日本発エビデンス|page:2

日本の帯状疱疹罹患率、約10年で増加

 日本における帯状疱疹罹患率は2014年以降の約10年間で増加傾向にあり、罹患率は加齢に伴い増加することが明らかになった。自治医科大学の片山 真穂氏らが、日本のレセプトデータベースを用いた大規模解析の結果を、BMC Infectious Diseases誌2026年1月10日号に報告した。  本研究では、2014年4月~2023年3月の帯状疱疹および帯状疱疹後神経痛の標準化罹患率を検討するため、日本のレセプトデータベース(DeSCデータベース、約1,250万人のデータを含む)を用いた大規模解析を実施した。帯状疱疹発症後の入院および帯状疱疹後神経痛のリスクを評価するとともに、国のサーベイランスデータを用いて水痘罹患率の解析も行った。

てんかん患者向けAIチャットボット「えぴろぼ」との会話解析でわかったこと

 人工知能(AI)搭載チャットボットは、患者教育やメンタルヘルス支援での活用が広がっている。今回、てんかん患者や家族を支援する目的で開発されたAIチャットボット「えぴろぼ」との会話を解析した結果、相談内容によって利用者の気持ちの動きが異なることが分かった。医療相談ではポジティブな感情の強度が高まる傾向が示された一方、内省的な会話ではポジティブな感情の変化が小さい傾向がみられたという。研究は、埼玉大学大学院理工学研究科/先端産業国際ラボラトリーの綿貫啓一氏、国立精神・神経医療研究センターの倉持泉氏によるもので、詳細は12月11日付で「Epilepsia Open」に掲載された。

心不全の予後予測に有用、フレイル指標FI-labとCFSの併用評価

 名古屋大学医学部附属病院循環器内科の水野 智章氏、平岩 宏章氏の研究グループは、急性心不全(HF)患者の血液検査に基づく新たなフレイル指標(Frailty Index based on laboratory tests:FI-lab)が、「退院後1年の予後予測に有用であること」「臨床フレイルスケール(Clinical Frailty Scale:CFS)と独立した予後予測因子であること」「FI-labとCFSを組み合わせることで、急性HFの予後層別化が可能になること」を明らかにした。Journal of the American Heart Association誌2025年12月16日号掲載の報告。

デジタルピアサポートアプリ介入が歩数目標達成率と歩数に与える影響──前糖尿病・早期2型糖尿病での非ランダム化比較試験

 前糖尿病や早期2型糖尿病では、血糖コントロールのために運動習慣を身につけることが重要とされている。しかし現実には、運動を「始める」よりも「続ける」ことのほうが難しい。こうした課題に対し、オンライン上で仲間とつながり、互いに励ましあいながら目標行動の維持を支えるデジタルピアサポートに注目した研究が行われた。前糖尿病および早期2型糖尿病を対象とした本研究では、アプリを用いた介入によって、日々の歩数目標の達成率および平均歩数が高まることが示された。研究は、北里大学大学院医療研究科の吉原翔太氏らによるもので、詳細は12月15日付で「JMIR Formative Research」に掲載された。

パーキンソン病で「痩せる理由」、体重減少の背景にあるエネルギー代謝の変化

 パーキンソン病(PD)は、手足の震えや動作の遅れなどの運動症状で知られる神経変性疾患だが、体重減少も重要な非運動症状の一つとされている。今回、PD患者では糖を使うエネルギー代謝が低下し、脂質やアミノ酸を利用する代謝へとシフトしている可能性が示され、体重減少が疾患特異的な代謝変化と関係していることが明らかになった。研究は、藤田医科大学医学部脳神経内科学教室の東篤宏氏、水谷泰彰氏らによるもので、詳細は11月30日付で「Journal of Neurology, Neurosurgery and Psychiatry(JNNP)」に掲載された。  PDにおける体重減少は、疾患進行や予後と関連する重要な非運動症状であり、体脂肪量の低下が主であることは知られていた。

高血圧アプリの有効性決定因子が明らかに/Hypertension

 苅尾 七臣氏(自治医科大学内科学講座循環器内科学 教授/自治医科大学附属病院循環器センター センター長)らが高血圧治療補助アプリを用いた研究「B-INDEX研究」を実施し、ベースライン血圧値とは無関係に、高齢・減塩・初期の体重減少が治療アプリ(デジタルセラピューティクス:DTx)による効果的な血圧低下の予測因子であることを明らかにし、「DTxによる高血圧治療では、最初の4週間が重要」と示唆した。Hypertension誌2026年1月号掲載の報告。  本研究は、高血圧患者を対象とした12ヵ月間の多施設共同介入研究で、DTx介入による家庭血圧低下効果の決定要因を調査。

「納豆が健康に良い」のはなぜ?

 納豆の健康効果に、新たな科学的根拠が追加された。井田 智章氏、居原 秀氏(共に大阪公立大学)らの研究グループは、納豆の発酵過程において、抗酸化作用などを有する「超硫黄分子」が増加することを明らかにした。納豆には超硫黄分子が多く含まれるとされているが、その詳細は明らかになっていなかった。本研究結果は、Nitric Oxide誌2026年2月号に掲載された。  研究グループは、3種類の大豆品種(フクユタカ、ユキシズカ、スズオトメ)および市販の納豆4製品について、解析を行った。自家製納豆も作製し、発酵日数(0~6日)ごとに解析した。

長島型掌蹠角化症、足の臭いの原因菌と有効な外用薬が明らかに/慶應大ほか

 長島型掌蹠角化症は、日本に約1万人、東アジアに数十万人の患者がいると推定され、紅斑性の過角化、掌蹠多汗症、そしてQOLを著しく低下させる独特の足の臭いが特徴とされる。慶應義塾大学の小野 紀子氏らは、掌蹠の細菌叢を調査し、外用過酸化ベンゾイルの治療効果を評価することを目的とした研究を実施。細菌叢の異常、とくにコリネバクテリウム属の過剰増殖が臭気の主な原因であること、局所塗布による過酸化ベンゾイルが有望な治療介入であることが示唆された。Journal of Investigative Dermatology誌オンライン版2025年12月1日号掲載の報告より。  本研究は、SERPINB7遺伝子変異を有し、典型的な臨床症状を呈する長島型掌蹠角化症患者32人と対照群20人のコホートを対象に実施された。

降圧薬なしで降圧目標を達成する患者、γ-GTPが関連

 高血圧患者で、降圧薬に頼らず生活習慣改善のみで降圧目標を達成できるのはどのような患者なのだろうか。今回、大阪大学の小原 僚一氏らが神奈川県平塚市の特定健診(SHC)データを用いて解析した結果、降圧薬非使用群における降圧目標達成の主要な因子として、前年度の特定健診における高血圧既往歴がないことや血圧グレードが低いことに加え、γ-GTPの減少が重要であることが明らかになった。本研究の結果は、生活習慣指導が有効なレスポンダーを特定する一助となる可能性がある。Journal of Cardiology誌オンライン版2026年1月16日号に掲載。  本研究は、2016年5月~2023年3月に平塚市の特定健診を受診した40~74歳の未治療高血圧患者(140/90mmHg以上)5,428例を対象とした解析である。

日本人高齢者の緊急入院で死亡率が高いのは? インフルvs.コロナvs.RSV

 50歳以上(平均年齢81.4歳)を対象とした前向きコホート研究において、急性呼吸器症状による緊急入院では、RSウイルス(RSV)陽性者がSARS-CoV-2やインフルエンザA/B陽性者と比較して、30日全死亡率が高かった。このことからRSV感染症は、高齢者の看過できない死亡リスク因子であることが示唆された。本研究結果は、森本 剛氏(兵庫医科大学)らによって、Clinical Microbiology and Infection誌オンライン版2026年1月10日号で報告された。

緑内障点眼薬の治療継続率、製品間で大きな差

 自覚症状に乏しく進行が緩やかな緑内障では、点眼治療を長期にわたって継続することが困難であることが大きな課題とされてきた。今回、日本の大規模医療保険レセプトデータを用いた解析により、同じ薬剤クラスであっても、緑内障点眼薬の治療継続率は製品によって大きく異なることが示された。研究は東京大学大学院薬学系研究科育薬学教室の壁矢健司氏、佐藤宏樹氏らによるもので、詳細は11月28日付で「BMC Ophthalmology」に掲載された。  緑内障は日本における不可逆的な失明の主因であり、QOL低下など医療費に反映されない社会的負担も大きい。

HER2+早期乳がん、術前化学療法によるcCRの予測因子を同定

 初期薬物療法後に臨床的完全奏効(cCR)が得られたHER2陽性早期乳がんにおける非切除療法の有用性を検証することを目的としたJCOG1806試験において、探索的解析としてcCR率と予測因子を検討した。その結果、HER2陽性早期乳がんの57.6%で初期薬物療法後にcCRが得られ、予測因子としてER陰性、IHCスコア3+、高い組織学的グレードが同定された。広島大学の重松 英朗氏らが、International Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2026年1月22日号で報告した。  本試験は単群検証的試験で、HER2陽性はIHCスコア3+またはISH増幅あり、cCRは触診、造影MRI、超音波検査で検出可能な病変が認められない状態と定義した。多変量ロジスティック回帰分析を用いてcCRの予測因子を同定した。

出産年齢が高いほど子供のアレルギーリスクが低い~日本の全国調査

 高齢出産は遺伝的およびエピジェネティックな変化と関連しているものの、小児アレルギーリスクとの関連は不明である。今回、国立成育医療研究センターの山本 貴和子氏らが3万4,942組の母子を対象としたコホート研究で調査したところ、出産時の年齢が高い母親の子供は、幼児期の食物アレルギー、喘鳴、ハウスダスト感作のオッズが低く、高齢出産が幼児期のアレルギー疾患を防御する可能性があることが示唆された。JAMA Network Open誌2026年1月2日号に掲載。

日本人既婚男性の性機能が顕著に低下~30年前と比較

 本邦の男性不妊を対象とした研究では、勃起機能不全による不妊の増加が報告されている。そこで、佐藤 嘉一氏(三樹会泌尿器科病院)らの研究グループは、日本人男性を対象として1991年と2023年に実施された調査のデータを用いて、性機能、性交頻度の変化を検討した。その結果、2023年調査では、1991年調査と比較して既婚男性の勃起硬度、早朝勃起の頻度、性交頻度が低下していることが示された。とくに若年・中年層での性機能の低下が顕著であった。本研究結果はInternational Journal of Urology誌2026年1月号で報告された。  研究グループは、日本性機能学会が2023年に実施した全国調査(性機能障害全国実態調査:2023年調査)と、札幌医科大学泌尿器科が1991年に実施した調査(1991年調査)のデータを比較した。

日本におけるベンゾジアゼピン処方制限が向精神薬使用による自殺企図に及ぼす影響

 ベンゾジアゼピン系薬剤の過剰摂取では、自殺企図が問題となる。日本では、2012年からベンゾジアゼピン系薬剤の多剤使用に対する政府の規制が開始された。その結果、ベンゾジアゼピン系薬剤の処方数と多剤使用数が減少した。帝京大学の赤羽 晃寿氏らは、この規制後、日本において向精神薬の過剰摂取による自殺企図が減少したかどうかを検証した。Neuropsychopharmacology Reports誌2025年12月号の報告。  帝京大学医学部附属病院の高度救命救急センター集中治療室に入院した患者4,183例(2013年4月〜2015年3月の2年間、規制導入直後:第1期)および4,140例(2018年4月〜2020年3月の2年間、規制強化後:第2期)の診療記録から、それぞれ2年間の情報をレトロスペクティブに収集した。自殺企図、向精神薬の過剰投与、患者の臨床的特徴について両期間で比較を行った。

逆流性食道炎へのボノプラザン、5年間の安全性は?(VISION研究)

 逆流性食道炎は再発や再燃を繰り返しやすく、カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)やプロトンポンプ阻害薬(PPI)による維持療法が長期に及ぶことがある。P-CABのボノプラザンは、PPIより強力かつ持続的な酸分泌抑制を示すが、長期使用による高ガストリン血症を介した胃粘膜の変化や、腫瘍性変化のリスクが懸念されていた。  CareNet.comでは、P-CABとPPIの安全性に関するシステマティックレビューおよびメタ解析結果を報告した論文(Jang Y, et al. J Gastroenterol Hepatol. 2026;41:28-40.)について、記事「P-CABとPPI、ガストリン値への影響の違いは?」を公開している。

小児片頭痛、起立性調節障害を伴わない場合は亜鉛欠乏か?

 片頭痛は学童期の子供の約10%にみられ、起立性調節障害を併存していることが多い。成人では血清亜鉛レベルの低下と片頭痛の関連が報告されているが、小児におけるエビデンスはこれまで限られていた。兵庫医科大学の徳永 沙知氏らの研究によると、小児片頭痛患者のうち、起立性調節障害を併存していない群では併存群に比べて血清亜鉛レベルが有意に低く、両者の病態生理が異なる可能性が示唆された。Nutrients誌2025年11月28日号に掲載。  本研究では、2017年12月~2022年3月に片頭痛と診断された小児患者57例を対象に、初診時の血清亜鉛、鉄、銅、フェリチン濃度および起立性調節障害併存の有無を後ろ向きに調査した。

肝腫瘍の「深さ」が手術成績を左右する?ロボット手術が有利となる2.5cmの境界線

 肝臓の腫瘍手術では、腫瘍の大きさや位置が成績を左右することが知られている。なかでも「どれだけ深い場所にあるか」は、手術の難易度に直結する重要な要素だ。今回の研究では、肝腫瘍までの深さに着目し腹腔鏡手術とロボット手術を比較した結果、深さ2.5cmを超える肝部分切除ではロボット手術が有利となる可能性が示された。研究は岡山大学大学院医歯薬学総合研究科消化器外科学の藤智和氏、高木弘誠氏、藤原俊義氏らによるもので、詳細は11月27日付で「Langenbeck's Archives of Surgery」に掲載された。

食道がん1次治療、ニボルマブ+CRTの安全性確認、完全奏効率73%(NOBEL)/京都大学ほか

 国内における食道がんの初回標準治療は術前化学療法+手術である。近年、切除不能進行再発例の2次治療におけるニボルマブをはじめ、免疫療法も承認されているが、放射線療法との併用に関する有用性のエビデンスは限られていた。京都大学をはじめとした国内5施設において、ニボルマブと放射線療法の併用の有用性を検討するNOBEL試験が行われ、完全奏効(CR)率や1年全生存(OS)率などで有望な成績が報告された。京都大学の野村 基雄氏らによる本研究結果は、EClinicalMedicine誌2026年1月号に掲載された。

高齢者の健康関連QOL低下の最も強い予測因子は?/名古屋大学

 最大12年間にわたり縦断的に収集された日本の地域在住高齢者データを用いて健康関連QOLの長期的な変化パターンとその予測因子を調査した結果、一部の健康関連QOLは一律に低下するのではなく、維持する群と急速に低下する群に分かれ、その分岐を最も強く予測していたのは睡眠の質の悪化であったことを、名古屋大学の大島 涼賀氏らが明らかにした。Scientific Reports誌2025年12月7日号掲載の報告。  主観的な身体・精神・社会的健康を包括的に評価する健康関連QOLは将来の死亡率や心血管疾患の発症などと関連することが報告されている。