腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

医師からのメッセージ、AIが作成しても患者の満足度は高い

 患者は通常、診療所から届いたメッセージの作成者が誰であるかを知らされなければ、それが人工知能(AI)によって書かれたものであっても気にしないことが新たな研究で明らかになった。この研究によると、AIにより書かれたメッセージと医師により書かれたメッセージを見せられた患者は、AIのメッセージを好む傾向にあったが、全体的な満足度はどちらも高かったという。米デューク大学医学部のAnand Chowdhury氏らによるこの研究の詳細は、「JAMA Network Open」に3月11日掲載された。

StageII/IIIのHR+HER2-乳がんの術後内分泌療法後、リアルワールドでの再発リスクと治療成績

 術後内分泌療法を受けたStageII/IIIのHR+HER2-早期乳がん患者における再発リスクをリアルワールドで検討した米国・Sarah Cannon Research InstituteのJoyce O'Shaughnessy氏らの後ろ向き研究の結果、リンパ節転移陰性患者も含め、再発リスクが依然として高いままであることが示された。Breast誌2025年6月号に掲載。

食道がんリスクが平均赤血球容積でわかる?

 健康診断などでよく見る平均赤血球容積(MCV)は貧血の種類を判別する指標だが、食道がんの予測因子としても使えるようになるかもしれない。静岡県立総合病院消化器外科の佐藤真輔氏、静岡社会健康医学大学院大学の菅原照氏らの研究によるもので、食道がんの発症リスクが高血圧の既往や生活習慣などとともにMCVでも予測できる可能性があるという。研究の詳細は「PLOS One」に2月11日掲載された。  食道がんは予後不良のがんであり、2020年には世界で54万人が食道がんで死亡している。症例の多くは扁平上皮がんであり、日本や中国を含む東アジアでの発症率が特に高くなっている。食道の扁平上皮がんのリスク因子は飲酒と喫煙であることが報告されている。

非小細胞肺がん、肺がんコンパクトパネルのリアルワールドデータ/Anticancer Res

 非小細胞肺がん(NSCLC)の分子プロファイリングに基づく個別化治療戦略は、NSCLC患者の予後を改善するために不可欠である。肺がんコンパクトパネル(LCCP)は、組織および細胞診検体からNSCLCの遺伝子変異を検出するマルチフレックスコンパニオン診断キットである。しかし、その実臨床における成績について大規模な検証がなされていなかった。そのようななか、近畿中央呼吸器センターの谷口 善彦氏が日本でのリアルワールドデータをAnticancer Research誌2025年4月号で発表した。

乳がん患者と医師の間に治験情報に関する認識ギャップ/ケアネット・イシュラン共同調査

 ケアネットとイシュランが共同で実施した、乳がん患者(134人)と乳がん治療に携わる乳腺外科医(62人)を対象にした「治験に関する意識調査(インターネット調査)」の結果、患者側は医師からの治験の提案を期待している一方で、医師は日本国内の治験情報を十分に入手できていないと認識していることが明らかになった。患者の約6割が自身の主治医が国内の治験情報をよく知っていると思うと回答したのに対し、治験情報をよく知っていると回答した医師は1割未満にとどまった。

HR+早期乳がんにおける年齢と内分泌療法の中断期間、再発リスクの関係/JCO

 ホルモン受容体陽性(HR+)早期乳がんにおいて、内分泌療法(ET)のアドヒアランス欠如は、若年患者の生存率の低さの潜在的な原因の1つと考えられるが、ETのアドヒアランス改善が生存にもたらすベネフィットは明確ではない。フランス・パリ・シテ大学のElise Dumas氏らによるフランスの全国コホート研究の結果、とくに34歳以下の患者において厳格なET継続戦略によって得られる生存ベネフィットが示され、ETのアドヒアランス改善のための個別化戦略の必要性が示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2025年3月5日号への報告。

ポリープの家族歴、頻度・人数が多いほど大腸がんリスク増加

 近年の研究により、家族内での大腸ポリープ診断の頻度が大腸がんリスクと関連していることが示されている。ドイツ・ハイデルベルク大学のYuqing Hu氏らは親族におけるポリープ診断の頻度と、大腸がんの全体的なリスクおよび早期発症リスクとの関連性を評価するための大規模研究を行った。本試験の結果はGastroenterology誌オンライン版2025年1月10日号に掲載された。  研究者らは、スウェーデンの大規模な家族性がんデータセット(1964~2018年)の1,167万6,043例を対象とし、親族における大腸ポリープ診断の頻度と大腸がんリスクの関連を調査した。親族のポリープ診断歴を「1回のみ」と「複数回」に分けて解析を行った。大腸がんと診断、移住、死亡、または2018年末のいずれか早い時点まで追跡した。

大腸がん死亡率への効果、1回の大腸内視鏡検査vs.2年ごとの便潜血検査/Lancet

 大腸がん検診への参加率は、大腸内視鏡検査より免疫学的便潜血検査(FIT)のほうが高く、大腸がん関連死亡率について、本研究で観察された参加率に基づくとFITベースのプログラムは大腸内視鏡検査ベースのプログラムに対し非劣性であることが確認された。スペイン・バルセロナ大学のAntoni Castells氏らCOLONPREV study investigatorsが、スペインの8地域における3次医療機関15施設で実施したプラグマティックな無作為化比較非劣性試験「COLONPREV試験」の結果を報告した。大腸内視鏡検査とFITは、平均的なリスク集団(大腸がんの既往歴または家族歴のない50歳以上の人々)における一般的な大腸がんスクリーニング戦略である。中間解析でも、FIT群は大腸内視鏡検査群よりスクリーニング参加率が高いことが示されていた。Lancet誌オンライン版2025年3月27日号掲載の報告。

乳がんサバイバーは多くの非がん疾患リスクが上昇/筑波大

 日本の乳がんサバイバーと年齢をマッチさせた一般集団における、がん以外の疾患の発症リスクを調査した結果、乳がんサバイバーは心不全、心房細動、骨折、消化管出血、肺炎、尿路感染症、不安・うつの発症リスクが高く、それらの疾患の多くは乳がんの診断から1年以内に発症するリスクが高いことを、筑波大学の河村 千登星氏らが明らかにした。Lancet Regional Health-Western Pacific誌2025年3月号掲載の報告。  近年、乳がんの生存率は向上しており、乳がんサバイバーの数も世界的に増加している。乳がんそのものの治療や経過観察に加え、乳がん以外の全般的な健康状態に対する関心も高まっており、欧米の研究では、乳がんサバイバーは心不全や骨折、不安・うつなどを発症するリスクが高いことが報告されている。しかし、日本を含むアジアからの研究は少なく、消化管出血や感染症などの頻度が比較的高くて生命に関連する疾患については世界的にも研究されていない。そこで研究グループは、日本の乳がんサバイバーと一般集団を比較して、がん以外の12種類の代表的な疾患の発症リスクを調査した。

未治療多発性骨髄腫の新しい治療選択肢:パラダイムシフトは起こるか

 2025年3月27日、サノフィは未治療の多発性骨髄腫の治療薬として、ボルテゾミブ、レナリドミド、デキサメタゾンによるVRd療法にイサツキシマブ(商品名:サークリサ(R))を追加する4剤併用療法の適応追加承認を取得したCD38受容体を標的としたイサツキシマブに関するメディアセミナーを開催した。  今回のセミナーでは、イサツキシマブの適応拡大の意義や新たな治療戦略について、芹澤 憲太郎氏(近畿大学 医学部 血液・膠原病内科)と鈴木 憲史氏(日本赤十字社医療センター アミロイドーシスセンター)が解説した。