複雑病変への高リスクPCI、IVUSガイドvs.血管造影ガイド/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2026/04/17

 

 複雑病変に対する高リスク経皮的冠動脈インターベンション(PCI)において、血管内超音波(IVUS)ガイド下PCI(事前に規定されたステント最適化基準に基づく)は血管造影ガイド下PCIと比較し、標的血管不全リスクを低下させなかった。オランダ・Erasmus University Medical CenterのRoberto Diletti氏らIVUS-CHIP Investigatorsが、欧州7ヵ国の37施設で実施した無作為化非盲検比較試験「Intravascular Ultrasound Guidance for Complex High-Risk Indicated Procedures trial:IVUS-CHIP試験」の結果を報告した。IVUSガイド下PCIは、複雑な冠動脈病変を有する患者においてステント最適化の向上および有害事象の減少と関連しているが、欧米諸国における導入率は依然として低い。診療ガイドラインでは、解剖学的な複雑病変に対して冠動脈内イメージングを推奨しているが、現在の欧州における実臨床でのエビデンスは限られていた。NEJM誌オンライン版2026年3月30日号掲載の報告。

IVUSガイド下PCI群と血管造影ガイド下PCI群で標的血管不全を評価

 IVUS-CHIP試験の対象は、非ST上昇型急性冠症候群または安定虚血性心疾患(安定狭心症または無症候性虚血)を呈し、かつ1ヵ所以上の複雑な冠動脈病変に対するPCIが予定されている18歳以上の患者であった。複雑病変は、血管造影上の重度石灰化、入口部病変、側枝径が2.5mm以上の分岐部病変、左主幹部病変、慢性完全閉塞、ステント内再狭窄、またはlong lesion(推定ステント長28mm超)と定義された。

 研究グループは、適格患者をIVUSガイド下PCI群または血管造影ガイド下PCI群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。すべての標的病変に対しプラチナクロム合金製エベロリムス溶出ステントによる治療を行うことが規定され、IVUSガイド下PCI群では事前に規定されたステント最適化基準に基づいて実施された。PCI後は、アスピリンとP2Y12阻害薬による抗血小板薬2剤併用療法を、安定虚血性心疾患患者では6ヵ月以上、急性冠症候群患者では12ヵ月以上実施することが推奨された。

 主要エンドポイントは、標的血管不全(心臓死、標的血管心筋梗塞、または臨床的に必要と判断された標的血管再血行再建術の複合と定義)とした。

標的血管不全の発生に有意差なし

 2021年11月~2023年8月に2,020例が無作為化され、重複して無作為化された1例を除くIVUSガイド下PCI群1,010例および血管造影ガイド下PCI群1,009例が主要解析に組み込まれた。患者背景は、平均年齢69歳、79.4%が男性、27.4%が急性冠症候群であった。

 総手技時間の平均値は、IVUSガイド下PCI群88.8分、血管造影ガイド下PCI群66.2分、ステント留置後のバルーン血管形成術による拡張はそれぞれ91.3%および84.5%で実施された。

 追跡期間中央値19.0ヵ月(四分位範囲:15.2~23.4)において、標的血管不全はIVUSガイド下PCI群で140例(13.9%)、血管造影ガイド下PCI群で112例(11.1%)に認められ、ハザード比は1.25(95%信頼区間:0.97~1.60、p=0.08)であった。

 処置合併症はIVUSガイド下PCI群で11.3%(113/999例)、血管造影ガイド下PCI群で10.2%(102/1,002例)に発生した。有害事象の発現割合は両群で同程度であった。

(医学ライター 吉尾 幸恵)