PD-L1陽性非小細胞肺がん(NSCLC)において、TROP2を標的とする抗体薬物複合体(ADC)sacituzumab tirumotecan(sac-TMT)とペムブロリズマブの併用療法は、ペムブロリズマブ単剤と比較して無増悪生存期間(PFS)を改善した。海外第III相試験「OptiTROP-Lung05試験」の結果を、Caicun Zhou氏(中国・Shanghai East Hospital)が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)で発表した。本研究結果は、Lancet誌オンライン版2026年5月29日号に同時掲載された1)。
・試験デザイン:海外第III相無作為化非盲検試験(中国のみで実施)
・対象:未治療の局所進行または転移を有するStageIIIB~IVのNSCLC患者で、PD-L1 TPS 1%以上の患者(EGFR遺伝子変異陰性、ALK融合遺伝子陰性)
・試験群(sac-TMT群):sac-TMT(4mg/kg、2週ごと)+ペムブロリズマブ(400mg、6週ごと、18サイクルまで)208例
・対照群(ペムブロリズマブ群):ペムブロリズマブ(同上)205例
・評価項目:
[主要評価項目]RECIST v1.1に基づく盲検下独立中央判定(BICR)によるPFS
[主要な副次評価項目]全生存期間(OS)
[副次評価項目]治験担当医師評価によるPFS、奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)、奏効期間(DOR)、安全性など
主な結果は以下のとおり。
・患者背景は両群でおおむねバランスがとれていた。年齢中央値はsac-TMT群64歳、ペムブロリズマブ群65歳で、65歳以上はそれぞれ48.6%、52.7%であった。男性の割合はそれぞれ79.8%、84.9%、ECOG PS 1はそれぞれ84.6%、84.4%であった。
・データカットオフ時点(2025年9月29日)で治療を継続していた患者の割合は、sac-TMT群63.5%、ペムブロリズマブ群33.2%であった。
・主要評価項目であるBICRによるPFSは、sac-TMT群で有意に改善した。BICRによるPFS中央値は、sac-TMT群が未到達、ペムブロリズマブ群で5.7ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.35、95%CI:0.26~0.47、p<0.0001)。12ヵ月PFS率は、それぞれ62.4%、29.0%であった。
・PD-L1 TPS別、組織型別にみたBICRによるPFS中央値は以下のとおり(sac-TMT群vs.ペムブロリズマブ群)。
<TPS 50%以上>
未到達vs.9.5ヵ月(HR:0.47、95%CI:0.29~0.77)
<TPS 1~49%>
未到達vs.4.3ヵ月(HR:0.28、95%CI:0.19~0.41)
<非扁平上皮>
未到達vs.6.6ヵ月(HR:0.28、95%CI:0.18~0.43)
<扁平上皮>
未到達vs.5.5ヵ月(HR:0.44、95%CI:0.29~0.66)
・OSは解析時点で未成熟であったが、sac-TMT群で良好な傾向が認められた。ORR、DORもsac-TMT群が良好であった。詳細は以下のとおり(sac-TMT群vs.ペムブロリズマブ群)。
<OS中央値>
未到達vs.14.5ヵ月(HR:0.55、95%CI:0.36~0.85)
<ORR>
70.2%vs.42.0%
<ORR(PD-L1 TPS 50%以上)>
80.7%vs.60.5%
<ORR(PD-L1 TPS 1~49%)>
63.2%vs.30.1%
<12ヵ月DOR率>
77.7%vs.59.4%(HR:0.47、95%CI:0.27~0.82)
・試験治療下における有害事象(TEAE)はsac-TMT群99.5%、ペムブロリズマブ群87.3%に認められた。Grade3以上のTEAEはそれぞれ55.3%、31.4%であり、sac-TMT群で多かった。
・重篤なTEAEはsac-TMT群38.9%、ペムブロリズマブ群28.9%に認められた。死亡に至ったTEAEはそれぞれ2.4%、6.4%に認められたが、sac-TMTに起因すると判断された治療関連死亡は認められなかった。
・sac-TMTに関する、とくに注目すべき有害事象として、貧血87.0%、好中球数減少45.2%、口内炎44.2%、眼表面毒性14.4%、注入に伴う反応5.8%が認められた。Grade3以上では、好中球数減少19.2%、貧血9.1%、口内炎6.3%であった。
本試験結果についてZhou氏は「EGFR遺伝子変異やALK遺伝子異常のないPD-L1陽性進行NSCLCの1次治療において、sac-TMTとペムブロリズマブの併用療法が新たな治療選択肢となる可能性を支持するものである」とまとめた。
(ケアネット 佐藤 亮)