冠動脈中等度狭窄への血行再建、vFFRガイドは有用か/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2026/04/21

 

 欧米の現行の血行再建ガイドラインでは、中等度の狭窄を呈する冠動脈病変に対する血行再建の必要性を判断するための指針として生理学的評価を推奨しているが、プレッシャーワイヤーや血流増加薬を必要とせずに3次元定量的冠動脈造影から得られる冠血流予備量比(vFFR)に基づく血行再建と、従来のプレッシャーワイヤーを用いた血流予備量比(FFR)に基づく血行再建を比較したデータは十分でないという。オランダ・エラスムス大学医療センターのJoost Daemen氏らは、FAST III試験において、1年後の死亡、心筋梗塞、再血行再建術の複合エンドポイントに関して、vFFRに基づく血行再建はFFRに基づく血行再建に対して非劣性であることを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2026年3月29日号に掲載された。

欧州7ヵ国の研究者主導型無作為化非劣性試験

 FAST III試験は、欧州7ヵ国の37施設で実施した研究者主導型の非盲検無作為化対照比較非劣性試験であり、2021年11月~2024年5月に参加者を登録した(Pie Medical ImagingとSiemens Healthineersの助成を受けた)。

 対象は、年齢18歳以上の慢性冠症候群、不安定狭心症、または非ST上昇型急性冠症候群で、中等度狭窄(定量的冠動脈造影で血管径の30~80%の狭窄)を呈する少なくとも1つの冠動脈病変を有する患者であった。

 被験者を、冠動脈の中等度狭窄病変に対しvFFRガイド下血行再建術またはFFRガイド下血行再建術を施行する群に1対1の比率で無作為に割り付けた。

 主要エンドポイントは、1年の時点における全死因死亡、心筋梗塞、再血行再建術の複合とした。非劣性マージンは3.0%ポイントに設定し、発生率の群間差の両側95%信頼区間(CI)の上限値がこれを下回った場合に非劣性と判定した。

生理学的評価の成功率は高い

 2,211例(最大の解析対象集団、平均年齢67歳、女性24.3%)を登録し、vFFR群に1,116例、FFR群に1,095例を割り付けた。全体の18.7%が急性冠症候群、26.6%が糖尿病であった。1例当たりの平均(±SD)病変数は、vFFR群が1.27(±0.55)、FFR群は1.28(±0.55)だった。

 完全な生理学的評価の成功率はvFFR群で96.7%、FFR群で99.1%であり、vFFR中央値は0.83、FFR中央値は0.85であった。血行再建の適応閾値(vFFR、FFRとも≦0.80)を満たした病変の割合はそれぞれ40.9%および31.3%で、実際に血行再建術が施行された患者の割合は45.0%および36.0%だった。

 このうち経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた患者における施術の平均所要時間は、vFFR群で55.8(±26.8)分、FFR群で60.9(±28.5)分であった(群間差:-5.13分、95%CI:-8.55~-1.71)。

対象血管不全、重篤な有害事象の頻度も同程度

 1年の時点で、主要エンドポイントのイベントの発生を認めた患者は、vFFR群が80例(Kaplan-Meier推定値7.5%)、FFR群は79例(7.5%)であり(リスク群間差:-0.02%ポイント、95%CI:-2.25~2.21)、vFFRのFFRに対する非劣性が示された(非劣性のp<0.004)。

 また、対象血管不全(心臓死、対象血管心筋梗塞、臨床的に適応のある対象血管の再血行再建術)のイベントは、vFFR群で43例(Kaplan-Meier推定値4.0%)、FFR群で49例(4.6%)にみられた(リスク群間差:-0.62%ポイント、95%CI:-2.35~1.10)。

 重篤な有害事象の発生は両群で同程度であった。生理学的評価時の経皮的血行再建術関連の手技中の合併症は、vFFR群で3.7%、FFR群で6.0%に発現した。

血行再建術の高施行率の意味を探る検討が必要

 著者は、「数多くの臨床的妥当性の検証試験の結果が、その高い診断精度を裏付けていることから、本試験の知見は、血行再建の生理学的ガイダンスが適応となる場合には、プレッシャーワイヤーや充血の誘発を必要としない血管造影に基づく手法の使用を支持するものである」としている。

 また、「vFFR群ではFFR群よりも血行再建術を受けた患者の割合が高かったこと(45.0%vs.36.0%)が、vFFRのほうが生理学的に意義のある病変をより的確に検出できたことを示すのかなどの疑問点を解決するために、新たな研究が必要である」と指摘している。

(医学ライター 菅野 守)