片頭痛は、日本の成人において3.2~8.4%が罹患していると推定されている。近年、片頭痛予防の新たな選択肢として、経口のカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体拮抗薬(ゲパント系薬剤)が登場している。慶應義塾大学の滝沢 翼氏らが実施した日本人患者を対象としたアンカーマッチング調整間接比較試験の結果、atogepantはリメゲパントと比較して、月間片頭痛日数の減少やQOLの改善において、より高い有効性を示すことが判明した。Expert Review of Neurotherapeutics誌2026年1月号に掲載。
日本における経口CGRP受容体拮抗薬の承認状況は、リメゲパントが2025年9月に、急性期治療と発症抑制の両方を適応として日本で初めて承認され、同年12月16日に発売された。一方、atogepantについては、2025年3月に発症抑制に関する承認申請が行われ、同年12月には急性期治療に関しても製造販売承認が申請されている。
本研究では、直接比較試験が存在しないatogepantとリメゲパントの有効性と安全性を比較するため、3つのプラセボ対照試験(RELEASE試験、PROGRESS試験、BHV3000-309試験)のデータを用いたアンカーマッチング調整間接比較試験が実施された。解析対象は、日本人片頭痛患者(反復性片頭痛、または月間頭痛日数[MHD]が18日以下の慢性片頭痛)で、atogepant群147例(平均年齢42.6歳、男性18.4%、ベースラインの月間片頭痛日数[MMD]7.8日)と、リメゲパント群240例(平均年齢44.8歳、男性8.3%、MMD 9.3日)であった。有効性の評価項目は、12週間におけるMMDおよび月間急性期治療薬使用日数(MUD)のベースラインからの変化量などであった。
主な結果は以下のとおり。
・12週間におけるMMDの減少量は、atogepant群がリメゲパント群と比較して有意に大きかった(平均差[MD]:-1.33日、95%信頼区間[CI]:-2.48~-0.18、p=0.024)。
・MUDにおいても、atogepant群で有意な減少が認められた(MD:-1.97日、95%CI:-3.06~-0.87、p<0.001)。
・片頭痛特異的QOL質問票(MSQ ver.2.1 RFRドメインスコア)における改善は、atogepant群が有意に優れていた(MD:4.80、95%CI:0.15~9.45、p=0.043)。この差は、臨床的に意味のある最小差(3.2)を上回るものであった。
・安全性および忍容性については、両薬剤間で有意な差は認められなかった。
本研究の結果、atogepantは、リメゲパントと同等の安全性を有し、日本人片頭痛患者の症状軽減とQOL向上においてより高い効果を示す可能性が示唆された。著者らは、本結果の背景として、投与スケジュールの違い(atogepant 60mgの1日1回投与、リメゲパント 75mgの隔日投与)や、分子レベルでの受容体阻害能の違いが影響している可能性を指摘している。一方で、本研究は臨床試験の間接比較による限界があるため、今後はリアルワールドデータを用いたさらなる検証が必要だとしている。
(ケアネット 古賀 公子)