多発性骨髄腫のグローバル試験の日本人サブセット結果/日本血液学会

提供元:ケアネット

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公開日:2025/10/17

 

 高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫(SMM)においてダラツムマブと経過観察を比較したAQUILA試験の日本人集団解析が発表された。

 2025年1月に発表された全体結果では、ダラツムマブ単剤療法は積極的経過観察よりも、SMMの進行または死亡までの期間(PFS)を有意に延長し、全生存期間も延長を示している。

 日本人患者は28例(DARA群15例、観察群13例)であった。日本人の5年PFS率はDARA群46.3%、観察群7.7%であった(ハザード比[HR]:0.25、95%信頼区間[CI]:0.10〜0.65)。全奏効率(ORR)はDARA群86.7%、観察群7.7%という結果を示した(相対リスク比:11.27、95%CI:1.70〜74.84)。SLiM-CRAB進行までの期間はDARA群36.2ヵ月、観察群16.4ヵ月であった(HR:0.39、95%CI:0.17〜0.90)。これらは全体集団と一貫した結果であった。日本人におけるGrade3/4の治療関連有害事象(TEAE)発現は33.3%、重篤なTEAEは46.7%に観察されたが、投与中止に至ったAE、死亡に至ったAEはなかった。

 未治療の移植非適応多発性骨髄腫(MM)に対するD-VRdとVRdを比較したCEPHEUS試験の日本人集団解析について発表された。全体集団ではVRd群に比べD-VRd群でより深く持続的な奏効ならびにPFSの改善が認められていた。

 日本人患者は22例(D-VRd群9例、VRd群13例)、患者背景は全体集団と全体的に同様であった。主要評価項目であるMRD陰性率はD-VRd群77.8%、VRd群46.2%であった(オッズ比[OR]:4.08、95%CI:0.60〜27.65)。12ヵ月以上の持続的MRD陰性率はD-VRd群55.6%、VRd群38.5%であった(OR:2.00、95%CI:0.36〜11.23)。これらは全体集団と一貫した結果であった。Grade3/4のTEAEはD-VRd群100%、VRd群84.6%で、新たな安全性シグナルは特定されなかった。

(ケアネット 細田 雅之)