韓国・ソウル大学病院のJeehoon Kang氏らは、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)終了後の抗血小板薬単剤による長期維持療法を評価した「HOST-EXAM試験」の10年追跡調査の解析結果を報告し、クロピドグレルはアスピリンと比較して主要複合エンドポイント、血栓性エンドポイントおよび出血のリスクが低いことを示した。ただし、全死因死亡の有意差は認められなかった。著者は、「今回の結果は、PCI後の慢性維持期における長期抗血小板薬単剤療法において、アスピリンの代替としてクロピドグレルを検討することを支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2026年3月29日号掲載の報告。
PCI後のDAPT終了患者を、クロピドグレル単剤とアスピリン単剤に無作為化
HOST-EXAM試験は、韓国の37施設が参加した医師主導の無作為化非盲検試験で、対象は薬剤溶出性ステント(DES)を用いたPCI施行後6~18ヵ月間、臨床的イベントを発症することなくDAPTを終了した20歳以上の患者であった。
研究グループは、適格患者をクロピドグレル(75mgを1日1回投与)群またはアスピリン(100mgを1日1回投与)群に1対1の割合で無作為に割り付け、24ヵ月間投与し、最長10年間にわたり年1回、臨床経過観察を行った。
主要エンドポイントは、全死因死亡、非致死的心筋梗塞、脳卒中、急性冠症候群による再入院およびBARC出血基準タイプ3以上の出血の複合とした。副次エンドポイントは心血管死、非致死的心筋梗塞、虚血性脳卒中、急性冠症候群による再入院、ステント血栓症(確定または疑い)の血栓関連複合エンドポイント、およびあらゆる出血(BARCタイプ2以上)とし、ITT解析が行われた。
10年後も、クロピドグレル単剤が良好
2014年3月26日~2018年5月29日に5,530例が登録され、このうち5,438例がアスピリン群(2,728例)またはクロピドグレル群(2,710例)に無作為化された。
データカットオフ日の2025年5月1日時点で、追跡期間中央値はPCI後10.5年(四分位範囲[IQR]:9.4~11.4)、生存者では10.7年(IQR:9.8~11.5)であり、全体の追跡完了率は92.8%(5,048例)であった。
主要エンドポイントは、クロピドグレル群で646例(Kaplan-Meier推定発生率25.4%)、アスピリン群で739例(28.5%)に発生し、ハザード比(HR)は0.86(95%信頼区間[CI]:0.77~0.96、log-rank検定のp=0.0050)であり、クロピドグレル群が有意に良好であった。
クロピドグレル群はアスピリン群と比較し、血栓関連複合エンドポイント(17.3%vs.20.0%、log-rank検定のp=0.0024)、およびあらゆる出血(9.1%vs.10.8%、log-rank検定のp=0.020)の発生率も低かったが、全死因死亡リスクは両群で差はなかった(13.4%vs.12.5%、HR:1.07[95%CI:0.92~1.24]、log-rank検定のp=0.399)。
なお、著者は、本試験の限界として、割り付け治療を2年間投与した後は抗血小板療法を義務付けなかったこと、東アジア人のみを対象としているため結果を他の集団に一般化できるかは限定的であること、非盲検試験であるため特定の臨床エンドポイントの判定においてバイアスを生じさせる可能性があること、などを挙げている。
(医学ライター 吉尾 幸恵)