特発性肺線維症(IPF)患者において、52週間の吸入トレプロスチニル投与はプラセボと比較し、努力肺活量(FVC)の低下および臨床的悪化のイベント発現を抑制したことが示された。米国・Inova Fairfax HospitalのSteven D. Nathan氏らが、「TETON-1試験」の結果と、先に発表されていた「TETON-2試験」の結果(https://www.carenet.com/news/journal/carenet/62502)の統合解析結果を報告した。IPFは現在、3剤の治療薬が承認されているが、予後は依然として不良であり、さらなる効果的な治療法が必要とされていた。NEJM誌オンライン版2026年5月18日号掲載の報告。
吸入トレプロスチニルの有効性、52週時のFVCのベースラインからの変化量で評価
TETON-1試験は、米国およびカナダの94施設で実施された第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験。試験デザインは、日本を含む16ヵ国107施設で実施された「TETON-2試験」と同様であった。
研究グループは、40歳以上のIPF患者を吸入トレプロスチニル群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、3吸入を1日4回で開始し、12吸入を1日4回に増量し、52週間投与した。
主要エンドポイントはFVCのベースラインから52週時までの変化量(絶対値)であった。重要な副次エンドポイント(多重性を制御するために事前に規定された順序で解析)は、IPFの臨床的悪化(全死因死亡、呼吸器系の原因による入院、FVCの予測値に対する割合[%FVC]の10%以上低下のいずれか初発)およびIPFの急性増悪までの期間であった(それぞれtime-to-event解析で評価)。また、52週時で評価した他の副次エンドポイントとして、全生存、%FVCの変化量、QOL、一酸化炭素肺拡散能の変化量などが含まれた。
主要エンドポイントおよび主な副次エンドポイントについては全体の第1種の過誤確率を0.05に制御するため、ゲートキーピング法にて検定を行うことが事前に規定された。
TETON-2試験と同様、FVC変化量、臨床的悪化に関して有意差を認める
TETON-1試験では、2021年6月1日~2025年1月30日に598例が無作為化され、試験薬を少なくとも1回投与された(トレプロスチニル群299例、プラセボ群299例)。このうち434例が52週時の評価を完了した(それぞれ218例、216例)。患者背景は平均年齢73.0歳、男性が77.3%、基礎治療として抗線維化療法(ニンテダニブまたはピルフェニドン)を受けていたのは77.6%、ベースラインの%FVC平均値は74.6%であった。
52週時のFVCの変化量中央値は、トレプロスチニル群-43.3mL(95%信頼区間[CI]:-92.1~-9.1)、プラセボ群-196.2mL(95%CI:-227.1~-155.6)であり、群間差は130.1mL(95%CI:82.2~178.1、p<0.001)であった。
臨床的悪化は、トレプロスチニル群で95例(31.8%)、プラセボ群で133例(44.5%)に認められた(ハザード比:0.67、95%CI:0.52~0.88、p=0.003)。IPFの初回急性増悪までの期間に有意差は認められず、その後の副次エンドポイントに関する検定は行われなかった。
主な有害事象は咳嗽で、トレプロスチニル群54.8%、プラセボ群33.1%で報告された。トレプロスチニルまたはプラセボの投与中止は、それぞれ40.5%および32.8%に発生し、主な理由は有害事象であった(それぞれ20.7%および14.7%)。
TETON-1試験およびTETON-2試験の統合解析においても、有効性および安全性に関する結果は同様であった。
(医学ライター 吉尾 幸恵)