腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:4

転移乳がんへのCDK4/6阻害薬、1次治療と2次治療でOSに差なし~メタ解析

 CDK4/6阻害薬は、HR+/HER2-転移乳がんに対して、1次治療での使用が2次治療での使用より無増悪生存期間(PFS)の改善が認められたことから、1次治療としてガイドラインで推奨されている。一方、1次治療からの使用は累積毒性とコストの増加に関連することがSONIA試験で示唆されており、1次治療と2次治療の生存期間を比較したデータは少ない。今回、ブラジル・サンパウロ大学のLis Victoria Ravani氏/米国・マサチューセッツ総合病院のZahra Bagheri氏らがメタ解析を行った結果、2次治療での使用は1次治療からの使用と比べ、PFS2(無作為化から2次治療で進行するまでの期間)は悪化したが、全生存期間(OS)は同等であることが示唆された。Breast Cancer Research誌2025年8月13日号に掲載。

パッチ検査でメラノーマを早期発見できる日は近い?

 将来的には、自宅で行う新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の簡易検査のように、メラノーマ(悪性黒色腫)の検査ができるようになるかもしれない。米ミシガン大学の研究グループが、マイクロニードルが埋め込まれた「ExoPatch」と呼ばれるシリコンパッチにより、マウスのメラノーマと健康な皮膚を区別することができたとする研究結果を報告した。同大学の化学工学教授のSunitha Nagrath氏は、「成功すれば、このパッチが皮膚がん検出に革命を起こす可能性がある」と述べている。米国立衛生研究所(NIH)の資金提供を受けて実施されたこの研究の詳細は、「Biosensors and Bioelectronics」10月1日号に掲載された。

早期乳がん、5年以上の内分泌療法後にAI投与5年で遠隔再発27%減/Lancet

 術後内分泌療法を5年以上施行した患者にアロマターゼ阻害薬療法(AIT)を追加で5年間実施することにより、順守率がかなり低かったにもかかわらず、その後の遠隔再発率は約25%減少した。英国・オックスフォード大学のJeremy Braybrooke氏らEarly Breast Cancer Trialists' Collaborative Group(EBCTCG)がメタ解析で明らかにした。エストロゲン受容体(ER)陽性早期乳がんの閉経後女性において、5年間のタモキシフェン術後内分泌療法は15年再発率と死亡率を大幅に低下させ、AITはさらに効果的である。研究グループは、少なくとも5年間の内分泌療法後に再発のない女性を対象に、AIT追加の有効性を評価した。著者は、「死亡への影響を直接評価するには、より長期の追跡調査が必要と考えられる」とまとめている。Lancet誌2025年8月9日号掲載の報告。

再発・難治性多発性骨髄腫、CAR-Tへのブリッジングとしてのトアルクエタマブの可能性/Blood

 再発・難治性多発性骨髄腫に対するBCMAを標的としたCAR-T療法へのブリッジング療法として、二重特異性抗体であるトアルクエタマブの有用性を多施設後ろ向き解析で評価した結果、実行可能で安全かつ効果的であることが示唆された。米国・ウィスコンシン医科大学のBinod Dhakal氏らがBlood誌オンライン版2025年8月1日号で報告。

肝臓がんの60%は予防可能

 進行が早く致死的となることも多い肝臓がんの60%は、重要なリスク因子を回避または治療することで予防できることが、新たな国際的研究で明らかにされた。重要なリスク因子とは、ウイルス性肝炎への罹患、アルコールの乱用、または肥満に関連する危険な肝脂肪の蓄積などであるという。論文の筆頭著者である香港中文大学(中国)のStephen Chan氏は、「各国がこれらのリスク因子に焦点を絞り、肝臓がんの発生を防いで人々の命を救う大きな機会があることを浮き彫りにする結果だ」と述べている。この研究は、肝臓がんに関する特別報告書として、「The Lancet」に7月28日掲載された。

がん免疫療法の効果に自己抗体が影響か

 がんに対する免疫チェックポイント阻害薬(CPI)を用いた治療は、一部の患者では非常に高い効果を示す一方でほとんど効果が得られない患者もおり、その理由は不明である。しかし、その解明につながる可能性のある知見が得られたとする研究結果が報告された。患者自身の自己抗体(自分の細胞や組織の成分を標的として産生される抗体)が、CPIに対する反応に極めて大きな影響を及ぼしている可能性のあることが示されたという。米フレッド・ハッチンソンがんセンターの免疫療法学科長であるAaron Ring氏らによるこの研究結果は、「Nature」に7月23日掲載された。

45~49歳の大腸がん検診、受診率を上げるには/JAMA

 米国の45~49歳の大腸がん検診において、既定の郵送型免疫化学的便潜血検査(FIT)と比較して参加者自身の能動的選択(FITまたは大腸内視鏡検査を3種類のアウトリーチ戦略で選ぶ)に基づく検査はいずれも、6ヵ月後の検診の受診率が劣ることが、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のArtin Galoosian氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2025年8月4日号に掲載された。  米国では、2021年、大腸がんの検診開始年齢が45歳に引き下げられたが、この年齢層における最適な受診促進法は明らかでない。研究グループは、45~49歳の年齢層における大腸がん検診の受診を促進するための、集団健康施策(population health)上の最も効果的なアウトリーチ戦略を決定する目的で、研究者主導の無作為化臨床試験を行った(UCLA Melvin and Bren Simon Gastroenterology Quality Improvement Programなどの助成を受けた)。

新たなエビデンス踏まえ薬物療法・ゲノム検査など改訂「膵癌診療ガイドライン」/日本膵臓学会

 2025年7月、「膵癌診療ガイドライン」が改訂された。2022年から3年ぶりの改訂で、第7版となる。Minds診療ガイドライン作成マニュアルに基づいて作成され、Background Question、Clinical Question(CQ)のほか、エビデンスが足りないなどでシステマティック・レビューができない項目はFuture Research Question(FRQ)として新設された。  7月25~26日に行われた第56回日本膵臓学会大会では、「膵癌診療ガイドライン 2025―改訂のポイント」と題したセッションが開催され、外科的治療、薬物療法、放射線治療、支持・緩和療法など、9つの専門グループから改訂点が発表された。同学会の教育セミナー「がん薬物療法・ゲノム医療」において森實 千種氏(国立がん研究センター中央病院)が紹介した内容と合わせ、薬物療法を中心に、本ガイドラインの主な改訂点を紹介する(文中下線は編集部)。

早期乳がんの生存率、乳房温存療法vs.全切除術~単施設9千例で解析

 米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのMin Yi氏らが、単施設における早期乳がんの初回治療での乳房温存療法(乳房部分切除後に放射線照射)と乳房全切除術について、全生存期間(OS)、無遠隔転移生存期間(DMFS)、局所領域再発(LRR)、乳がん特異的生存期間を比較したところ、同程度であることが示唆された。Annals of Surgical Oncology誌オンライン版2025年8月11日号に掲載。  本研究は、2000年1月1日~2014年12月31日に初回治療として手術を受けたT1-2、N0-1、M0の乳がん女性8,967例を対象とした。傾向スコアに基づく逆確率重み付け(IPW)を用いて、全コホートおよびサブセット解析(Stageとホルモン受容体の有無の組み合わせ)における生存モデルでの交絡を排除した。

ワクチンの追加接種はがん患者のCOVID-19重症化を防ぐ

 がん患者は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が重症化しやすいとされるが、新型コロナワクチンの追加接種を受けることで重症化を予防できる可能性があるようだ。新たな研究で、COVID-19によるがん患者の入院リスクは、新型コロナワクチンの追加接種によって、未接種の患者と比べて29%低下することが示された。米シダーズ・サイナイ医療センター地域保健・人口研究部長のJane Figueiredo氏らによるこの研究結果は、「JAMA Oncology」に7月17日掲載された。  この研究では、シダーズ・サイナイ、カイザー・パーマネンテ北カリフォルニア、ニューヨークのノースウェル・ヘルス、および退役軍人保健局でがん治療を受けたがん患者を対象に、従来型の新型コロナ1価ワクチン(2022年1月までに接種)、および変異株に対応した2価ワクチン(2022年9月1日〜2023年8月31日の間に接種)の追加接種がもたらす効果を検討した。