腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:4

左右の肺がんで死亡リスクに差~日本のがん登録データ

 肺がん罹患率は、解剖学的、遺伝的、環境的要因の影響により右肺と左肺で異なる可能性がこれまでの研究で示唆されている。今回、千葉県がんセンターの道端 伸明氏らが日本のがん登録データで調べたところ、右側肺がんが左側肺がんより多く、死亡リスクは男性では右側肺がんが高かったが、女性では差がなかったという。Cancer Epidemiology誌オンライン版2025年6月24日号に掲載。

オピオイド使用がん患者へのナルデメジン、便秘予防にも有用~日本のRCTで評価/JCO

 オピオイドは、がん患者の疼痛管理に重要な役割を果たしているが、オピオイド誘発性便秘症を引き起こすことが多い。オピオイド誘発性便秘症に対し、ナルデメジンが有効であることが示されているが、オピオイド誘発性便秘症の予防方法は確立されていない。そこで、濵野 淳氏(筑波大学医学医療系 緩和医療学・総合診療医学 講師)らの研究グループは、ナルデメジンのオピオイド誘発性便秘症の予防効果を検討した。その結果、ナルデメジンはオピオイド誘発性便秘症に対する予防効果を示し、QOLの向上や悪心・嘔吐の予防効果もみられた。本研究結果は、Journal of Clinical Oncology誌2024年12月号に掲載された。

バレット食道の経過観察、カプセルスポンジ検査が有用/Lancet

 英国・ケンブリッジ大学のW Keith Tan氏らDELTA consortiumは、食道全体から細胞を採取するデバイス(カプセルスポンジ)とバイオマーカーを組み合わせて、患者を3つのリスク群に層別化する検査法を開発し、英国の13施設にて2つの多施設前向きプラグマティック実装試験の一部として評価した結果、このリスク分類に基づく低リスクのバレット食道患者の経過観察では、内視鏡検査の代わりにカプセルスポンジを使用可能であることを明らかにした。内視鏡検査による経過観察はバレット食道の臨床標準であるが、その有効性は一貫していなかった。Lancet誌オンライン版2025年6月23日号掲載の報告。

両側乳がん、ホルモン受容体の有無でDFSに差~多施設後ろ向き研究

 両側乳がんはきわめて少なく、臨床的特徴に関するデータは限られている。今回、トルコ・Dr. Abdurrahman Yurtaslan Ankara Oncology Training and Research HospitalのBerkan Karabuga氏らが、両側乳がんを同時性(SBBC)と異時性(MBBC)に分けて臨床病理学的特徴や生存アウトカムを検討したところ、無病生存期間(DFS)は2群間で有意差はなかったが、5年全生存(OS)率はMBBC群のほうが有意に高かった。また、両側乳がん全体として、ホルモン受容体(HR)陰性がDFS短縮の独立したリスク因子として特定された。Medicina誌2025年6月号に掲載。

がん診療に明日から役立つtips満載、第15回亀田総合病院腫瘍内科セミナー【ご案内】

 2025年7月20日(日)に、第15回亀田総合病院腫瘍内科セミナーが御茶ノ水での現地開催とWeb上のLIVE配信のハイブリッド形式で開催される。白井 敬祐氏(ダートマス大学腫瘍内科)、中村 能章氏(Department of Oncology, University of Oxford)、佐田 竜一氏(大阪大学大学院医学系研究科感染制御学)を講師として迎え、がん診療における臨床推論、救急対応、感染症、コミュニケーション方法など幅広い領域を扱う。亀田総合病院腫瘍内科スタッフによる、ベッドサイドで役立つ「実臨床における思考過程」を解説する講座も用意されており、がん診療において明日から役立つtipsを学ぶことができる内容となっている。

低リスク分化型甲状腺がん、全摘後のアブレーションは回避できるか/Lancet

 低リスクの分化型甲状腺がん患者の治療において、甲状腺全摘後に放射性ヨウ素治療(アブレーション)を行った場合と比較して、アブレーションを行わない場合でも5年無再発生存期間(RFS)は非劣性であり、有害事象の発現は両群で同程度であることから、この治療は安全に回避可能であることが、英国・Freeman HospitalのUjjal Mallick氏らが実施した「IoN試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2025年6月18日号で報告された。  IoN試験は、英国の33のがん治療施設で行われた第III相非盲検無作為化対照比較非劣性試験であり、2012年6月~2020年3月に参加者を登録した(Cancer Research UKの助成を受けた)。

非喫煙者の肺がん、よく料理する人ほどリスク高い?

 家庭内空気汚染が非喫煙者における肺がんの潜在的な原因であるというエビデンスが蓄積され、空気中の粒子状物質、家庭用家具から発生する揮発性有機化合物、調理煙への曝露が肺がんリスクを高める可能性がある。今回、英国・レスター大学のBria Joyce McAllister氏らが、家庭内空気汚染の1つである調理煙への曝露と非喫煙者の肺がんとの潜在的関連について高所得国で検討し、関連性が認められたことを報告した。1日1食調理する女性に対し1日3食調理する女性の肺がんのオッズ比(OR)は3.1と発症リスクが高かった一方、換気フード使用のORは0.49と予防効果が示唆された。BMJ Open誌2025年6月20日号に掲載。

TN乳がん術前ペムブロリズマブ併用化学療法、ddAC vs.AC

 高リスクの早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対し、ペムブロリズマブ+化学療法による術前補助療法およびペムブロリズマブ単独による術後補助療法は、病理学的完全奏効(pCR)および無イベント生存期間(EFS)を有意に改善することがKEYNOTE-522試験で示された。しかし、同試験では術前化学療法のレジメンとしてdose-denseAC(ddAC)療法は使用されていなかった。カルボプラチン+パクリタキセルとペムブロリズマブにddAC療法を併用した術前補助療法の有効性と安全性を評価する目的で、ブラジル・Hospital do Cancer de LondrinaのVitor Teixeira Liutti氏らはメタ解析を実施。結果をBreast Cancer Research and Treatment誌オンライン版2025年6月13日号で報告した。

遺伝性・散発性の乳頭状腎細胞がん、ベバシズマブ+エルロチニブが有望/NEJM

 遺伝性平滑筋腫症腎細胞がん症候群(HLRCC)随伴性または散発性の乳頭状腎細胞がん患者において、ベバシズマブとエルロチニブの併用投与により抗腫瘍活性が得られ、毒性は併用レジメンで既知のものであったことを、米国国立がん研究所のRamaprasad Srinivasan氏らが、単施設で実施した第II相非盲検試験の結果で明らかにした。HLRCCは、フマル酸ヒドラターゼをコードする遺伝子の生殖細胞系列変異によって特徴付けられる遺伝性疾患で、乳頭状腎細胞がんのリスクが高い。進行HLRCC随伴性乳頭状腎細胞がん患者の多くは疾患進行により死に至るため、有効な治療法の確立が望まれていた。NEJM誌2025年6月19日号掲載の報告。

高齢の進行古典的ホジキンリンパ腫、ニボルマブ+AVDがBV+AVDより有用(S1826サブ解析)/JCO

 進行古典的ホジキンリンパ腫に対する1次治療としてニボルマブ(N)+AVD(ドキソルビシン+ビンブラスチン+ダカルバジン)とブレンツキシマブ ベドチン(BV)+AVDを比較した第III相S1826試験における高齢者(60歳以上)のサブセット解析で、N+AVDはBV+AVDより忍容性および有効性が高いことが示された。米国・Weill Cornell MedicineのSarah C. Rutherford氏らがJournal of Clinical Oncology誌オンライン版2025年6月16日号で報告した。