非保護左主幹部狭窄に対するPCI vs.CABG、長期死亡率に差なし/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2026/04/28

 

 非保護左冠動脈主幹部病変を有し、これ以外の複雑病変のない慢性または急性冠症候群の患者の治療において、10年時点での全死因死亡の発生に関して、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)と冠動脈バイパス術(CABG)には有意な差がなく、急性冠症候群のサブグループではPCIが10年全死因死亡率の低下と関連することが、デンマーク・オーフス大学病院のEmil Nielsen Holck氏らが実施した「NOBLE試験」の長期の追跡調査で示された。研究の成果は、Lancet誌2026年4月4日号に掲載された。

欧州9ヵ国の無作為化非劣性試験

 NOBLE試験は、欧州の9ヵ国36施設で実施した非盲検無作為化非劣性試験であり、2008年12月~2015年1月に参加者を登録した(Biosensorsとオーフス大学病院の助成を受けた)。

 対象は、臨床基準(慢性または急性冠症候群、期待余命1年超)および血管造影基準(左冠動脈主幹部の50%以上の狭窄、または左冠動脈主幹部の入口部、中間部、分岐部の冠血流予備量比[FFR]≦0.80)を満たす患者とした。

 血管造影で主要な左主幹部病変が確定された患者を、CABGまたはPCIを受ける群に1対1の割合で無作為に割り付けた。

 主要アウトカムは、ITT集団における10年全死因死亡率(Kaplan-Meier推定値)の両群間の差であった。

10年全死因死亡率は、PCI群23%vs.CABG群25%

 ITT集団として1,184例を登録し、両群に592例ずつを割り付けた。平均年齢はPCI群66.2(SD 9.9)歳、CABG群66.2(9.4)歳、女性はそれぞれ116例(20%)および140例(24%)であった。European System for Cardiac Operative Risk Evaluation(EuroSCORE)のスコア中央値は両群とも2点(四分位範囲[IQR]:2~4)、平均SYNTAXスコアはPCI群22.4(SD 7.8)点、CABG群22.3(7.4)点だった。両群とも、患者の81%に遠位部病変を認めた。

 また、CABG群における施術までの期間中央値は、急性冠症候群で6日(IQR:2~10)、慢性冠症候群で17日(7~40)であったのに対し、PCI群ではそれぞれ1日(0~3)および6日(1~15)であった。

 10年全死因死亡率は、PCI群が23%(136/592例)、CABG群は25%(145/592例)であり(ハザード比[HR]:0.93、95%信頼区間[CI]:0.74~1.18)、両群間に有意な差を認めなかった(p=0.56)。

 ランドマーク解析では、0~5年の期間における全死因死亡率は両群とも9%(HR:1.06、95%CI:0.73~1.55、p=0.76)であり、5~10年の期間においてはPCI群が15%、CABG群は17%(0.86、0.64~1.16、p=0.32)と、いずれの期間でも両群間に有意差はなかった。

3つのSYNTAXスコア群でも差はない

 サブグループ解析では、急性冠症候群(PCI群19%vs.CABG群31%、HR:0.57、95%CI:0.32~0.99)でPCI群の10年全死因死亡率が優れたのに対し、慢性冠症候群(24%vs.23%、1.04、0.80~1.34)では両群間に差はなく、2つの症候群間で交互作用を認めた(交互作用のp=0.049)。

 一方、SYNTAXスコア別の10年全死因死亡率は、低スコア(≦22点)群(HR:1.13、95%CI:0.79~1.60)、中スコア(23~32点)群(0.75、0.53~1.06)、高スコア(≧33点)群(0.94、0.47~1.90)のいずれにおいても両群間に有意差はなく、3つのスコア群間で交互作用を認めなかった(交互作用のp=0.27)。

 著者は、「PCIとCABGの両方が適応となる患者では、PCIはCABGと同等の安全性を有すると示唆される」とし、「これらの結果は、ハートチームが患者中心の個別の治療戦略を立てるうえで役立ち、きめ細かな共有意思決定や今後のガイドラインの推奨事項の策定に有益と考えられる」と指摘している。

(医学ライター 菅野 守)