睡眠時間の短縮は、青年期のうつ病と関連していることが報告されている。しかし、明確な用量反応関係や年齢別のリスク閾値に関しては、依然として十分に解明されていない。中国・皖南医科大学第一附属医院のWei Cheng氏らは、この関連性を明らかにするため、代表的なサンプルを用いて、発達段階に応じた最適な睡眠時間を特定することを試みた。Frontiers in Pediatrics誌2026年3月27日号の報告。
対象は、2020~23年の全米児童健康調査(NSCH)の横断データより抽出した6~17歳の青年12万6,407例。保護者による睡眠時間の報告は、制限付き3次スプラインを用いた連続変数およびカテゴリー変数としてモデル化した。現在の抑うつ状態は、保護者による臨床医の診断報告に基づいて定義した。社会人口統計学的因子および健康関連因子で調整した後、調査データに基づくロジスティック回帰分析を行った。
主な結果は以下のとおり。
・睡眠時間と抑うつリスクの間には、強い非線形逆相関が認められた(p-non-linearity<0.001)。
・用量反応曲線は、6~9歳では約10時間、10~13歳男子では約8.5時間、14~17歳では約8.3時間でプラトーに達した。
・これらの閾値までの睡眠時間が1時間増加するごとに、抑うつリスクは有意に低下した。
・この関連性は、非ADHD児、健康状態の良好な子供、女性において最も強かった(p-interaction<0.05)。
・検討した因子(世帯収入、保護者の精神健康状態、子供の健康状態、ADHD診断、保護者の教育レベル)を介した媒介効果は、全体の効果の4%未満であった。
著者らは「抑うつリスクに対する保護効果がプラトーに達する発達段階特有の睡眠閾値が明らかとなった。本結果は、小児集団における年齢別睡眠推奨事項およびメンタルヘルススクリーニング戦略のための実証的な基準値となりうる」としている。
(鷹野 敦夫)