腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

ロボット支援気管支鏡が肺の奥深くの腫瘍に到達

 最先端のロボット支援気管支鏡が肺の奥深くにある極めて小さな腫瘍にまで到達できることが、チューリッヒ大学病院(スイス)のCarolin Steinack氏らによる臨床試験で示された。Steinack氏らによると、このロボット支援気管支鏡は、特殊なCTスキャナーにより、肺の中の到達が難しい位置に隠れた腫瘍を見つけることができるという。この研究結果は、欧州呼吸器学会議(ERS 2025、9月27日~10月1日、オランダ・アムステルダム)で発表された。  Steinack氏は、「この技術によって、専門医は肺のほぼ全領域にアクセスできるようになった。これは、より多くの患者に生検を実施できること、より高い治療効果が期待できる早期の段階でがんを診断できるようになることを意味している」とERSのニュースリリースの中で述べている。

HER2変異陽性NSCLCの1次治療、sevabertinibの奏効率71%(SOHO-01)/ESMO2025

 HER2遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療において、sevabertinibは奏効率(ORR)71%と有望な治療成績を示した。また、既治療の集団でも有望な治療成績が示された。Xiuning Le⽒(米国・テキサス⼤学MDアンダーソンがんセンター)が、国際共同第I/II相試験「SOHO-01試験」の第II相の結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)で発表した。なお、本結果は、NEJM誌オンライン2025年10月17日号に同時掲載された。

MSI-H大腸がん、ニボルマブへのイピリムマブ追加でPFS延長傾向(CheckMate 8HW)/ESMO2025

 CheckMate 8HW試験は、全身療法歴のない高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはミスマッチ修復機構欠損(dMMR)の転移大腸がん患者に対する、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法の有用性を検討した試験である。すでに併用療法が化学療法を無増悪生存期間(PFS)で上回ったことが報告されており、新たな標準治療の候補となっていた。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)においてイタリア・Veneto Institute of Oncology のSara Lonardi氏が、本試験のPFSの最終解析、および初の報告となる全生存期間(OS)を発表した。

低用量アスピリンが再発予防効果を認める大腸がんのタイプが明らかになった(解説:上村 直実氏)

観察研究やコホート研究の結果からアスピリンや非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAID)が大腸がんの発生や再発のリスクを低下することがよく知られているが、プラセボとの無作為化比較試験(RCT)による厳密な研究デザインによるエビデンスは少なく、さらに、どのような大腸腫瘍に対して有効なのか無効なのかは判明していないのが現状であった。これらの課題を克服するため、今回、細胞の成長や増殖などさまざまな細胞機能の調節に重要な役割を果たす酵素であるPI3K(Phosphoinositide 3-kinase)をコードするPI3K遺伝子の変異が陽性の大腸がん切除後症例を対象として施行されたプラセボ対照RCTの結果、低用量アスピリン(LDA)(160mg/日)の内服により手術後の再発率が有意に低下することが2025年のNEJM誌に報告された。

ctDNA陽性のMIBC患者、術後アテゾリズマブ投与でDFS・OS改善(IMvigor011)/ESMO2025

 術後に最長1年間連続的に実施した血中循環腫瘍DNA(ctDNA)検査で陽性と判定された筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)患者において、術後療法としてのアテゾリズマブ投与はプラセボと比較して無病生存期間(DFS)および全生存期間(OS)を有意に改善した。英国・Barts Cancer InstituteのThomas Powles氏が、第III相IMvigor011試験の主要解析結果を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)で報告した。なお、本結果はNEJM誌オンライン版2025年10月20日号に同時掲載された。 ・対象:ctDNA陽性(術後1年まで6週ごとにctDNA検査・12週ごとに画像検査を実施)のMIBC患者[膀胱全摘除術後6~24週以内、(y)pT2-4aN0M0または(y)pT0-4aN+M0、画像上の病変なし、ECOG PS 0~2、術前化学療法歴は許容] ・試験群(アテゾリズマブ群):アテゾリズマブ(1,680mg、4週ごと、最大1年まで) 167例

ALK陽性NSCLCへの術後アレクチニブ、4年OS率98.4%(ALINA)/ESMO2025

 ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)の完全切除達成患者を対象に、術後アレクチニブの有用性を検討した国際共同第III相試験「ALINA試験」の主解析において、アレクチニブはプラチナ製剤を含む化学療法と比較して、無病生存期間(DFS)を改善したことが報告されている(ハザード比[HR]:0.24、95%信頼区間[CI]:0.13~0.43)。ただし、とくに全生存期間(OS)に関するデータは未成熟(主解析時点のイベントは6例)であり、より長期の追跡結果が望まれていた。そこで、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)において、Rafal Dziadziuszko氏(ポーランド・グダニスク大学)が、本試験の約4年追跡時点の結果を報告した。

胃がん初のFGFR2b阻害薬、長期追跡では治療効果が減弱(FORTITUDE-101)/ESMO2025

 FGFR2b過剰発現は、胃がんにおいて比較的高頻度にみられ、新たな薬剤標的として注目されている。bemarituzumab(BEMA)はFGFR2bを標的とする初の抗体薬であり、今年6月に開発元のプレスリリースで、胃がんに対して全生存期間(OS)を有意に延長したとの発表があり、詳細なデータが待たれていた。しかし、長期追跡ではその効果が減弱する傾向が認められたという。10月17~21日に行われた欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)Presidential Symposiumにおいて、韓国・延世大学校医科大学のSun Young Rha氏が、第III相FORTITUDE-101試験の結果を報告した。

monarchE試験のOS結果が発表/ESMO2025

 HR+/HER2-でリンパ節転移陽性の高リスク早期乳がん患者を対象に、術後内分泌療法(ET)へのアベマシクリブ追加の有用性を検討したmonarchE試験の全生存期間(OS)の解析の結果、アベマシクリブ+ET併用療法は、ET単剤療法と比べて死亡リスクを15.8%低減させたことを、Royal Marsden NHS Foundation TrustのStephen R. Johnston氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)で発表した。  monarchE試験は、HR+/HER2-でリンパ節転移陽性の高リスク早期乳がん患者5,637例を、2年間の術後療法としてアベマシクリブ+ET群とET単独群に1:1に無作為に割り付けた第III相多施設共同無作為化非盲検試験。これまでの解析では、アベマシクリブ追加による無浸潤疾患生存期間(iDFS)および無遠隔再発生存期間(DRFS)の5年時のベネフィットが報告されている。今回は、主要副次評価項目であるOSのほか、更新されたiDFSとDRFSの結果が報告された。

ALK陽性進行NSCLCへのアレクチニブ、OS中央値81.1ヵ月(ALEX)/ESMO2025

 ALK融合遺伝子陽性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対するアレクチニブは、海外第III相無作為化比較試験「ALEX試験」において、全生存期間(OS)中央値81.1ヵ月、奏効期間(DOR)中央値42.3ヵ月と良好な治療成績を示した。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)において、Tony S. K. Mok氏(中国・香港中文大学)が本試験のOSの最終解析結果を発表した。本試験は、ALK融合遺伝子陽性の進行NSCLC患者を対象として、アレクチニブの有用性をクリゾチニブとの比較により検証する試験である。本試験の主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の最終解析結果はすでに報告されており、アレクチニブのクリゾチニブに対する優越性が示されている。今回は、PFSの最終解析時から約6年の追跡期間が追加された。なお、本結果はAnnals of Oncology誌オンライン版2025年10月17日号に同時掲載された。