市中肺炎で検出された肺炎球菌、ワクチンカバー率は?/感染症学会・化学療法学会

提供元:ケアネット

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公開日:2026/05/29

 

 肺炎球菌は市中肺炎(CAP)の主要な原因菌である。侵襲性肺炎球菌感染症のサーベイランスは、日本を含む多くの国で確立されているものの、肺炎球菌性CAPの血清型分布については、国内データが十分に蓄積されているとはいえない。そこで、日本の成人入院CAP患者を対象に、肺炎球菌性CAPの臨床的特徴、臨床転帰、肺炎球菌血清型の分布を明らかにすることを目的として、多施設共同前向き研究「PNEUMO Japan」が実施されている。本研究の中間解析の結果、肺炎球菌陽性と判定された患者は17.6%であり、CAP患者から検出された計76血清型のうち、89.5%は21価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV21)に含まれる血清型であることが示された。2026年5月22~24日に開催された第100回日本感染症学会総会・学術講演会/第74回日本化学療法学会総会 合同学会において、柳原 克紀氏(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科病態解析・診断学分野)が結果を報告した。なお本結果は、2026年5月17~21日に開催された第14回国際肺炎・肺炎球菌感染症学会(International Society of Pneumonia and Pneumococcal Diseases:ISPPD-14)のアンコール演題として発表された。

 本研究は、日本国内23施設で実施されている多施設共同前向き研究であり、登録は2025年2月に開始され、2026年まで継続予定である。対象は、18歳以上の入院を要するCAP患者とした。肺炎球菌の検出には、無菌・非無菌検体の培養検査、迅速尿中抗原検査(BinaxNOW)、および32血清型を検出可能な血清型特異的尿中抗原検出法(Serotype Specific Urinary Antigen Detection:SSUAD)を用いた。患者背景および臨床転帰の解析対象は、2025年8月22日までに登録されたCAP患者318例、血清型分布の解析対象は、2025年11月18日までに登録されたCAP患者536例の尿検体のうち、SSUADで陽性の66例、計76血清型であった。

 主な結果は以下のとおり。

・CAP患者318例の平均年齢は71.6歳、女性の割合は43.1%であった。培養検査または迅速尿中抗原検査で肺炎球菌陽性と判定された患者の割合は17.6%(56例)、非肺炎球菌性CAPは82.4%(262例)であった。
・肺炎球菌性CAP群は、非肺炎球菌性CAP群より若年であった。平均年齢は肺炎球菌性CAP群68.6歳、非肺炎球菌性CAP群で72.2歳であり(p=0.042)、75歳以上の割合は、それぞれ39.3%、53.8%であった。
・CAP患者の20.1%に肺炎球菌ワクチン接種歴があり、5年以内の接種は5.7%であった。接種歴不明の割合が35.5%と高かった。各群の肺炎球菌ワクチン接種歴ありの割合は、肺炎球菌性CAP群32.1%(18例)、非肺炎球菌性CAP群17.6%(46例)であり、5年以内の接種歴ありの割合は、それぞれ7.1%(4例)、5.3%(14例)であった。
・全CAP患者318例における院内死亡は2.5%(8例)に認められた(いずれも非肺炎球菌性CAP群の患者)。
・入院期間中央値は、肺炎球菌性CAP群が9日であったのに対し、非肺炎球菌性CAP群では12日と長かった(p=0.007)。
・SSUADで陽性の66例から検出された76血清型のうち、頻度が高かった血清型は、3型(15.8%)、35B型(11.8%)、19A型(10.5%)、11A型(7.9%)、22F型(6.6%)、23B型(6.6%)であった。
・肺炎球菌ワクチンの血清型カバー率は、PCV21が89.5%、PCV20が60.5%であった。PCV21に含まれるがPCV20には含まれない血清型は39.5%を占めた。

 本結果の結語として「肺炎球菌性CAPは全CAPの17.6%を占めており、とくに高齢者や慢性疾患を持つ人々の間で、大きな疾病負荷となっていることが示された。PCV21は、本研究で特定された肺炎球菌血清型の89.5%をカバーしており、疾患予防に寄与する可能性が示唆された。これらの知見は、日本の成人の予防接種プログラムにおいて、現行および次世代の肺炎球菌ワクチンの継続的な使用と評価を支持するものである」とまとめた。

(ケアネット 佐藤 亮)