医療一般

東京遺伝性腫瘍研究会開催のお知らせ

 東京遺伝性腫瘍研究会は10月31日に都内で「第2回 東京遺伝性腫瘍研究会」(世話人:新井 正美氏[順天堂大学])を開催する。  今回のテーマは「遺伝性腫瘍診療ネットワーク-知をつなぎ、人をつなぐ-」でSDHxの臨床や遺伝子検査のピットフォール、多遺伝子パネル検査の実際に関する講義のほか、少人数グループでの症例ディスカッションで臨床現場でのQ&Aを討論する。診療に関わる医療者が率直に語り合い、深め合える場となることを目指す。

せん妄予防に睡眠を調節する薬物療法は有効か

 せん妄は、入院患者によくみられる神経精神医学的症状であり、睡眠や概日リズム調節の障害と関連しているといわれている。中国・浙江大学のHaizhen Chen氏らは、せん妄予防を目的とした睡眠調節薬物療法を評価したランダム化比較試験(RCT)を対象に、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。Sleep Medicine Reviews誌オンライン版2026年8月27日号の報告。  2025年8月までに公表されたRCTをPubMed、Embase、Web of Scienceよりシステマティックに検索した。

EGFR exon20挿入変異NSCLC、zipalertinib+化学療法による1次治療がPFS改善(REZILIENT3)/WCLC2026

 EGFR exon20挿入変異非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療において、zipalertinibと化学療法の併用は、化学療法単独と比べ無増悪生存期間(PFS)を有意に延長した。シンガポール・Duke-NUS Medical SchoolのDaniel S. W. Tan氏が2026年世界肺がん学会(WCLC2026)で発表した第III相REZILIENT3試験の結果である。  zipalertinibはEGFR exon20挿入変異選択性のTKIであり、第I/II相REZILIENT1試験では、EGFR exon20挿入変異NSCLCに対し、単剤使用で臨床的に意義のある有効性を示している1)。REZILIENT3はEGFR exon20挿入変異陽性NSCLCの1次治療において、zipalertinibと化学療法の併用レジメンの有用性を評価した第III相試験。

1日5,000歩未満でも、早く歩けば死亡リスク低下

 日常的なウォーキングによる健康増進効果については、多くの研究報告がある。とくに、より多くの歩数の確保と、心血管疾患(CVD)やそれに伴う死亡リスクの低下との関連を示すエビデンスが複数存在する。その一方で、歩行ペース(強度)と死亡リスクとの関連については、これまで十分に検討されていない。 そこで、オーストラリア・シドニー大学のLe Wei氏らは、歩数と歩行ペースを組み合わせて死亡リスクとの関連を解析した。その結果、1日当たりの歩数が5,000歩未満であっても、歩行ペースを上げることで死亡リスクが大幅に低下したこと、速く歩くことが難しくても5,000~7,500歩/日の歩数を達成することで同等のリスク低下がみられたことを明らかにした。本研究結果は、British Journal of Sports Medicine誌2026年9月8日号に掲載された。

MASLD合併2型糖尿病、GLP-1RA+SGLT2阻害薬併用は有益か

代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)と2型糖尿病の併存は、肝線維化進展や心血管イベント、死亡リスクの上昇と関連する。GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)とSGLT2阻害薬はいずれも心血管・代謝面での有用性が示されているが、MASLDと2型糖尿病を合併する患者で併用療法と単剤療法を直接比較したデータは限られている。そこで、サウジアラビア・Imam Abdulrahman Bin Faisal University College of MedicineのMohanad A. Alkuwaiti氏らは、GLP-1RA+SGLT2阻害薬併用療法、GLP-1RA単剤療法、SGLT2阻害薬単剤療法の有効性を、ランダム化比較試験の設計を診療データ上で模倣する、ターゲットトライアルエミュレーションで比較した。

加重ブランケットは入院患者の不安軽減に役立つ?

 病気で入院し、病院のベッドで過ごしているときに不安を感じるのは当然のことであるが、新たなパイロット研究で、その不安は安価で簡単な方法によって和らげられる可能性が示唆された。入院患者に重さ15ポンド(6.75 kg)の加重ブランケットを使用させることで、患者の不安が軽減したことが示された。米Saint Luke’s Hospitalの看護研究プログラムディレクターであるMarci Ebberts氏らによるこの研究結果は、9月1日付で「American Journal of Critical Care」に掲載された。  Ebberts氏は、「入院患者はしばしば強い不安を抱く。そうした不安は、回復や睡眠、メンタルヘルスに悪影響を及ぼす可能性がある。

手術開始時刻で手術時間に差、午前は午後より長く

 手術の開始時刻は、手術の成績に影響するのだろうか。今回、手術開始時刻が手術時間に影響する可能性を示す研究結果が報告された。主要な泌尿器科手術2,627例を後ろ向きに解析したところ、午前に開始した手術は午後に開始した手術より時間が長かった一方、周術期合併症や全生存期間には差が認められなかった。研究は、広島大学腎泌尿器科学の小畠浩平氏、日向信之氏らによるもので、詳細は8月8日付の「World Journal of Urology」に掲載された。  手術開始時刻が手術の効率や患者の転帰に影響する可能性が指摘されている。これまで、遅い時間帯の手術で合併症や死亡、入院期間などのリスクが高まるとの報告がある一方、手術時間や周術期成績に明らかな差はないとする研究もあり、結果は一貫していない。

「定員調整」しても研修医の地域偏在解消は困難

「定員調整」だけでは臨床研修医の定員充足率や地域間格差は解消されない。井出 博生氏(順天堂大学大学院健康データサイエンス研究科 准教授)、小池 創一氏(自治医科大学地域医療学センター 教授)らの共同研究グループは、過去の医師臨床研修マッチングのデータを用いて、各都道府県の臨床研修プログラムの定員枠を増減・再配分するシミュレーションを行い、こう結論付けた。現在のマッチング制度の定員枠だけを地方に移しても地域偏在の緩和は難しいことを定量的に示したもので、研究グループはマッチングシステムの改善と医師偏在対策関連施策の一体的な取り組みの必要性を指摘している。論文はBMC Medical Education誌オンライン版に2026年9月14日付で公開された。

パーソナリティ障害はストーカー行為のリスク因子なのか

 ストーカー行為は、深刻な心理的影響を及ぼす執拗な嫌がらせを伴う行為である。一部の国では近年になって、ようやく犯罪として規定されるようになった。イタリア・Vita-Salute San Raffaele UniversityのEmma Flutti氏らは、ストーカー行為の有病率、類型、パーソナリティプロファイル、性差、ならびに予防および治療戦略の必要性について検討した。La Clinica Terapeutica誌2026年9・10月号の報告。  臨床および司法の混合対象集団を包含し、Medline/PubMed、Scopusを用いて、システマティックに文献検索した。分析対象は、ストーカー行為を行った患者2,378例(女性の割合:14%)。

小細胞肺がん、タルラタマブ3週・4週ごと投与の可能性(DeLLphi-309)/WCLC2026

 既治療の小細胞肺がん(SCLC)に対するタルラタマブの3週ごとおよび4週ごと投与は、従来の2週ごと投与に加えて、患者の状態に合わせた治療の柔軟性を提供する可能性を示した。  既治療のSCLC患者でタルラタマブの投与間隔延長を検討した無作為化第II相DeLLphi-309試験の結果を、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のJonathan Goldman氏が世界肺がん学会(WCLC2026)で発表した。  タルラタマブの2週間ごと10mg投与は、既治療のSCLC患者において、化学療法と比較して優れた全生存期間(OS)を示すことが実証されている1)。DeLLphi-309試験では、より投与間隔の長い20mg 3週間ごと、または30mg4週間ごと投与が、既存の10mg 2週間ごと投与と同等の臨床的有効性、安全性、薬物動態プロファイルを示すかを評価した。

肝硬変リスク、飲酒の影響が肥満や糖尿病を上回る/J Hepatol

アルコール摂取と心代謝リスク因子は、肝硬変リスクに複合的に関与することが注目されている。そこで、デンマーク・Zealand University HospitalのJonas Hedelund Ronn氏らは、一般住民コホートを用いて、飲酒量と心代謝リスク因子が肝硬変リスクに及ぼす単独および複合的な影響を検討した。その結果、肝硬変リスクに対する寄与は飲酒が最も大きく、肥満、糖尿病、高血圧、喫煙もリスク上昇と関連したが、脂質異常症との関連は明確ではなかった。本研究結果は、Journal of Hepatology誌オンライン版2026年8月24日号に掲載された。

少しの身体活動でも心房細動患者の脳卒中リスク低下

 心房細動患者では、たとえ少ない身体活動量でも脳卒中や死亡リスクが低下する可能性を示唆する研究結果が報告された。ノルウェー北極大学(トロムソ大学)のKristoffer Johansen氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of the American Heart Association(JAHA)」に8月5日付で掲載された。  心房細動は不整脈の一種で、脳卒中のリスクを高める。米国では推定1050万人の成人が心房細動に罹患しているとされている。一方、一般住民の脳卒中リスクは、習慣的な身体活動量が多いほど低いことが知られている。

国産手術支援ロボット「hinotori」、膵体尾部切除術でda Vinciと概ね同等の周術期成績

 国産初の手術支援ロボットシステム「hinotori」は2020年に製造販売承認を受け、国内の消化器外科領域でも導入が進んでいる。今回、hinotoriを用いたロボット支援下膵体尾部切除術(RDP)の周術期成績をda Vinci Surgical System(da Vinci)と比較した研究で、両者は概ね同等の周術期成績を示した。また、hinotori群では入院費がda Vinci群と比べて有意に低く、この差は手術時期をそろえた解析でも認められた。研究は、獨協医科大学埼玉医療センター外科の川﨑圭史氏、吉富秀幸氏らによるもので、詳細は7月30日付の「Asian Journal of Endoscopic Surgery」に掲載された。

アザチオプリンや免疫チェックポイント阻害薬などに重大な副作用追加/厚労省

 2026年9月29日、厚生労働省より添付文書の改訂指示が発出され、アザチオプリンや各種免疫チェックポイント阻害薬(ICI)、トシリズマブなどに対して、「重大な副作用」などが追記された。  免疫抑制薬のアザチオプリン(商品名:アザニン、イムラン)では、「可逆性後白質脳症症候群」および「肝類洞閉塞症候群(SOS)/肝中心静脈閉塞症(VOD)」が追記された。頭痛、意識障害、痙攣などの症状が現れた場合には、MRIなどによる画像診断を行うとともに、投与を中止し適切な処置を行うよう追記された。

生殖細胞系列病的バリアントを有する乳がん、出産10年以降の診断と授乳歴でOS良好/ESMO Open

 出産や授乳は乳がんの生涯リスク低下と関連する一方、出産後早期は一過性に乳がんリスクや予後不良リスクが高まることが知られている。今回、オーストラリア・Peter MacCallum Cancer CenterのCourtney T. van Geelen氏らが生殖細胞系列病的バリアント(PV)を有する乳がん患者において、最終出産から乳がん診断までの期間や授乳歴と全生存期間(OS)との関連を検討したところ、最終出産から10年以上経過した後の診断および授乳歴は、良好なOSと独立して関連していた。ESMO Open誌2026年9月号に掲載。

早期および晩期発症のアルツハイマー病における抗Aβ免疫療法後の脳容積推移

 抗アミロイドβ免疫療法(AAT)の試験において、脳容積減少の加速が観察されている。しかし、早期発症アルツハイマー病(EOAD)と晩期発症アルツハイマー病(LOAD)における、この逆説的な現象については、依然として十分にわかっていない。米国・ウェストバージニア大学のRashi I. Mehta氏らは、EOADおよびLOADにおけるAAT後の脳容積の変化をレトロスペクティブに解析した。Alzheimer's & Dementia誌2026年8月22日号の報告。  AAT開始後1年間の脳容積の変化をレトロスペクティブに解析した。脳容積の年間変化率を算出し、線形混合効果モデルを用いて、EOADとLOADにおける脳容積の経時的変化を評価した。

EGFR exon20挿入変異陽性NSCLCに対するアミバンタマブ+化学療法のOS最終結果(PAPILLON)/WCLC2026

 EGFR exon20挿入変異陽性の局所進行および転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療において、アミバンタマブと化学療法の併用療法は、化学療法単独と比較した全生存期間(OS)が発表された。  世界肺がん学会(WCLC2026)において、同対象におけるアミバンタマブ+化学療法の有用性を検討した国際共同第III相PAPILLON試験のOS最終解析結果を、米国・Georgetown Cancer InstituteのChul Kim氏が報告した。  PAPILLON試験では、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)において、アミバンタマブ+化学療法群が化学療法単独群に対して優越性を示したことがすでに報告されている。同学会では全生存期間(OS)の最終解析結果が発表された。

高齢者の骨折予防にビタミンD補充は有効か

 ビタミンD単独補充による骨折予防効果については、これまで一貫した結果が得られていない。今回、ビタミンD3が骨折リスクなどに及ぼす影響を評価した無作為化比較試験(FIND試験)により、ビタミンDがおおむね充足している高齢者集団ではビタミンD3補充を5年間行っても骨折リスクは低下しなかったことが、フィンランド・University of Eastern FinlandのToni Rikkonen氏らによって示された。Bone誌2026年12月号掲載の報告。  本試験の対象は、フィンランド在住の心血管疾患やがんの既往歴のない60歳以上の男性および65歳以上の女性であった。ビタミンD3を1,600 IU/日摂取する群、ビタミンD3を3,200 IU/日摂取する群、プラセボを摂取する群に1:1:1に無作為に割り付けられ、それぞれを5年間補充した。骨折はフィンランドの全国医療登録および死亡原因登録から把握した。骨折リスクは、年齢と性別で調整したCox比例ハザード回帰モデルを用いて評価し、プラセボ群を基準としたビタミンD3補充群のハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。

階段を上ることで死亡リスク24%低下か~メタ解析

 エレベーターではなく階段を使うことは、思っている以上に健康に良いかもしれない。「American Journal of Cardiovascular Drugs」に8月13日付で報告された研究で、階段を上ることは、心血管疾患(CVD)による死亡リスクの39%の低下、全死因死亡リスクの24%の低下と関連することが明らかになった。  論文の上席著者である英イースト・アングリア大学ノリッジ医学校心臓病学教授のVassilios Vassiliou氏は研究背景について、「階段を上ることは日常生活に身体活動を取り入れるための実用的な方法だが、見過ごされがちである。われわれは、この日常的な活動に命を救う可能性がどれほどあるのかについて、理解を深めたかった」と述べている。

静岡がんセンター、世界の専門家を招く「Oncology Seminar」をスタート

 静岡県立静岡がんセンターは2026年8月、国内外のがん診療の専門家を招く「Shizuoka Cancer Center Oncology Seminar」をスタートした。英語で講演とディスカッションを行う30分間のウェビナーで、以後月1回開催が予定されている。国内と海外の演者が交互に登壇し、最新のがん診療について学ぶとともに、若手医師が英語で議論する機会をつくることも狙いだ。  セミナー企画の中心となったのは、同センター消化器内科(胆膵)医長の大場 彬博氏。企画の出発点には、従来の院内勉強会をもっと魅力あるものにしたいという思いがあった。