日本発エビデンス|page:4

日本人高齢者における認知症リスクと音楽活動

 認知症リスクの低減のために、余暇の認知活動が推奨されている。大阪大学のAhmed Arafa氏らは、日本人高齢者における認知症リスクとさまざまな音楽活動との関連について調査を行った。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2021年4月6日号の報告。  日本老年学的評価研究(JAGES)プロジェクトに参加した65歳以上の高齢者5万2,601人を対象に、縦断的データを分析した。楽器演奏、カラオケ、合唱、民謡などの音楽活動についてアンケートを用いて評価した。認知症の診断には、介護保険制度で標準的に使用される認知症尺度を用いた。Cox回帰を用いて、音楽活動に関連した認知症のハザード比および95%信頼区間(CI)を算出した。

うつ病と職場や家族のストレスに対する職場のソーシャルキャピタルの影響

 日本では、労働者のメンタルヘルスが問題となっている。公務員の労働環境は、過度なストレスを伴うことが多くなり、うつ病予防の必要性が増している。職場や家庭でのストレスに加えて、ソーシャルキャピタルがうつ病と関連していることが報告されている。敦賀市立看護大学の中堀 伸枝氏らは、うつ病と職場でのストレスまたは家庭でのストレスの軽減に対する職場のソーシャルキャピタルの影響について調査を行った。BMC Public Health誌2021年4月14日号の報告。

家庭血圧を下げるには減塩・野菜摂取+睡眠効率の改善を

 近年、血圧管理の指標として診察室血圧(医療機関での測定値)よりも、家庭血圧(自宅での測定値)が重視されるようになった。その家庭血圧に影響を及ぼす因子として、従来から知られている肥満や飲酒に加え、尿中ナトリウム/カリウム比(尿Na/K比)と睡眠効率が重要であることが明らかになった。「Hypertension Research」に2月15日、北海道大学大学院医学研究院公衆衛生学教室/東北大学東北メディカル・メガバンク機構の平田匠氏らの論文が掲載された。

統合失調症維持療法における経口剤とLAIとの比較~メタ解析

 統合失調症に対する抗精神病薬の長時間作用型注射剤(LAI)と経口剤を比較したエビデンスでは、研究デザインが一貫していない。慶應義塾大学の岸本 泰士郎氏らは、臨床的意思決定における情報を整理するため、抗精神病薬LAIと経口剤のベネフィットを比較した3つの研究デザインのエビデンスを評価した。The Lancet. Psychiatry誌2021年5月号の報告。  統合失調症に対する抗精神病薬のLAIと経口剤を比較したランダム化比較試験(RCT)、コホート研究、事後分析研究について、包括的なシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。MEDLINE、PubMed、Cochrane Library、Scopus、Embaseより、2020年3月13日までに公表された研究を、言語制限なしで検索した。未公表の研究およびClinicalTrials.govについても検索した。統合失調症および関連障害を有する成人を対象として、6ヵ月以上継続した研究を選択した(参加者の80%以上)。penfluridol(LAIまたは毎日の経口投与でないため)を用いた研究、症例報告、患者数が20例未満の症例シリーズは対象研究より除外した。独立した2人の研究者がデータを抽出し、3人目の研究者が不一致性を改善した。必要に応じて、研究著者に連絡し、追加情報を入手した。主要アウトカムは、抗精神病薬のLAIと経口剤による入院または再発のリスク比(RR)とし、ランダム効果モデルを用いてメタ解析を行った(再発よりも入院を優先して使用)。2次分析により、入院と再発の優先順位を入れ替えて、入院リスクおよび再発リスクを個別に評価した。副次的アウトカムは、メタ解析可能なすべてのデータとし、有効性、安全性、QOL、認知機能、その他のアウトカムにより分類し、研究デザインごとに分析を行った。2値アウトカム(dichotomous outcome)はプールされたRR、連続アウトカム(continuous outcome)は標準平均差(SMD)を用いて評価した。

「高齢者糖尿病の血糖管理目標(HbA1c値)」と死亡リスクの関係

 日本糖尿病学会と日本老年医学会は「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c値)」を公表し、患者を3つのカテゴリーに分類している。しかしその妥当性に関して本邦の縦断研究に基づくエビデンスは不足していた。東京都健康長寿医療センターの荒木 厚氏・大村 卓也氏らはJ-EDIT研究のデータを用い、認知機能、手段的ADL、基本的ADL、併存疾患による種々のカテゴリー分類と死亡リスクとの関連を検討。身体機能と認知機能に基づく分類および併存疾患数に基づく分類が死亡リスクの予測因子となることに加え、8つの簡便な質問項目でカテゴリー分類が可能となることが明らかとなった。Geriatrics & gerontology international誌オンライン版4月22日号の報告より。

日本におけるアルツハイマー病に伴う経済的負担

 アルツハイマー病は、日本における介護の主要な原因の1つである。国際医療福祉大学の池田 俊也氏らは、65歳以上の日本のアルツハイマー病患者を対象に、2018年度の年間医療費や介護費、さらに家族による個人的な介護ケアの費用や生産性の損失がどの程度かについて調査を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2021年3月23日号の報告。  文献レビューによるレポートを用いて、臨床的認知症尺度(CDR)スコアにより疾患重症度で分類したうえで、アルツハイマー病の医療費と介護費を推定した。介護に費やされた時間的コストは、20~69歳のアルツハイマー病家族の介護による生産性の損失とすべての個人的な介護ケアの費用として算出した。

日本における双極性障害の治療パターンと服薬アドヒアランス

 東京医科大学の井上 猛氏らは、日本における双極性障害患者に対する治療パターンと服薬アドヒアランスについて調査を行った。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2021年3月18日号の報告。  株式会社JMDCの雇用関連レセプトデータベースを用いて、2013年7月~2018年2月に双極性障害と診断された成人患者を特定した。気分安定薬または抗精神病薬の治療パターンとアドヒアランス(proportion of days covered:PDC[処方日数を調査対象期間の日数で除した割合]で測定)について、フォローアップ期間中の1~3年目に評価した。患者サブグループのアドヒアランスについても評価した。

研修医の基本的臨床能力獲得に施設間差

 2年にわたる新型コロナウイルス感染症の流行という異例の社会環境の中で、本年度の初期臨床研修がスタートした。感染症流行下で患者さんの診療控えなどもあり、臨床研修病院では初期臨床研修医の教育に例年にない苦労があると聞く。  さて、初期臨床研修医の基本的臨床能力の向上について、研修先の施設間で差は生まれるのであろうか。JAMEP(Japan Institute for Advancement of Medical Education Program)が開発した、初期臨床研修医の客観的な臨床能力を測る基本的臨床能力評価試験(GM-ITE: General Medicine In-Training Examination)の解析結果から、大学病院で研修を受けた初期臨床研修医は、市中病院で研修を受けた初期臨床研修医よりもGM-ITE合計スコアが、低い傾向にあることが報告されてきている。しかながら、基本的臨床能力を構成するいくつかの要素のうち、どの要素に差があるのか、その詳細については明らかになっていない。そこで、順天堂大学医学部 医学教育研究室 西﨑 祐史氏らは、GM-ITEの結果を用い、この疑問を解決するべく観察研究を実施した。

1日2杯以上コーヒーを飲む高齢者は肺炎が少ない―国内多施設共同研究

 コーヒーを1日に2杯以上飲む高齢者は肺炎のリスクが低い可能性を示唆するデータが報告された。他方、緑茶の摂取は肺炎リスクとの関連が見られないという。大阪市立大学医学部の近藤亨子氏らの研究によるもので、詳細は「Scientific Reports」に3月10日掲載された。  コーヒー摂取量が多い人は心血管疾患や糖尿病のリスクが低いことが複数の研究から示唆され、米国からは肺炎のリスクとコーヒー摂取量が逆相関するとのデータも報告されている。肺炎は日本人の死因の上位に位置し、特に高齢者ではそのリスクが高いため、コーヒー摂取で肺炎リスクが低下するのなら、予防医学上のメリットも少なくない。ただ、日本人でのコーヒー摂取量と肺炎リスクの関連はまだ十分に検討されていない。近藤氏らの研究は、この点を明らかにする試みであり、コーヒーとともに日本人の生活に定着している緑茶の摂取量との関連も検討した。

女性の喫煙本数と心理的苦痛が有意に関連―奈良県立医大

 タバコを吸う女性は吸わない女性より心理的苦痛を強く感じていて、さらに喫煙本数が多い女性ほどその傾向が強いことを示すデータが報告された。一方、男性ではこのような関連は見られないという。奈良県立医科大学県民健康増進支援センターの冨岡公子氏らの研究によるもので、詳細は「Harm Reduction Journal」に3月4日掲載された。  喫煙は修正可能な早期死亡の最大のリスク因子であるとともに、不安やうつなどの心理的苦痛の高さと関連することが知られている。ただしこの関連における性差や年齢の影響については十分検討されていない。そこで冨岡氏らは、厚生労働省「国民生活基礎調査」の匿名データを用いて、この点を検討した。

日本人はCOVID-19に対する意識が低い?―英国やスペインとの比較

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する国民の意識を、国際比較した研究結果が報告された。日本人はCOVID-19に対する不安が少なく、感染回避行動をとる人の割合が低いことなどが明らかになった。千葉大学社会精神保健教育研究センターの椎名明大氏らの研究によるもので、詳細は「Annals of General Psychiatry」に2月18日掲載された。  COVID-19パンデミックに対する国民の反応は国ごとに異なる可能性があり、実効性のある対策を取るには、その違いを把握することが欠かせない。椎名氏らは、日本と英国、スペインの一般住民を対象に同じ内容のアンケート調査を実施し、回答を比較検討した。英国は日本同様に島国という地理的条件が共通しているが、感染者数は英国の方が圧倒的に多い。またスペインは他国と地続きであり、かつ感染者数は英国よりもさらに多いという、国ごとの特徴がある。

EDを自覚していない男性の特徴は?―かかりつけ医での調査

 勃起障害(ED)の症状が現れているのに、自分がEDだと認識していない男性が少なくないことが明らかになった。プライマリケア医(かかりつけ医)にかかっている中高年男性の9割以上がEDの可能性があるにもかかわらず、自分がそのような性機能不全に該当する状態だと認識していたのは4割足らずだという。手稲家庭医療クリニックの竹内優貴氏らの研究によるもので、詳細は「Family Medicine and Community Health」に1月22日掲載された。

メマンチンによるPTSD治療の有効性

 現在、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に対する薬理学的治療の選択肢は十分でなく、新たな薬物治療アプローチの開発が待たれている。国立精神・神経医療研究センターの堀 弘明氏らは、一般人のPTSDに対するNMDA受容体拮抗薬であるメマンチンの有効性および安全性を評価するため、12週間のオープンラベル臨床試験を実施した。European Journal of Psychotraumatology誌2021年1月15日号の報告。  対象は、一般人女性のPTSD成人患者13例(DSM-IV基準)。対象患者には、4週目までは毎週、その後は12週目まで4週間ごとに外来診療を行った。各患者の現在の治療薬に、メマンチン5mg/日を追加し、その後用量調整を行った。基本的に併用薬は、試験期間中に変更しなかった。主要アウトカムは、外傷後ストレス診断尺度(PDS)で評価したPTSD診断および重症度とした。

魚を食べると認知症になりにくい?―JPHC研究

 日本人一般住民を15年間追跡した研究から、魚介類の摂取量が多いことが認知症リスクの低下につながる可能性が示された。国立がん研究センターなどによる多目的コホート研究(JPHC研究)によるもので、詳細は「Journal of Alzheimer's Disease」に2月2日掲載された。  これまでの研究から、認知症の3分の1はそのリスク要因を取り除くことで予防できる可能性が報告されており、また、魚介類の摂取が認知症リスク低下と関連しているとの報告もある。しかし、主に欧米で行われた研究報告のメタ解析では、魚介類摂取による明確な認知症抑制効果は示されなかった。その理由として、それらの研究は追跡期間が短いために、長期間かけて徐々に進行する認知機能低下の差異を把握できなかった可能性や、欧米人の魚介類摂取量は日本人に比べて少ないことが関係していると考えられている。

心血管死を減らすにはCKDを減らす必要あり―特定健診データの解析

 特定健診のデータを利用して、生活習慣と全死亡、がん死、心血管死のリスクの関係を、慢性腎臓病(CKD)の有無別に比較して解析した結果が報告された。健康的な習慣に該当する項目数が多くなるに従い、いずれの原因による死亡リスクも低下するという関係が認められた。しかし、CKDがある場合は健康的な生活習慣の該当数が多くても、心血管死リスクはあまり低下しない傾向があるという。  一般住民では、禁煙や健康的な食生活、適正体重の維持、身体活動、節酒という5つの健康的な習慣の該当数が多いほど、死亡リスクが低下することが明らかになっている。しかし、CKD患者でも同様の関連が存在するかは明確でない。そこで、新潟大学大学院医歯学総合研究科臓器連関学寄附講座の若杉三奈子氏らは、2008年の特定健診のデータ(福島、大阪、沖縄など1府6県)を解析してその関係を検討した。結果の詳細は、「Internal Medicine」に2月15日掲載された。

口の中の健康状態が悪いと認知症医療費がかさむ―三重県での調査

 歯の本数や歯周病の重症度が認知症の医療費と有意に関連することが、日本人対象の研究から明らかになった。愛知学院大学歯学部口腔衛生学講座の嶋崎義浩氏らが、三重県在住高齢者の医療データを解析した結果であり、詳細は「American Journal of Alzheimer's Disease and Other Dementias」に2月25日掲載された。  認知症は世界的に増加しており、医療・福祉財政の負担が問題になりつつある。一方、口腔健康状態が認知症リスクと関連することが、近年注目されている。しかし、医療費の視点から両者の関係を検討した研究は見られない。

SNS利用頻度とメンタルヘルスへの影響―都民対象の調査

 ソーシャルネットワークサービス(SNS)の利用とメンタルヘルスとの関連が報告された。メンタルヘルス状態はLINE利用者で良好であり、一方でTwitter利用者は良くない傾向が見られるという。東京都健康長寿医療センター研究所の桜井良太氏らの研究によるもので、詳細は「PLOS ONE」に3月3日掲載された。  これまでの研究から、メンタルヘルスの維持には他者との交流が重要であることが分かっている。しかし、近年急速に普及してきたSNSでの交流が、メンタルヘルスの維持に有効であるかについては明らかでない。そこで桜井氏らは、都民を対象としてアンケート調査を行い、SNS利用の実態を把握するとともに、メンタルヘルスとの関連を調査した。

全がん・がん種別の10年生存率を初集計/国立がん研究センター

 国立がん研究センターは、全国のがん診療連携拠点病院等から収集した院内がん登録情報を用いて、2008年に診断された患者の10年生存率を発表した。がん診療連携拠点病院等をはじめとする国内240施設約24万例の登録データを集計したもので、10年生存率が発表されるのは初、既存の10年生存率集計としては最大規模となる。  がん種別には、胃がん、大腸がん、肝細胞がん・肝内胆管がん、小細胞肺がん・非小細胞肺がん、女性乳がん、食道がん、膵臓がん、前立腺がん、子宮頸がん・子宮内膜がん、膀胱がん。肺がんや子宮がんをさらに分類した上で、Stage別のデータも集計された。

コロナの現状を鑑み、識者らが東京五輪の再考求め提言/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)はここへ来て急拡大の様相を呈している。これに対し政府は、東京など4都府県に対し緊急事態宣言を発出。まん延防止等重点措置よりも強い規制力をもって感染拡大を抑え込みたい考えだ。それは今夏に延期・開催が予定されている東京オリンピックまで3ヵ月を切り、待ったなしの状況への強い憂慮にほかならない。そんな状況の中、4月14日付のBMJ誌に、「大会の安全管理には重大な疑問があり、再考すべき」と断じる論文(エディトリアル)が掲載された。

日本の農家における不眠症と寝酒・迎え酒との関係

 眠りを補助するための寝酒、酔い覚ましや二日酔いを軽減させるための朝の迎え酒のようなアルコール摂取を行う人は少なくない。島根大学の佐藤 利栄氏らは、日本の農家で働く健康な中年における不眠症と寝酒や迎え酒との関連について検討を行った。Alcohol誌オンライン版2021年3月18日号の報告。  746人(平均年齢:59.5歳、女性の割合:25.9%)を対象に自己記入アンケートを用いて、横断的研究を実施した。不眠症の定義には、日本語版アテネ不眠尺度6以上または前年の睡眠薬使用とした。性別、年齢、睡眠障害の有無、アルコール摂取頻度、1回当たりのアルコール摂取量で調整した後、寝酒と迎え酒に関連する不眠症のオッズ比(OR)を算出するため、ロジスティック回帰を用いた。