日本人うつ病患者に対するボルチオキセチンの有効性、安全性

提供元:ケアネット

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公開日:2019/12/11

 

 日本において、うつ病は大きな影響を及ぼす疾患である。東京医科大学の井上 猛氏らは、日本人うつ病患者に対する抗うつ薬ボルチオキセチンの有効性および安全性を評価するため、検討を行った。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2019年11月14日号の報告。

 本研究は、再発性うつ病およびMontgomery-Asberg Depression Rating Scale(MADRS)スコア26以上の日本人うつ病患者(20~75歳)を対象とした、8週間の二重盲検プラセボ対照ランダム化第III相試験である。対象患者は、ボルチオキセチン10、20mg群またはプラセボ群にランダムに割り付けられた。主要エンドポイントは、ベースラインからのMADRS合計スコアの変化とした。副次的エンドポイントは、MADRSの治療反応と寛解率、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D17)、臨床全般重症度(CGI-S)、臨床全般印象度(CGI-I)、シーハン障害尺度(SDS)の変化とした。認知機能は、Digit Symbol Substitution Test(DSST)スコア、Perceived Deficits Questionnaire-5 item(PDQ-5)スコアを用いて評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・MADRS合計スコアは、プラセボ群(161例)と比較し、ボルチオキセチン10mg群(165例)で2.66、ボルチオキセチン20mg群(163例)で3.07の減少が認められた(各々p<0.01)。
・MADRSの治療反応と寛解率は、プラセボ群と比較し、ボルチオキセチン10、20mg群で有意な改善が認められた(各々p<0.05)。
・ボルチオキセチン10、20mg群では、8週間後のHAM-D17スコア、CGI-Iスコア、SDS合計スコアの有意な改善が認められた。
・ボルチオキセチン群では、PDQ-5スコアの有意な改善が認められたが、DSSTスコアでは有意な差は認められなかった。
・ボルチオキセチン群の忍容性は、良好であった。

 著者らは「日本人うつ病患者に対し、ボルチオキセチン10mg/日および20mg/日による治療は、抗うつ効果が期待でき、8週間にわたる忍容性も良好であった」としている。

(鷹野 敦夫)