統合失調症は重篤な精神疾患であり、臨床的、経済的、そして人道的に大きな影響を及ぼす。日本ベーリンガーインゲルハイムのFumiko Ono氏らは、日本における統合失調症患者と介護者への負担を評価するため、文献レビューを行った。Schizophrenia誌オンライン版2026年1月20日号の報告。
2013~23年のPubMed、医中誌、CiNii、J-STAGE、Cochraneデータベースおよび2018~23年の医師会、政府機関、患者団体からの補足資料から該当データを収集した。本レビューでは、統合失調症患者と介護者が経験する疫学、臨床管理、社会的、人道的、そして経済的負担に焦点を当てた。
主な内容は以下のとおり。
・本レビューでは、156件の学術雑誌論文、73件の会議録、37件の追加データソースを特定した。
・頻発する併存疾患として肥満、うつ病、2型糖尿病が注目されていた。
・統合失調症における認知機能障害は、統合失調症簡易認知評価(BACS)によって評価され、zスコア-2.1で重度の機能障害を示した。
・社会的孤立や退院後サポートの不足など、長期入院に関連する問題も報告されていた。
・認知機能の改善、セルフケアの促進、地域社会との連携強化を目的とした介入が、早期再入院リスクを低下させる重要な因子として特定された。
・介護者は、とくにプレゼンティーイズム(出勤しているが業務遂行能力が低下している状態)により、著しい生産性の低下を経験しており、年間約240万円の損失につながったと推定された。
・さらに、統合失調症の包括的な負担に対処するための啓発キャンペーン、教育プログラム、多職種連携アプローチといった、関係者主導の取り組みが十分でないことが明らかとなった。
著者らは「日本における統合失調症の多面的な負担が明らかとなり、患者、介護者、医療従事者、政策立案者など多様な関係者が関与する、協調的かつエビデンスに基づいた対策の緊急の必要性が示唆された。統合失調症に伴う負担を軽減し、医療を改善するためには、必要な介入と関係者の関与とのギャップを埋めるためのさらなる研究が求められる」としている。
(鷹野 敦夫)