大腸がん、ctDNAによる術後化学療法と投与期間の選択(CIRCULATE・GALAXY後方解析)/ASCO2026

提供元:ケアネット

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公開日:2026/06/12

 

 StageII/III大腸がんにおける術後補助化学療法は複数のレジメンがあり、最適な投与期間も明らかになっていない。米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)では、術後のctDNAを予後マーカーとして、術後補助療法のベネフィットを受ける患者層の特定や最適な投与期間を検討した2つの試験結果が発表された。

1)CIRCULATE試験

・試験デザイン:多施設共同・前向き観察コホート研究
・対象:pMMRのStageII結腸がん、術後にctDNA検査を施行。
ctDNA陽性→2:1で
 ・補助化学療法(adjuvant chemotherapy:ACT)群
 ・経過観察(観察群)へ割り付け
ctDNA陰性→1:4で
 ・試験内観察
 ・試験外観察 へ割り付け
・主要評価項目:ctDNA陽性群における3年無病生存期間(DFS)

・1,400例がランダム化されたがctDNA陽性率は2.9%にとどまり、41例のctDNA陽性例がACT群26例、観察群15例に割り付けられた。ACT群では81%がカペシタビンを投与され、うち33%がオキサリプラチン併用だった。
・主要評価項目であるctDNA陽性群の3年DFSは、ACT群61%、観察群38%(HR:0.55、p=0.12)となり、統計学的有意差は認められなかった。
・一方、事前に規定されたper-protocol解析で、ACT群に割り付けられたものの治療未施行だった5例を除外した解析結果では、3年DFSはACT群77%、観察群38%(HR:0.31、p=0.021)となり、3年再発率もACT群19%、観察群62%(HR:0.23、p=0.009)と、ACT群で良好であった。
・3年再発率はctDNA陰性群12%、ctDNA陽性ACT群35%、ctDNA陽性未治療群62%だった。

 発表したドイツ・ドレスデン工科大学のGunnar Folprecht氏は「ctDNA陽性率が約3%と低く、予定症例数へ到達できず、信頼区間が広くなったことが主要評価項目を達成できなかった一因だ。術後ctDNAは極めて強力な予後マーカーであることは本試験でも裏付けられ、pMMR StageII結腸がんにおいてctDNAに基づく治療エスカレーション戦略を支持する結果である」とした。

2)CIRCULATE-Japan GALAXY試験の後方解析

・試験デザイン:国内多施設共同研究
・対象:術前化学療法なし、切除後StageI~IV大腸がん患者1,028例。ctDNA検査はACT前と長期ACT群(ACT施行期間>90日)は治療中、短期ACT群(ACT施行期間≦90日)は治療後に行い、ctDNAの結果によって4群に分類し、DFSとの関連をみた。
1)陰性群(Sustained negativity):開始前陰性→3ヵ月後陰性
2)クリアランス群(Clearance):陽性→陰性
3)部分奏効群(Partial molecular response):陽性→陽性だが減少
4)上昇群(Rising):陽性→陽性かつ増加

・治療前ctDNA陽性患者に着目すると、クリアランス群は長期ACT、上昇群は短期ACTが多いことが観察された。
・ctDNA動態とDFSは4群で明確に分離した。予後は1)~4)の順番で良好だった。
・1)陰性群では、長期ACTによる利益は認められなかった。ACT期間にかかわらず予後はきわめて良好で、むしろ短期ACT群の方がわずかに良好だった。
・2)クリアランス群でも、長期ACTによる追加利益は認められなかった。ACT期間にかかわらず良好な予後が得られた。
・3)部分奏効群では、長期ACT群によって予後改善傾向が認められた。
・4)上昇群では、ACT期間に関係なく予後は不良であり、長期ACTを行っても有意な生存利益は認められなかった。
・部分奏効群のうち長期ACTを受けた患者を対象に、治療中の残存ctDNA量で層別化すると、残存ctDNA量が低い患者のほうが良好なDFSを示した。

 発表した九州大学の沖 英次氏は「部分奏効群ではACT期間延長による利益があり、このことは奏効例では3ヵ月超のACT継続が有益である可能性を示している。一方で、上昇群はACT期間に関係なく予後不良であり、このことは分子学的進行が認められた時点で、同一の化学療法を継続する意義は限定的であることを示唆している。ACT開始後約3ヵ月時点のctDNA動態はACTへの分子学的反応を反映し、再発リスクを有意に層別化できた。本結果は、大腸がんにおけるACT期間の最適化および個別化周術期治療戦略の構築に寄与する可能性がある」とした。

(ケアネット 杉崎 真名)