抗うつ薬の選択で死亡リスクに違いはあるか?

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2026/01/16

 

 うつ病は死亡リスクを著しく上昇させることが知られているが、抗うつ薬の使用が長期生存へ及ぼす影響は依然として不明である。中国・Shantou University Medical CollegeのXiaoyin Zhuang氏らは2005~18年の抗うつ薬の使用傾向を調査し、米国の全国代表コホートにおける、うつ病関連死亡率に及ぼす抗うつ薬の影響を定量化するため本研究を実施した。General Hospital Psychiatry誌2026年1・2月号の報告。

 米国国民健康栄養調査(NHANES)の7サイクル分(2005~18年)のデータを解析した(成人:1万1,569人)。うつ病の定義は、こころとからだの質問票(PHQ-9)スコア10以上とした。抗うつ薬の使用状況は薬局の認証で確認し、SSRI、SNRI、三環系抗うつ薬(TCA)、その他に分類した。死亡率との関連性は2019年まで延長し評価した。加重ロジスティック回帰分析を用いて、社会人口統計学的特性、心血管代謝関連疾患、ライフスタイルで順次調整したうえで、うつ病と死亡率との関連性を評価した。媒介解析では、抗うつ薬のパスウェイ効果を定量化し、層別モデルではクラス固有のハザード比(HR)を検証した。

 主な結果は以下のとおり。

・うつ病は単独で、全死亡リスクを61%増加させた(完全調整オッズ比:1.61、95%信頼区間:1.24〜2.08)。
・抗うつ薬の使用は、うつ病による総死亡率の27.3%に影響を及ぼしていた(p<0.001)。
・処方の傾向では、SSRIが主流であり(12.7%→20.1%)、SNRIが急速に増加(3.4%→6.1%)、TCAが減少(2.5%→1.8%)していることが示された。
・重要点として、抗うつ薬クラスによって死亡率への影響が異なっていた。すなわち、SNRIは、死亡リスクの低下(HR:0.72)と関連し、SSRIは中立的であった(HR:0.93)。一方、TCAではリスク増加が認められた(HR:1.19)。

 著者らは「うつ病は、併存疾患とは無関係に死亡率を大きく上昇させるが、抗うつ薬の選択はこのリスクを緩和することが示唆された。抗うつ薬の選択バイアスの影響が残存する可能性はあるものの、SNRIは生存率向上に有効であり、高リスク集団においてTCAよりもSNRIが優先的に使用されることを裏付けている。本結果は、抗うつ薬クラスがうつ病管理における重要な効果修飾因子であることを示しており、薬物疫学的エビデンスを実臨床に統合する必要性を示唆している」とまとめている。

(鷹野 敦夫)