腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

ロボット支援直腸がん手術、国内リアルワールドデータが示す新たな標準治療の可能性

 国内約1.8万人分のリアルワールドデータを解析した多施設後ろ向きコホート研究により、進行直腸がんに対するロボット支援手術が、開腹および腹腔鏡手術と比較して短期・長期の両成績で有意に優れていることが示された。5年全生存率はロボット支援手術で94%と最も高く、術後合併症の発症率や総入院費用も最小であったという。研究は東京科学大学消化管外科学分野の花岡まりえ氏、絹笠祐介氏らによるもので、詳細は10月28日付で「Colorectal Disease」に掲載された。  従来の腹腔鏡手術(LRR)は直腸がん治療に有効であるが、長期的な腫瘍学的成績は開腹手術(ORR)と同等で、直腸膜間全切除(TME)が不完全になるリスクがあることが報告されている。ロボット支援手術(RARR)は低侵襲なアプローチとして短期成績に優れるとされる一方、長期成績のデータは限られている。そこで本研究では、国内大規模リアルワールドデータを用いて、進行直腸がん患者に対するORR、LRR、RARRの短期・長期成績を比較することを目的とした。

ER+/HER2-早期乳がん術後ホルモン療法、giredestrant vs.標準治療(lidERA)/SABCS2025

 ER+/HER2-早期乳がんの術後内分泌療法として、経口選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)giredestrantと現在の標準治療である内分泌療法を比較した第III相lidERA試験の中間解析の結果、giredestrantは無浸潤疾患生存期間(iDFS)の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善をもたらし、再発または死亡に至る可能性を30%低下させたことを、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のAditya L. Bardia氏が、サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2025、12月9~12日)で報告した。 ・試験デザイン:非盲検国際多施設共同無作為化試験 ・対象:12ヵ月以内に乳がん手術を受け、必要に応じて術前/術後化学療法を完了したStageI~III、ER+/HER2-の早期乳がん患者 4,170例 ・試験群:giredestrant 30mg 1日1回経口投与 2,084例 ・対照群:標準内分泌療法(タモキシフェン、アナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタンから1つ選択) 2,086例 ※5年間または許容できない毒性が発現するまで継続。閉経前・閉経前後の女性および男性はLH-RHアゴニストを併用。

BRAF変異陽性大腸がん、最適な分子標的療法レジメンは?/BMJ

 中国・海軍軍医大学のBao-Dong Qin氏らは、BRAF遺伝子変異を有する切除不能大腸がんに対する分子標的療法ベースのレジメンの有効性と安全性について、システマティックレビューとネットワークメタ解析を行い、1次治療については、2剤併用化学療法+抗EGFR/BRAF療法が最善の生存ベネフィットをもたらすことを、また2次治療以降では、抗EGFR/BRAF療法をベースとしたレジメン(MEK阻害薬あるいはPI3K阻害薬併用あり・なし)が、最も高い有効性および良好な忍容性を有する選択肢であることを示した。BRAF遺伝子変異を有する切除不能大腸がん患者の予後は不良であり、従来療法に対して十分な効果が得られない場合が多い。これまで複数の分子標的レジメンが検討され、抗EGFR/BRAF療法ベースのレジメンの臨床導入後、治療効果は大幅な改善が認められた。しかしながら、BRAF遺伝子変異を有する大腸がんの発生率は比較的低く、レジメンの有効性および安全性の直接比較は限られていた。BMJ誌2025年11月19日号掲載の報告。

膵管拡張は膵臓がんの警告サイン

 膵臓がんは、進行して致命的となるまで症状が現れにくいことから「サイレントキラー」とも呼ばれる。こうした中、新たな研究で、膵臓がんリスクの高い無症状患者では、膵臓と胆管をつなぐ膵管の拡張が、がんの進行リスクを高める独立したリスク因子であることが示された。米ジョンズ・ホプキンス大学医学部医学・腫瘍学教授のMarcia Irene Canto氏らによるこの研究結果は、「Gastro Hep Advances」に9月12日掲載された。Canto氏は、「この知見によりがんが早期発見されれば、生存率の向上につながる可能性がある」とニュースリリースの中で述べている。

未治療および再発・難治性CLL/SLLへのピルトブルチニブ、イブルチニブと直接比較(BRUIN-CLL-314)/JCO

 BTK阻害薬投与歴のない慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)患者(未治療および再発・難治性症例)に対して、非共有結合型BTK阻害薬ピルトブルチニブを共有結合型BTK阻害薬イブルチニブと直接比較した無作為化比較試験で、全奏効率(ORR)についてピルトブルチニブがイブルチニブに非劣性を示したことを、米国・The Ohio State University Comprehensive Cancer CenterのJennifer A. Woyach氏らが報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2025年12月7月号に掲載。

非小細胞肺がん、アミバンタマブ・ラゼルチニブ併用における予防的抗凝固療法に関する合同ステートメント/日本臨床腫瘍学会ほか

 日本臨床腫瘍学会、日本腫瘍循環器学会、日本循環器学会、日本肺癌学会、日本癌治療学会、日本血栓止血学会、日本静脈学会は2025年12月8日、非小細胞肺がん(NSCLC)のアミバンタマブ・ラゼルチニブ併用療法における予防的抗凝固療法の適正使用に関する合同ステートメントを発表した。  EGFR遺伝子変異陽性の切除不能進行・再発NSCLCに対する新たな治療戦略として二重特異性モノクローナル抗体であるアミバンタマブと第3世代EGFR-TKIラゼルチニブの併用療法が臨床導入された。アミバンタマブ・ラゼルチニブ併用療法では、静脈血栓塞栓症(VTE)の発症が高頻度であることが国内外の臨床試験により報告されている。このためVTE発症予防を目的として、併用療法開始後4ヵ月間にわたる直接経口抗凝固薬アピキサバンの投与が2025年3月27日付で厚生労働省保険局医療課により承認された。

HR+/HER2-進行乳がん1~2次治療、パルボシクリブvs.ribociclib vs.アベマシクリブ

 ホルモン受容体陽性(HR+)/HER2陰性(HER2-)進行乳がんに対する1次および2次治療として、CDK4/6阻害薬と内分泌療法の併用療法は標準治療となっている。パルボシクリブ、ribociclib、アベマシクリブの3種類のCDK4/6阻害薬について、内分泌療法との併用におけるリアルワールドでの生存ベネフィットを比較した多施設共同後ろ向きPOLiCDK試験の結果を、ポーランド・Military Institute of Medicine-National Research InstituteのRenata Duchnowska氏がBreast誌オンライン版2025年11月24日号で報告した。

再発・難治性DLBCLに対するチサゲンレクルユーセルの5年追跡結果(JULIET)/JCO

 再発・難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)へのチサゲンレクルユーセルを評価した単群非盲検多施設共同国際第II相JULIET試験における5年の解析結果について、米国・Oregon Health and Science University Knight Cancer InstituteのRichard T. Maziarz氏らが報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2025年11月18日号に掲載。  本試験の対象は、2ライン以上の治療後に病勢進行した再発・難治性DLBCL(原発性縦隔DLBCLを除く)の成人患者115例で、主要評価項目は奏効率(ORR)、副次評価項目は奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性などであった。

20年で大きく生存率が向上したがん・変化の少ないがん/国立がん研究センター

 国立がん研究センターがん対策研究所を中心とする厚生労働科学研究費補助金「がん統計を活用した、諸外国とのデータ比較にもとづく日本のがん対策の評価のための研究」班は2025年11月19日、地域がん登録データを活用した2012~15年診断症例の5年生存率を報告書にまとめ、公表した。  なお、今回の集計から生存率の推定方法が変更されている。これまで利用されてきた「相対生存率」は実際より過大推定となる恐れがあり、本集計から国際比較にも利用できる「純生存率」(“がんのみが死因となる状況”を仮定して、実測生存率に重み付けして推定)に変更された。

1~2個のSLN転移陽性早期乳がん、ALND省略で生存アウトカムは?メタ解析

 センチネルリンパ節(SLN)転移陽性の乳がん患者に対しては、これまで腋窩リンパ節郭清(ALND)が推奨されてきたが、乳房温存術(BCS)を受ける患者でSLN転移が限局的な患者に対しては、Z0011試験などの結果を踏まえALND省略が考慮されるようになっている。しかし、乳房全切除術(TM)を受ける患者に関しては、エビデンスが限られ、結果も一貫していない。中国・Qilu Hospital of Shandong UniversityのJinyi Xie氏らは、1〜2個のSLN転移陽性早期乳がん患者において、ALND群とセンチネルリンパ節生検(SLNB)単独群の生存アウトカムを比較することを目的としてメタ解析を実施。BCSを受ける患者とTMを受ける患者におけるサブグループ解析も行い、結果をOncologist誌オンライン版11月14日号で報告した。