日本発エビデンス|page:2

50歳以下の排尿後尿漏れ、座位排尿姿勢が関連~全国調査

 排尿後尿滴下(排尿後尿漏れ)は幅広い年齢層の男性にみられる。今回、そのメカニズムについて、従来の下部尿路症状に関連する因子以外の行動的・機能的因子について、名古屋大学の冨岡 禎史氏らが全国的な疫学調査のサブ解析により検討した。その結果、50歳以下の男性において、座位での排尿姿勢が排尿後尿滴下に独立して関連することが示された。World Journal of Urology誌2026年8月4日号に掲載。

日本における若年性アルツハイマー病の診断遅延の現状

 若年性アルツハイマー病の診断には、高齢発症アルツハイマー病と比較し、特有の課題がある。しかし、日本における診断に至るまでの経過については、これまで明らかになっていなかった。新潟大学の春日 健作氏らは、日本において若年性アルツハイマー病と高齢発症アルツハイマー病の症状から診断までの期間を比較して、診断までの期間に影響を及ぼす要因を調査した。BMC Neurology誌オンライン版2026年7月9日号の報告。

インフルエンザワクチンの有効性、前シーズンの感染・接種歴で変動―17シーズン解析

 前シーズンのインフルエンザ感染歴は今シーズンのワクチン有効性(VE)を高め、前シーズンの接種歴はVEを減弱させることが、日本臨床内科医会 インフルエンザ研究班の河合 直樹氏らによる日本での17シーズンにわたる前向きコミュニティベースコホート研究の解析で示された。今シーズン未接種者における罹患率(AR)は、前シーズン接種歴のある小児で14.0%、接種歴のない小児で8.6%と有意差が認められた(p<0.001)。研究成果はThe Journal of Infectious Diseases誌オンライン版2026年7月11日付で発表された。 本研究は、日本で2002~03年シーズンから2018~19年シーズンにかけて実施された17シーズンにわたる前向きコミュニティベースコホート研究のデータを用いた解析である。

健康的な脳の老化にはDHAが重要~EPAとの比較

 高齢者では脳萎縮が認知機能低下に先行することが多いため、脳構造の評価は神経保護の中間バイオマーカーとなる。近年、n-3系多価不飽和脂肪酸(PUFA)、とくにドコサヘキサエン酸(DHA)の血中濃度は、脳の構造的完全性との関連が示唆されている。しかし、魚の摂取量が多く、n-3系PUFA濃度がかなり高い日本人のデータは少なく、また、脳構造との関連でDHAとエイコサペンタエン酸(EPA)を比較した研究はほとんどない。今回、滋賀医科大学NCD疫学研究センターの近藤 慶子氏らが、高齢日本人女性においてEPA、DHA、EPA+DHAの血清濃度と脳容積の関連を検討したところ、DHAはEPAよりも灰白質容積との関連が強く、EPAとの関連は限定的なことがわかった。Journal of Nutrition誌オンライン版2026年7月25日号に掲載。

日本における初発統合失調症患者に対するLAI抗精神病薬の投与パターンが判明

 長時間作用型注射(LAI)抗精神病薬は、統合失調症治療の継続性を支える可能性がある。しかし、日本における初発統合失調症におけるリアルワールドでのLAI抗精神病薬の開始パターンについては、十分に明らかにされていない。京都大学の宮川 亮祐氏らは、JMDCレセプトデータベースを用いて、日本における初発統合失調症患者に対するLAI抗精神病薬の投与パターンを明らかにするため、本研究を実施した。Schizophrenia Research誌オンライン版2026年7月7日号の報告。  2005年1月~2024年3月のJMDCレセプトデータベースを用い、初発統合失調症に近似するレセプトベースの代理コホートを対象に、縦断的記述疫学研究を実施した。

日本人Lp(a)の実態解明、2つのカットオフ値を提案(LEAP研究)

 日本人のLp(a)濃度分布やLp(a)の心血管疾患(CVD)との関連を明らかにするために国内で実施されている多施設共同後ろ向き観察研究(LEAP研究)。2025年の第57回日本動脈硬化学会総会・学術集会での発表時には、日本人におけるLp(a)濃度分布と冠動脈疾患(CAD)をはじめとする併存疾患の関連性について、具体的に示されていなかった。今回、本研究の筆頭著者である山田 知明氏(東京科学大学病院 医療情報部)らはそれらを明らかにし、Journal of Atherosclerosis and Thrombosis誌2026年8月1日号で報告した。

PPI長期使用、即時中止vs.漸減中止

 長期投与中のプロトンポンプ阻害薬(PPI)は、症状改善後も漫然と継続されることが少なくない。一方、中止後の症状再燃への懸念から、減量しながら中止すべきか、あるいは即時中止でも問題ないかについては十分なエビデンスがなかった。今回、多施設ランダム化比較試験により、臨床的に安定した胃食道逆流症(GERD)患者において、PPI(P-CABを含む)の即時中止と漸減中止の有効性を比較した結果、両群の中止成功率に有意差は認められなかった。順天堂大学消化器内科の北條 麻理子氏らによる本研究はJournal of Gastroenterology誌2026年8月号に掲載された。

日本人の乳がん検診の障壁は「痛み・恐怖・予約」~Xの投稿を解析

 乳がん検診の受診率が米国(70%超)と比較して日本(50%未満)で停滞している現状を背景に、SNS投稿の言葉から異文化間における検診の障壁を比較評価したインフォデミオロジー(情報疫学)研究のデータを、名古屋市立大学の寺田 満雄氏らが報告した。解析の結果、英語圏では主に制度的・経済的負担を反映している一方、日本では「痛み」「恐怖」「予約」が密接に関連する心理的・身体的障壁が支配的であることが示唆された。Journal of Medical Internet Research誌2026年7月31日号に掲載。

緑内障手術後、約3人に1人で眼瞼下垂――濾過手術でリスク高く

 緑内障手術後には眼瞼下垂(まぶたが下がる症状)が生じることがあるが、その経過は十分に分かっていなかった。今回、患者を1年間追跡した研究で、約3人に1人に眼瞼下垂がみられ、特に濾過手術では術後1年まで進行する可能性が示された。研究は、神戸大学医学部眼科学教室の奥住奈南美氏、盛崇太朗氏らによるもので、詳細は6月25日付の「Graefe's Archive for Clinical and Experimental Ophthalmology」に掲載された。

低ナトリウム血症、腎機能が高くても低くてもリスク上昇

 低ナトリウム血症は日常診療でよく遭遇する電解質異常だが、腎機能との関連は十分に明らかになっていなかった。今回、日本の外来患者13万人超を対象とした解析で、腎機能と低ナトリウム血症リスクにはU字型の関連が認められ、腎機能が高い場合と低い場合の双方でリスクが上昇することが報告された。研究は聖路加国際病院腎臓内科の長浜正彦氏らによるもので、詳細は6月25日付の「Clinical and Experimental Nephrology」に掲載された。  低ナトリウム血症は、血液中のナトリウム濃度が低下した状態で、体内の水分バランスを調節する仕組みの異常などによって生じる。

重度歯周炎、高齢者の脳卒中リスク上昇――医療費増加とも関連

 口腔の健康状態は、脳卒中発症だけでなく、その後の医療負担にも影響するのだろうか。今回、高齢者1,997人を対象とした5年間の追跡研究で、重度歯周炎は脳卒中発症リスクの上昇と関連し、脳卒中後の医療費増加にも関与する可能性が示された。研究は愛知学院大学歯学部口腔衛生学講座の齋藤瑞季氏、嶋崎義浩氏らによるもので、詳細は6月12日付で「Journal of Clinical Periodontology」に掲載された。  歯周炎は口腔内の慢性炎症性疾患であり、歯周病菌や炎症反応が血管に影響することで、心血管疾患リスクを高める可能性が指摘されている。

高血圧の日本人、大腸がん発症率が高い

 高血圧と大腸がん発症率の関連については依然として議論されている。今回、静岡社会健康医学大学院大学の水野 仁美氏らが、日本の大規模コホートデータを用いて、高血圧と大腸がん発症率の関連を検討したところ、降圧薬非服用者では男性において高血圧と大腸がん発症率が関連し、降圧薬服用者では女性において高血圧と大腸がん発症率が関連していた。一方、血圧に関する多遺伝子リスクスコアと大腸がん発症率には関連はみられなかった。Hypertension Research誌オンライン版2026年7月28日号に掲載。

hinotoriによるロボット支援前立腺全摘、real-worldデータでda Vinciと比較

 手塚治虫氏の漫画『火の鳥』にちなんで名付けられた国産手術支援ロボット「hinotori」の前立腺がん手術への臨床導入が進む中、real-worldデータを用いて「da Vinci」との治療成績を比較した研究結果が報告された。hinotoriでは手術時間が長かった一方、陽性切除断端率や尿禁制回復、早期の生化学的再発などの主要アウトカムはda Vinciと同等の成績だった。研究は、滋賀医科大学泌尿器科講座の西田将成氏らによるもので、詳細は6月15日付の「Asian Journal of Endoscopic Surgery」に掲載された。

日本人高齢者、ゴルフと認知機能が関連

 ゴルフは身体的、認知的、社会的要求を伴う多面的な活動であるため、高齢者の身体的および認知的機能の維持に関連している可能性があるが、ゴルフの継続期間や頻度と認知機能との関係は明らかになっていない。そこで、国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センターの島田 裕之氏らは、高齢者におけるゴルフと認知機能との関連、継続期間や練習パターンとの関連を検討した。その結果、高齢期にゴルフを継続することは認知機能低下リスクが低いことと関連しており、またゴルフ歴が長いほどリスクが低いことが示された。Acta Psychologica誌2026年8月号に掲載。

子どもの頃の逆境体験、成人後の市販薬乱用と関連

 近年、市販薬の過量服薬(オーバードーズ)が社会問題となる中、幼少期の逆境体験がその背景に関与する可能性が示された。日本の成人約2万5,000人を対象とした全国調査の解析により、子どもの頃に虐待や家庭機能不全などの逆境体験を多く経験した人では、成人後の市販薬の習慣的乱用との関連が認められた。特に、電子たばこや加熱式たばこの使用者では、その関連がより強く認められたという。研究は、福島県立医科大学神経精神医学講座の森湧平氏、東北大学大学院医学系研究科精神神経学分野の長岡敦子氏らによるもので、詳細は6月2日付の「Psychiatry and Clinical Neurosciences Reports」に掲載された。

働き方改革で研修医のバーンアウトは減ったのか~2万5千人を調査

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行時、世界中で医師、とくに臨床研修医においてバーンアウトが大幅に増加した。一方、わが国では、医師の過重労働を減らし健康状態を改善するため、2023年に医師の働き方改革の準備を開始し、2024年4月に施行した。今回、千葉大学/英国・グラスゴー大学の小野 亮平氏らは、COVID-19流行時および国の働き方改革の準備期・施行期における、研修医のバーンアウトと労働環境の経時的変化について、多施設共同反復横断研究で調査した。その結果、臨床研修医のバーンアウトは2020年度に最も高く、その後、仕事への満足度、勤務時間、診療負担の改善に伴い減少したことが示された。BMJ Open誌2026年7月21日号に掲載。

日本におけるVZV髄膜炎発生率、12年で3倍超に

 日本における水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)髄膜炎の発生率は、過去12年間で3倍超に増加していることが、東京大学の山形 直毅氏らによる研究で明らかになった。一方で、大多数の患者はアシクロビルの長期静注療法により治療され、退院時には転帰が良好であったことも示されている。Journal of the Neurological Sciences誌2026年9月15日号掲載の報告より。  本研究では、2011年4月~2023年3月にVZV髄膜炎と診断された1,680例を、日本の全国入院患者データベースであるDPCデータを用いて特定した。

乳がんのsBRCA変異とgBRCA変異、生物学的特徴と治療反応が異なる/ESMO Open

 BRCA変異のうち、生殖細胞系列(g)BRCA変異は生物学的および臨床的な重要性が十分に確立されているが、体細胞(s)BRCA変異の意義については不明な点が多い。今回、横浜市立大学の押 正徳氏らが、日本全国のがんゲノム医療データベース(C-CAT)を用いて大規模な乳がんゲノム解析を実施した結果、sBRCAのみ変異ありは、gBRCAとsBRCAの両方変異ありより多くみられ、sBRCA変異はgBRCA変異の有無によって明確なゲノムパターンが示された。また、gBRCAのみ、変異ありがCDK4/6阻害薬の治療継続期間の短縮と関連していた。ESMO Open誌2026年7月23日号に掲載。

飲酒中のチェイサーは二日酔いの症状を軽減しない/大分大

 多量の飲酒のあとに起こるいわゆる「二日酔い」を一度は経験したことがある人は多いはず。二日酔いでは、頭痛や倦怠感などの身体症状だけでなく、自動車の運転や就業中の判断力に影響を及ぼすことはよく知られている。症状の軽減策としては、飲酒中の水(いわゆる「チェイサー」)の摂取が知られているが、その効果はどのくらいあるのだろう。このテーマに関して、大分大学の今井 浩光氏(大分大学医学部医学生物学講座および医療倫理学講座 教授)らの研究グループは、チェイサーが体内のエタノールおよびアセトアルデヒドの動態に影響を与えるかどうか、また、翌日の精神運動機能検査や自覚症状において二日酔いの症状を軽減するかどうかを検討した。

高齢入院患者の睡眠薬継続使用、院内転倒リスク上昇と関連

 高齢入院患者の転倒は、骨折や身体機能の低下につながり得るため、医療現場で重要な課題となっている。日本の急性期病院に入院した高齢患者6万人超を対象とした研究で、睡眠薬の継続使用は院内転倒リスクの上昇と関連することが示された。一方、ベンゾジアゼピン系・Z薬とオレキシン受容体拮抗薬/ラメルテオンとの間で、転倒リスクに有意な差は認められなかった。研究は、日本医科大学医療管理学の西野拓也氏らによるもので、詳細は6月8日付の「PLoS One」に掲載された。