軽度認知障害(MCI)や認知症、またはフレイルを有する高齢者の認知機能、移動能力、情緒面の健康をサポートするための介入として、没入型バーチャルリアリティ(VR)の利用が増加している。そのエビデンスは拡大しているが、いずれも小規模なランダム化試験や実現可能性試験であり、依然として情報は断片化している。下関市立大学の窪田 和巳氏らは、MCI/認知症およびフレイルの高齢者に対するVR介入のベネフィット、リスク、VR導入における考慮事項を明らかにするため、最近のシステマティックレビューを実施し、研究結果の統合を試みた。BMC Geriatrics誌2026年1月13日号の報告。
PRISMA2020に基づき、2019年1月1日~2025年10月15日に公表された研究をPubMed、CINAHLより検索した。対象にはMCI、認知症、フレイル/認知的フレイルを有する65歳以上の高齢者を登録した研究を含めた。ヘッドマウントディスプレイまたは大画面投影(インタラクティブタスクまたは360度コンテンツ)を介した没入型または半没入型VRを用いて、認知機能、移動能力、感情/行動に関するアウトカムを評価したランダム化比較試験、準実験試験、事前事後比較試験を抽出した。2人の独立したレビューアーにより、データ抽出およびスクリーニングを行った。バイアスリスクの評価には、RoB 2(ランダム化試験)またはJBIツール(非ランダム化試験)を用いた。異質性によりメタ解析は実施できなかったため、構造化ナラティブ・シンセシスを実施した。
主な結果は以下のとおり。
・70件(PubMed:28件、CINAHL:42件)の研究が特定された。
・重複した9件の研究を除外した後、61件の研究をスクリーニングし、24件の全文を評価し、13件の研究(ランダム化比較試験:10件、実現可能性試験/混合研究:3件)を分析に組み入れた。
・MCIまたは認知的フレイルを有する高齢者において、最も一貫した改善が認められたのは実行機能と処理速度であり、いくつかの試験では全般認知機能においても若干の改善が報告された。
・複数の試験において、Timed Up & GoとBerg Balanceスコアのアウトカムが、対照群と比較して良好であり、予測的な姿勢調整能の向上も認められた。
・施設介護において、没入型回想法とグループVR介入は、不安およびアパシーの軽減が認められ、忍容性も良好であった。
・有害事象はまれで軽度であり、監督下での実施では順守率が高かった。
・ほとんどのランダム化試験でバイアスに関する懸念が認められたが、1件は全体的に低いリスクであった。
著者らは「MCIまたは認知的フレイルのある高齢者において、没入型および半没入型VR介入は監督下での実施が可能であり、認知機能および移動能力のアウトカムの改善に寄与する可能性が示された。施設における感情面および行動面のアウトカムに関するエビデンスは有望であったが、いまだ予備段階でもあった。適切な介入(2~3回/週、8~12週間、合計15時間以上)、適応型課題、スーパービジョンを備えたVR介入プログラムは、良好なアウトカムと最も高い関連が認められた。これらの結果をさらに明らかにするためにも、標準化されたアウトカム、実施および経済評価を組み込んだ、より大規模な多施設ランダム化試験が求められる」としている。
(鷹野 敦夫)