医療一般

ひとり飯はうつ病のリスク因子か?

 世界的な高齢化の進行や子供の独立後に親のみが残る世帯(エンプティ・ネスト)の増加に伴い、高齢者が1人で食事をすること(孤食)が急増している。こうした食事様式の変化は、高齢者の健康管理において重要な課題となっている。中国・蘇州大学のYingying Zhang氏らは、地域在住高齢者を対象に、誰かと一緒に食事をすること(共食)と孤食における栄養摂取量およびうつ病リスクの違いを定量的に評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Frontiers in Nutrition誌2026年7月13日号の報告。

ピロリ菌感染、胆道がんや膵がんリスクとの関連は/愛知県がんセンターほか

胃がんの確立したリスク因子であるHelicobacter pylori(H. pylori)感染は、胆道がん(BTC)や膵がん(PC)にも関与する可能性が指摘されているが、これまでのエビデンスは一貫していない。また、生殖細胞系列病的バリアントがH. pylori感染と胃がんリスクとの関連を修飾する可能性がある一方、BTCやPCでの役割は明らかではない。そこで、愛知県がんセンター研究所の山本 清花氏らは、日本人集団を対象に、遺伝的感受性や生活習慣因子を考慮してH. pylori感染とBTCおよびPCリスクとの関連を検討した。その結果、BTCリスクとの有意な関連は認められなかったが、PCではH. pylori感染指標とリスクの関連が、発生部位によって異なる可能性が示された。本研究結果は、International Journal of Cancer誌オンライン版2026年7月14日号に掲載された。

腹部肥満とビタミンD欠乏の併存で中年期以降の死亡リスクが2倍以上に

 腹部脂肪が多くてビタミンDレベルが低い中高年者は、死亡リスクが最大で2倍以上高いことを示すデータが報告された。サンカルロス連邦大学(ブラジル)のTiago da Silva Alexandre氏らの研究の結果であり、「Diabetes, Obesity and Metabolism」に5月6日付で論文が掲載され、7月29日に同国のサンパウロ州研究財団からリリースが発行された。  論文の上席著者であるAlexandre氏は、「腹部肥満はよく知られた健康上のリスク因子だ。またビタミンDはさまざまな臓器にホルモンとして作用しており、その欠乏により多くの身体機能が損なわれる。これら2つが併存すると互いに悪影響を増幅させ、死亡リスクをいっそう高める」と説明している。

専門家ワーキンググループが電子タバコを禁煙支援選択肢として推奨

 国際的な非営利団体であるニコチン・タバコ研究学会(SRNT)の専門家ワーキンググループ「Harm Reduction Workgroup」が、成人の禁煙支援に電子タバコを用いることに関する臨床上の推奨事項を発表した。電子タバコを米食品医薬品局(FDA)承認のニコチン代替療法やバレニクリン、ブプロピオンなどの薬物療法とともに、選択肢として提示すべきだとしている。米カンザス大学人口健康学分野のEleanor Leavens氏らがまとめたこの推奨事項は、7月30日付で「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に掲載された。

タダラフィル使用で緑内障リスク上昇の可能性

 勃起不全(ED)や下部尿路症状の治療に使われるタダラフィルが、緑内障リスクの上昇と関連する可能性を示した研究結果が報告された。下部尿路症状の治療にタダラフィルを使用している男性では、使用していない男性に比べて緑内障や高眼圧症を発症するリスクが高かったという。台湾大学病院のChien-Chih Chou氏らによるこの研究は、8月4日付で「British Journal of Ophthalmology」に掲載された。  タダラフィルは、ホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害薬に分類される薬剤で、肺動脈性肺高血圧症、ED、下部尿路症状の治療に用いられている。

地域活動への参加、オーラルフレイルリスク低下と関連――3万人超の縦断研究

 日本の地域在住高齢者約3万人を3年間追跡した研究で、地域活動への参加がオーラルフレイルリスクの低下と関連することが示された。さらに、その関連は社会経済的地位(SES)が低い高齢者でより強く認められ、社会参加がオーラルフレイルの健康格差の縮小と関連する可能性が示唆された。研究は、北海道大学大学院保健科学研究院地域看護学/公衆衛生看護学教室の富岡那奈子研究員、田高悦子教授らによるもので、詳細は7月24日付の「PLOS One」に掲載された。

胃がん前がん病変、サブタイプ別の進行率~メタ解析

胃の腸上皮化生(IM)および異形成は胃がんの前がん病変とされるが、サブタイプ別の有病率や胃がんへの進行リスクについては十分に整理されていない。そこで、米国・Weill Cornell Medical College of Cornell UniversityのYende Grell氏らは、IMおよび異形成のサブタイプ別の有病率や胃がんへの進行リスクを、世界的なデータを用いてシステマティックレビューおよびメタ解析で検討した。その結果、不完全型IMおよび高異型度異形成(HGD)では、対応するほかのサブタイプと比べて胃がんへの進行率が高かった。本研究結果は、Clinical Gastroenterology and Hepatology誌オンライン版2026年9月1日号に掲載された。

骨盤リンパ節郭清のAI支援、医師の認識能を向上/国立がん研究センター、Jmees

 骨盤リンパ節郭清においてAIによる支援は外科医の重要な解剖学的構造の認識を向上させることがわかった。  骨盤リンパ節郭清は、大腸がんや子宮頸がん、前立腺がん、膀胱がんなどの手術において、がんのリンパ節転移の確認とともに、転移のあるリンパ節を切除し再発を防ぐ重要な手術手技である。しかし、骨盤内には血管、神経、尿管などの重要な臓器および組織が存在しており、これらを損傷すると重大な合併症につながる可能性がある。そのため、手術には高度な解剖学的知識と技術が求められる。

認知症高齢者、診断の何年前から自動車事故リスクが高い?

 アルツハイマー病およびアルツハイマー関連認知症(ADRD)の患者は、認知機能の低下により自動車事故のリスクが高まる。この認知機能低下は、診断の数年前から始まっていることも少なくない。自動車事故は、ADRDに関連する認知機能障害の指標となり、早期診断を促進する可能性がある。米国・ブラウン大学のNina R. Joyce氏らは、ADRD患者の自動車事故発生について、診断前までさかのぼり、調査を行った。Journal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2026年8月6日号の報告。

AF治療中に脳梗塞を招く潜在的要因とは

心房細動(AF)患者における経口抗凝固薬(OAC)投与は、脳梗塞予防の中心であるが、適切に治療されていても脳梗塞を発症する事例が存在する。こうしたブレークスルー脳梗塞(breakthrough ischemic stroke)の潜在的原因や、その後の予後への影響は十分に明らかになっていない。そこで、イタリア・University of L'AquilaのFederico De Santis氏らは、AFに対するOAC継続中に発症した脳梗塞患者を対象に、潜在的な原因と90日転帰との関連を検討した。その結果、潜在的な原因は約半数で認められ、90日以内の脳梗塞再発リスク上昇と関連していた。本研究結果は、Journal of Neurology誌オンライン版2026年8月17日号に掲載された。

バービーとケンの身体プロポーション、より「現実」に近く

 長年にわたり、現実離れした完璧なスタイルの美男美女を体現してきたバービー人形だが、その身体プロポーションは現実の人間に近付いてきているようだ。ニューサウスウェールズ大学(オーストラリア)医学部健康科学分野のSara Grafenauer氏らが6月16日付で「PLOS One」に発表した研究によると、現在のバービーとケンの身体プロポーションは、実際の人間にはるかに近くなっているという。  この研究は、バービーとケンの身体プロポーションが現実の人間とかけ離れていることを明らかにした1996年の画期的な論文から約30年を経て行われた。

乳幼児期の睡眠不足、3歳時の発達遅延と関連――日本の出生コホート研究

 睡眠は、子どもの健やかな発達に欠かせない重要な要素である。今回、日本の全国出生コホート研究のデータを用いた解析から、乳幼児期の短い睡眠時間が3歳時の発達遅延と関連することが示された。また、睡眠場所が睡眠時間に関連する可能性も示された。研究は、鳥取大学医学部社会医学講座健康政策医学分野の増本年男氏らによるもので、詳細は7月8日付の「Frontiers in Public Health」に掲載された。  これまでの研究で、子どもの短い睡眠時間は、肥満や不安・抑うつなどの精神的健康問題、感情調整の困難さと関連することが報告されている。

ストロング系チューハイが最も飲まれていた~日本のアルコール依存症患者分析

 日本において、アルコール使用障害(AUD)の治療目標として節酒が近年受け入れられるようになっている。その一方で、AUD患者の臨床的特徴や飲酒パターンに関する知見は依然として限られている。神奈川・久里浜医療センターの新田 千枝氏らは、全国15施設で実施された多施設共同コホート研究であるAlcohol Longitudinal Prognosis Study in Japan(ALPS-J)のベースラインデータを用い、治療を求めたAUD患者の臨床的特徴および飲酒パターンを、男女別に解析した。PCN Reports誌2026年8月号の報告。

後天性視床下部性肥満への薬物療法の体組成への影響

 視床下部の器質的病変ないしは物理的損傷により生じる後天性視床下部性肥満(aHO)の患者への薬物療法が体組成に及ぼす影響などは、どのようなものがあるだろうか。このテーマについて、中国・上海体育大学運動・健康学部のHanhan Yu氏らの研究グループは、aHO患者への薬物療法が体組成に及ぼす影響と背景療法としての生活習慣介入の効果を体系的に評価した。その結果、特定の薬物療法がaHOの体重や体組成の転帰を改善する一方で、エビデンスがまだ限定的であり、確実性が低いことがわかった。Obesity誌2026年8月26日号に掲載。

「消化性潰瘍診療GL2026」、ボノプラザンの位置付けを強化/J Gastroenterol

消化性潰瘍では、ヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)感染と非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)使用が主要因である一方、除菌治療の普及や強力な酸分泌抑制薬の登場により、有病率や死亡率は低下している。しかし、特発性潰瘍や非H. pylori性ヘリコバクター(NHPH)感染による潰瘍の増加傾向が注目されている。日本消化器病学会(JSGE)は2026年4月に「消化性潰瘍診療ガイドライン2026(第4版)」を改訂、治療アルゴリズムの骨格は大きく変えず、H. pylori除菌治療について状況に応じた選択肢を整理するとともに、薬物療法ではボノプラザンの位置付けを強化した。本改訂内容は、ガイドライン作成・評価委員会の杉本 光繁氏らより論文化され、Journal of Gastroenterology誌オンライン版2026年8月24日号に掲載された。

手足口病の現状を解説/感染症クォータリーレポート

 ケアネットライブにて四半期に1回実施している感染症クォータリーレポート。9月9日に配信された2026年第3四半期の報告を期間限定で無料公開する。  感染症クォータリーレポートでは感染症専門医である国立国際医療センター・国際感染症センターの石金 正裕氏が、世界の病原微生物の流行状況を四半期ごとにレポートしている。  第3四半期では手足口病を取り上げる。  例年夏季にピークを迎える手足口病。2025年は低調だったが、今年は秋口にかけても発生が続く兆しがある。

アスピリンとオメガ3脂肪酸の併用、歯周病治療で抗菌薬に匹敵する効果

 重度の歯周病がある人では、低用量アスピリンとオメガ3脂肪酸の投与が、抗菌薬に代わる治療選択肢となる可能性が、新たな研究で示された。この研究結果を報告したアルバート・アインシュタイン・イスラエル病院(ブラジル)のNidia Castro dos Santos氏らによると、アスピリンとオメガ3脂肪酸による治療でも、抗菌薬による治療に匹敵する効果が得られたという。詳細は、5月12日付で「Journal of Periodontology」に掲載された。  論文の筆頭著者であるCastro dos Santos氏は、「これら2つの治療法が極めてよく似た効果を示したことには驚かされた。

水泳は腰痛の症状軽減に有効?

 腰痛に悩んでいる人は、プールで何往復か泳ぐことで症状が和らぐかもしれない。8週間の個別化水泳プログラムにより、腰痛患者の身体機能が改善し、痛みについても一定の改善傾向が見られたことが、新たな研究で示された。マッコーリー大学(オーストラリア)のDeborah Wareham氏らによるこの研究結果は、7月21日付で「British Journal of Sports Medicine」に掲載された。  Wareham氏は、「慢性腰痛のある人に対して水泳はよく勧められているが、これまで効果を裏付ける十分なエビデンスがなかった。そこでわれわれは、慢性腰痛に対する水泳の有効性を明らかにするため、研究を行う必要があると考えた」と研究背景について説明している。

心血管疾患のないCOPD、メトプロロールは有効か

 心血管疾患を有しない慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、β遮断薬が予後を改善する可能性が指摘されているが、無作為化比較試験の結果は一貫していない。今回、スウェーデン・Orebro UniversityのJosefin Sundh氏らが心血管疾患のないCOPD患者に対するメトプロロール追加投与の有効性を検討した結果、メトプロロールがCOPD増悪・心血管イベント・死亡の複合アウトカムまでの期間を有意に改善しなかったことを報告した。NEJM Evidence誌オンライン版2026年9月6日号に掲載。

IBD患者の大腸がん発生、家族歴でどこまで増える?

炎症性腸疾患(IBD)では大腸がん(CRC)リスクが高いことが知られており、CRC家族歴も重要なリスク因子とされる。一方、IBD患者においてCRC家族歴がCRC発生に及ぼす影響を検討した研究は少ない。そこで、スウェーデン・カロリンスカ研究所のAsa H. Everhov氏らは、IBD患者とマッチさせた一般人口対照を対象に、CRC家族歴別のCRC発生率と発生率差、およびIBDとCRC家族歴の相互作用を検討した。その結果、CRC家族歴はIBD患者と一般人口対照のいずれにおいても絶対尺度では同程度にCRC発生を増加させ、増加幅はCRC罹患者が複数いる場合に最も大きかった。本研究結果は、Gastroenterology誌オンライン版2026年9月3日号に掲載された。