腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:1

ESR1変異のER+/HER2-進行乳がん、vepdegestrant vs.フルベストラント(VERITAC-2)/NEJM

 既治療のエストロゲン受容体(ER)陽性・HER2陰性の進行乳がん患者において、フルベストラントと比較してvepdegestrant(ユビキチン・プロテアソーム系を利用した標的タンパク質分解誘導キメラ分子[PROTAC]、経口ER分解薬)は、全患者では無増悪生存期間(PFS)の改善を認めなかったものの、エストロゲン受容体遺伝子(ESR1)変異を有するサブグループではPFSの有意な延長が認められ、安全性プロファイルも良好であることが、フランス・Institut de Cancerologie de l'Ouest Angers-NantesのMario Campone氏らVERITAC-2 Study Groupが実施した「VERITAC-2試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2025年5月31日号に掲載された。

HER2+早期乳がん術前療法、de-escalation戦略3試験の統合解析結果/ASCO2025

 HER2陽性(HER2+)早期乳がんに対し、パクリタキセル+抗HER2抗体薬による12週の術前補助療法は有効性と忍容性に優れ、5年生存率も極めて良好であった。さらにStageI~IIの患者においては、ほかの臨床的・分子的因子を考慮したうえで、化学療法省略もしくは抗体薬物複合体(ADC)による治療を考慮できる可能性が示唆された。de-escalation戦略を検討したWest German Study Group(WSG)による3件の無作為化比較試験(ADAPT-HR-/HER2+試験、ADAPT-HR+/HER2+試験、TP-II試験)の統合解析結果を、ドイツ・ハンブルグ大学のMonika Karla Graeser氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)で発表した。

子宮頸がん治療の新たな選択肢:チソツマブ ベドチンの臨床的意義/ジェンマブ

 進行・再発子宮頸がん2次治療の新たな選択肢として、ファースト・イン・クラスの抗体薬物複合体(ADC)チソツマブ ベドチン(商品名:テブダック)が注目される。  2025年6月、ジェンマブのプレスセミナーにて、国立がん研究センター中央病院 腫瘍内科の米盛 勧氏が進行・再発子宮頸がんのアンメットニーズと治療戦略について講演した。  日本において新規に診断される子宮頸がん患者は年間約1万例、近年でも罹患数は微増している。子宮頸がんは早期では比較的予後良好である。5年生存率はI期で9割超、II期でも7割を超える。その一方、進行期では予後不良でStageIIIの5年生存率は5割強、遠隔転移のあるStgeIVBでは3割を切る。

軽症の免疫チェックポイント阻害薬関連肺臓炎へのステロイド、3週vs.6週(PROTECT)/ASCO2025

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が広く使用されるようになり、免疫関連有害事象(irAE)マネジメントの重要性が高まっている。irAEのなかで比較的多いものの1つに、薬剤性肺障害(免疫関連肺臓炎)がある。免疫関連肺臓炎の治療としては、一般的にステロイドが用いられるが、適切な治療期間は明らかになっていない。そこで、免疫関連肺臓炎に対するステロイド治療の期間を検討する無作為化比較試験「PROTECT試験」が本邦で実施された。米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)において、藤本 大智氏(兵庫医科大学)が本試験の結果を報告した。本試験において、ステロイド治療期間を3週間とする治療レジメンは、6週間の治療レジメンに対する非劣性が示されなかった。

NSCLCの術前ニボルマブ追加、最終解析でOS延長(CheckMate-816)/NEJM

 切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者における術前補助療法について、3サイクルのニボルマブ+化学療法併用療法は、化学療法単独と比較し全生存期間(OS)を有意に延長したことが、アイルランド・Trinity College DublinのPatrick M. Forde氏らによる第III相無作為化非盲検試験「CheckMate 816試験」のOSに関する最終解析結果で報告された。CheckMate 816試験では、ニボルマブ+化学療法併用療法により、病理学的完全奏効(pCR)と無イベント生存期間(EFS)を有意に改善したことが示されており、OSの最終解析が待たれていた。NEJM誌オンライン版2025年6月2日号掲載の報告。

食道がんへの術後ニボルマブ、長期追跡でもベネフィット示す(CheckMate 577)/ASCO2025

 日本も参加するCheckMate 577試験は、術前化学放射線療法(CRT)+手術後に残存病理学的病変を有する食道がん/胃食道接合部がん(EC/GEJC)患者における、術後ニボルマブ投与の有用性をみた試験である。すでにプラセボと比較して無病生存期間(DFS)を有意に延長したことが報告されている(22.4ヵ月対11.0ヵ月、HR:0.69)。米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)において、ベイラー大学医療センター(米国・ダラス)のRonan J. Kelly氏が、本試験の副次評価項目である全生存期間(OS)の最終解析結果およびDFSの長期追跡結果を報告した。

閉経前HR+乳がんの術後補助療法、EXE+OFSとTAM+OFSの15年追跡結果(SOFT/TEXT)/ASCO2025

 閉経前のHR+早期乳がんにおいて、術後補助内分泌療法+卵巣機能抑制(OFS)による再発抑制の持続および再発リスクが高い患者における全生存期間(OS)の改善が、SOFT試験とTEXT試験ですでに報告されている。今回、これらの試験の最終報告として、SOFT試験(追跡期間中央値:15年)およびSOFT試験とTEXT試験の統合解析(同:16年)の結果について、オーストラリア・Peter MacCallum Cancer CentreのPrudence A. Francis氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)で発表した。

HER2陽性胃がん2次治療、T-DXd vs.ラムシルマブ+PTX(DESTINY-Gastric04)/NEJM

 前治療歴のある切除不能または転移のあるHER2陽性胃がんまたは胃食道接合部腺がんの患者において、2次治療としてのトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)はラムシルマブ+パクリタキセル(RAM+PTX)と比較して全生存期間(OS)を有意に延長した。有害事象は両群で多くみられ、既知のリスクであるT-DXd投与に伴う間質性肺炎または肺臓炎は、主として低グレードであった。国立がん研究センター東病院の設楽 紘平氏らDESTINY-Gastric04 Trial Investigatorsが、国際非盲検無作為化第III相試験「DESTINY-Gastric04試験」の結果を報告した。T-DXdは第II相試験に基づき、トラスツズマブベースの治療を含む2ライン以上の治療歴を有する進行・再発のHER2陽性胃がんまたは胃食道接合部腺がん患者に対する投与が承認されている。DESTINY-Gastric04試験では、2次治療としてのT-DXdの有効性と安全性をRAM+PTXと比較した。NEJM誌オンライン版2025年5月31日号掲載の報告。

プラチナ抵抗性卵巣がん、relacorilant+nab-PTXでPFS・OS改善(ROSELLA)/Lancet

 プラチナ製剤抵抗性卵巣がん患者において、relacorilant+nab-パクリタキセル併用療法はnab-パクリタキセル単独療法と比べて無増悪生存期間(PFS)を延長し、中間解析において全生存期間(OS)の改善も示された。米国・ピッツバーク大学のAlexander B. Olawaiye氏らが第III相非盲検無作為化試験「ROSELLA試験」の結果を報告した。relacorilantはファーストインクラスの選択的グルココルチコイド受容体拮抗薬であり、コルチゾールのシグナル伝達を抑制することで化学療法に対する腫瘍の感受性を高める。著者は、「示されたPFS、OSの結果は、プラチナ製剤抵抗性卵巣がん患者において、relacorilant+nab-パクリタキセル併用療法が新たな標準治療として有望であることを支持するものである」と述べている。

非小細胞肺がん、術後アテゾリズマブの5年成績(IMpower010)/JCO

 切除後の非小細胞肺がん(NSCLC)患者における化学療法+アテゾリズマブ術後補助療法の5年追跡結果が発表され、ベストサポーティブケア(BSC)に対する無病生存期間(DFS)と全生存期間(OS)の改善が示された。DFSは最終解析、OSは2回目の中間解析の結果で、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2025年5月30日号での報告。