医療一般

COVID-19関連肺炎へのアクテムラ、第III相試験で主要評価項目達成/ロシュ

 ロシュ社(スイス)は9月18日、ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体アクテムラ(一般名:トシリズマブ)について、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連肺炎における有効性を評価する第III相EMPACTA試験で主要評価項目を達成したことを発表した。  EMPACTA試験は、新型コロナウイス(SARS-CoV-2)感染が確認され、SpO2<94%で、非侵襲的または侵襲的な機械的換気を必要としない、18歳以上の入院患者が対象。米国、南アフリカ、ケニア、ブラジル、メキシコ、ペルーから389例が登録された。

EGFR変異肺がんへのオシメルチニブのアジュバント、CNS含む再発を有意に減少(ADAURA)/ESMO2020

 EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)へのオシメルチニブの術後療法については、第III相ADAURA試験の結果が本年の米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2020 Virtual Scientific Program)で発表され、主要評価項目である無病生存期間(DFS)についてはオシメルチニブ群の有意な改善が報告されていた(HR:0.17、95%CI:0.12~0.23、p<0.0001)。今回の欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)では、国立がん研究センター東病院の坪井 正博氏が同試験の再発に関するデータを発表した。

alpelisib+フルベストラント、PIK3CA陽性進行乳がんに対するOS最終結果(SOLAR-1)/ESMO2020

 ホルモン受容体陽性/HER2陰性(HR+/HER2-)、PIK3CA変異陽性の進行乳がんに対する、α特異的PI3K阻害薬alpelisibとフルベストラントの併用療法は、統計学的有意差には達しなかったものの、フルベストラント単剤療法と比較し全生存期間(OS)を7.9ヵ月延長した。フランス・Institut Gustave RoussyのFabrice Andre氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で第III相SOLAR-1試験のOS最終結果を発表した。  HR+/HER2-乳がん患者の約40%がPIK3CA変異を有し、予後不良と関連する。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)は、プラセボ群5.7ヵ月に対しalpelisib+フルベストラント併用群11.0ヵ月と有意な改善を示し(ハザード比[HR]:0.65、 95%信頼区間[CI]:0.50~0.85、片側検定p=0.00065)、米国FDA は2019年5月、欧州委員会は2020年7月に同併用療法を承認している。

統合失調症に対する抗精神病薬の維持療法

 統合失調症の症状や徴候は、脳の辺縁系に代表される特定の領域における高レベルのドパミンと関連している。抗精神病薬は、脳内のドパミン伝達をブロックし、統合失調症の急性症状を軽減させる。本レビューの元となる2012年発表のレビューでは、抗精神病薬が再発防止にも有効であるか調査された。今回、イタリア・ブレシア大学のAnna Ceraso氏らは、統合失調症患者に対する抗精神病薬の維持療法の効果について、薬剤を中止した場合と比較し、検討を行った。The Cochrane Database of Systematic Reviews誌2020年8月11日号の報告。

スマートウォッチで心電図変化を高精度・迅速に取得できる

 スマートウォッチで心筋梗塞を起こした人の命を救える日が来るかもしれない。その可能性を示唆する研究結果が「JAMA Cardiology」8月31日オンライン版に掲載された。  マグナ・グラエキア大学(イタリア)のCiro Indolfi氏らが行ったこの研究では、心電図検査機能を搭載したスマートウォッチの精度は、標準的な心電図検査とほぼ同程度であることが示された。この結果から同氏は、「臨床で使われている標準的な心電図検査を、いつでも実施できる状況にあるとは限らない。それに対してこの方法を使えば、迅速かつ簡便に心電図変化を検出でき、状況によっては予後を改善させることができる可能性がある」との見方を示している。

高齢入院患者のせん妄予防に対する薬理学的介入~メタ解析

 入院中の高齢患者に対するせん妄予防への薬理学的介入の効果について、スペイン・Canarian Foundation Institute of Health Research of Canary IslandsのBeatriz Leon-Salas氏らがメタ解析を実施し、包括的な評価を行った。Archives of Gerontology and Geriatrics誌2020年9~10月号の報告。  2019年3月までに公表された、65歳以上の入院患者を対象としたランダム化比較試験を、MEDLINE、EMBASE、WOS、Cochrane Central Register of Controlled Trialsの電子データベースよりシステマティックに検索した。事前に定義した基準を用いて研究を抽出し、それらの方法論的な質を評価した。

早期乳がん/DCISへの寡分割照射による乳房硬結リスク(DBCG HYPO試験)/JCO

 Danish Breast Cancer Group(DBCG)では、1982年以来、早期乳がんに対する放射線療法の標準レジメンは50Gy/25回である。今回、デンマーク・Aarhus University HospitalのBirgitte V. Offersen氏らは、リンパ節転移陰性乳がんまたは非浸潤性乳管がん(DCIS)に対する放射線療法において、40Gy/15回の寡分割照射が標準の50Gy/25回に比べて3年の乳房硬結が増加しないかどうかを検討するDBCG HYPO試験(無作為化第III相試験)を実施した。その結果、乳房硬結は増加せず、9年局所領域再発リスクは低いことが示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年9月10日号に掲載。

小児では新型コロナウイルスと抗体が同時に存在

 小児の体内では、新型コロナウイルスと、このウイルスと戦う抗体が同時に存在し得るとする驚きの研究結果が報告された。研究論文の筆頭著者である米国立小児病院のBurak Bahar氏は、「ほとんどのウイルスでは、抗体が検出された時点でウイルスは検出されなくなる。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では、両方が同時に検出されている。これは、抗体が検出された小児でも、ウイルスを伝播させる可能性があることを意味する」と述べている。詳細は、「The Journal of Pediatrics」9月3日オンライン版に掲載された。

温泉療法・水中運動で痛みが改善する

 温泉などの入浴や、さらにそれに運動などを組合せた治療法(spa therapy)によって慢性疾患による痛みが軽減し、生活の質(QOL)が改善することが、国内外のランダム化比較試験のシステマティックレビュー(メタ解析を含む)の結果から確認された。東京農業大学大学院農学研究科環境共生学専攻の上岡洋晴氏らによる論文が、「International Journal of General Medicine」7月22日オンライン版に掲載された。  温泉浴や水道水を用いた一般的な入浴を活用した統合医療は、多くの国で行われており、その効果を検証するランダム化比較試験が多数報告されている。それらを対象としたシステマティックレビューも報告されているが、さらにそれらに基づき全体としてはどうなのか、ということをオーバービュー(総括)した研究はほとんど実施されておらず、上岡氏らはその最新の取りまとめを行った。

朝食の欠食と遅い夕食が蛋白尿出現と関連―金沢市の健診データ

 朝食を食べないことと夜遅い時間に夕食を食べることが、蛋白尿の出現に関連していることが報告された。金沢市医師会との協力により、金沢大学附属病院栄養管理部の徳丸季聡氏、同大学大学院腎臓内科学の遠山直志氏、和田隆志氏らが、一般住民の健康診断データを用いて実施した追跡研究の結果で、「Nutrients」に8月19日掲載された。  蛋白尿や推算糸球体濾過量(eGFR)の低下で定義される慢性腎臓病(CKD)は、心血管疾患や末期腎不全のリスクであり、その発症抑制は公衆衛生上の重要な課題である。過剰なエネルギー摂取や栄養バランスの偏りは各種生活習慣病を介してCKD発症につながるが、今回の研究では、朝食の欠食などの好ましくない食習慣に着目して、蛋白尿出現との関連を後方視的に検討した。

バリシチニブ、レムデシビルと併用でCOVID-19回復期間を有意に短縮/米・リリー

 米国のイーライリリー・アンド・カンパニーは9月14日、同社の成人関節リウマチ治療薬バリシチニブとレムデシビル(ギリアド・サイエンシズ、商品名:ベクルリー点滴静注液)の併用により、COVID-19の入院患者の回復期間が、レムデシビル単独と比べ中央値で約1日短縮されたと発表した。これは、米国・国立アレルギー感染症研究所(NIAID)の主導で5月8日から始まったCOVID-19に対するアダプティブデザイン試験(ACTT-2試験)から得られた最初のデータとなる。  ACTT-2試験は、COVID-19の入院患者1,000例超を組み入れ、バリシチニブ4mg 1日1回とレムデシビルの併用療法の有効性および安全性をレムデシビル単独療法と比較評価するもので、主要評価項目は回復までの期間短縮。

精神病性うつ病患者の再発に対するベンゾジアゼピンの影響

 ベンゾジアゼピンの長期投与は、依存、転倒、認知障害、死亡リスクを含む有害事象が懸念され、不安以外の症状に対する有効性のエビデンスが欠如していることから、うつ病治療には推奨されていない。しかし、多くのうつ病患者において、抗うつ薬とベンゾジアゼピンの併用が行われている。東京医科歯科大学の塩飽 裕紀氏らは、ベンゾジアゼピン使用がうつ病患者の再発または再燃リスクを低下させるか調査し、リスク低下の患者の特徴について検討を行った。Journal of Clinical Medicine誌2020年6月21日号の報告。

ヘアカラーの使用はがんリスクと関連するのか

 ヘアカラーリング剤(ヘアカラー)に発がん性物質が含まれているのではないか。そんな心配をしている人々を安堵させる研究結果が、米ハーバード大学医学大学院およびブリガム・アンド・ウイメンズ病院のYin Zhang氏らにより、「BMJ」9月2日オンライン版に発表された。自宅でパーマネントヘアカラー(永久染毛剤)を使用しても、ほとんどのがんの発症やがんによる死亡のリスクの増加とは関連しないことが明らかになったという。  米国およびヨーロッパでは、40歳以上の女性の50〜80%、男性の10人に1人が、髪の毛を染めているという。米国がん協会(ACS)によると、米食品医薬品局(FDA)は、ヘアカラーを化粧品として規制しているが、安全面の責任の大部分は製造業者任せである。米国およびヨーロッパで使用されているヘアカラーの約80%は、髪の根元が伸びて、髪色に段差ができるまで色持ちするパーマネントヘアカラーである。しかし、研究チームによると、この広範に使用されているパーマネントヘアカラーこそが、がんの発症リスクについて大きな潜在的懸念を引き起こしていると指摘する。

「嫌な性格の人」は出世が遅い?

 自分勝手で嫌な性格の人は、成功までの道のりが長いことが、米カリフォルニア大学バークレー校Haas School of BusinessのCameron Anderson氏らが実施した2件の研究から明らかになった。研究結果は、「Proceedings of the National Academy of Sciences」8月31日オンライン版に発表された。  この研究は、1999〜2008年(Time 1)に米国の3つの大学の大学院またはMBA(経営学修士)プログラムに在籍していた男女を対象としたもの。人格評価尺度として用いられたのは、外向性、開放性、協調性、勤勉性、神経症傾向の5つの次元で人格を評価するBig Five Inventory(BFI)とNEO Personality Inventory-Revised(NEO PI-R)の2種類である。

母乳を介した新型コロナウイルス感染の可能性は低い

 授乳中の母親から、母乳を介して新型コロナウイルスが乳児に感染する可能性は低いことが、米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)小児科教授のChristina Chambers氏らによる新たな研究で報告された。研究結果の詳細は、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」8月19日オンライン版に掲載された。  新型コロナウイルスへの感染が世界中で拡大し続ける中、母乳育児中の母親の中には、子どもへの感染を心配する人も少なくないだろう。ウイルスを含んだ母乳を通して乳幼児が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患したという事例は、今のところ報告されていないが、この形での感染リスクの可能性については疑問が残ったままである。

長生きしたければ体重が減るのを待っていてはいけない

 肥満のため減量を考えているのであれば、先延ばしせずに、早めに実行した方が良いかもしれない。肥満の人が中年期までに減量すると、早期死亡のリスクが54%低下するという。米国成人約2万4,000人を追跡して明らかになった結果であり、「JAMA Network Open」8月14日オンライン版に掲載された。  米ボストン大学のAndrew Stokes氏らは、米国国民健康栄養調査のデータを用いて、成人期の体重変化と死亡リスクとの関連を検討した。解析対象者2万4,205人のベースライン時の平均年齢は54.2±9.6歳、女性49.0%。BMIはベースライン時の平均が29.0±6.1、個人の記憶から算出した25歳時点の平均が23.7±4.1、ベースラインの10年前(平均約44歳時点)では27.2±5.7だった。

躁病エピソードに対するリチウムと抗精神病薬の併用

 韓国・漢陽大学校のHyun Kyung Lee氏らは、双極性障害患者の躁病エピソードに対するリチウムと抗精神病薬の併用について、人口統計学的予測因子の検討および入院期間や総医療費に及ぼす影響の調査を行った。Cureus誌2020年6月11日号の報告。  韓国入院患者サンプルを用いて、リチウム治療を行った躁病エピソードを有する成人双極性障害患者1,435例を調査した。入院期間や総医療費への影響を調査するため、同等性評価を伴う独立標本t検定を用いた。ロジスティック回帰モデルを用いて、併用療法のオッズ比(OR)を算出し、95%信頼区間(CI)を推定した。

米FDAが新型コロナウイルスの新しい抗原検査法を緊急使用許可

 米食品医薬品局(FDA)は8月26日、テストカードから直接結果が読み取れる、新型コロナウイルス抗原迅速検査に緊急使用許可を与えたことを発表した。  BinaxNOW COVID-19 Ag Cardと称するAbbott Laboratories社のこの抗原検査法は、インフルエンザ、レンサ球菌咽頭炎や、その他の感染症の検査に使用されるのと同じ技術に基づいており、診察室や救急室、学校などの場所で行うポイントオブケアでの活用が期待されている。検査対象者は、医療従事者が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患している疑いがあると判断した、発症から7日以内の人である。

長い昼寝は寿命を縮める?

 一般的に、健康的な習慣と見なされている昼寝だが、1時間以上の昼寝は、心血管疾患や全死亡のリスク上昇を招くとする研究結果が、バーチャル開催された欧州心臓病学会(ESC 2020、8月29日~9月1日)で報告された。研究を実施した広州医科大学(中国)のZhe Pan氏は、「われわれの研究結果は、昼寝はパフォーマンス向上をもたらし、睡眠負債による悪影響を緩和するという通説に疑問を投げ掛けるものだ」と話している。  Pan氏らは、2019年12月までに発表された、昼寝と心血管疾患、および/または全死亡リスクとの関連を検討した研究論文のシステマティックレビューを実施し、基準を満たした20件の研究論文を基に解析を行った。解析対象者の総計は31万3,651人(女性が57.8%)で、このうち38.9%に当たる人が昼寝の習慣を持っていた。

抗HIV薬の短期服用も感染予防の有用な選択肢

 HIVに感染するリスクの高い人が、感染予防のために、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩とエムトリシタビンの合剤(商品名ツルバダ)などの抗レトロウイルス薬を毎日服用する、曝露前予防内服(PrEP)と呼ばれる方法が登場してから数年が経過した。米疾病対策センター(CDC)によると、PrEPによって、性交渉でHIVに感染するリスクは99%低下し、注射薬物の使用者でも、同リスクは少なくとも74%低下するという。PrEPで使用する薬剤費は、メディケイドを含めたほとんどの保険でカバーされている上に、副作用は軽く、一時的なものがほとんどだとされている。