日本発エビデンス|page:2

AFアブレーション後のDOAC、Apple Watchで服用日数を95%削減/日本循環器学会

 心房細動(AF)に対するカテーテルアブレーション術後において、ガイドラインでは脳梗塞・全身塞栓症リスク(CHA2DS2-VAScスコア)に基づいて長期的な抗凝固療法の継続が推奨されている。しかし、術後にAFが抑制されている患者においても一律に直接経口抗凝固薬(DOAC)を継続することは、出血リスクの増加や医療コストの増大を招く懸念がある。そこで、アブレーション術後の患者において、Apple Watchを用いてAFをリアルタイムで検出することで、必要な時だけDOACを服用する「イベント駆動型」戦略について、安全性と有効性を検証する多施設共同研究「Up to AF Trial」が実施された。その結果、DOACの服用日数を約95%削減しつつ、追跡期間中に脳梗塞や重大な出血イベントは発生しなかったことが示された。

62万人の解析で見えてきた、日本人のバレット食道リスクとは

 「バレット食道」は、胃酸などの逆流によって食道の粘膜が本来とは異なるタイプの細胞(円柱上皮)に置き換わる状態を指す。この状態は、将来的に食道腺がんの発生母地になることが知られている。今回、日本人約62万人の大規模データを解析した研究から、胃食道逆流症(GERD)や食道裂孔ヘルニアなどが、日本人におけるバレット食道のリスク因子である可能性が示された。研究は、静岡県立総合病院消化器内科の平田太陽氏、静岡社会健康医学大学院大学の菅原照氏、名古屋市立大学大学院医学研究科の中谷英仁氏らによるもので、詳細は2月6日付で英科学誌「Scientific Reports」に掲載された。

意欲低下と抑うつの併存、高齢者の多面的フレイルと関連か

 高齢者のフレイルは身体機能だけでなく、認知、社会、口腔など多面的な側面を持つことが知られている。今回、地域在住高齢者を対象とした研究で、意欲低下(アパシー)と抑うつ症状はいずれも身体・認知・社会フレイルと関連し、両者を併存する場合には口腔を含む多面的フレイルとの関連が示唆された。研究は、島根大学医学部内科学講座内科学第三の黒田陽子氏、同大学地域包括ケア教育研究センター(CoHRE)の安部孝文氏らによるもので、詳細は2月6日付で「Geriatrics & Gerontology International」に掲載された。

日本のアルツハイマー病患者における介護者負担と神経精神症状との関係

 地域在住のアルツハイマー病患者を対象とした先行研究では、認知症における重度の神経精神症状(NPS)と介護負担との関連が報告されている。鹿児島県・あいらの森ホスピタルの永田 智行氏らは、日本における地域在住のアルツハイマー病患者の家族介護負担、認知症のNPS、介護サービスの利用状況の現状を調査した。Psychogeriatrics誌2026年3月号の報告。  地域在住のアルツハイマー病患者の同居家族介護者を対象に、2023年11月13~27日にウェブベースの質問票を用いて調査を実施した。パネルデータに登録された8,108人の参加者の中から、705人の家族介護者(年齢範囲:19~79歳)を抽出した。参加者は、神経精神医学的評価尺度(Neuropsychiatric Inventory-Brief Questionnaire)の日本語版に回答した。

KRAS G12C変異陽性大腸がん、ソトラシブ+パニツムマブのアジア人・長期の有用性(CodeBreaK 300/101)/日本臨床腫瘍学会

 既治療のKRAS G12C変異陽性の転移大腸がん(mCRC)において、選択的KRAS G12C阻害薬ソトラシブと抗EGFR抗体パニツムマブの併用療法は、第III相CodeBreaK 300試験および第Ib相CodeBreaK 101試験において有用性が示され、すでに米国と日本において承認されている。今回、本レジメンのアジア人に対する有用性と、長期にわたる臨床的ベネフィットが確認された。第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO 2026)において九州がんセンターの江崎 泰斗氏がアジア人サブグループ解析の結果を、国立がん研究センター東病院の久保木 恭利氏が両試験を統合した長期生存解析の結果を報告した。

日本の成人血液腫瘍の5年純生存率の推移:2000~14年(CONCORD-3)

 日本における成人血液腫瘍患者の5年純生存率(net survival)は2000~14年に全体的に改善し、その改善は高齢患者よりも若年患者においてより顕著であったことが、世界的ながん生存率調査を目的としたCONCORD-3プログラムの日本人データを用いた分析により示された。国立病院機構 四国がんセンターの吉田 功氏らがJapanese Journal of Clinical Oncology誌2026年3月号で報告した。  本研究では、国内16の地域がん登録データから、2000~14年に骨髄系またはリンパ球系悪性腫瘍と診断され、2014年12月31日まで追跡された成人患者(15~99歳)のデータを分析した。

EGFR変異NSCLC、アミバンタマブ+ラゼルチニブがアジア人でもOS良好(MARIPOSA)/日本臨床腫瘍学会

EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療として、アミバンタマブ+ラゼルチニブは、国際共同第III相無作為化比較試験「MARIPOSA試験」において、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を改善することが示されている1)。第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)において、本試験のアジア人集団におけるOSなどのアップデート解析結果が、林 秀敏氏(近畿大学医学部内科学腫瘍内科部門 主任教授)により発表され、アミバンタマブ+ラゼルチニブは、アジア人集団においてもオシメルチニブ単剤と比較してOSが良好であることが示された。なお本演題は、欧州臨床腫瘍学会アジア大会(ESMO Asia2025)のアンコール演題であったが、日本人集団のpost-hoc解析結果が追加された。

HR+HER2-転移・再発乳がんへのSG、日本人での有効性と安全性(ASCENT-J02)/日本臨床腫瘍学会

 日本人の既治療HR+HER2-転移・再発乳がんに対するサシツズマブ ゴビテカン(SG)の有効性・安全性を評価した非盲検第I/II相ブリッジング試験(ASCENT-J02試験)の結果、国際第III相TROPiCS-02試験における結果と同程度の効果が認められ、安全性についても既知の安全性プロファイルと同様であったことが報告された。国立国際医療センターの下村 昭彦氏が、第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)で同試験の第II相HR+HER2-転移・再発乳がんコホートの結果を発表した。

進行乳がん1次治療中にESR1変異出現でcamizestrantに切り替え、SERENA-6試験の日本人解析/日本臨床腫瘍学会

 SERENA-6試験は、ER+/HER2-の進行乳がんに対して1次治療のアロマターゼ阻害薬(AI)+CDK4/6阻害薬併用療法中、病勢進行する前にctDNA検査でESR1変異が検出された患者において、CDK4/6阻害薬を継続しAIを経口選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)camizestrantに切り替えることの有用性を検討した国際共同第III相二重盲検試験である。すでに中間解析(データカットオフ:2024年11月28日)で、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の有意な改善(ハザード比[HR]:0.44、p<0.0001)が報告されている。今回、日本人集団の結果(データカットオフ:2025年6月30日)について、名古屋市立大学の岩田 広治氏が第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)で発表した。

膵がん1次治療、NALIRIFOX療法の日本人における一貫性を確認/日本臨床腫瘍学会

 遠隔転移を有する未治療の膵管腺がん患者に対し、NALIRIFOX療法は、標準治療のゲムシタビン+nab-パクリタキセル(Gem+nab-PTX)療法と比較し、全生存期間(OS)を有意に延長することが国際共同第III相試験であるNAPOLI-3試験において示された。  NAPOLI-3試験では日本人データが得られていないため、国内適応に向けたブリッジング試験(S095013-169試験)が行われた。すでに昨年有効性に関する報告がされたが、今回、全生存期間(OS)を含む最終解析結果が報告され、いずれも日本人患者におけるNALIRIFOX療法の有効性と安全性がNAPOLI-3試験の結果と一貫していることが示された。第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)において、国立がん研究センター東病院の佐々木 満仁氏が発表した。

日本人の全般性不安症患者が抱える満たされないニーズ判明

 ヴィアトリス製薬の野本 佳介氏らは、臨床試験に参加した日本人の全般性不安症(GAD)患者を対象に、本研究を実施した。疾患認識レベル、過去の医療を求める行動および診断歴、症状と日常生活への影響、診断および臨床評価に対する認識、そして試験参加後の変化を調査した。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2026年2月24日号の報告。  本研究は、ウェブベースの質問票を用いた量的(記述的)研究として、2025年4月23日〜5月25日に実施した。対象患者は、DSM-5に基づきGADと診断され、セロトニンノルアドレナリン再取り込み阻害薬ベンラファキシンのB2411367臨床試験に登録歴のある患者。症状と疾患負担に関する患者の直接的な経験は、自由記述式回答によって収集した。

統合失調症、うつ病のガイドライン教育が日本の精神科治療に及ぼす影響は?

 教育的介入は、直接介入を受ける参加者だけでなく、同じ組織内の非参加者にも影響を与える可能性がある。北海道大学の堀之内 徹氏らは、リアルワールドにおける臨床診療ガイドラインの実施において、組織内における教育的スピルオーバー効果が生じるかどうかを検証した。Asian Journal of Psychiatry誌2026年4月号の報告。  2016〜24年に精神科医療の普及と教育に対するガイドラインの効果に関する研究(EGUIDE)プロジェクトに参加した298施設における、統合失調症(2万2,032例)およびうつ病(1万1,207例)の入院患者の退院データを収集した。

2つのRCT事後解析からみたカナグリフロジンの尿路感染症発症リスク

 2型糖尿病患者におけるカナグリフロジンの尿路感染症(UTI)発症リスクは尿中白血球エステラーゼ(LE)および亜硝酸塩が異常値であってもプラセボと同程度だったという研究結果が、Nephrology Dialysis Transplantation誌オンライン版2026年3月16日号に報告された。  SGLT2阻害薬は心腎系の有益性が確立されているものの、UTIのリスクに対する懸念から、とくに高リスク患者では使用が制限される可能性がある。  大阪大学の土井 洋平氏らは、UTIの診断に有用とされるLEおよび亜硝酸塩を指標にカナグリフロジンとUTIとの関連を検証した。

BMIでは見えない死亡リスク?新体型指標の可能性~日本人大規模コホート

 体格評価に広く用いられるBMI(体格指数)だが、その限界も指摘されている。近年、体型の丸みや腹囲を反映する指標であるBody Roundness Index(BRI)や、体型形状を考慮したA Body Shape Index(ABSI)が提案されている。今回、日本人約78万人を対象とした大規模研究で、これらの指標が死亡リスク評価に新たな視点をもたらす可能性が示された。研究は、東京大学大学院医学系研究科ヘルスサービスリサーチ講座の木村悠哉氏らによるもので、詳細は1月31日付で「Journal of Obesity」に掲載された。

日本人統合失調症外来患者における抗精神病薬の多剤併用パターンを調査

 統合失調症治療において抗精神病薬単剤療法が推奨される標準療法であるにもかかわらず、2種類以上の抗精神病薬の併用と定義される多剤併用は、臨床現場で依然として一般的に行われている。佐賀大学の祖川 倫太郎氏らは、日本の統合失調症外来患者における抗精神病薬の多剤併用率とその要因について調査するため、全国横断調査を実施した。International Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2026年2月18日号の報告。  2024年10月21~25日に、医療機関36施設より3,657例の外来患者データを収集した。

PCI後早期のLDL-C値55mg/dL未満達成でMACEリスク激減/日本循環器学会

 欧州心臓病学会(ESC)および欧州動脈硬化学会(EAS)のガイドラインでは、アテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の二次予防において、非常に高リスクな患者にはLDLコレステロール(LDL-C)55mg/dL未満、きわめて高リスクな場合には40mg/dL未満という目標値を推奨している1)。しかし、日本人患者においてこれほど厳格な管理が実際に予後を改善するかは十分に検証されていなかった。現在、日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」では、二次予防の目標値は、原則100mg/dL未満、ハイリスク者で70mg/dL未満と設定されている2)。

日本における認知症介護者、BPSDによる負担増加とQOL低下が明らかに

 アルツハイマー病患者における認知症の行動・心理症状(BPSD)は、介護者の負担、ひいてはケアの質に深刻な影響を及ぼす可能性がある。東京慈恵会医科大学の品川 俊一郎氏らは、日本のアルツハイマー病患者の介護者において、BPSDおよびBPSDのサブタイプと介護者の負担およびQOLとの関連を明らかにするため、本研究を実施した。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2026年1月28日号の報告。  本調査では、マクロミルに登録されているアルツハイマー病患者の同居介護者を対象に、ウェブベースのアンケートを実施した。

高血圧の修正可能なリスク因子、日本人で最も影響が大きいのは?

 高血圧の1次予防において、修正可能なリスク因子の特定と優先順位付けが重要であるが、日本人における高血圧症の発症に関する修正可能なリスク因子の人口寄与割合(PAF)に関するデータが不足している。そこで、大規模データベースを用いた検討が実施され、日本人集団における高血圧症の発症で、人口寄与が最も大きい修正可能なリスク因子は、肥満であることが示された。本研究結果は、Hypertension Research誌オンライン版2026年3月4日号で、責任著者の金子 英弘氏(東京大学循環器内科)らによって報告された。

日本のインスリン治療、非インスリン薬併用が20年で2倍に

 日本におけるインスリン療法の実態とその変遷を解析した大規模リアルワールド研究「Insulin JP2DB Study」の結果が報告された。日本では近年、インスリンと非インスリン薬の併用が増加している。本研究では、その割合が約20年間で大きく増加していることが示された。京都府立医科大学の福井 道明氏らによる本研究はDiabetes Therapy誌オンライン版2026年1月27日号に掲載された。  日本の医療データベース(JP2DB)を用いて、インスリン治療の導入パターンおよび併用薬の使用動向を後ろ向きに解析した。解析は、年次ごとの治療動向を評価する「連続横断解析」と、インスリン導入後のレジメン推移を追跡(2型糖尿病は9ヵ月、1型糖尿病は21ヵ月)した「縦断コホート解析」の2つのデザインで実施された。