腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

早期TN乳がんの術前療法、SG+ペムブロリズマブでpCRが32%(NeoSTAR)/ASCO2025

 早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)への術前サシツズマブ ゴビテカン(SG)+ペムブロリズマブ併用療法を評価した初の試験である第II相NeoSTAR試験において、SG+ペムブロリズマブ 4サイクルによる病理学的完全奏効(pCR)率は32%であり、非アントラサイクリン系レジメンを用いた術前化学療法が追加された患者を含めると50%がpCRを達成した。米国・Massachusetts General Hospital Cancer CenterのRachel Occhiogrosso Abelman氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)で発表した。  SGは転移TNBCおよびHR+HER2-転移乳がんに承認されており、ペムブロリズマブは早期TNBCおよびPD-L1陽性転移乳がんに承認されている。本試験のArm A1では、早期TNBCへのSG単剤療法4サイクルにより、30%のpCR率が得られたことが確認されている。今回は、Arm A2において早期TNBCへのSG+ペムブロリズマブ併用を評価した結果が報告された。

H. pylori検査と除菌後胃がん、知っておくべき7つのQ&A

 胃がんの罹患者・死亡者数は減少傾向にあるものの、依然として日本人の主要ながんであり、2022年の罹患数は約12万例、死亡数は約4万例と報告されている。胃がんはその大部分がHelicobacter pylori(H. pylori)感染に起因するとされ、H. pyloriの診断と除菌治療は胃がんの1次予防として極めて重要である。日本では2013年より陽性判定者の除菌治療が保険適用となり、広く行われるようになっている。そして、H. pylori感染診断・除菌治療が一般的になった今、H. pylori検査や胃がんを巡る新たな問題が生じているという。H. pylori研究の第一人者である大分大学・兒玉 雅明氏に、今医療者が知っておくべきポイントを聞いた。

PIK3CA変異の内分泌療法抵抗性HR+/HER2-乳がん、inavolisib追加でPFS・OS改善(INAVO120)/NEJM

 PIK3CA変異陽性のホルモン受容体陽性/HER2陰性の局所進行または転移のある乳がんの治療において、パルボシクリブ+フルベストラントとの併用でinavolisib(PI3Kα阻害薬)はプラセボと比較し、全生存期間(OS)および奏効率を有意に改善することが、米国・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのKomal L. Jhaveri氏らが実施した「INAVO120試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2025年5月31日号で報告された。

高リスク頭頸部がん、CRT+ニボルマブの術後補助療法が20年振りの新たな標準治療に(NIVOPOSTOP)/ASCO2025

 高リスクの局所進行(LA)頭頸部扁平上皮がん(SCCHN)に対する術後の標準治療は、長らく補助療法としての化学放射線療法(CRT)であった。しかし、これらの治療にもかかわらず40%以上の患者で再発が認められ、より効果的な治療法が必要とされている。NIVOPOSTOP試験は、術後CRTにニボルマブを追加した群とCRT単独群を比較した試験である。米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)のプレナリーセッションにおいて、Le Centre hospitalier universitaire vaudois(スイス)のJean Bourhis氏が本試験の結果を発表した。

HRR関連遺伝子に病的バリアントを有するmCSPCへのニラパリブ+AAP、rPFS改善(AMPLITUDE)/ASCO2025

 相同組換え修復(HRR)関連遺伝子に病的バリアントを有する転移去勢感受性前立腺がん(mCSPC)患者において、PARP阻害薬ニラパリブ+AAP(アビラテロン+prednisone)併用療法は、プラセボ+AAP療法と比較して、画像上の無増悪生存期間(rPFS)を有意に改善した。英国・ロンドン大学のGerhardt Attard氏が、ヨーロッパ・北米など32ヵ国で実施された第III相AMPLITUDE試験の中間解析結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)で発表した。

HER2+乳がん術前療法、THP vs.TCHP(neoCARHP)/ASCO2025

 HER2+の早期乳がんの術前療法として、タキサン系薬+トラスツズマブ+ペルツズマブ併用療法(THP)と、カルボプラチンを追加したタキサン系薬+カルボプラチン+トラスツズマブ+ペルツズマブ併用療法(TCHP)の有効性と安全性を比較した第III相neoCARHP試験の結果、THPはTCHPと比較して病理学的完全奏効(pCR)率が非劣性かつ忍容性は良好であり、de-escalationの術前療法は有望な治療戦略となりうることを、中国・Guangdong Provincial People’s HospitalのKun Wang氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)で発表した。

既治療CLDN18.2陽性胃がん、CAR-T療法satri-celがPFS改善(CT041-ST-01)/Lancet

 既治療のCLDN18.2陽性進行胃または食道胃接合部がん患者において、医師が選択した治療と比較してsatricabtagene autoleucel(satri-cel、自家CLDN18.2特異的キメラ抗原受容体[CAR]T細胞療法)による治療は、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長し、全生存期間(OS)について有意差はないものの臨床的に意義のある改善をもたらし、安全性プロファイルは管理可能であることが、中国・Peking University Cancer HospitalのChangsong Qi氏らが実施した「CT041-ST-01試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2025年5月31日号に掲載された。  CT041-ST-01試験は、既治療のCLDN18.2陽性進行胃・食道胃接合部がんにおけるsatri-cel治療の有効性と安全性の評価を目的とする非盲検無作為化実薬対照比較第II相試験であり、2022年3月~2024年7月に中国の24施設で参加者のスクリーニングを行った(CARsgen Therapeuticsの助成を受けた)。

III期dMMR大腸がん、術後補助療法にアテゾリズマブ上乗せでDFS改善(ATOMIC)/ASCO2025

 III期大腸がんの標準的な補助化学療法は、フッ化ピリミジンまたはオキサリプラチン併用療法である。ATOMIC試験は、StageIIIでミスマッチ修復機能欠損(dMMR)を有する患者において、補助療法として5-フルオロウラシル+レボホリナート+オキサリプラチン(mFOLFOX6)に抗PD-L1抗体アテゾリズマブを追加投与することで、患者予後を改善できるかを評価するために実施された。米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)のプレナリーセッションにおいて、米国・メイヨークリニックのFrank A. Sinicrope氏が本試験の2回目の中間解析結果を発表した。

進行腎細胞がん1次治療としてのニボルマブ+イピリムマブ、9年長期追跡結果(CheckMate 214)/ASCO2025

 CheckMate 214試験において、進行淡明細胞型腎細胞がん患者の1次治療として、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法はスニチニブ単剤療法と比較して有意な生存ベネフィットを示したことが報告されている。今回、米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのRobert J. Motzer氏が追跡期間中央値9.3年の最終解析結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)で発表。ニボルマブ+イピリムマブ併用療法は全試験対象集団において生存の改善および持続的な奏効を示し、新たな安全性シグナルは確認されなかった。

既治療のEGFR exon20挿入変異NSCLCへのzipalertinib(REZILIENT1)/ASCO2025

 EGFR exon20挿入変異を有する非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対し、2024年にアミバンタマブが使用可能となった。しかし、アミバンタマブで病勢進行が認められた場合や有害事象などによって中止となった場合、アミバンタマブが使用できない場合の治療選択肢は確立していない。そこで、新規EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)のzipalertinibが開発されている。米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)において、Helena Alexandra Yu氏(米国・メモリアルスローンケタリングがんセンター)が、EGFR exon20挿入変異を有する既治療のNSCLC患者を対象とした国際共同第I/II相試験「REZILIENT1試験」の第IIb相の結果を報告した。本試験において、zipalertinibはプラチナ製剤を含む化学療法±アミバンタマブによる治療歴のあるNSCLC患者においても有効であることが示唆された。本研究結果は、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2025年6月1日号に同時掲載された。