腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:5

局所進行上咽頭がん、化学放射線療法後のcamrelizumabが有効/JAMA

 局所進行上咽頭がん(NPC)の化学放射線療法後の補助療法として、camrelizumabの投与は無イベント生存(EFS)を有意に改善し毒性も管理可能であり、有用性が確認されたことを、中国・中山大学がんセンターのYe-Lin Liang氏らが中国の11施設で実施した第III相無作為化非盲検試験「DIPPER試験」の結果として報告した。NPC患者の約20~30%は、根治的化学放射線療法の施行にもかかわらず再発する。抗PD-1抗体のcamrelizumabは、再発または転移のあるNPCに対する有用性は示されているが、局所進行NPCにおける有用性は不明であった。JAMA誌オンライン版2025年3月13日号掲載の報告。

化学療法誘発性末梢神経障害の克服に向けた包括的マネジメントの最前線/日本臨床腫瘍学会

 2025年3月6~8日に第22回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催され、8日の緩和ケアに関するシンポジウムでは、「化学療法誘発性末梢神経障害のマネジメント」をテーマに5つの講演が行われた。化学療法誘発性末梢神経障害(chemotherapy-induced peripheral neuropathy:CIPN)は、抗がん剤投与中から投与終了後、長期にわたって患者のQOLに影響を及ぼすものの、いまだ有効な治療の確立に至っていない。そこで、司会の柳原 一広氏(関西電力病院 腫瘍内科)と乾 友浩氏(徳島大学病院 がん診療連携センター)の進行の下、患者のサバイバーシップ支援につなげることを目的としたトピックスが紹介された。

細胞免疫療法~CAR T-cell・T-cell engager~の進歩と今後の展望/日本臨床腫瘍学会

 手術療法、抗がん剤療法、放射線療法に続くがん治療の第4の柱として、細胞免疫療法が国内外で徐々に広がりつつある。とくに、最近は通常の免疫機能などでは治癒が困難な難治性のがんに対する治療法として、キメラ抗原受容体T(CAR-T)細胞療法やT細胞誘導抗体(T-cell engager:TCE)が、一部の血液がんに対する効果的な治療法として期待されている。  2025年3月6~8日に開催された第22回日本臨床腫瘍学会学術集会では、日本血液学会と日本臨床腫瘍学会の合同シンポジウムが開催され、細胞免疫療法の現状や課題、今後の展望などについて議論が交わされた。

切除不能進行胃がんに対するPD-L1抗体sugemalimab+化学療法の有用性(解説:上村直実氏)

食道胃接合部腺がんを含む手術不能な進行胃がんに対する第1選択の薬物療法とは、従来、5-FUを代表とするフッ化ピリミジン系薬剤とシスプラチンなどのプラチナ系薬剤の併用療法が標準化学治療となっていた。最近、細胞増殖に関わるHER2遺伝子の有無により、HER2陽性胃がんに対しては抗HER2抗体であるトラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)を追加した3剤併用レジメンが第1選択の標準治療として推奨されており、さらに免疫チェックポイント阻害薬(ICI)を追加した4剤併用療法の有用性も報告されている。

HER2陽性転移乳がん、術後放射線療法でOS改善~SEERデータ

 HER2陽性転移乳がん(MBC)において、抗HER2療法の下での術後放射線療法(PORT)の役割をリアルワールドデータで検討したところ、PORTが全生存期間(OS)をさらに改善していたことがわかった。また、サブグループ解析では、局所進行(T3~4、N2~3)、Grade3、ホルモン受容体(HR)陽性、骨・内臓転移あり、乳房切除を受けた患者において、有意にベネフィットがあることが示唆された。中国・The First Affiliated Hospital of Bengbu Medical UniversityのLing-Xiao Xie氏らがBreast Cancer Research and Treatment誌オンライン版2025年3月14日号で報告した。

リンパ腫・骨髄腫に対する新たな免疫治療/日本臨床腫瘍学会

 キメラ抗原受容体T(CAR-T)細胞療法や二重特異性抗体など、最近の免疫治療の進歩は目覚ましく、とくに悪性リンパ腫と多発性骨髄腫に対しては生命予後を大幅に改善させている。今後もさらに治療成績が向上することが期待され、最適な治療法を選択していくためには、本邦における免疫治療の現状や課題、今後の治療法の開発状況などについてよく理解しておく必要がある。  2025年3月6~8日に開催された第22回日本臨床腫瘍学会学術集会では、リンパ腫・骨髄腫に対する新たな免疫治療についてのシンポジウムが開催され、国内外の4人の演者が最新の知見や今後の展望などについて講演した。

高齢NSCLCへのICI、2次治療への移行率と治療成績(NEJ057)/日本臨床腫瘍学会

 高齢の非小細胞肺がん(NSCLC)患者における免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による治療後の2次治療への移行率や、2次治療の有効性に関する報告は乏しい。そこで、75歳以上の進行・再発NSCLC患者を対象とした後ろ向きコホート研究(NEJ057)において、ICIによる治療後の2次治療への移行率および2次治療の治療成績が検討された。山口 央氏(埼玉医科大学国際医療センター)が、第22回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2025)で本結果を報告した。 ・試験デザイン:多施設(58施設)後ろ向きコホート研究 ・対象:未治療の75歳以上の進行・再発NSCLC患者のうち、ICI+化学療法、ICI単剤、プラチナダブレット、単剤化学療法のいずれかで2018年12月~2021年3月に治療を開始した患者(初回治療に分子標的薬を使用した患者とEGFR遺伝子変異ALK融合遺伝子を有する患者は除外) ・評価項目:全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、安全性など

二重特異性抗体ivonescimab、PD-L1陽性未治療進行NSCLCのPFS延長/Lancet

 未治療のPD-L1陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、PD-1と血管内皮増殖因子(VEGF)に対する二重特異性抗体であるivonescimabはペムブロリズマブと比較し無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したことが示された。中国・同済大学のAnwen Xiong氏らが、中国の55施設で実施した第III相無作為化二重盲検比較試験「HARMONi-2試験」の結果を報告した。ivonescimabは、初期の第Ib相試験でPD-L1陽性進行NSCLCに対する単剤療法での客観的奏効率が52.2%と、有望な結果が示されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「ivonescimabはPD-L1陽性進行NSCLCの1次治療における新たな治療選択肢となるだろう」とまとめている。Lancet誌2025年3月8日号掲載の報告。

再発/難治性多発性骨髄腫に対するテクリスタマブを発売/J&J

 Johnson & Johnson(法人名:ヤンセンファーマ)は2025年3月19日、再発/難治性の多発性骨髄腫の治療薬として、B細胞成熟抗原(BCMA)およびCD3を標的とする二重特異性抗体テクリスタマブ(遺伝子組換え)(商品名:テクベイリ皮下注)を発売したことを発表した。本剤は、2024年12月27日に「再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)」を効能又は効果として承認され、2025年3月19日に薬価収載された。

進行食道がんへのニボルマブ+イピリムマブ、ニボルマブ+化学療法の日本人長期追跡データ(CheckMate 648)/日本臨床腫瘍学会

 CheckMate 648試験は、未治療の根治切除不能・進行再発食道扁平上皮がんを対象に、シスプラチン+5-FUの化学療法を対照として、ニボルマブ+化学療法、ニボルマブ+イピリムマブの優越性を報告した試験である。この試験の結果をもって両レジメンは「食道癌診療ガイドライン 2022年版」においてエビデンスレベルAで推奨されている。第22回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2025)のPresidential Sessionでは、虎の門病院の上野 正紀氏が、本試験の日本人サブグループにおける45ヵ月の長期フォローアップデータを報告した。 ・試験デザイン:国際共同ランダム化第III相試験 ・対象:未治療の進行再発または転移食道扁平上皮がん(ESCC)、ECOG PS 0~1 ・試験群: 1)ニボ+イピ群:ニボルマブ(3mg/kg)+イピリムマブ(1mg/kg) 2)ニボ+ケモ群:ニボルマブ(240mg)+化学療法(シスプラチン+5-FU) ニボルマブおよびイピリムマブは最長2年間投与 3)ケモ群:化学療法単独(シスプラチン+5-FU) [主要評価項目]PD-L1(TPS)≧1%の患者における全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS) [副次評価項目]全体集団のOS・PFS、奏効率(ORR)