腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:4

ED-SCLCへのアテゾリズマブ+化学療法、維持療法にlurbinectedin上乗せでPFS・OS改善(IMforte)/ASCO2025

 PS0/1の進展型小細胞肺がん(ED-SCLC)の標準治療は、プラチナ製剤+エトポシド+PD-L1阻害薬であり、維持療法としてPD-L1阻害薬単剤での投与を継続する。カルボプラチン+エトポシド+アテゾリズマブによる治療の維持療法に、lurbinectedinを上乗せすることで、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)が改善することが示された。米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)において、Luis Paz-ares氏(スペイン・Hospital Universitario 12 de Octubre)が、海外第III相無作為化比較試験「IMforte試験」のOSの中間解析およびPFSの主解析の結果を報告した。本結果は、Lancet誌オンライン版2025年6月2日号に同時掲載された。

DLBCLの予後予測、1次治療後のPhasED-Seqを用いたctDNAによるMRDが有用~前向き多施設共同研究/ASCO2025

 1次治療を受けるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者の予後予測に、治療終了時におけるPhasED-seq(phased variant enrichment and detection sequencing)を用いた循環腫瘍DNAによる測定可能残存病変(ctDNA-MRD)検出が有用であることが、全国規模の前向き多施設共同研究で示された。オランダ・Amsterdam UMC Location Vrije UniversiteitのSteven Wang氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)で発表した。

HER2陽性胃がん2次治療、T-DXdがラムシルマブ+パクリタキセルを上回る(DESTINY-Gastric04)/ASCO2025

 切除不能または転移のあるHER2陽性胃がんに対する標準的な1次治療は、トラスツズマブ+化学療法の併用である。最近のKEYNOTE-811試験の結果に基づき、CPS 1以上であればペムブロリズマブ併⽤も推奨される。その後の2次治療の標準治療はラムシルマブ+パクリタキセルまたはペムブロリズマブだが、ペムブロリズマブは今後1次治療で使われることが見込まれ、ラムシルマブ+パクリタキセルが実質的な標準治療の位置付けとなる。  DESTINY-Gastric04試験は、現在は切除不能HER2陽性胃がんの3次治療以降に承認されているADC・トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)を、2次治療としてラムシルマブ+パクリタキセル併用療法と直接比較した試験である。米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)で国立がん研究センター東病院の設楽 紘平氏が本試験の結果を発表し、この内容はNEJM誌オンライン版2025年5月31日号に同時掲載された。

AI+CDK4/6i療法中にESR1変異検出、camizestrantへの切り替えでPFS改善(SERENA-6)/ASCO2025

 ER+/HER2-の進行または転移を有する乳がんと診断され、アロマターゼ阻害薬(AI)+CDK4/6阻害薬の併用療法中にESR1変異が検出された患者を対象に、camizestrant+CDK4/6阻害薬への切り替えまたはAI+CDK4/6阻害薬の継続の有用性を検討した第III相SERENA-6試験の中間解析の結果、camizestrant+CDK4/6阻害薬への切り替えによって無増悪生存期間(PFS)が統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示したことを英国・Royal Marsden HospitalのNicholas C. Turner氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)で発表した。本研究は、2025年6月1日のNEJM誌オンライン版に同時掲載された。

小細胞肺がん2次治療、タルラタマブがOS・PFS改善(DeLLPhi-304)/ASCO2025

 2ライン以上の治療歴を有する小細胞肺がん(SCLC)患者を対象とした国際共同第II相試験「DeLLphi-301試験」において、タルラタマブが良好な成績を示したことを受け、本邦では「がん化学療法後に増悪した小細胞肺癌」の適応で2025年4月16日に発売された。また、『肺癌診療ガイドライン2024年版』では、全身状態が良好(PS0~1)な再発SCLCの3次治療以降にタルラタマブを用いることを弱く推奨することが記載されている。より早期におけるタルラタマブの有用性を検討する試験として、SCLCの2次治療におけるタルラタマブの有用性を化学療法との比較により検証する国際共同第III相試験「DeLLphi-304試験」が進行中である。米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)において、Charles M. Rudin氏(米国・メモリアルスローンケタリングがんセンター)が、本試験の第1回中間解析の結果を報告した。本試験において、タルラタマブは化学療法と比較して全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)を改善することが示された。本結果は、NEJM誌オンライン版2025年6月2日号に同時掲載された。

HER2+進行乳がん1次治療のT-DXd+ペルツズマブ、進行/死亡リスクを44%減(DESTINY-Breast09)/ASCO2025

 HER2+の進行または転移を有する乳がん患者の1次治療として、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)+ペルツズマブ併用療法の有用性を評価した第III相DESTINY-Breast09試験の中間解析の結果、現在の標準治療よりも無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したことを、米国・ダナファーバーがん研究所のSara M. Tolaney氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)で発表した。  DESTINY-Breast09試験は、HER2+の進行または転移を有する乳がん患者の1次治療として、T-DXd単独またはT-DXd+ペルツズマブ併用療法の有効性と安全性を、標準治療であるタキサン+トラスツズマブ+ペルツズマブ併用療法(THP療法)と比較評価することを目的として実施された。対象は、HER2+(IHC 3+またはISH+)の進行または転移を有する乳がんと診断され、進行・転移病変に対する化学療法またはHER2標的療法の治療歴がない、または内分泌療法歴が1ラインのみの患者であった。術前または術後補助療法として化学療法またはHER2標的療法の治療歴があっても、転移までの期間が6ヵ月を超える場合は対象となった。

真性多血症へのrusfertideの第III相試験、32週までの結果(VERIFY)/ASCO2025

 標準治療を受けている真性多血症(PV)患者で頻回の瀉血を必要とする患者に対するrusfertideの上乗せのベネフィットを評価する現在進行中の国際共同第III相VERIFY試験のパート1aにおいて、臨床的奏効割合、瀉血回数、ヘマトクリット値および症状の改善が示された。米国・Moffitt Cancer CenterのAndrew Tucker Kuykendall氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)のプレナリーセッションで発表した。  PVは赤血球の過剰産生を特徴とし、心血管・血栓イベントリスクを増加させる。rusfertideは鉄恒常性における主な調節因子であるヘプシジンのペプチド模倣薬である。この国際共同無作為化プラセボ対照第III相試験は、パート1a(用量漸増、二重盲検)、パート1b(非盲検)、パート2(非盲検、長期安全性評価)から成り、パート1a(0~32週)を完了した患者がパート1b(32~52週)に移行し、パート1bを完了した患者がパート2に進む。今回はパート1aの結果が報告された。

術後ctDNA陽性StageIII結腸がんへの治療強化、RFS改善は得られず(DYNAMIC-III)/ASCO2025

 術後にctDNAが検出されると再発リスクが高いことは多くの研究で報告されている。DYNAMIC-IIIはStageIIIの結腸がん患者を対象に、術後のctDNA検出に基づいた補助化学療法と標準治療を比較した試験である。米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)において、Peter MacCallum Cancer Centre(オーストラリア)のJeanne Tie氏が、本試験の1次解析結果を報告した。ctDNA陽性であれば治療強化、陰性であれば減弱し、それぞれを標準治療と比較する試験デザインで、今回はctDNA陽性例の解析が発表された。 ・試験デザイン:多施設共同ランダム化第II/III相試験 ・対象:切除可能なステージIIIの結腸がん患者 ・試験群:治療強化ストラテジー(化学療法なし→5FU/カペシタビン、5FU/カペシタビン→6ヵ月のオキサリプラチンベースの2剤療法、3ヵ月の2剤療法→6ヵ月の2剤療法または3ヵ月内のFOLFOXIRI、6ヵ月の2剤療法→3ヵ月内のFOLFOXIRIをリスクに応じて選択:ctDNA情報提供群)129例 ・対照群:ctDNA検査の結果は非表示、医師選択による治療(標準療法群)130例 ・評価項目: [主要評価項目]2年無再発生存期間(RFS) [副次評価項目]全生存期間(OS)、安全性など

末梢肺結節の診断、ナビゲーショナル気管支鏡検査は針生検に非劣性/NEJM

 直径10~30mmの末梢肺結節の悪性・良性を鑑別するための生検において、ナビゲーショナル気管支鏡検査は経胸壁針生検に対し、診断精度に関して非劣性であり、気胸の発生が有意に少ないことが、米国・Vanderbilt University Medical CenterのRobert J. Lentz氏らInterventional Pulmonary Outcomes Groupが実施した「VERITAS試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2025年5月18日号で報告された。  VERITAS試験は、医師主導型の非盲検無作為化並行群間非劣性試験であり、2020年9月~2023年6月に米国の7施設で参加者を登録した(Medtronicなどの助成を受けた)。  肺がんの事前確率が10%以上で、直径10~30mmの末梢肺結節を有する成人患者を対象とした。被験者を、ナビゲーショナル気管支鏡検査を受ける群または経胸壁針生検を受ける群に1対1の割合で無作為に割り付けた。  主要アウトカムは診断精度とし、生検で特定の診断(悪性腫瘍または特定の良性病変)を受けた患者のうち、12ヵ月間の臨床的経過観察によりその診断が正確であることが確認された患者の割合と定義した(非劣性マージンは10%ポイント)。副次アウトカムには、気胸の発生などの手技に関連する合併症が含まれた。

どのように多発性骨髄腫治療の長い道のりを乗り越えるか/日本骨髄腫学会

 多発性骨髄腫の治療は目覚ましい進歩を遂げている。その一方で、高齢化や治療の長期化に伴う課題も顕在化している。第50回日本骨髄腫学会学術集会では、多発性骨髄腫診療における地域連携と多職種連携について議論された。  兵庫医科大学の吉原 享子氏は、地域の中核病院の立場から多発性骨髄腫治療について述べた。多発性骨髄腫の治療は、中核病院で患者を安定させ、地域連携病院や在宅診療へと移行するのが通常である。長期に渡る治療においては合併症のフォローアップが重要であり、地域医療機関との連携は不可欠である。とくに、CAR-T療法などの高度治療では、紹介元病院との連携を密にして円滑に治療を提供できる体制づくりが求められる。