模レセプトデータベースを用いたリアルワールド研究において、2型糖尿病患者に対するGLP-1受容体作動薬(GLP-1薬)の使用は、心血管イベントにおいてほかの血糖降下薬との有意差は認められなかったが、全死因死亡率はGLP-1薬群で有意に低く、これらの知見は残余交絡を反映している可能性があることを、千葉大学の越坂 理也氏らが示した。研究成果はDiabetes, Obesity and Metabolism誌オンライン版2026年8月11日号で発表された。  本研究は、約190万人規模の日本の大規模レセプトデータベースを用いたリアルワールド研究である。

新規睡眠薬登場後、日本におけるBZD減量成功率は?

 不眠症に対するベンゾジアゼピン受容体作動薬(BZD)の長期使用は、依存や認知機能低下などの有害事象と関連している。デュアルオレキシン受容体拮抗薬(DORA)やメラトニン受容体作動薬(MRA)などの新しい作用機序を持つ新規睡眠薬は、BZDよりも安全であるものの、BZDからの切り替えは簡単ではない。京都府立医科大学の綾仁 信貴氏らは、BZDの使用期間に着目し、新規睡眠薬の導入がBZDの減薬にどのような影響を与えるかを明らかにするため、レトロスペクティブコホート研究を実施した。Sleep Medicine誌オンライン版2026年7月17日号の報告。  対象は、2021年5月~2022年4月、日本の2つの医療機関において新規睡眠薬による治療を開始したBZD使用中の外来不眠症患者。

東日本大震災15年追跡による心的外傷後ストレス反応の実態/東北大学

 東日本大震災の被災者1,291人を対象としたコホート研究において、発災15年後に14.7%が臨床的に有意な水準の心的外傷後ストレス反応(Posttraumatic Stress Reactions:PTSR)を示し、発災1~2年目にPTSR症状が悪化した群では15年後にPTSRが持続するオッズが約5.3倍高かったことを、東北大学の李 雪氏らが示した。JAMA Network Open誌2026年8月3日号掲載の報告。  長期的なPTSR症状に苦しむ患者を早期に発見して、適切なサポートを届けることは公衆衛生上の大きな課題である。

認知症リスクが下がる2つの運動~日本の前向き研究

 運動は認知症予防に効果があると考えられているが、運動の種類によって認知症リスクとの関連が異なるかどうかは不明である。今回、日本体育大学/筑波大学の永田 康喜氏らが実施した、地域在住高齢者を対象とした前向き観察研究の結果、筋力トレーニング(筋トレ)やゲートボールが、運動していない群と比較して認知症発症リスクが有意に低いことが示された。Geriatrics & Gerontology International誌2026年8月号に掲載。  本研究では、日本の地域在住高齢者5,074人を対象に、2013年6月(プレベースライン)および2017年8月(ベースライン)に郵送調査を実施し、2021年7月まで最長4年間追跡した。

心房細動の新規発症、日本人の腎機能低下はどれくらい?

 新規発症の心房細動(AF)は、腎機能低下を加速させる可能性があるという研究結果が、「JAMA Network Open」に5月14日掲載された。  京都大学の森雄一郎氏らは、就労年齢の成人において、新規発症のAFとその後の腎機能低下との関連を検討するため、後ろ向きコホート研究を実施した。対象は、AFの既往歴、心血管系疾患、末期腎疾患のない、洞調律の35~59歳の健診受診者とした。年次健診の間にAFの新規発症を認めた2万3,510人(AF発症群)を、AFを認めなかった11万7,550人(対照群)と1対5でマッチングした。

認知症サポート制度「チームオレンジ」のメリットとは?

 「チームオレンジ」とは、日本政府の認知症施策推進大綱で掲げられた、認知症に関する国家的な取り組みである。本取り組みは、認知症と共に生きる人やその家族と、研修を受けた地域ボランティア(オレンジサポーター)をつなぐものである。オレンジサポーターは、日常生活における実践的な支援を行うとともに、地域の支援ネットワークの構築を促進する。2023年までに本取り組みは、全国で約1,900のチーム、3万3,000人のサポーターを擁する規模に拡大したが、オレンジサポーターが自身の役割を通じてどのような有益性を感じているかについては、これまで十分に明らかにされていなかった。

よくかめる小学生ほど体力が高い傾向、男子でより顕著

 子どもの口腔機能は、食べることだけでなく全身の発育や健康との関わりも注目されている。今回、日本の小学生約1,200人を対象とした研究で、よくかめる小学生ほど体力が高い傾向があり、その関連は男子でより顕著であることが明らかになった。研究は大阪大学大学院歯学研究科有床義歯補綴学・高齢者歯科学講座の平松里彩氏、高阪貴之氏らによるもので、詳細は7月6日付で「Journal of Dentistry」に掲載された。  子どもの体力は、現在の健康状態だけでなく将来の健康にも影響するとされ、体力に関わる要因を明らかにすることは公衆衛生上の重要な課題となっている。

AST・ALTが高くなる季節は?

 MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)の評価では、ASTやALTなどの肝機能値が広く用いられている。今回、日本人の2型糖尿病患者約6,000人を対象とした研究で、AST・ALTは晩秋から初冬にかけて高く、夏に低い季節変動を示すことが分かった。さらに、この変動はMASLDスクリーニングの判定に影響する可能性も示された。ALTがスクリーニングの判定境界に近かった患者では、約9人に1人で測定季節によって判定が異なったという。研究は、慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室の土岐了大氏、国際医療福祉大学三田病院糖尿病・代謝・内分泌内科の坂本昌也氏らによるもので、詳細は6月19日付の「Liver International」に掲載された。

50歳以下の排尿後尿漏れ、座位排尿姿勢が関連~全国調査

 排尿後尿滴下(排尿後尿漏れ)は幅広い年齢層の男性にみられる。今回、そのメカニズムについて、従来の下部尿路症状に関連する因子以外の行動的・機能的因子について、名古屋大学の冨岡 禎史氏らが全国的な疫学調査のサブ解析により検討した。その結果、50歳以下の男性において、座位での排尿姿勢が排尿後尿滴下に独立して関連することが示された。World Journal of Urology誌2026年8月4日号に掲載。

日本における若年性アルツハイマー病の診断遅延の現状

 若年性アルツハイマー病の診断には、高齢発症アルツハイマー病と比較し、特有の課題がある。しかし、日本における診断に至るまでの経過については、これまで明らかになっていなかった。新潟大学の春日 健作氏らは、日本において若年性アルツハイマー病と高齢発症アルツハイマー病の症状から診断までの期間を比較して、診断までの期間に影響を及ぼす要因を調査した。BMC Neurology誌オンライン版2026年7月9日号の報告。

インフルエンザワクチンの有効性、前シーズンの感染・接種歴で変動―17シーズン解析

 前シーズンのインフルエンザ感染歴は今シーズンのワクチン有効性(VE)を高め、前シーズンの接種歴はVEを減弱させることが、日本臨床内科医会 インフルエンザ研究班の河合 直樹氏らによる日本での17シーズンにわたる前向きコミュニティベースコホート研究の解析で示された。今シーズン未接種者における罹患率(AR)は、前シーズン接種歴のある小児で14.0%、接種歴のない小児で8.6%と有意差が認められた(p<0.001)。研究成果はThe Journal of Infectious Diseases誌オンライン版2026年7月11日付で発表された。 本研究は、日本で2002~03年シーズンから2018~19年シーズンにかけて実施された17シーズンにわたる前向きコミュニティベースコホート研究のデータを用いた解析である。

健康的な脳の老化にはDHAが重要~EPAとの比較

 高齢者では脳萎縮が認知機能低下に先行することが多いため、脳構造の評価は神経保護の中間バイオマーカーとなる。近年、n-3系多価不飽和脂肪酸(PUFA)、とくにドコサヘキサエン酸(DHA)の血中濃度は、脳の構造的完全性との関連が示唆されている。しかし、魚の摂取量が多く、n-3系PUFA濃度がかなり高い日本人のデータは少なく、また、脳構造との関連でDHAとエイコサペンタエン酸(EPA)を比較した研究はほとんどない。今回、滋賀医科大学NCD疫学研究センターの近藤 慶子氏らが、高齢日本人女性においてEPA、DHA、EPA+DHAの血清濃度と脳容積の関連を検討したところ、DHAはEPAよりも灰白質容積との関連が強く、EPAとの関連は限定的なことがわかった。Journal of Nutrition誌オンライン版2026年7月25日号に掲載。

日本における初発統合失調症患者に対するLAI抗精神病薬の投与パターンが判明

 長時間作用型注射(LAI)抗精神病薬は、統合失調症治療の継続性を支える可能性がある。しかし、日本における初発統合失調症におけるリアルワールドでのLAI抗精神病薬の開始パターンについては、十分に明らかにされていない。京都大学の宮川 亮祐氏らは、JMDCレセプトデータベースを用いて、日本における初発統合失調症患者に対するLAI抗精神病薬の投与パターンを明らかにするため、本研究を実施した。Schizophrenia Research誌オンライン版2026年7月7日号の報告。  2005年1月~2024年3月のJMDCレセプトデータベースを用い、初発統合失調症に近似するレセプトベースの代理コホートを対象に、縦断的記述疫学研究を実施した。