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抗精神病薬で治療された統合失調症患者における非アルコール性脂肪性肝疾患リスク

 統合失調症患者のメタボリックシンドローム有病率は、一般集団よりも高いことはよく知られているが、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の有病率については、あまり知られていない。下総精神医療センターの是木 明宏氏らは、抗精神病薬で治療された統合失調症患者におけるNAFLDリスクについて、調査を行った。Journal of Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2021年6月4日号の報告。  腹部エコー検査を実施した統合失調症および統合失調感情障害患者253例の医療記録を分析した。

日本人進行乳がん患者でのアベマシクリブの安全性(MONARCH2、3)/日本乳癌学会

 ホルモン受容体陽性HER2陰性進行乳がんに対するアベマシクリブの国際共同第III相試験であるMONARCH2試験(内分泌療法既治療例におけるフルベストラントとの併用)とMONARCH3試験(1次治療における非ステロイド性アロマターゼ阻害薬との併用)で、日本人集団で多く発現した有害事象を詳細に検討した結果について、国立病院機構大阪医療センターの増田 慎三氏が第29回日本乳癌学会学術総会で発表した。  2つの試験における日本人の割合は、MONARCH2試験では14.2%(669例中95例)、MONARCH3試験では10.8%(493例中53例)であった。アベマシクリブ群でみられた有害事象において、日本人集団では下痢、好中球減少症、ALT上昇、AST上昇が比較的多く観察されている。増田氏らは、実地診療でアベマシクリブを使用する際の毒性管理に有用な情報を見いだすために、これらの有害事象について詳細に検討した。

日本における婚姻状況と認知機能との関連~富山県認知症高齢者実態調査

 敦賀市立看護大学の中堀 伸枝氏らは、日本における婚姻状況と認知症との関連について検討を行った。Psychogeriatrics誌オンライン版2021年5月25日号の報告。  分析には、富山県認知症高齢者実態調査のデータを用いた。富山県在住の65歳以上の高齢者より1,171人(サンプリング率:0.5%)をランダムに選択し、分析を行った。対象者の婚姻状況、社会経済的状況、ライフスタイル要因、生活習慣病について評価を行った。各ライフスタイル要因と病歴に対する婚姻状況のオッズ比(OR)は、ロジスティック回帰分析を用いて算出した。認知症に対する婚姻状況のORも、ロジスティック回帰分析を用いて算出した。

尿酸値が高い人は適度な飲酒が腎臓に良い?―国内地域住民の横断研究

 尿酸値が高いことは腎臓の働き(腎機能)が低下するリスク因子の一つだが、適量のアルコール摂取が尿酸値の高い人の腎機能低下リスクを抑制する可能性を示すデータが報告された。愛媛大学大学院医学系研究科地域医療学講座の川本龍一氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of Clinical Laboratory Analysis」に5月7日掲載された。  この研究は、愛媛県西予市の地域住民対象横断研究として行われた。健診受診者から、尿酸降下薬の服用者や腎不全患者(腎機能を表すeGFRが10mL/分/1.73m2未満)を除外。解析対象者数は男性が742人(平均年齢69±11歳)、女性は977人(69±10歳)だった。男性は尿酸値7.0mg/dL以上、女性は6.0mg/dL以上をカットオフ値とした場合、男性の20.8%、女性の12.6%が尿酸高値に該当した。

PTSDの悪夢に対するトリヘキシフェニジル治療の有効性

 心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、悪夢やフラッシュバックを特徴とする、外傷性イベント後に発症する可能性のある不安障害である。この悪夢やフラッシュバックの根底にあるメカニズムは解明されておらず、抗うつ薬や抗精神病薬を含むいくつかの薬剤が治療に用いられている。そごうPTSD研究所の十河 勝正氏らは、抗コリン薬ブチルスコポラミン臭化物によるケーススタディに続いて、PTSD関連の悪夢やフラッシュバックに対する中枢性抗コリン薬の効果について、検討を行った。Brain and Behavior誌2021年6月号の報告。

日本のトラック運転手の不眠症に関連する因子

 トラック運転手の不眠症は、交通事故リスクの増加につながる重大な問題である。秋田大学の宮地 貴士氏らは、日本のトラック運転手における不眠症の有病率を調査し、不眠症に関連する因子を特定するため、検討を行った。Nature and Science of Sleep誌2021年5月18日号の報告。  対象は、65歳未満の男性トラック運転手2,927人。自己記入式質問票を用いて、不眠症状、状態-特性不安尺度(State-Trait Anxiety Inventory:STAI)、飲酒・喫煙習慣、BMI、カフェイン摂取量、毎日の運転時間、連続して自宅から離れた日数、走行距離に関する情報を収集した。不眠症状には、入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒を含め、これらいずれかの症状が毎日観察された場合を不眠症と定義した。

東洋人のうつ病関連因子~日本での調査

 地域コミュニティにおけるうつ病に対する効果的な対策を検討するうえで、国や文化圏において、うつ病に関連する個人的および社会経済的要因を包括的に特定する必要がある。しかし、日本および東洋諸国の中年住民を対象とした研究は、十分ではない。慶應義塾大学の吹田 晋氏らは、東洋の日本における中年住民のうつ病に関連する要因を特定するため、横断研究を行った。Medicine誌2021年5月14日号の報告。  西日本の地方自治体で生活する40~59歳のすべての地域住民を対象に、アンケート調査を実施した。アンケートには、人口統計学的特徴、心理的要因、健康関連行動、社会経済的要因に関する項目を含めた。まず、うつ病と各因子との関連を分析するため、カイ二乗検定またはフィッシャーの正確確率検定を行った。次に、うつ病と関連因子の包括的な関連を特定するため、ロジスティック回帰分析を実施した。

人生の目的と健康的生活習慣に有意な関連―健康管理士対象の調査

 人生の目的がしっかりしている人ほど、日々の生活を健康的に過ごしていることが明らかになった。埼玉医科大学総合診療内科の廣岡伸隆氏らの研究によるもので、詳細は「BMC Public Health」に4月29日掲載された。著者らはこの結果から、「生活習慣が健康的であるということは、人生に明確な目的があるということでもある」と記している。  人生の目的が明確な人ほど健康リスクとなる行動を避けることが既に報告されている。しかしそれらの研究の多くは、禁煙や身体活動など、個別の習慣との関連についての調査であり、生活習慣全般を評価した研究は少ない。廣岡氏らの研究は、国民健康・栄養調査と同様の広範な質問項目によって生活習慣を総合的に評価した上で、人生の目的意識との関連を検討したもの。

緊急事態宣言で低下した身体活動量は宣言解除後も回復していない

 人々の身体活動が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックに伴う緊急事態宣言によって減少し、宣言解除後も以前のレベルにまで回復していない実態が報告された。鹿児島大学医学部保健学科の牧迫飛雄馬氏らが、昨春の国内パンデミック第一波前後の変化を調べた研究結果であり、「International Journal of Environmental Research and Public Health」に4月30日、論文が掲載された。  COVID-19のパンデミックとそれに伴う緊急事態宣言によって、人々の身体活動が減少したとするデータが多く報告されている。しかし、緊急事態宣言解除後に人々の身体活動がどの程度回復したのかについては、あまり調査が行われていない。

交通事故の3割にドライバーの意識レベル低下が関与か―日本医大

 救急治療を要する負傷者が発生した交通事故の約3割に、運転中のドライバーの意識レベル低下が関与していた可能性が報告された。日本医科大学千葉北総病院ショック・外傷センターの小田有哉氏(現在の所属は神栖済生会病院)らの研究によるもので、詳細は「Acute Medicine and Surgery」に5月1日掲載された。意識レベル低下と関連する因子としては、過去の単独事故の履歴や高血圧などが有意である一方、年齢や性別は有意でないという。  自動車運転中の意識レベル低下は、重大な交通事故につながりかねない。商用車に関してはドライバーの健康上の問題による事故が年間300件程度発生しているとの報告があるが、自家用車の事故とドライバーの健康問題の関連はあまり研究されておらず、運転中の意識レベル低下の事故への影響はほとんど分かっていない。そこで小田氏らは、交通事故による外傷のため同センターへ救急搬送されたドライバーを対象に以下の検討を行った。

日本人CVD高齢者のMCI検出に対するRDST-Jの有用性

 心血管疾患(CVD)を有する高齢者では、認知機能低下が認められることが多く、このことでセルフマネジメント能力を低下させる可能性がある。しかし、軽度認知障害(MCI)を鑑別するための方法は、臨床現場で常に実行可能であるとは限らない。名古屋大学の足立 拓史氏らは、認知症の認知機能低下を簡易的に判定する検査ツールRapid Dementia Screening Test日本語版(RDST-J)を用いることで、MCI検出が可能かを評価した。Journal of Geriatric Cardiology誌2021年4月28日号の報告。

降圧薬の中でCa拮抗薬のみ男性の夜間頻尿と有意に関連

 降圧薬として多くの患者に使われているカルシウム(Ca)拮抗薬が、男性の夜間頻尿に関連しているとするデータが報告された。自治医科大学附属さいたま医療センター泌尿器科の鷲野聡氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of Clinical Medicine」に4月9日掲載された。  睡眠中に尿意で目覚めてしまう夜間頻尿は、生活の質(QOL)を低下させ、時に抑うつを来すこともある。夜間頻尿の発症には複数の原因が関与しており、高血圧や降圧薬の服用も一因である可能性が、先行研究から示唆されている。ただし、その関連の詳細は不明。鷲野氏らは、高血圧または降圧薬の服用と夜間頻尿との関連を明らかにするために、同センターの患者データを用いて横断的研究を実施した。

1日350gの野菜摂取で日本人の疾病負担は大きく減る

 厚生労働省などが推進している国民健康づくり運動「健康日本21」では、成人の1日の野菜摂取量を350g以上とする目標が掲げられているが、この目標が達成できた場合、日本人の疾病負担を大きく減らせるという予測分析の結果が報告された。東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室の田中詩織氏らの研究によるもので、詳細は「BMC Public Health」に4月21日掲載された。  野菜の摂取量が少ないことは、さまざまな疾患のリスク因子の一つとして知られている。しかし日本人の野菜摂取量は年々減少していることが報告されている。このような状況を背景として田中氏らは、予測される日本人の野菜摂取量の変化と、その変化が心血管疾患、がん、糖尿病性腎臓病に伴う障害調整生命年(disability-adjusted life years;DALYs)にどのように影響するかを試算した。DALYsは、疾病による障害や早期死亡のために失われた健康的な生活の損失の程度を表す指標で、数値が小さいほど疾病負担が少ないことを意味する。

健康的な食事・運動習慣は人を幸せにする―川崎医大

 健康的な食事・運動習慣を実践している人は幸福感が高いという調査結果が報告された。川崎医科大学健康管理学教室の高尾俊弘氏らが、特定健診受診者を対象に幸福感の調査を実施して明らかになったもので、研究の詳細は「Bio Psycho Social Medicine」に4月1日掲載された。  食事・運動習慣が、身体的健康の予後と強く相関していることはよく知られている。しかし幸福感との関連についての研究は世界的にも少ない。特に日本国内の非高齢一般住民における、それらの生活習慣と幸福感の関係はほとんど分かっていない。高尾氏らの研究は、この点を明らかにする目的で行われた。

日本における統合失調症患者の早期再入院の減少につながる院内看護

 統合失調症は、精神症状の再発を特徴とする疾患である。統合失調症入院患者の15~30%は、退院後90日以内に自傷行為、他傷行為、セルフネグレクトにつながる症状の悪化により再入院している。椙山女学園大学の牧 茂義氏らは、統合失調症患者の早期再入院減少につながる院内看護の構造およびその予測因子を調査するため、横断的研究を行った。PLOS ONE誌2021年4月30日号の報告。  調査対象は、日本の精神科病棟に勤務する正看護師724人。統合失調症患者の早期再入院の減少につながる院内看護について評価するため、質問票を新たに作成した。質問票を用いて、項目分析、探索的因子分析を行い、早期再入院減少につながる院内看護の構造を調査した。

急性期統合失調症におけるルラシドンの有効性と安全性

 千葉大学の伊豫 雅臣氏らは、日本および世界各国における急性期統合失調症に対するルラシドンの有効性を評価するため、検討を行った。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2021年4月23日号の報告。  18~74歳の統合失調症患者483例を対象に、ルラシドン40mg/日(ルラシドン群)またはプラセボ群にランダムに割り付けた。有効性の主要エンドポイントは、6週間後の陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)合計スコアのベースラインからの変化とし、副次的エンドポイントは、臨床全般印象度の重症度(CGI-S)スコアの変化とした。安全性のエンドポイントには、有害事象、検査値、心電図のパラメータを含めた。

パンデミックで収入が減ると歯の痛みが増える―国内Web調査

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックに伴い、仕事や収入が減った人や失業した人は、歯の痛みを訴えることが多いというデータが報告された。この関連の背景には、精神的ストレスや歯科受診の延期、間食の増加などが関与しているという。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科国際健康推進医学分野の松山祐輔氏らの研究の結果であり、詳細は「Journal of Dental Research」に4月1日掲載された。  経済状況や精神的ストレスが、歯痛などの口腔疾患の発症と関連していることが以前から指摘されている。現在のCOVID-19パンデミックは、経済状況の悪化やストレスの増大に加えて、歯科受診延期などの行動の変化を生じさせ、人々の口腔衛生に影響を及ぼしている可能性がある。松山氏らの研究は、その実態を明らかにするためのもの。

体重減少が脳卒中のリスクと関連、女性では体重増加もリスク―JPHC研究

 日本人男性では体重減少と脳卒中発症リスクの上昇に、有意な関連があるというデータが報告された。一方、女性では体重減少と体重増加の双方でリスクが上昇する、U字型の関連があるという。国立がん研究センターなどによる多目的コホート研究(JPHC研究)によるもので、詳細は「Atherosclerosis」4月1日号に掲載された。  ある一時点のBMIと脳卒中や虚血性心疾患の関連については、数多くの研究結果が報告されている。しかし、研究対象者を一定期間追跡して、その間の体重の変化がリスクとどのように関連するかを調べた研究は少ない。こうした中、JPHC研究からは、過去5年間で体重が10%以上増加した女性は脳卒中の発症リスクが有意に高くなるというデータが既に報告されている。今回の研究ではさらに、脳卒中の病型別により詳しく分析し、かつ虚血性心疾患についての解析も行った。

アルツハイマー型認知症による国内コストは年間12.6兆円に及ぶ可能性

 国内のアルツハイマー型認知症の医療や介護に要するコストは、家族による無償の介護を金額に換算した額を含めると、最大で年間12兆6000億円を超えるとの推計値が報告された。国際医療福祉大学医学部公衆衛生学の池田俊也氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of Alzheimer's Disease」に3月23日掲載された。  アルツハイマー型認知症は、認知症の50~75%を占めるとされ、最も頻度の高いタイプの認知症。2015年には国際アルツハイマー病協会が、世界の認知症の有病者数は4680万人であり、医療や介護関連のコストは年間約90兆円という推計値を報告。国内でのコストに関しては2014年時点で14兆5000億円との報告がある。しかし、認知症の中でも有病者数の増加が特に顕著なアルツハイマー型認知症の医療・介護コストに焦点を当てた研究は少ない。池田氏らはこの点を明らかにするため、政府が公表しているデータに加え、文献検索により入手したデータを用いて詳細な分析を行った。