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日本発エビデンス|page:1

脊髄くも膜下麻酔後の悪心・嘔吐――機械学習で関連因子を解析

 術後悪心・嘔吐(PONV)は、手術後にみられる頻度の高い合併症の一つで、患者満足度の低下や入院期間の延長にもつながる。今回、脊髄くも膜下麻酔で手術を受けた患者のPONVについて、5種類の機械学習アルゴリズムを用いた解析で、術後のフェンタニル使用が最も強く関連する因子として特定された。研究は、東北大学大学院歯学研究科歯科口腔麻酔学分野の星島宏氏らによるもので、詳細は8月5日付の「PLOS One」に掲載された。  脊髄くも膜下麻酔下で下肢や下腹部の手術、帝王切開を受けた患者におけるPONVの発生率は5~42%と報告されている。

手術開始時刻で手術時間に差、午前は午後より長く

 手術の開始時刻は、手術の成績に影響するのだろうか。今回、手術開始時刻が手術時間に影響する可能性を示す研究結果が報告された。主要な泌尿器科手術2,627例を後ろ向きに解析したところ、午前に開始した手術は午後に開始した手術より時間が長かった一方、周術期合併症や全生存期間には差が認められなかった。研究は、広島大学腎泌尿器科学の小畠浩平氏、日向信之氏らによるもので、詳細は8月8日付の「World Journal of Urology」に掲載された。  手術開始時刻が手術の効率や患者の転帰に影響する可能性が指摘されている。これまで、遅い時間帯の手術で合併症や死亡、入院期間などのリスクが高まるとの報告がある一方、手術時間や周術期成績に明らかな差はないとする研究もあり、結果は一貫していない。

「定員調整」しても研修医の地域偏在解消は困難

「定員調整」だけでは臨床研修医の定員充足率や地域間格差は解消されない。井出 博生氏(順天堂大学大学院健康データサイエンス研究科 准教授)、小池 創一氏(自治医科大学地域医療学センター 教授)らの共同研究グループは、過去の医師臨床研修マッチングのデータを用いて、各都道府県の臨床研修プログラムの定員枠を増減・再配分するシミュレーションを行い、こう結論付けた。現在のマッチング制度の定員枠だけを地方に移しても地域偏在の緩和は難しいことを定量的に示したもので、研究グループはマッチングシステムの改善と医師偏在対策関連施策の一体的な取り組みの必要性を指摘している。論文はBMC Medical Education誌オンライン版に2026年9月14日付で公開された。

国産手術支援ロボット「hinotori」、膵体尾部切除術でda Vinciと概ね同等の周術期成績

 国産初の手術支援ロボットシステム「hinotori」は2020年に製造販売承認を受け、国内の消化器外科領域でも導入が進んでいる。今回、hinotoriを用いたロボット支援下膵体尾部切除術(RDP)の周術期成績をda Vinci Surgical System(da Vinci)と比較した研究で、両者は概ね同等の周術期成績を示した。また、hinotori群では入院費がda Vinci群と比べて有意に低く、この差は手術時期をそろえた解析でも認められた。研究は、獨協医科大学埼玉医療センター外科の川﨑圭史氏、吉富秀幸氏らによるもので、詳細は7月30日付の「Asian Journal of Endoscopic Surgery」に掲載された。

小児の毎日続く頭痛、専門医受診遅延が治療結果に及ぼす影響が明らかに

 小児の毎日続く頭痛(連日性頭痛)は、難治性であり、日常生活に支障を来す疾患である。しかし、連日性頭痛の発症から専門医への初回受診までの期間が臨床アウトカムに及ぼす影響については、これまで明らかになっていなかった。兵庫医科大学の徳永 沙知氏らは、連日性頭痛を呈した小児および青年を対象に初回受診までの期間と症状改善までの期間との関係を明らかにするため、レトロスペクティブ観察研究を実施した。Medical Sciences誌2026年7月27日号の報告。  対象は、連日性頭痛を呈した小児および青年51例。受診までの期間は、頭痛が連日性となった日から初回受診日までの期間と定義した。

単純性膀胱炎へのセフェム、第3世代vs.第1/2世代~日本の4万例を解析

セフェム系薬は単純性膀胱炎に対して用いられるが、第3世代は第1/2世代と比べて経口バイオアベイラビリティが低く、臨床効果に差が生じる可能性がある。そこで、谷口 順平氏(東京大学)らは、日本のレセプトデータベースを用いて、女性の急性単純性膀胱炎に対する経口の第3世代セフェム系薬と第1/2世代セフェム系薬(セファレキシンまたはセファクロル)の有効性を比較した。その結果、経口の第3世代セフェム系薬は、セファレキシンやセファクロルと比較して、腎盂腎炎診断または抗菌薬の追加使用の複合アウトカムが多かった。ただし、この差は主に抗菌薬の追加使用によるもので、腎盂腎炎診断には差がなかった。本研究結果は、European Journal of Clinical Microbiology & Infectious Diseases誌オンライン版2026年8月7日号に掲載された。

第2世代抗精神病薬に関連する低ナトリウム血症リスクの比較

 低ナトリウム血症は、抗精神病薬の使用に伴う有害事象である。しかし、第2世代抗精神病薬間でのリスクを比較したエビデンスは、これまで限られていた。藤田医科大学の波多野 正和氏らは、個々の第2世代抗精神病薬に伴う低ナトリウム血症のリスクを比較するため、本研究を実施した。JAMA Network Open誌2026年8月13日号の報告。  本研究は、レトロスペクティブコホート研究および不均衡性分析として実施した。データは、FDAの有害事象報告システム(FAERS:1997年第4四半期~2023年第3四半期)のデータを基に日本医薬情報センター(JAPIC)が整備したデータセット、メディカル・データ・ビジョンのレセプトデータベース(2008年4月~2024年4月)から取得した。

HR+/HER2-転移乳がんへのアベマシクリブ後の治療の検討~日本のリアルワールドデータ

 ホルモン受容体陽性/HER2陰性(HR+/HER2-)で転移のある乳がんの1次治療においてアベマシクリブが広く用いられているが、中止後の治療選択や治療継続期間に関するリアルワールドデータは限られる。今回、国立がん研究センター東病院の内藤 陽一氏らが、日本の医療レセプトデータベースを用い、1次治療でアベマシクリブを投与された患者の治療パターンを検討した結果、アベマシクリブ+非ステロイド性アロマターゼ阻害薬(NSAI)後の2次治療でCDK4/6阻害薬を継続した患者では、ほかの2次治療レジメンより全体の治療中止までの期間(TTD)が数値的に長いことが示された。とくに2次治療でアベマシクリブ+フルベストラントを投与された患者では、2次治療のTTDが長い傾向であったという。Future Oncology誌オンライン版2026年9月11日号に掲載。

牛乳・チーズ・ヨーグルト、膝OAを予防できる?~日本の大規模コホート

 変形性膝関節症(膝OA)は中高年期における膝の痛み、機能制限などの主な原因となっている。一方、乳製品は筋骨格系の健康に有用とされるが、膝OAの予防に関するエビデンスは限られている。今回、新潟大学のIrina Bulycheva氏らが日本人における乳製品全体および種類別乳製品の摂取量と膝OA発症リスクとの関連を検討した結果、チーズやヨーグルトの摂取量が多いほど、症候性かつX線学的な膝OAの発症リスクが低いことが示された。Clinical Nutrition誌2026年10月号に掲載。

日本の慢性膵炎患者は5年で3割増、約半数は糖尿病を合併

慢性膵炎の臨床疫学的特徴を明らかにするため、本邦では1994年以来、4~5年ごとに全国疫学調査が実施されてきた。慢性膵炎患者数は、1994年(3万2,000例)から2011年(6万7,000例)にかけて一貫して増加傾向にあったが、2016年の調査で初めて減少していた(5万6,520例)。東北大学の正宗 淳氏らは、2021年に参加病院で診療された慢性膵炎患者を対象とした全国規模の疫学調査を実施。その結果、2021年の慢性膵炎患者数は7万3,590例と推計され、2016年と比較して30%増加していることが明らかになった。本研究結果は、Journal of Gastroenterology誌オンライン版2026年9月11日号に掲載された。

短期的な禁煙で24時間血圧を改善できるか~メタ解析

 喫煙と診察室外血圧の関連についての研究は限られている。また、研究の多くは喫煙者と非喫煙者を比較しており残存交絡を完全に排除できない可能性がある。今回、大阪大学の赤木 優也氏らは、日本高血圧学会の「血圧朝活(早朝高血圧徹底制圧プロジェクト)アクションプラン」の一環として、喫煙者において喫煙期間と禁煙期間で診察室外血圧に差があるかどうかを評価するため、24時間自由行動下血圧(ABP)および心拍数の違いを系統的レビューとメタ解析により検討した。その結果、喫煙期間では禁煙期間に比べて、24時間・日中の拡張期血圧が高く、また心拍数は24時間・日中・夜間とも有意に高かった。Hypertension Research誌オンライン版2026年9月8日号に掲載。

ピロリ除菌の保険適用拡大後、日本の胃がん死亡・罹患はどう推移したか

日本では、2013年2月にHelicobacter pylori(H. pylori)陽性の内視鏡診断慢性胃炎に対する除菌療法が保険適用となり、胃がん予防に関わる診療環境が大きく変化した。一方、この保険適用拡大後の胃がん死亡・罹患数の全国的な推移については、人口高齢化や内視鏡検査の普及などを踏まえた解釈が求められる。そこで、札幌・カレス記念病院の浅香 正博氏らは、2013年の保険適用拡大前後における日本の胃がん死亡および罹患の推移を検討した。その結果、2013年以降、日本の胃がん死亡数は減少し、とくに80歳未満で死亡数の減少が顕著であった。罹患数もその後のピークを経て減少した。本研究結果は、Helicobacter誌2026年9・10月号に掲載された。

日本の胃がん検診、内視鏡vs.胃部X線の感度・特異度は

本邦では、50歳以上を対象とする住民ベースの胃がん検診における検査法として、胃内視鏡検査と胃部X線検査が推奨されている。しかし、両検査法の限局性胃がん検出能に関する、近年のリアルワールドでのエビデンスは限られている。神奈川県立がんセンターのChoy-Lye Chei氏らは、リアルワールドにおける集団検診の環境下で、胃がんおよび各臨床病期について胃内視鏡検査および胃部X線検査の検出性能を推定した。Gastric Cancer誌オンライン版2026年9月9日号掲載の報告より。

全国に整備が義務付けられた「認知症疾患医療センター」その地域格差は

 日本の認知症施策では、各2次医療圏に1ヵ所以上の認知症疾患医療センターを設置し、地域を問わず専門的な認知症医療サービスへの公平なアクセスを確保することが求められている。新潟医療福祉大学の馬場 美彦氏らは、認知症疾患医療センターの地理的・気候的特性および地理的アクセシビリティを明らかにするとともに、各2次医療圏への設置方針にもかかわらず同施設が未設置である2次医療圏の地理的特性を解明することを目的とし、本研究を実施した。BMJ Open誌2026年8月14日号の報告。

専門医への紹介を要したせん妄、認知症・せん妄既往・大量飲酒が関連

 せん妄は、注意・意識・認知機能が急性に変化し、患者の安全や治療経過に影響する。今回、専門チームへの紹介を経て診断されたせん妄には、認知症、せん妄既往歴、大量飲酒が関連することが、2万人超の入院患者を対象とした研究で明らかになった。研究は、奈良県立医科大学附属病院精神医療センターの松田恵美氏、同大学健康管理センター・精神医学講座の山室和彦氏らによるもので、詳細は7月30日付の「PCN Reports」に掲載された。  せん妄は、入院中の合併症で、短期間に注意力や意識、認知機能の障害が生じ、高齢者や身体的に弱い患者に多い。

重度腹膜転移を伴う進行胃がん、mFOLFOX6は選択肢か

腹腔全体に及ぶ大量腹水や輸液補助を要する経口摂取不良を伴う重度腹膜転移を有する進行胃がん患者は、主要な臨床試験から除外されてきた。そこで、愛知県がんセンター薬物療法部の舛石 俊樹氏らは、重度腹膜転移を有するHER2陰性・化学療法未治療の進行胃がん患者を対象に、mFOLFOX6療法を評価する第II相試験「WJOG10517G」を実施した。その結果、mFOLFOX6療法は忍容可能で、治療選択肢となりうることが示された。本研究結果は、Gastric Cancer誌オンライン版2026年8月27日号に掲載された。

エチゾラムとゾピクロンの投与期間30日上限以降、処方傾向はどう変わったか?

 2016年10月、日本においてベンゾジアゼピン受容体作動薬(BZD)であるエチゾラムおよびゾピクロンは第3種向精神薬に指定され、両剤の投与期間の上限が30日に制限された。横浜市立大学の立岡 幸大氏らは、エチゾラムおよびゾピクロンの投与期間上限の設定が両薬剤の処方に及ぼした影響を評価した。Therapeutic Innovation & Regulatory Science誌オンライン版2026年8月8日号の報告。  本研究は、2012〜20年の日本の全国医療保険レセプトデータからランダムに抽出されたデータに基づいて実施した。2016年に向精神薬に指定されたBZDであるエチゾラムおよびゾピクロンについて、年齢層別の処方動向を分析した。向精神薬指定が処方動向に及ぼす影響は、中断時系列分析を用いて評価した。

犬を飼うことで認知症予防は可能か?〜日本人対象研究

 国立環境研究所の谷口 優氏らは、犬の飼育者の身体的、社会的、心理的特性に基づいた傾向スコア重み付け法を用い、犬の飼育と要介護認知症の発症および死亡との関連を調査した。さらに、操作変数モデルを用いて、この関係における因果関係の可能性を検討した。加えて、費用対効果分析を用いて、犬の飼育に伴う費用と効果についても検討を行った。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2026年7月22日号の報告。  犬の飼育状況は、「現在飼育中」、「過去に飼育経験あり」、「飼育経験なし」の3つに分類した。要介護認知症は、日本の介護保険制度における医師の判定に基づき定義し、死亡については約7.5年間のフォローアップ期間中に日本の人口動態統計を用いて確認した。

T-DXd関連ILD、日本人の胃がん・乳がん患者で死亡例に多い所見は?

トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)に関連する間質性肺疾患(ILD)/肺臓炎は、治療継続や生命予後に関わる重要な有害事象である。そこで、愛知県がんセンター呼吸器内科の藤原 豊氏らは、日本人の乳がんおよび胃がん患者を対象とした市販後全例調査のデータを用いて、独立したILD判定委員会により判定されたT-DXd関連ILDの臨床的・画像的特徴を検討した。その結果、多くは軽度~中等度で副腎皮質ステロイドに反応した一方、びまん性肺胞傷害(DAD)パターンは死亡例に多くみられた。本研究結果は、The Oncologist誌オンライン版2026年9月7日号に掲載された。

MASHへのセマグルチド、日本人でも有効性示す/ESSENCE試験サブグループ解析

代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)では、肝線維化の進展抑制や脂肪肝炎の改善を目指した薬物治療の確立が課題となっている。そこで、国際医療福祉大学 消化器内科統括教授の中島 淳氏らは、第III相ESSENCE試験のサブグループ解析として、MASHを有する日本人参加者におけるセマグルチドの有効性と安全性を検討した。その結果、日本人集団において、セマグルチドは肝線維化の悪化を伴わないMASHの消失などの達成割合をプラセボより高め、全体集団と方向性が一致した有効性と安全性を示した。本研究結果は、Journal of Gastroenterology誌オンライン版2026年8月28日号に掲載された。