医療一般

セマグルチドがMASH適応を取得、国内初の治療薬に/ノボ

 2026年6月19日、ノボ ノルディスク ファーマは同社のGLP-1受容体作動薬セマグルチド(ウゴービ)が、肝硬変を伴わない代謝機能障害関連脂肪肝炎(metabolic dysfunction-associated steatohepatitis:MASH)のうち、中等度または高度の肝線維化を有する患者を対象とした効能・効果の追加承認を取得したことを発表した。これにより同薬は日本で初めて承認されたMASH治療薬となる。  MASHは、従来「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」として知られていた疾患概念を発展させたもので、代謝異常を背景として肝細胞障害や炎症、線維化が進行する慢性肝疾患である。

多発性骨髄腫治療薬イサツキシマブ、皮下注射製剤の承認取得/サノフィ

 サノフィは2026年6月19日、イサツキシマブ(商品名:サークリサ)について、皮下注射製剤の製造販売承認を取得した。この承認は、多発性骨髄腫に対する、ポマリドミド・デキサメタゾン併用療法(Pd)、カルフィルゾミブ・デキサメタゾン併用療法(Kd)、ボルテゾミブ・レナリドミド・デキサメタゾン併用療法(VRd)を対象としている。  今回の承認により、イサツキシマブは点滴静注製剤に加え、皮下注射製剤による提供が可能になる。皮下注射製剤では、市販のシリンジを用いた手動による皮下投与が可能になり、静脈内投与と比較して投与に要する時間の大幅な短縮が可能で、患者さんや医療従事者の負担を軽減することが期待される。

パーキンソン病へのiPS細胞由来「ラグネプロセル」薬価収載、最適使用推進ガイドライン発出

 パーキンソン病に対する再生医療等製品「ラグネプロセル(商品名:アムシェプリ)」について、住友ファーマが日本における製造販売承認(条件及び期限付承認)を2026年3月6日に取得し、5月20日に薬価収載された。本品の使用に当たっては、厚生労働省より5月19日に「最適使用推進ガイドライン」が発出された。  ラグネプロセルは、世界初となる日本発のiPS細胞由来製品で、京都大学iPS細胞研究財団が提供するiPS細胞ストックを原材料とした、「非自己(他家)iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞」を有効成分とする再生医療等製品に分類される。

日本の内科医と精神科医でアルツハイマー病に伴うアジテーションに対する治療方針が異なっている?

 認知症の行動・心理症状であるアジテーションは、日本ではいまだ十分に認識されていない。東京慈恵会医科大学の品川 俊一郎氏らは、日本におけるアルツハイマー病に伴うアジテーションに対する医師の認識と治療実践を明らかにするため、ウェブベースの横断調査を実施した。Scientific Reports誌オンライン版2026年5月7日号の報告。  調査対象は、神経内科、脳神経外科、精神科、または一般内科の医師で、調査パネルに登録し、参加に同意した医師。病院またはクリニックで勤務し、月10例以上のアルツハイマー病患者を診療していることを条件とした。調査は、2024年10月にウェブベースで実施した。

病院機能集約化の賛否は年代・病床数・診療科で異なる?/医師1,000人アンケート

 地域医療構想に基づき、地域内に点在している複数の病院が有する特定の医療機能を拠点となる一部の病院に集め、医療資源を効率的に配置する病院機能の集約化が進められている。それにより、医療の質の維持・向上や、医療者の労働環境の改善が期待されるが、集約化の対象となる診療科に勤務する医師は好意的に捉えているのか。CareNet.comでは、20床以上の病院の内科、外科、小児科、産婦人科、腫瘍科、救急科勤務の医師1,000人を対象に「医療機関の経営状況や病院機能の集約化」に関するアンケートを行った(実施日:2026年5月18~19日)。

前立腺がんに対する短期集中的な放射線治療は安全に実施可能

 前立腺がんに対して通常よりも短期間で集中的な放射線治療を行っても安全である可能性が、新たなパイロット試験で示された。1回当たりの放射線量を増やして通常の5回照射を2回照射に減らしても、5回照射と比べて副作用が増えることはなかったという。英Royal Marsden NHS Foundation Trustおよび英ロンドン大学がん研究所のSian Cooper氏らによるこの研究結果は、欧州放射線腫瘍学会(ESTRO 2026、5月15~19日、スウェーデン・ストックホルム)で発表された。  研究グループは、「この小規模試験の結果は、わずか数回の通院で安全かつ有効な放射線治療を実施できる可能性を示している」と述べている。

糖尿病患者の治療薬、残歯数と周術期死亡の関連/日本糖尿病学会

 日本糖尿病学会の第69回年次学術集会(会長:下村 伊一郎氏[大阪大学大学院医学系研究科 内分泌・代謝内科学 教授])が、5月21~23日の日程で、大阪国際会議場、リーガロイヤルホテル大阪をメイン会場に開催された。  今回の学術集会は「IMAGINE いのち輝く 糖尿病の医療・医学を共に目指して」をテーマに、41のシンポジウム、143の口演、ポスターセッション、会長特別企画による講演、特別企画「糖尿病とともに生活する人々の声をきく」などが開催された。

デュルバルマブ、切除可能胃がんの周術期治療で承認/AZ

 アストラゼネカは2026年6月19日、抗PD-L1抗体デュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)が、「胃がんにおける術前・術後補助療法」の適応で厚生労働省の承認を取得したと発表した。これにより同薬は、日本で初めてかつ唯一の切除可能胃がんに対する周術期免疫療法として使用可能となった。  胃がんは世界で年間約100万人が新たに診断される主要ながんの1つであり、日本でも罹患数第3位、死亡数第4位を占める。切除可能症例では手術と周術期治療が治癒を目指す標準的アプローチであるものの、依然として再発率は高く、さらなる予後改善が課題となっている。

タファシタマブとレナリドミドの併用、再発・難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に承認/インサイト・ジャパン

 インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン合同会社は2026年6月19日、タファシタマブ(商品名:ミンジュビ)とレナリドミドの併用療法について、再発または難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療として、製造販売承認事項一部変更の承認を取得したことを発表した。タファシタマブは、国内で再発または難治性の濾胞性リンパ腫に対するリツキシマブおよびレナリドミドとの併用療法として承認されており、本承認が2つ目の効能の承認となる。  本承認は、自家造血幹細胞移植の対象とならない再発・難治性のDLBCLを対象とした国際共同第II相試験であるMOR208C203試験:L-MIND試験および国内第Ib/II相試験であるINCMOR 0208-102試験パート4(グループ6):J-MIND試験の結果に基づいている。

うつ病や不安に対する笑い療法、その効果と最適な介入期間が明らかに

 笑い療法は、心理的苦痛に対する実用的かつ効果的な代替療法として注目されている。台湾・亜洲大学のChia-Yu Liu氏らは、笑い療法の有効性をさらに検証するため、試験逐次分析(TSA)を統合し、用量反応メタ解析を用いて、最適な治療期間を検討した。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2026年4月16日号の報告。  本システマティックレビューでは、主要データベース(PubMed、EMBASE、PsycINFO、Cochrane Library)より各データベースの創設時から2023年11月12日までに公表されたランダム化比較試験(RCT)を検索した。対象は、うつ病、不安、ストレス、疼痛、生活の質の改善を目的とした笑い療法に関する研究とした。

夜間家庭血圧の測定に手首式血圧計は有用

 夜間血圧は高血圧管理における確立された予後因子であるが、携帯型血圧計による測定が負担となる。今回、自治医科大学の苅尾 七臣氏らが、上腕式血圧計よりも睡眠障害が少ない手首式血圧計を用いて検討したWISDOM-HMOD研究の結果、手首式血圧計による夜間血圧が左室肥大の独立したリスク因子であることが示唆された。Hypertension誌2026年7月号に掲載。

NY市のカビ対策プログラムで喘息による救急外来の受診が25%減

 ニューヨーク市が実施したカビ対策プログラムによって、公営住宅の住民の間で喘息関連の救急外来(ED)受診数が減少したことが、新たな研究で示された。ニューヨーク市では2019年、集合住宅内のカビを原因とする喘息に苦しんでいた住民らが集団訴訟を起こしたことを受け、カビ対策プログラム「カビバスターズ(Mold Busters)」を構築した。研究を実施した米テキサス大学オースティン校のNina Flores氏らによると、同プログラムによって喘息関連のED受診数が25%減少したという。この研究は、米国胸部学会年次学術集会(ATS 2026、5月15~20日、オーランド)で発表された。

夜間の熱波で喘息リスクが上昇

 猛暑は喘息増悪の引き金となる可能性があり、特に夜間の熱波は喘息増悪リスクの上昇と関連することが、新たな研究で示唆された。米ボルティモアの病院データを解析したところ、熱波の発生後には喘息関連で救急外来(ED)を受診する患者が増加することが明らかになったという。米ジョンズ・ホプキンス大学地球惑星科学教授のBenjamin Zaitchik氏らによるこの研究の詳細は、「GeoHealth」に5月6日掲載された。  研究では、猛暑が夜間まで続いた場合に喘息増悪リスクが特に高まることが明らかになったという。Zaitchik氏は、「夜間に屋外が暑いと、エアコンのないタウンハウス(長屋)の2階の寝室は息が詰まるほど蒸し暑くなる。これは生死に関わる問題だといえる。

テクリスタマブとトアルクエタマブの併用、髄外性形質細胞腫を有する再発・難治性多発性骨髄腫に承認/J&J

 Johnson & Johnson(日本における医療用医薬品事業の法人名:ヤンセンファーマ)は2026年6月19日、B細胞成熟抗原(BCMA)とCD3を標的とする二重特異性抗体であるテクリスタマブ(商品名:テクベイリ)とGタンパク質共役型受容体ファミリーCグループ5メンバーD(GPRC5D)とCD3を標的とする二重特異性抗体のトアルクエタマブ(商品名:タービー)との併用療法について、髄外性形質細胞腫(EMD)を有する再発または難治性の多発性骨髄腫の治療法として、製造販売承認事項一部変更の承認を取得したことを発表した。本併用療法の承認取得は日本が世界で初めてとなる。

阪神ファンの認知症患者、優勝後にBPSDが大きく改善!?

 認知症は、認知機能の低下とそれに伴う行動・心理症状(BPSD)を特徴とする疾患であり、社会問題として深刻化している。大阪・脳神経内科はつたクリニックの初田 裕幸氏は、日本の関西地方に在住する認知症患者855例を対象に、プロ野球の試合結果とBPSDの変化との関連を調査するため、探索的レトロスペクティブ研究を実施した。Geriatrics & Gerontology International誌2026年5月号の報告。 ・阪神タイガースファンの認知症患者19例において、2023年のセントラルリーグ優勝後、BPSDスコアの有意な低下が認められた。

慢性期外傷性脳損傷に初の再生医療 バンデフィテムセル発売/サンバイオ

 サンバイオが開発した細胞治療薬バンデフィテムセル(商品名:アクーゴ)が慢性期外傷性脳損傷(TBI)の治療に承認・発売された。2026年6月に行われた「アクーゴ脳内移植用注発売メディアセミナー」で紹介された基礎と臨床の専門家の知見を詳報する。  再生医療においては幹細胞が非常に大きな役割を果たす。幹細胞には体を構成するほぼすべての組織に分化可能な多能性幹細胞(iPS細胞やES細胞)と一定の限られた細胞種に分化する体性幹細胞(間葉系幹細胞、造血幹細胞、神経幹細胞など)がある。体性幹細胞は生体組織に存在するため、選択的に増やすあるいは分離することで再生医療に活用できる。

腹膜播種を伴う胃がん、腹腔内パクリタキセル追加でOS延長(DRAGON-01)

 腹膜播種を伴う胃がんは予後不良であり、1次治療として全身化学療法が行われるものの全生存期間(OS)中央値は1年未満にとどまる。中国で実施された第III相ランダム化比較試験DRAGON-01において、腹腔内パクリタキセルを静脈内パクリタキセル+S-1療法に追加することで、OSが有意に延長することが報告された。JAMA Oncology誌オンライン版2026年5月21日号掲載の報告。  パクリタキセルは腹膜腔内で高濃度を長時間維持できることから、腹腔内投与による局所制御向上が期待されてきた。

複合がん免疫療法の近未来/日本臨床腫瘍学会

 がん免疫療法は、複数の免疫療法を組み合わせることで治療効果を最大化する新たなフェーズへと進展しつつある。2026年3月26~28日に開催された第23回日本臨床腫瘍学会学術集会では、「複合がん免疫療法の近未来」をテーマとしたシンポジウムが企画され、次世代の治療戦略が議論された。腫瘍免疫の理解が深化する中で、がん免疫応答の多面的なメカニズムを考慮した新たな複合がん免疫療法の確立が期待される。  冒頭、各務 博氏(埼玉医科大学国際医療センター)は、近年のがん免疫療法の進歩を背景に、免疫応答をいかに持続させるかが重要な課題となっていることを指摘した。そのうえで、腫瘍微小環境内に形成される三次リンパ様構造(TLS)を基盤とした持続型T細胞免疫システムと、CD4陽性T細胞を活用した新たな治療戦略について講演した。

脂肪肝は心血管イベントリスクの上昇と関連

 脂肪性肝疾患(脂肪肝)は、肝臓だけでなく心臓にも悪影響を及ぼす可能性があるようだ。新たな研究で、脂肪肝を有する人では有していない人に比べて、非石灰化冠動脈プラークの量が多く、全死因死亡や心筋梗塞などを含む主要イベントの発生率が約2倍に上昇していることが明らかになった。非石灰化プラークは、石灰化していないため破裂しやすく、血栓形成を通じて心血管イベントを引き起こすリスクが高いとされている。米マス・ジェネラル・ブリガム心臓血管研究所のJan Brendel氏らによるこの研究の詳細は、「Clinical Gastroenterology and Hepatology」に5月20日掲載された。

多嚢胞性卵巣症候群、新名称「PMOS」に国際合意

 女性の主要な疾患の一つである多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovary syndrome;PCOS)の名称を、polyendocrine metabolic ovarian syndrome(PMOS、多内分泌代謝性卵巣症候群)へ改称することについて、国際的合意が形成された。専門家は、この名称変更が、世界中で1億7000万人以上の女性が罹患しているこの疾患の診断および治療のあり方を変える可能性があるとしている。モナシュ大学(オーストラリア)Monash Centre for Health Research & ImplementationのHelena Teede氏らがまとめたこの改称に関する国際的合意形成の経緯と理由は、「The Lancet」に5月12日掲載された。