腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:1

PD-L1高発現NSCLCに対するネシツムマブ+ペムブロリズマブの可能性(K-TAIL-202)/AACR2024

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は進行非小細胞肺がん(NSCLC)の標準治療となっている。KEYNOTE-024試験でみられるように、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)はPD-L1発現≧50%の進行NSCLCにおいてPFS(無増悪生存期間)とOS(全生存期間)を有意に延長している。しかし、PD-L1陽性であってもICIが奏効しない症例は依然として存在する。  EGFRの発現はPD-L1のグリコシル化を介しPD-L1の発現を安定化させ、PD-1とPD-L1の結合を強化することが報告されており、抗EGFR抗体ネシツムマブと抗PD-1抗体ペムブロリズマブの併用療法は新しい治療コンセプトとして期待されている。

免疫療法+個別化ワクチン、肝細胞がんの新治療法として有望

 標準的な免疫療法にオーダーメイドの抗腫瘍ワクチン(以下、個別化がんワクチン)を追加することで、肝細胞がんが縮小する患者の割合が、免疫療法のみを受けた場合の約2倍になることが、新たな研究で示された。米ジョンズ・ホプキンス・キンメルがんセンターの副所長であるElizabeth Jaffee氏らによるこの研究結果は、米国がん学会年次総会(AACR 2024、4月5〜10日、米サンディエゴ)で発表されるとともに、「Nature Medicine」に4月7日掲載された。研究グループは、肝細胞がんの診断後、5年間生存する患者の割合は10人に1人未満であるため、このワクチンは患者の生存の延長に役立つ可能性があると話している。

若年乳がんサバイバーにおける2次原発性乳がんのリスク因子/JAMA Oncol

 40歳以下の原発性乳がんの女性は、それ以降に発症した女性よりも2次原発性乳がんのリスクが高いことが、過去のデータから示唆されている。今回、米国・Harvard T. H. Chan School of Public HealthのKristen D. Brantley氏らが、片側乳房切除術または乳房温存術を受けた40歳以下の乳がん患者を対象に検討したところ、生殖細胞系列遺伝子に病的変異がない女性では2次原発性乳がんの10年発症リスクが約2%であったのに対し、病的変異がある女性では約9%と高かったことが示された。JAMA Oncology誌オンライン版2024年4月11日号に掲載。

アレクチニブによるALK陽性肺がん術後補助療法をFDAが承認/中外

 中外製薬は2024年4月19日、ALK阻害薬アレクチニブ(商品名:アレセンサ)について、ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対する腫瘍切除後の補助療法として、FDAより承認を取得したと発表。  今回の承認は、完全切除ALK陽性NSCLCの術後補助療法を対象とした国際第III相臨床試験であるALINA試験の成績に基づいている。

切除不能StageIIIのNSCLCにおけるCRTとデュルバルマブの同時併用の成績(PACIFIC-2)/ELCC2024

 切除不能StageIIIの非小細胞肺がん(NSCLC)におけるデュルバルマブと化学放射線療法(CRT)の併用は主要評価項目を達成できなかった。  切除不能StageIIIのNSCLCに対するCRT+デュルバルマブ地固め療法は、第III相PACIFIC試験において、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)の持続的な改善をもたらした。現在、PACIFICレジメンは切除不能なStageIIIのNSCLCにおける標準治療となっている。PACIFIC-2は同対象に対して、PACIFICレジメンの初回治療をデュルバルマブ+CRTとした治療シークエンスを評価する第III相試験である。欧州肺がん学会(ELCC2024)で最終結果が発表された。

食事からのメラトニン摂取、肝がんのリスク低下と関連

 食事からのメラトニン摂取と肝がん罹患との関連を評価する研究が、3万人以上の日本人を対象に行われた。その結果、メラトニンの摂取量が多いほど肝がんのリスクが低下することが明らかとなった。岐阜大学大学院医学系研究科疫学・予防医学分野の和田恵子氏らによる研究結果であり、「Cancer Science」に2月14日掲載された。  メラトニンは、概日リズムを調整し、睡眠を促す内因性ホルモンである。主に脳の松果体で生成されるが、体内組織に広く分布し、抗酸化、抗炎症、免疫調節などにも関与している。メラトニンは肝臓でも合成・代謝され、細胞保護や発がん予防などの作用があることも示されている。

迅速承認の抗がん剤の臨床的有用性/JAMA

 米国では、食品医薬品局(FDA)の迅速承認を受けたがん治療薬の多くは、承認から5年以内に全生存期間(OS)または生活の質(QOL)に関して有益性を示せず、確認試験で臨床的有用性を示したのは半数に満たないことが、米国・ハーバード大学医学大学院のIan T. T. Liu氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年4月7日号で報告された。  研究グループは、FDAによる迅速承認を受けたがん治療薬が最終的に臨床的有用性を示すかを確認し、通常承認への転換の根拠を評価する目的でコホート研究を行った(Arnold Ventures and the Commonwealth Fundの助成を受けた)。  迅速承認は、満たされない医療ニーズのある重篤な疾患の特定の治療薬について、代替評価項目の改善に基づいて承認を許可する優先審査制度。迅速承認を受けた医薬品の製造企業は、有効性を確認するために臨床評価項目の評価を行う承認後臨床試験の実施を求められる。

がんスクリーニング試験の主要評価項目、StageIII/IVがん罹患で代替可能か/JAMA

 がんスクリーニングに関する無作為化試験では一般的に、がん特異的死亡が主要評価項目として用いられている。その代替評価項目としてStageIII~IVのがん罹患を用いるのは、一部のがん種については適切ではないことが、フランス・国際がん研究機関(IARC)のXiaoshuang Feng氏らによる検討で示された。StageIII~IVのがん罹患を代替評価項目として用いると、がんスクリーニング無作為化試験をより早期に終了できる可能性が示唆されていた。著者は、「今回の結果は、多がんスクリーニング検査の臨床試験に影響を及ぼすだろう」と述べている。JAMA誌オンライン版2024年4月7日号掲載の報告。

オシメルチニブ耐性肺がんに対するamivantamab+化学療法はPD後も生存ベネフィットを示す(MARIPOSA-2)/ELCC2024

 amivantamab+化学療法は化学療法単独と比べ、オシメルチニブ耐性のEGFR変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)の治療進行後の有意な生存ベネフィットを示した1)。  MARIPOSA-2試験における、amivantamabと化学療法の併用はオシメルチニブ耐性EGFR変異陽性NSCLC の無増悪生存期間 (PFS)を有意に延長している。MARIPOSA-2試験における、amivantamabと化学療法の併用はオシメルチニブ耐性EGFR変異陽性NSCLC の無増悪生存期間 (PFS)を有意に延長している。

乳がん患者のQOLと死亡リスクの関係

 乳がん患者は生活の質(QOL)に悪影響を及ぼすさまざまな問題を抱えているが、乳がん患者のQOLと死亡リスクとの関連については議論の余地がある。静岡県立静岡がんセンターの鈴木 克喜氏らは、QOLが乳がん患者の予後に与える影響についてシステマティックレビューおよびメタ解析を実施し、結果をBreast Cancer誌オンライン版2024年4月9日号で報告した。  本研究では、CINAHL、Scopus、PubMedのデータベースを用いて、2022年12月より前に発表された乳がん患者のQOLと死亡リスクを評価した観察研究が検索された。  主な結果は以下のとおり。 ・11万9,061件の論文が検索され、6件の観察研究がメタ解析に含まれた。 ・身体機能QOL(ハザード比[HR]:1.04、95%信頼区間[CI]:1.01~1.07、p=0.003)、情緒機能QOL(HR:1.01、95%CI:1.00~1.03、p=0.05)、および役割機能QOL(HR:1.01、95%CI:1.00~1.01、p=0.007)は、死亡リスクとの有意な関連が示された。 ・一方で、全般的QOL、認知機能QOL、および社会機能QOLは、死亡リスクとの関連が示されなかった。 ・治療時点に従い行われたサブグループ解析によると、治療後の身体機能QOLが死亡リスクと関連していた。