局所進行または転移を有する尿路上皮がんにおける、アベルマブ維持療法前のプラチナ化学療法の治療サイクル数について、3サイクルは6サイクルと比較してQOLが有意に良好であり、中間解析時点における全生存期間(OS)はともに18.9ヵ月であった。スペイン・Anderson Cancer Center MadridのEnrique Grande氏が、医師主導の第II相国際共同試験であるDISCUS試験の結果を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)で報告した。なお、本結果はAnnals of Oncology誌オンライン版2025年10月17日号に同時掲載された。
・対象:進行がんに対する全身療法歴のない局所進行または転移を有する尿路上皮がん患者(ECOG PS 0~2)
・3サイクル群:ゲムシタビン(21日ごと1・8日目に1,000mg/m2)+シスプラチン(同1日目に70mg/m2)またはカルボプラチン(同1日目にAUC4.5または5)×3サイクル後にアベルマブ維持療法を最大2年 133例
・6サイクル群:ゲムシタビン+シスプラチンまたはカルボプラチン×6サイクル後にアベルマブ維持療法を最大2年 134例
・評価項目:
[主要評価項目]ベースラインから6サイクル完了時点までのGHS/QoLスコアの変化、OS
[副次評価項目]GHS/QoLスコア悪化までの時間、無増悪生存期間(PFS)、奏効割合(ORR)、安全性など
主な結果は以下のとおり。
・ベースライン特性は、年齢中央値が両群で71歳、男性が3サイクル群75%vs.6サイクル群70%、肝転移ありが両群で19%、ゲムシタビン+シスプラチン療法が42%vs.40%と両群でバランスがとれていた。
・治療を完遂した患者の割合は、3サイクル群78%vs.6サイクル群40%であった。アベルマブ維持療法を受けた患者の割合は、74%vs.56%であった。
・ベースラインから6サイクル完了時点までの平均GHS/QoLスコア変化は、3サイクル群0.0(95%信頼区間[CI]:-5.9~5.2)vs.6サイクル群-8.5(95%CI:-14.1~-2.9)であり、3サイクル群で統計学的に有意に良好であった(群間差:+8.5ポイント、95%CI:0.7~16.3、p=0.016)。
・GHS/QoLスコアはすべてのスクリーニング時点で3サイクル群で良好な傾向がみられたが、GHS/QoLスコア悪化までの時間は、3サイクル群4.8ヵ月vs.6サイクル群3.5ヵ月(ハザード比[HR]:0.81、95%CI:0.46~1.43)となり、統計学的有意差は認められなかった。
・中間解析時点におけるOS中央値は、3サイクル群18.92ヵ月vs.6サイクル群18.86ヵ月であった(HR:1.15、95%CI:0.72~1.86、p=0.56)。
・PFS中央値は、3サイクル群8.0ヵ月vs.6サイクル群9.0ヵ月であった(HR:1.053、95%CI:0.725~1.527、p=0.788)。
・ORRは、3サイクル群24%vs.6サイクル群27%であった。
・Grade3~4の治療関連有害事象は、3サイクル群3%vs.6サイクル群11%に発現した。
Grande氏はOSについて、3サイクル投与群では6サイクル投与群と比較して優越性は示されず、非劣性を示すには検出力不足であったとし、より多くの患者がアベルマブ維持療法に進んでいることから、長期的な有効性につながる可能性があるとした。OS解析は進行中となっている。
(ケアネット 遊佐 なつみ)