医療一般

ストロング系チューハイが最も飲まれていた~日本のアルコール依存症患者分析

 日本において、アルコール使用障害(AUD)の治療目標として節酒が近年受け入れられるようになっている。その一方で、AUD患者の臨床的特徴や飲酒パターンに関する知見は依然として限られている。神奈川・久里浜医療センターの新田 千枝氏らは、全国15施設で実施された多施設共同コホート研究であるAlcohol Longitudinal Prognosis Study in Japan(ALPS-J)のベースラインデータを用い、治療を求めたAUD患者の臨床的特徴および飲酒パターンを、男女別に解析した。PCN Reports誌2026年8月号の報告。

後天性視床下部性肥満への薬物療法の体組成への影響

 視床下部の器質的病変ないしは物理的損傷により生じる後天性視床下部性肥満(aHO)の患者への薬物療法が体組成に及ぼす影響などは、どのようなものがあるだろうか。このテーマについて、中国・上海体育大学運動・健康学部のHanhan Yu氏らの研究グループは、aHO患者への薬物療法が体組成に及ぼす影響と背景療法としての生活習慣介入の効果を体系的に評価した。その結果、特定の薬物療法がaHOの体重や体組成の転帰を改善する一方で、エビデンスがまだ限定的であり、確実性が低いことがわかった。Obesity誌2026年8月26日号に掲載。

「消化性潰瘍診療GL2026」、ボノプラザンの位置付けを強化/J Gastroenterol

消化性潰瘍では、ヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)感染と非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)使用が主要因である一方、除菌治療の普及や強力な酸分泌抑制薬の登場により、有病率や死亡率は低下している。しかし、特発性潰瘍や非H. pylori性ヘリコバクター(NHPH)感染による潰瘍の増加傾向が注目されている。日本消化器病学会(JSGE)は2026年4月に「消化性潰瘍診療ガイドライン2026(第4版)」を改訂、治療アルゴリズムの骨格は大きく変えず、H. pylori除菌治療について状況に応じた選択肢を整理するとともに、薬物療法ではボノプラザンの位置付けを強化した。本改訂内容は、ガイドライン作成・評価委員会の杉本 光繁氏らより論文化され、Journal of Gastroenterology誌オンライン版2026年8月24日号に掲載された。

手足口病の現状を解説/感染症クォータリーレポート

 ケアネットライブにて四半期に1回実施している感染症クォータリーレポート。9月9日に配信された2026年第3四半期の報告を期間限定で無料公開する。  感染症クォータリーレポートでは感染症専門医である国立国際医療センター・国際感染症センターの石金 正裕氏が、世界の病原微生物の流行状況を四半期ごとにレポートしている。  第3四半期では手足口病を取り上げる。  例年夏季にピークを迎える手足口病。2025年は低調だったが、今年は秋口にかけても発生が続く兆しがある。

アスピリンとオメガ3脂肪酸の併用、歯周病治療で抗菌薬に匹敵する効果

 重度の歯周病がある人では、低用量アスピリンとオメガ3脂肪酸の投与が、抗菌薬に代わる治療選択肢となる可能性が、新たな研究で示された。この研究結果を報告したアルバート・アインシュタイン・イスラエル病院(ブラジル)のNidia Castro dos Santos氏らによると、アスピリンとオメガ3脂肪酸による治療でも、抗菌薬による治療に匹敵する効果が得られたという。詳細は、5月12日付で「Journal of Periodontology」に掲載された。  論文の筆頭著者であるCastro dos Santos氏は、「これら2つの治療法が極めてよく似た効果を示したことには驚かされた。

水泳は腰痛の症状軽減に有効?

 腰痛に悩んでいる人は、プールで何往復か泳ぐことで症状が和らぐかもしれない。8週間の個別化水泳プログラムにより、腰痛患者の身体機能が改善し、痛みについても一定の改善傾向が見られたことが、新たな研究で示された。マッコーリー大学(オーストラリア)のDeborah Wareham氏らによるこの研究結果は、7月21日付で「British Journal of Sports Medicine」に掲載された。  Wareham氏は、「慢性腰痛のある人に対して水泳はよく勧められているが、これまで効果を裏付ける十分なエビデンスがなかった。そこでわれわれは、慢性腰痛に対する水泳の有効性を明らかにするため、研究を行う必要があると考えた」と研究背景について説明している。

心血管疾患のないCOPD、メトプロロールは有効か

 心血管疾患を有しない慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、β遮断薬が予後を改善する可能性が指摘されているが、無作為化比較試験の結果は一貫していない。今回、スウェーデン・Orebro UniversityのJosefin Sundh氏らが心血管疾患のないCOPD患者に対するメトプロロール追加投与の有効性を検討した結果、メトプロロールがCOPD増悪・心血管イベント・死亡の複合アウトカムまでの期間を有意に改善しなかったことを報告した。NEJM Evidence誌オンライン版2026年9月6日号に掲載。

IBD患者の大腸がん発生、家族歴でどこまで増える?

炎症性腸疾患(IBD)では大腸がん(CRC)リスクが高いことが知られており、CRC家族歴も重要なリスク因子とされる。一方、IBD患者においてCRC家族歴がCRC発生に及ぼす影響を検討した研究は少ない。そこで、スウェーデン・カロリンスカ研究所のAsa H. Everhov氏らは、IBD患者とマッチさせた一般人口対照を対象に、CRC家族歴別のCRC発生率と発生率差、およびIBDとCRC家族歴の相互作用を検討した。その結果、CRC家族歴はIBD患者と一般人口対照のいずれにおいても絶対尺度では同程度にCRC発生を増加させ、増加幅はCRC罹患者が複数いる場合に最も大きかった。本研究結果は、Gastroenterology誌オンライン版2026年9月3日号に掲載された。

「軽度な幻覚」はDLBとADの早期鑑別のバイオマーカーとなりうるか

 アルツハイマー型認知症(AD)とレビー小体型認知症(DLB)の早期鑑別は、とくに認知機能プロファイルの重複が大きい初期段階において、依然として課題となっている。疾患ごとに治療方針が異なるため、ADとDLBの正確な診断の重要性はますます高まっている。スペイン・Hospital San Vicente del RaspeigのMarina Ruiz Pinero氏らは、初期のADとDLBの臨床的、神経心理学的、知覚的特徴を比較し、とくに「軽度な幻覚」に焦点を当てて、両疾患の鑑別における診断的有用性を評価した。Journal of Alzheimer's Disease誌2026年9月号の報告。

リバウンド後も糖尿病リスク低下を維持した減量法は?

 減量は主要心血管イベント(MACE)や糖尿病(T2D)のリスク低下につながる。では、減量10年後のリスク変化をデータ化した場合、運動様式によって変化はあるのであろうか。このテーマについて、米国・アラバマ大学バーミンガム校保健医療学部栄養科学科のAbdelrahman M. Elshakankiry氏らの研究グループは、過体重の女性を対象に食事療法や運動療法などを実施し、10年後のリスク変化予測とその推移を検討した。その結果、減量はMACEおよびT2Dのリスクを低下させるが、体重のリバウンドに伴い両リスクとも再び上昇することがわかった。Obesity誌オンライン版2026年8月23日号に掲載。

たこつぼ症候群とACSの早期鑑別、新診断スコアBioTAKが高い鑑別能

たこつぼ症候群(TTS)は胸痛、心電図異常、心筋バイオマーカー上昇を呈し、急性冠症候群(ACS)と臨床像が重なる。現行の診断では、臨床評価や精神・神経疾患歴、反復心画像検査、責任冠動脈病変の除外のための侵襲的冠動脈造影(ICA)が中心となり、早期鑑別が課題となっている。今回、スイス・チューリッヒ大学のVictor Schweiger氏らがICA前のTTSとACSの早期鑑別を支援するバイオマーカーに基づく診断スコア(BioTAK)を開発・外部検証した結果を、2026年8月28~31日にドイツ・ミュンヘンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2026(ESC2026、欧州心臓病学会)で発表し、European Heart Journal誌オンライン版2026年8月31日号に同時掲載された。

収益率が高い?ゴミ屋敷は困る?在宅医療、医師1,000人アンケート結果

 今後、本邦では医療・介護の複合ニーズを有する85歳以上の高齢者の増加が見込まれ、2020~40年にかけて、85歳以上の救急搬送は75%増加し、在宅医療需要は62%増加すると推計されている。CareNet.comでは会員医師1,027人を対象に、在宅医療への従事状況・従事意向、魅力やハードルと感じる点について聞くアンケートを実施した(2026年7月23~24日実施)。  現在、または過去の在宅医療(訪問診療または往診)への従事状況について聞いた質問では、「主たる業務として従事している(週4日以上)」が6.5%、「外来診療の合間などに、定期的に従事している」が15.9%、「かかりつけ患者の急変時など、不定期に行っている(往診のみなど)」が7.4%、「過去に従事していたが、現在は行っていない」が23.3%と、従事経験のある医師が53.1%を占めた。

インフルエンザで入院の小児、オセルタミビルはICU入室減と関連

 インフルエンザで入院した小児では、オセルタミビル(商品名:タミフル)の投与が集中治療室(ICU)入室リスクの低下と関連することが、新たな研究で明らかになった。米コロラド大学医学部およびコロラド小児病院のSuchitra Rao氏らによるこの研究結果は、8月10日付で「JAMA Pediatrics」に掲載された。  Rao氏は、「過去20年間で最も厳しいインフルエンザシーズンの1つを経験した後だけに、今回の結果は、インフルエンザで入院した小児を治療することの重要性を改めて強調している。われわれの研究結果から、オセルタミビルによる治療は、発症から2日を過ぎて開始してもクリティカルケアが必要となるリスクを低下させる可能性があることが分かった」と述べている。

ステロイド外用薬を「短期使用薬」とするのは誤認、OTC薬給付見直しで声明/日本皮膚科学会ほか

 日本皮膚科学会、日本臨床皮膚科医会、日本アレルギー友の会は2026年9月3日、3団体共同で「OTC類似薬の保険給付見直し案に関する共同声明」を発表した。声明はステロイド外用薬を「急性増悪時の短期使用薬」とするのは誤認と指摘するなど、全9項目からなる。  政府が検討を進める「OTC類似薬の保険給付見直し案」について、皮膚科医療の専門性および患者の生活実態の観点から重大な懸念があるため、3団体は共同して本声明を公表する。 本見直し案は、単なる薬剤費負担の問題ではなく、我が国の皮膚科診療のあり方そのものに影響する制度であり、国民の健康に直結する重大な課題である。

肺がんにおけるADCの肺関連有害事象の発現率~メタ解析/JTO

 抗体薬物複合体(ADC)は、小細胞肺がん(SCLC)および非小細胞肺がん(NSCLC)に対する使用が増えている。一方で、臨床的に重要な肺関連有害事象(肺AE)が報告されているものの、肺がん領域における発現頻度や毒性プロファイルは十分にわかっていない。今回、米国・Icahn School of Medicine at Mount SinaiのRodrigo Paredes de la Fuente氏らが、SCLCまたはNSCLC患者に対するADC治療に伴う肺AEの発現頻度と重症度を系統的レビューおよびメタ解析で検討したところ、全Gradeの肺AEが約3割、肺臓炎/間質性肺疾患(ILD)は8%に認められた。Journal of Thoracic Oncology誌オンライン版2026年8月31日号に掲載。

日本人入院患者のせん妄、その特徴とリスク因子は?

 せん妄は、入院中に生じる重篤な精神神経症状であり、単なる急性イベントというよりは、背景にある神経認知機能の脆弱性が顕在化したものであると考えられる。日本では、入院患者を対象に、あらかじめ定められたリスク因子を評価する「せん妄リスクの早期スクリーニング」を病院全体で実施することが、国の医療政策として義務付けられている。奈良県立医科大学附属病院のMegumi Matsuda氏らは、専門医へのコンサルテーションを経て確定診断されたせん妄と独立して関連する、患者の属性および臨床的因子の特定を試みた。PCN Reports誌2026年7月30日号の報告。

ESC心不全GL改訂、HFmrEF廃止・「急性心不全」は「非代償性心不全」へ/ESC2026

 欧州心臓病学会(ESC)による新たな心不全診療ガイドライン「2026 ESC Guidelines for the management of heart failure」がEuropean Heart Journal誌オンライン版2026年8月28日号でオンライン公開され1)、8月28~31日にドイツ・ミュンヘンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2026(ESC2026、欧州心臓病学会)において改訂の要点が解説された2)。今回の改訂では、疾患の予防と早期治療の徹底、左室駆出率(LVEF)に基づく分類の簡素化、「急性心不全」から「非代償性心不全」へ名称変更、新たな治療分類(FMT・AMT・GDIT)の導入など、時代に即した大幅な再定義が行われている。

亜鉛欠乏はCKM症候群の進行リスクを高めるか

心血管・腎・代謝(CKM)症候群は、代謝異常、慢性腎臓病(CKD)、心血管疾患が連続的に進展する疾患概念として注目されている。微量元素の1つである亜鉛が欠乏することで心血管・腎アウトカムの悪化をもたらすことが報告されているものの、CKM症候群の進行との関連は十分に明らかでない。今回、台湾・Chi Mei HospitalのKuan-Chieh Tu氏らは、CKMステージ1または2の成人において、亜鉛欠乏はCKMステージ3~4への進行リスク上昇と有意に関連していたことを明らかにした。本研究結果は、Frontiers in Nutrition誌2026年7月23日号に掲載された。

医師の患者を安心させようとする言葉が裏目に出ることも

 患者を安心させようと気遣う医師の対応が、かえって逆効果になることがあるようだ。医師から症状は「normal」、つまりよく見られる症状と言われると、患者は「治療を受ける必要はない」と受け取り、治療を受けようとする意欲が低下する可能性が、新たな研究で示された。米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)ラディ経営大学院マーケティング分野教授のOn Amir氏らによるこの研究は、8月10日付で「Nature Human Behaviour」に掲載された。論文の上席著者であるAmir氏は、「医師は通常、患者の不安を和らげようとする善意からこのような対応を取る。だが、なぜかそれが裏目に出てしまうのだ」と述べている。

セマグルチド使用後に食欲が戻ったと感じても摂取量は抑制される

 肥満症に対してGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)であるセマグルチドによる治療を開始後、しばらくすると食欲が元に戻ったように感じることがあるが、少なくとも60週間は、実際の摂取エネルギー量が有意に少ない状態が維持されることが分かった。米ペンシルベニア大学のJena Tronieri氏らが行ったプラセボ対照二重盲検比較試験(RCT)の結果であり、詳細は「The American Journal of Clinical Nutrition」8月号に掲載された。  セマグルチドによる食欲抑制、摂取エネルギー量低下、体重減少効果は、主として介入期間が20週間ほどの研究で示されてきており、より長期間介入した場合のそれらの変化については不明点が残されている。