心不全の患者には予後の改善のためにも血圧を低く保つことが求められる。では、季節により血圧が変動する場合、どのように心不全に影響を与えるのだろうか。この課題に対して、スペインのサン・セシリオ大学病院循環器部門のJesus Gabriel Sanchez-Ramos氏らの研究グループは、スペイン南部で心不全患者の夏季と冬季の血圧値を比較し、これらの変動の臨床的影響を評価した。その結果、心不全患者では夏季に血圧が著しく低下することが判明した。この結果はJournal of Hypertension誌2026年4月1日号に掲載された。
夏季は在宅自己血圧測定値が低下する傾向
研究グループは、心不全患者に異なる測定法を用いて夏季と冬季の血圧値を検査・比較し、これらの変動の臨床的影響を評価することを目的に、スペイン南部の施設で検査を実施した。心不全が軽減または改善し、最適な治療を受けている50例の患者を対象に観察的前向き横断研究で実施した。各患者は夏季(6~8月)と冬季(12~2月)に、3日間の在宅自己血圧測定(HBPM)、24時間携帯型血圧測定(ABPM)、診療所での血圧測定により評価され、1年間の追跡調査を行った。
主な結果は以下のとおり。
・平均年齢は64±12歳、76%が男性、平均心拍出率は43%だった。
・HBPMでは冬季と比較し、夏季に収縮期血圧(SBP)-7.6mmHg(p<0.001)、拡張期血圧(DBP)-3.2mmHg(p<0.001)、平均血圧(MBP)-4.6mmHg(p<0.001)の低下を示した。
・ABPMでは、収縮期血圧(差分-1.5mmHg、p=0.004)、拡張期血圧(差分-2.2mmHg、p=0.001)、心拍数(差分-3bpm、p<0.001)に日中の軽度低下を認めたが、夜間変化はなかった。
・診療所の血圧測定では、有意差のない一致した差異が観察された。
・夏季には35%が降圧治療を必要としたのに対し、冬季は16%(p=0.006)であり、めまいの傾向がより強かった。
・イベントは14%に発生した(夏季~秋季に腎機能悪化2例と失神1例、冬季~春季に心不全増悪3例と非心血管死1例)。
以上の結果から研究グループは、「心不全患者において、夏季は血圧の著しい低下と関連し、これはHBPMによって最もよく検出された。有害事象を予防するためには治療調整と臨床モニタリングが必要である」と結論付けている。
(ケアネット 稲川 進)