精神疾患は、世界の非致死性疾患負担の主な原因の1つであり、小児、青年、若者の間で有病率が上昇している。中国・Northwest Women's and Children's HospitalのWei Liu氏らは、GBD 2021データを用いて、9つの精神疾患について、1990~2021年の地域、年齢、性別による推定値を分析し、2050年までの負担を予測した。Frontiers in Public Health誌2025年9月16日号の報告。
年齢調整有病率(ASPR)および障害調整生存年数率(ASDR)の平均年変化率(AAPC)および年変化率(APC)を算出した。分解分析、不平等分析、フロンティア分析、比較リスク分析、ベイズ統計を用いた年齢・時代・コホート分析を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・1990年と比較し、2021年の世界の負担は若年層で有意に増加した。
【ASPR】AAPC:0.15、95%信頼区間(CI):0.14~0.16
【ASDR】AAPC:0.40、95%CI:0.29~0.51
・若年層における世界的負担は、2019年以降に急増した。
【ASPR】APC:4.74、95%CI:4.55~4.93
【ASDR】APC:6.64、95%CI:4.88~8.42
・男性は女性よりも負担が大きく、年齢層によって性別特有のパターンに、ばらつきが見られた。
・負担は、社会人口統計指数(SDI)により大きく異なり、SDIの高い地域では最も高かった(ASPR:1万2,913.13、95%不確実性区間[UI]:1万1,135.82~1万4,874.98、ASDR:1,750.41、95%UI:1,253.46~2,328.87)。
・9つの精神疾患の負担の変化は、世界レベル、地域レベル、国レベルで異なっていた。
・分解分析では、有病率と障害調整生存年数(DALY)の変化は、主に人口増加(各々、84.86%、57.92%)に起因しており、SDIの高い地域で最も顕著な改善が見られた。
・フロンティア分析では、高所得国・地域では負担軽減の可能性があることが示唆された。
・世界的に、不安症、うつ病、特発性発達性知的障害の主なリスク因子として、小児期の性的虐待、いじめ、親密なパートナーによる暴力、鉛曝露が特定された。
・2050年までに精神疾患の負担は減少すると予測された(人口10万人当たりASPR:6,120.71、95%CI:3,973.57~8,267.85、人口10万人当たりASDR:844.71、95%CI:529.48~1,159.94)。
著者らは「2050年までに精神疾患の負担は減少すると予測されているものの、世界の精神疾患の負担は増加しており、人口間で大きな格差が認められた。近年の急増傾向により、世界的な予防の強化と公平な医療の拡充が求められている」とまとめている。
(鷹野 敦夫)