うつ病患者の睡眠に対する運動の影響~メタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2021/04/19

 

 不眠症は、うつ病の発症、経過、再発を予測する因子である。しかし、うつ病における不眠症治療オプションに関するシステマティックレビューは十分に行われていなかった。スイス・バーゼル大学のGavin Brupbacher氏らは、うつ病患者の睡眠に対する運動療法の影響を調査するため、メタ解析を実施した。Sleep Medicine Reviews誌オンライン版2021年1月23日号の報告。

 7,725件をスクリーニングし、13種類の治療にランダム化された17研究(1,645例)を定量的合成に含めた。

 主な結果は以下のとおり。

・ネットワークメタ解析では、受動的なコントロール条件と比較し、中程度の有酸素運動を除くすべての運動介入は、有意に良好な睡眠アウトカムをもたらした。
・通常治療と比較し、有意に良好な効果が認められた運動介入は以下のとおりであった。
 ●通常治療と心身運動介入の併用(SMD:-0.46、95%CI:-0.80~-0.12)
 ●激しい筋力運動介入(SMD:-0.61、95%CI:-1.12~-0.10)
・ペアワイズメタ解析では、受動的なコントロール条件と比較し、心身運動介入が有益な効果を持っていることが示唆された(SMD:-0.54、95%CI:-0.85~-0.23)。
・ネットワークメタ解析は、統計学的に強い頑健性が認められ、不均一性、一貫性の欠如、間接性は低かった。
・主に研究内バイアスの影響により、調査結果の信頼度は、中程度~非常に低いであった。

 著者らは「本研究は、うつ病患者の睡眠の質を改善するための運動介入の有効性を評価した最初のネットワークメタ解析である。うつ病治療において、運動療法の併用は有用であることが確認された。この結果は、臨床医がエビデンスに基づいた治療を決定するうえで役立つであろう」としている。

(鷹野 敦夫)