医療一般

抗体-薬物複合免疫賦活薬(iADC)の創製で戦略的提携/アステラス・Sutro

 アステラスは2022年06月28日、Sutro Biopharma, Inc.(Sutro)と、抗体-薬物複合免疫賦活薬(immunostimulatory Antibody-Drug Conjugates、iADC)の共同研究・開発に関する全世界における戦略的提携およびライセンスに関する契約を締結した。  Sutroの抗体-薬物複合技術と、アステラス製薬のがん領域におけるグローバルな研究開発ケイパビリティを組み合わせ、次世代モダリティiADCの治療薬創製を目指す。  免疫チェックポイント阻害薬を含む主要ながん免疫療法の課題は、免疫細胞が浸潤しづらいがん微小環境にある非炎症性腫瘍に対して効果を得にくいことである。

追加接種のタイミング、6ヵ月以上でより高い有効性か

 ワクチンの種類や2回目接種からの間隔の長さによって、オミクロン株に対する3回目接種の有効性は異なるのか? スペイン・公衆衛生研究所のSusana Monge氏らは、全国規模の住民登録データを用いて、オミクロン株が優勢な期間におけるワクチン有効率をいくつかのサブグループごとに推定。結果をThe Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2022年6月2日号で報告した。  本研究では、スペインの3つの全国的な人口登録(ワクチン接種登録、検査結果登録、および国民健康システム登録)からのデータをリンクさせて、ワクチン初回シリーズ(mRNAワクチンおよびアストラゼネカ製ワクチンは2回、ヤンセン製ワクチンは1回)をフォローアップ開始の3ヵ月前までに完了した40歳以上の個人を選択した。パンデミックの開始以降、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染したことがある者(検査陽性者)は含まない。

男性の肥満のないNAFLD、テストステロン低下が要因か/日本抗加齢医学会

 テストステロン欠乏により生じる病態と言えば男性更年期(疲れやすい、肥満、うつ、性欲低下…)をまず思い浮かべるが、実は、加齢による骨格筋量の減少(サルコペニア)の原因の1つであり、脂肪肝の発症にも深いかかわりがあるというー。6月17~19日に大阪で開催された日本抗加齢医学会総会のシンポジウム「男性医学」において、濱口 真英氏(京都府立医科大学 内分泌・代謝内科学助教)が『脂肪肝とテストステロン』と題し、骨格筋量の低下とテストステロン欠乏、そして脂肪肝への影響について講演した。

日本人労働者の睡眠負債がプレゼンティズムや心理的苦痛に及ぼす影響

 健康上の問題を抱えながら仕事や業務に携わる状態を表すプレゼンティズム(presenteeism)は、生産性の低下やメンタルヘルスの問題による欠勤のリスク指標である。北海道医療大学の高野 裕太氏らは、睡眠負債、ソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ぼけ)、不眠症状がプレゼンティズムや心理的苦痛に及ぼす影響を調査した。その結果、不眠症状は、睡眠負債や社会的時差ぼけよりも、プレゼンティズムや心理的苦痛に大きな影響を及ぼしていることが明らかとなった。プレゼンティズムや心理的苦痛に対し、睡眠負債もまた独立した影響を及ぼしているが、社会的時差ぼけの影響は認められなかった。BioPsychoSocial Medicine誌2022年6月3日号の報告。

新型コロナ発症から15ヵ月後も多くの患者で後遺症が持続

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患したが入院はしなかった患者の多くは、いまだに長引く後遺症と闘い続けているようだ。こうした患者の多くは、最初の感染から15カ月近くが経過した後でも、神経症状や倦怠感、生活の質(QOL)の低下に苦しめられていることが、新たな研究で明らかにされた。米ノースウェスタン・メディシンNeuro COVID-19クリニックのIgor Koralnik氏らが実施したこの研究の詳細は、「Annals of Clinical and Translational Neurology」に5月24日掲載された。

糖尿病患者の便秘が冠動脈疾患に独立して関連―江戸川病院

 2型糖尿病患者の便秘が、冠動脈疾患と独立した関連のあることが報告された。江戸川病院糖尿病・代謝・腎臓内科の伊藤裕之氏らの研究結果であり、詳細は「Internal Medicine」に5月1日掲載された。  糖尿病患者は合併症の自律神経障害などの影響のために、便秘になりやすいことが知られている。ただし、糖尿病の有無にかかわらず便秘はありふれた症状であり、治療を受けていない患者が多く、疫学的な調査があまり行われていない。最近まで便秘の統一された診断基準がなかったことも、疫学データが少ない一因と考えられる。これらを背景として伊藤氏らは、同院の2型糖尿病患者を対象に便秘の有病率や関連因子を検討した。

「エアコン28℃設定」にこだわらないで!医師が患者に伝えたい熱中症対策

 日本救急医学会は熱中症予防の注意喚起を行うべく6月28日に緊急記者会見を実施した。今回、熱中症および低体温症に関する委員会の委員長を務める横堀 將司氏(日本医科大学大学院医学研究科 救急医学分野教授)らが2020年に発刊された「新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえた熱中症予防に関する提言」に記された5つの提言を踏まえ、適切なエアコンの温度設定の考え方などについて情報提供した。  人間の身体が暑さに慣れるのには数日から約2週間を要する。これを暑熱順化と言うが、身体が暑さに慣れる前に猛暑日が到来すると暑熱順化できていない人々の熱中症リスクが高まる。今年は6月27日に関東甲信・東海・九州南部で梅雨明けが宣言され、しばらく猛暑日が続くと言われ、横堀氏は「身体が暑さに慣れていない今が一番危険」だと話した。

熱中症の経験ありは35.7%、毎年経験は2.7%/アイスタット

 2022年の夏は、例年になく長く、猛暑になるとの予報がでている。そして、夏季に懸念される健康被害の代表として「熱中症」がある。厚生労働省から新型コロナウイルス感染症予防のマスクの着脱も夏を前に発表されたが、まだ時期早々という社会的な雰囲気からか浸透していない。実際、熱中症の経験や今夏のマスク着用の考え、熱中症の予防などについて、一般の人はどのよう考えているのだろうか。株式会社アイスタットは、6月13日にアンケートを実施した。アンケートは、セルフ型アンケートツール“Freeasy”を運営するアイブリッジ株式会社の全国の会員20~69歳の有職者300人が対象。

医師の3割がガイドライン無料化を希望/1,000人アンケート

 診療の標準・均てん化とエビデンスに根ざした診療を普及させるために、さまざまな診療ガイドラインや診療の手引き、取り扱い規約などが作成され、日々の活用されている。今春の学術集会でも新しいガイドラインの発表や改訂などが行なわれた。  実際、日常診療でガイドラインはどの程度活用され、医療者が望むガイドラインとはどのようなものなのか、今回医師会員1,000人にアンケートを行なった。  アンケートは、5月26日にCareNet.comはWEBアンケートで会員医師1000名にその現況を調査。アンケートでは、0~19床と20床以上に分け、6つの質問に対して回答を募集した。

高齢者の多疾患罹患とうつ病に関する性差

 これまでの研究では、多疾患罹患はうつ病リスクが高いといわれている。しかし、うつ病と多疾患罹患との関連において、性差を調査した研究はほとんどなかった。韓国・乙支大学校のSeoYeon Hwang氏らは、男女間でうつ病と多疾患罹患の関連に違いがあるかを調査した。その結果、韓国の高齢者において、多疾患罹患とうつ病との関連に性差が認められたとし、多疾患罹患の高齢者におけるうつ病の軽減には、性別ごとの適切なケアを提供する必要があることを報告した。Epidemiology and Health誌オンライン版2022年5月24日号の報告。

多発性骨髄腫に対する二重特異性抗体薬teclistamabの有用性(MajesTEC-1)/ASCO2022

 再発難治の多発性骨髄腫(RR/MM)に対してBCMAとCD3に対する二重特異性抗体薬teclistamabの有用性を見た第I/II相MajesTEC-1試験。昨年のASH2021(米国血液学会)で発表された本試験の最新データを、米国エモリー大学のAjay K. Nooka氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)で発表し、同日にNEJM誌に掲載された。

熱ショックタンパク90阻害薬pimitespib 、GISTに承認/大鵬

 大鵬薬品は 2022年6月20日、経口HSP(Heat Shock Protein)90阻害薬pimitespib(製品名:ジェセリ)について、「がん化学療法後に増悪した消化管間質腫瘍」の効能・効果での製造販売承認取得を発表した。  同剤は、大鵬薬品が創製した化合物で、HSP90を阻害することによりがんの増殖や生存などに関与するKIT、PDGFRA、HER2やEGFRなどのタンパクを不安定化し、減少させることで抗腫瘍効果を示す。  今回の承認は、標準治療薬に不応または不耐と判断されたGIST患者を対象に、同剤とプラセボの有効性および安全性を比較した第III相臨床試験(CHAPTER-GIST-301試験)の結果に基づいたものである。同試験においてpimitespibは主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)を有意に延長し、有害事象は管理可能であった。試験の結果は、Annals of Oncologyに掲載された。

転移のある去勢抵抗性前立腺がんに対するPSMA標的治療薬ルテチウム-177はPFSを延長(TheraP)/ASCO 2022

 転移を有するドセタキセル既治療の去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に対し、前立腺特異的膜抗原(PSMA)を標的としたルテチウム177(Lu-PSMA-617)は、カバジタキセルと比較して無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することが、米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)において、オーストラリア・Peter MacCallum Cancer CentreのMichael Hofman氏から発表された。  今回は、オーストラリアで実施されたオープンラベルの無作為化比較第II相TheraP試験の生存に関する解析結果である。

思春期ADHDにおける物質使用障害の性差

 性差が精神疾患の病因および経過に重大な影響を及ぼすことは、脳解剖学、脳活動パターン研究、神経化学などのエビデンスで示されている。しかし、メンタルヘルス分野での性差に関する研究は十分ではない。スペイン・Universidad Cardenal Herrera-CEUのFrancisca Castellano-Garcia氏らは、物質使用障害(SUD)、有病率、薬物療法、メンタルヘルスの観点から、注意欠如多動症(ADHD)と診断された13~18歳の思春期患者における性差について検討を行った。その結果、思春期のADHDにおいて女性は男性よりも診断・治療が十分でない可能性があり、将来のさまざまな問題を予防するためにも、とくに思春期女性に対するADHDの早期診断は重要であることが示唆された。Brain Sciences誌2022年5月2日号の報告。

感染2年後も55%がlong COVID~武漢の縦断コホート研究

 COVID-19の流行が続く中、COVID-19から回復した人のかなりの割合が、複数の臓器やシステムに長期的な影響を受けていることを示すエビデンスが増えている。初期にCOVID-19が流行した中国において、2年にわたって既感染者の健康状態を調べた研究結果がLancet Respiratory Medicine誌オンライン版2022年5月11日号に掲載された。  2020年1月7日~5月29日にCOVID-19によってJin Yin-tan Hospital(中国・武漢)に入退院した人を対象に縦断コホート研究を実施。症状発現後6ヵ月(2020年6月16日~9月3日)、12ヵ月(2020年12月16日~2021年2月7日)、2年(2021年11月16日~2022年1月10日)時点の健康状態を、6分間歩行距離(6MWD)検査、臨床検査、退院後の症状、メンタルヘルス、健康関連QOL、職場復帰、医療利用に関する一連の質問票を使用して測定した。各インタビュー時には肺機能検査と胸部画像診断を行った。

転移を有する無症状の結腸がんに対する化学療法前の原発巣切除の効果/ASCO2022

 転移巣切除不能で原発巣切除可能なStage IVの結腸がん患者に対し、化学療法実施前に原発巣を切除しても、全生存期間(OS)の延長は認められないことが無作為化比較試験の結果から示された。ドイツ・ハイデルベルグ大学のNuh N. Rahbari氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で報告した。  切除不能の遠隔臓器転移を有するStage IV大腸がんで、原発巣に起因する症状がない症例において、化学療法前の原発巣切除が生存率をさらに高めるかは、議論の余地が残る。同試験は、化学療法前の原発巣切除の効果を、化学療法のみと比較する多施設共同無作為化試験として実施された。

麻痺を伴う謎に満ちた小児の疾患、原因特定へ前進

 米国では2014年以降、小児の間でポリオに似た急性弛緩性脊髄炎(AFM)と呼ばれる疾患が多発した。呼吸器感染症を引き起こすウイルスの一種であるエンテロウイルスD68(EV-D68)感染症が同時期に流行していたことから、同ウイルスの感染がAFMの集団発生に関与している可能性が指摘されていたが、研究者らはついにEV-D68がAFMの原因であることを裏付ける明確な証拠をつかんだようだ。詳細は、米ノースカロライナ大学チャペルヒル校のMatthew Vogt氏らにより、「The New England Journal of Medicine」5月26日号に報告された。

IDH2変異の再発・難治AMLに対するenasidenibの効果(IDHENTIFY)/ASCO2022

 IDH2変異(R172K変異)を有する再発・難治性の急性骨髄性白血病(AML)に対して、IDH2阻害薬enasidenibの投与は、従来の治療レジメンに比べて全生存期間(OS)が延長することが第III相試験(IDHENTIFY試験)の追加解析によって示された。フランス・Gustave RoussyのStephane De Botton氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で報告した。  AML患者の8~19%がIDH2変異を有し、IDH2遺伝子変異にはR140Q変異(約75%)とR172K変異(約25%)があることが知られている。IDHENTIFY試験では、IDH2変異陽性の再発・難治性AML患者に対してenasidenib投与と支持療法を行っても、従来の治療レジメンに比べてOSの延長を認めなかった。今回は、対象患者をR140Q変異陽性(R140サブグループ)とR172K変異陽性(R172サブグループ)に分けて、enasidenibの効果について検討した。

コロナの血栓塞栓症予防および抗凝固療法の診療指針Ver.4.0発刊/日本静脈学会

 6月13日に日本静脈学会は『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)における血栓症予防および抗凝固療法の診療指針 Ver.4.0』を発刊した。今回の改訂点は、コロナに罹患した際の国内での血栓症の合併頻度や予防的抗凝固療法の実態を調査したCLOT-COVID研究のエビデンスが追加されたこと。また、今回より日本循環器学会が参加している。  本指針は、日本静脈学会、肺塞栓症研究会、日本血管外科学会、日本脈管学会の4学会合同で、出血リスクの高い日本人を考慮し、中等症II、重症例に限って選択的に保険適用のある低用量未分画ヘパリンを推奨するために、昨年1月にVer.1.0が発表された。

筋肉量減少に、睡眠の満足感・夕食時刻・朝食の有無が関連/日本抗加齢医学会

 加齢とともに減少する筋肉量がどのような生活習慣と関連するのか、東海大学の増田 由美氏らが比較的健康な成人男子を調査し解析した結果、睡眠の満足感との有意な関連が示された。睡眠時間との関連は有意ではなかったという。さらに、60歳未満では20時までの夕食摂取、60歳以上では毎日の朝食摂取が筋肉量の維持に効果的であることが示唆された。第22回日本抗加齢医学会総会(6月17~19日)で発表した。