日本人における気圧の変化と片頭痛との関係

提供元:ケアネット

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公開日:2025/10/31

 

 獨協医科大学の辰元 宗人氏らは、日本の健康保険請求データベースの大規模データと気象データを照合し、気圧変化の大きい季節が片頭痛発症に及ぼす影響を調査するため、レトロスペクティブコホート研究を実施した。Frontiers in Neurology誌2025年9月10日号の報告。

 本研究では、JMDC請求データと日本の気象データを用いて分析した。片頭痛の診断歴を有する患者を対象とし、片頭痛と最初に診断された医療機関の所在地に基づいて8つの地域サブグループに分類した。片頭痛発症までの期間(各季節の初日からトリプタンが処方されるまでの期間と定義)を、気圧変化が最も大きい季節と最も小さい季節で比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・分析対象は、2万6,777例。
・8つの地域全体において、夏季の気圧変化が最も小さかった。
・一方、7つの地域では冬季に最も大きな気圧変化がみられ、1つの地域では秋季に最も大きな気圧変化がみられた。
・いずれの地域においても、気圧変化が最も大きかった季節と最も小さかった季節の間で生存曲線に差は認められなかった。
・Cox回帰分析では、性別と年齢を含む最小調整モデルにおいて、気圧変化が最も大きかった季節のハザード比は0.970(95%信頼区間[CI]:0.951〜0.989)であった。
・一方、8つの共変量を含む完全調整モデルでは、気圧変化が最も大きかった季節のハザード比は1.294(95%CI:1.007〜1.663)であった。

 著者らは「本研究では、気圧変化の大きい季節と片頭痛発症との間に有意な関連は認められなかった。今後の研究では、より詳細な分析を行うために、都道府県レベルを超えて、より詳細な居住地データを検討する必要がある」としている。

(鷹野 敦夫)