日本発エビデンス|page:2

体力のある人は加齢に伴う腎機能低下が緩やか/筑波大学

 腎機能が保たれている一般集団において、全身持久力や心肺機能を反映する有酸素性運動能力と、加齢に伴う推算糸球体濾過量の経時的変化(eGFR slope)との関連を調査した結果、有酸素性運動能力が高い人ほど加齢に伴うeGFRの低下速度が緩やかであり、有酸素性運動能力が腎臓に対して保護的な役割を果たす可能性があることを、筑波大学の吉越 駿氏らが示した。Medicine & Science in Sports & Exercise誌オンライン版2026年7月3日号掲載の報告。  慢性腎臓病(CKD)患者では、腎機能低下に伴い有酸素性運動能力も低下することが知られている。

禁煙成功には“自信”が重要?働く世代対象の禁煙支援研究

 禁煙支援では、ニコチン依存の強さが禁煙成功に影響するとされているが、本人の「禁煙できる」という自信も重要かもしれない。今回、日本の企業向け禁煙プログラム参加者を対象とした研究で、禁煙への自信の高さが、加熱式たばこ利用者を含め禁煙成功と関連する可能性が示された。研究は北里大学大学院医療系研究科の吉原翔太氏らによるもので、詳細は5月19日付の「Journal of Medical Internet Research(JMIR)」に掲載された。  スマートフォンアプリやニコチンガム・パッチを用いた禁煙支援が広がる中、禁煙成功に関わる要因への関心が高まっている。

救急搬送後の自殺再企図、若年と過量服薬がリスク因子に

 自殺企図で救急搬送された患者の自殺再企図は、初期対応時に予測できるのだろうか。今回、国内3施設で救急入院患者を追跡した研究により、若年であることと過量服薬(オーバードーズ)が、自殺再企図のリスク因子となる可能性が示された。初回自殺企図時に過量服薬を行った患者では、再企図リスクが約2.5倍高かったという。研究は獨協医科大学精神神経医学講座の佐々木太郎氏、古郡規雄氏らによるもので、詳細は4月29日付の「Neuropsychopharmacology Reports」に掲載された。  自殺企図歴は、その後の自殺再企図や自殺死亡の強い予測因子とされる。これまで若年者では再企図が多く、性別による自殺行動の違いも報告されてきたが、その背景には自殺手段の違いが関与する可能性が指摘されている。

ピロリ除菌後の胃がん、喫煙が独立したリスク因子

 Helicobacter pylori(H. pylori)除菌に成功した後も胃がんが発症するリスクは残存し、喫煙が独立したリスク因子であることが、日本の全国規模コホート研究で示された。現在喫煙者における毎日の飲酒は、非喫煙・非飲酒者と比較して胃がんリスクのさらなる上昇と関連していた。朝日生命成人病研究所 附属病院の新井 絢也氏らによる本研究はHelicobacter誌2026年5・6月号に掲載された。

地域活動への参加、ワーク・エンゲージメントと関連――労働者1.4万人を追跡

 ボランティアや地域活動、趣味・学習活動などに参加している人は、仕事にも前向きに取り組めるのだろうか。今回、日本の労働者約1万4,500人を追跡した研究で、地域活動への参加とワーク・エンゲージメント(仕事に関連したポジティブで充実した心理状態)の高さとの関連が示された。特に地域貢献活動(ボランティアや地域活動)では、年数回程度の参加でも関連が認められ、参加頻度が高いほど、ワーク・エンゲージメントが高い傾向が示唆された。研究は産業医科大学産業保健経営学の植月三咲子氏、永田智久氏らによるもので、詳細は5月14日付の「Journal of Occupational Health」に掲載された。

コーヒーはなぜ脂肪肝を抑制するのか

 コーヒーは脂肪肝などの代謝性疾患リスクを減らすことがメタ解析で示唆されている。遊離脂肪酸や炭水化物を豊富に含む門脈血は脂肪肝の一因となるが、コーヒー摂取により上腸間膜動脈(SMA)とそれに続く門脈の血流が減少することが脂肪肝リスク抑制の一因となっている可能性がある。しかしながら、これまでコーヒー摂取でこれらの血流が減少するかどうか成人で検討した研究は見当たらない。今回、杏林大学の研究グループが若年男性の腹部血流を超音波検査で調べた結果、コーヒー摂取でSMAおよび門脈の血流が減少したことがわかった。Pharmacology research & perspectives誌2026年8月号に掲載。

日本人が「うつ病」と一緒に最も検索する臨床症状は?

 うつ病患者は、自殺や就労障害のリスクが高いため、発症後できるだけ早期に適切な治療を提供することがきわめて重要である。これまでのオンライン検索動向に基づくうつ病への関心に関する研究は、時間的変化や地域差に焦点を当てたものがほとんどで、検索クエリの内容に焦点を当てた分析は限られていた。横浜市立大学のRikako Shimizu氏らは、日本におけるうつ病に関するオンライン検索動向を明らかにし、うつ病に対する社会的な認識と臨床診断における症状構成概念との関連性を調査することを目的とし、本研究を実施した。PloS One誌2026年5月12日号の報告。

震災後の住まい、6年後の孤立リスクに差

 災害後の生活再建では、住まいの確保が重要な課題となる。今回、東日本大震災後の東北地域住民を対象とした大規模研究により、震災から6年後の住居形態が社会的孤立と関連していたことが分かった。特に男性では、賃貸住宅で孤立リスク上昇、被災地で住宅再建した場合にはリスク低下との関連が示された。研究は、岩手医科大学医学部衛生学公衆衛生学講座(いわて東北メディカル・メガバンク機構兼務)の事崎由佳氏らによるもので、詳細は5月13日付の「BMJ Public Health」に掲載された。  東日本大震災では、多くの住民が家屋被害や転居を経験し、慣れ親しんだ地域や人間関係の喪失による社会的孤立が懸念されてきた。

乳がん・子宮頸がん検診、働く女性の受診行動と性格特性に関連か

 乳がんや子宮頸がんの早期発見には定期的な検診が重要だが、働く女性の受診率向上は課題となっている。今回、日本の就業女性を対象とした研究で、一般に健康管理と結びつきやすいとされる誠実性や不安と関連する神経症傾向が高い女性ほど、乳がんおよび子宮頸がん検診の受診率が低い傾向にあることが示された。研究は横浜市立大学医学部看護学科の佐藤みほ氏と、福島県立医科大学看護学部の佐藤菜保子氏によるもので、詳細は4月28日付の「JMIR Cancer」に掲載された。  日本では乳がん・子宮頸がんの罹患率および死亡率が高い一方、検診受診率は他のOECD加盟国と比べて低い。女性の就業率上昇に伴い働く女性の受診率向上が課題となる中、時間的制約に加え、心理社会的要因も健康行動に影響する可能性が指摘されている。

再発・難治性B-NHLへのglofitamab、日本人第I相試験の結果

 glofitamabは、T細胞誘導型CD20/CD3二重特異性抗体であり、欧米において再発・難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に承認されている。今回、日本人の再発・難治性B細胞非ホジキンリンパ腫(B-NHL)患者における安全性・薬物動態・有効性を評価した第I相試験で、glofitamabが管理可能な安全性プロファイルを示し、有望な奏効率が認められたことを、がん研究会有明病院の城内 優子氏らが報告した。International Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2026年7月2日号に掲載。

日本人統合失調症外来患者の再発率と関連する要因は~MUSASI研究

 社会機能障害は、統合失調症患者の生活の質に大きな影響を及ぼすが、社会機能に関連する因子が再発頻度によって異なるかどうかは明らかになっていない。関西医科大学の嶽北 佳輝氏らは、日本人統合失調症外来患者を対象に、再発頻度別にこれらの因子の違いを検討するため、本研究を実施した。Psychological Medicine誌2026年5月29日号の報告。  本研究は、日本の精神科診療所における統合失調症の多施設共同治療調査・評価(MUSASI)として実施された全国横断研究である。2023年9~10月にかけて日本国内の精神科診療所330施設で実施した。解析対象は、統合失調症関連疾患と診断された患者1万81例。

保護者の料理スキル、子どものレジリエンスや思いやり行動と関連

 子どもの心の健康には、家庭環境や親子関係が大きく関わることが知られている。今回、日本の小学生と保護者を対象とした縦断研究により、保護者の料理スキルが高いほど、子どものレジリエンス(困難への対処力)や向社会的行動(思いやり行動)が高い傾向にあることが示された。さらに、食に関する家庭習慣や親子の関わり、家族の結び付きが、この関連に一部関与している可能性も示唆された。研究は、東京科学大学大学院医歯学総合研究科公衆衛生学分野の谷友香子氏らによるもので、詳細は5月1日付の「BMC Psychology」に掲載された。

日本人片頭痛患者に対する3年間の抗CGRP抗体継続治療、その有用性は

 抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)抗体については、治療期間が24ヵ月を超える長期的な実臨床のデータが乏しく、とくに治療継続率や目標達成後の計画的中止に関するデータは不足している。昭和医科大学の笠井 英世氏らは、実臨床における3年間にわたる抗CGRP抗体の有効性および安全性を評価するため、単施設レトロスペクティブ研究を実施した。Frontiers in Neurology誌2026年5月13日号の報告。

日本における統合失調症治療、最新の推奨事項〜エキスパートコンセンサス

 従来の統合失調症薬物治療ガイドラインは、日常診療における臨床的に重要な問題すべてに対して十分に対応できていなかった。関西医科大学の嶽北 佳輝氏らは、現在の臨床状況を反映させるため、日本臨床精神神経薬理学会(JSCNP)の2021年専門家コンセンサスを改訂することを目的とし、本研究を実施した。Schizophrenia誌オンライン版2026年6月2日号の報告。  JSCNPおよび日本神経精神薬理学会(JSNP)に所属する精神科専門医154人が、臨床的に関連性の高い21の状況における治療選択肢を9段階リッカート尺度(1=「強く反対」、9=「強く賛成」)を用いて評価した。

転移・再発乳がんへのパルボシクリブ、1次治療vs.2次治療~日本人大規模RWデータで検証

 HR+/HER2-転移・再発乳がん患者において、1次治療として内分泌療法とCDK4/6阻害薬の併用療法が推奨されている。一方で、1次治療の期間は長期にわたるため、CDK4/6阻害薬特有の有害事象や経済毒性は無視できない課題となっている。CDK4/6阻害薬の1次治療使用群と2次治療使用群を比較した第III相無作為化比較試験(SONIA試験)では、2次治療での使用の妥当性が示された。東京医科大学の石川 孝氏らは、パルボシクリブ治療に関する日本における大規模多施設共同前向き観察研究を実施。その結果、SONIA試験の知見をリアルワールドデータで支持する結果が得られ、パルボシクリブを2次治療で導入する治療戦略の妥当性が示された。Breast Cancer Research誌オンライン版2026年5月29日号掲載の報告。

日本におけるがん薬剤費は10年で3倍に、総医療費最大は肺がん

 日本の全国レセプトデータベース(NDB)を用いて、2011~22年にがん診療を受けた約2,320万人を対象とした大規模解析が実施された。その結果、がん診療に伴う医療費は日本の経済成長率を大きく上回るペースで増加しており、とくに免疫チェックポイント阻害薬(ICI)を中心とする新規抗がん薬が医療費増加の主要因であることが明らかになった。京都大学の福山 啓太氏らによる研究はScientific Reports誌オンライン版2026年6月15日号に掲載された。

日本における小児ADHDに対する薬物療法の現状、最も好まれる薬剤は?

 小児の注意欠如多動症(ADHD)は、日本において増加傾向にある神経発達障害である。ADHDの治療において、薬物療法は重要な治療法の1つであるにもかかわらず、ADHD治療薬の処方実態はこれまで十分に解明されていなかった。北里大学の鈴木 龍太郎氏らは、日本の17歳以下の小児および青年におけるADHD治療薬の処方パターンを調査し、性別、年齢、診療科といった患者背景に基づいて薬剤選択の傾向を分析した。BMC Psychiatry誌オンライン版2026年5月14日号の報告。

国産手術ロボットhinotoriによる大腸がん手術、94例の初期成績を報告

 ロボット支援手術の普及が進む中、日本初の国産手術支援ロボット「hinotori」の大腸外科領域における臨床データが報告された。今回、京都大学医学部附属病院でhinotoriによるロボット支援大腸手術を受けた大腸がん患者94例を解析した結果、開腹移行例やClavien-Dindo分類Grade III以上の重篤な術後合併症は認められなかった。著者らは、hinotoriを用いた大腸がん手術は安全かつ実施可能であることが示されたとしている。報告は京都大学医学部附属病院消化管外科の山本健人氏、板谷喜朗氏らによるもので、4月25日付の「Journal of the Anus, Rectum and Colon」に掲載された。

転移TN乳がん1次治療におけるDato-DXd、TROPION-Breast02の日本人サブ解析/日本乳癌学会

 免疫療法が適応とならない未治療の局所再発・切除不能/転移トリプルネガティブ乳がん(TNBC)を対象に、ダトポタマブ デルクステカン(Dato-DXd)の1次治療としての有効性と安全性を治験責任医師選択の化学療法(ICC)と比較した国際第III相TROPION-Breast02試験における日本で登録された38例での解析結果を、福島県立医科大学の佐治 重衡氏が第34回日本乳癌学会学術総会で報告した。  本試験では、ITT集団において全生存期間(OS)および盲検下独立中央判定(BICR)による無増悪生存期間(PFS)が、Dato-DXd群で有意な改善が認められたことがESMO2025で報告されている。

統合失調症における薬物治療反応と発達障害の遺伝的リスクとの関連

 統合失調症は、遺伝性の高い神経精神疾患である。そのゲノム構造は、注意欠如多動症(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)などの神経発達障害のゲノム構造と重複することが報告されている。しかし、ADHDおよびASDのゲノムリスクが統合失調症症状に及ぼす影響は依然として不明であった。東北大学の宮原 一総氏らは、統合失調症における抗精神病薬の治療反応性に神経発達障害の遺伝的リスクが影響するかを検討するため、死後脳を用いてゲノムワイド関連解析(GWAS)を行った。Frontiers in Psychiatry誌2026年4月27日号の報告。