基礎インスリン治療中の2型糖尿病、efsitoraはデグルデクに非劣性/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2025/07/11

 

 基礎インスリンを投与中の2型糖尿病成人患者において、insulin efsitora alfa(efsitora)週1回投与はインスリン デグルデク(デグルデク)1日1回投与と比較し、HbA1c値の改善に関して非劣性であることが示された。米国・Scripps Whittier Diabetes InstituteのAthena Philis-Tsimikas氏らが、日本を含む9ヵ国127施設で実施された78週間の第III相無作為化非盲検treat-to-target非劣性試験「QWINT-3試験」の結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「2型糖尿病成人患者の治療において、efsitoraは週1回投与と注射回数が少なく、忍容性と有効性は良好であり、1日1回投与の基礎インスリンの代わりとなるインスリン製剤である」とまとめている。Lancet誌2025年6月28日号掲載の報告。

26週時のHbA1c変化量に関し、efsitoraのデグルデクに対する非劣性を評価

 QWINT-3試験の対象は、基礎インスリン製剤による安定した治療を受けているが食事インスリンによる治療は受けていない2型糖尿病の成人(18歳以上)患者で、スクリーニング時のHbA1c値が6.5~10.0%、インスリン以外の糖尿病治療薬を最大3種類まで投与されている患者とした。

 研究グループは、適格患者をefsitora群またはデグルデク群に、2対1の割合に無作為に割り付けた。

 efsitora群では、空腹時血糖値が120mg/dL以下の患者には通常の1日基礎インスリン量の7倍(10単位未満は四捨五入)のefsitora週1回投与に切り替え、空腹時血糖値が120mg/dL超の患者には、初回のみ、1日基礎インスリン量×7の3倍量のefsitoraを投与した後、efsitora週1回投与に切り替えた。

 両群とも、最初の12週間は、前週の直近3回の空腹時血糖値の中央値と低血糖エピソードを考慮して目標空腹時血糖値80~120mg/dLを達成するよう毎週用量調整を行った。その後は78週目まで少なくとも毎月、用量評価を行った。

 主要エンドポイントは、26週時のHbA1c値のベースラインからの変化量の非劣性で、非劣性マージンは、最小二乗平均変化量の群間差の95%信頼区間(CI)の上限が0.4%とした。

 重要な副次エンドポイントは、efsitoraのデグルデクに対する優越性で、26週時のHbA1c値のベースラインからの変化量、78週目までの患者報告による臨床的に重要(レベル2[<54mg/dL])または重症(レベル3[治療のために介助を必要とする])の夜間低血糖の複合、22~26週の持続血糖モニタリング(CGM)測定血糖値70~180mg/dL内の時間とした。

最小二乗平均変化量は-0.81%ポイントvs.-0.72%ポイント、群間差-0.09%ポイント

 2022年3月8日~2024年5月15日に1,229例が登録され、適格基準を満たした986例が無作為化された(efsitora群655例、デグルデク群331例)。全例が少なくとも1回の試験薬を投与された。患者背景は、女性431例(44%)、男性555例(56%)、年齢中央値は62.0歳(四分位範囲:54.0~68.0)、ベースラインのBMI中央値は29.65(26.32~34.12)、HbA1c中央値7.7%(7.1~8.4)で、871例(88%)が78週間の治療を完了した。

 26週時のHbA1c値のベースラインからの変化量(最小二乗平均値)は、efsitora群-0.81%ポイント(標準誤差0.03)、デグルデク群-0.72%ポイント(標準誤差0.04)であり、efsitoraのデグルデクに対する非劣性が検証された(推定群間差:-0.09%ポイント、95%CI:-0.19~0.01)。

 臨床的に重要または重症の低血糖イベントは、efsitora群で268例に754件(41%、発現頻度0.84件/人年)、デグルデク群で123例に346件(37%、発現頻度0.74件/人年)認められ、推定発生率比は1.14(95%CI:0.83~1.56、p=0.43)と同程度であった。

 重篤な有害事象は、efsitora群103例(16%、治療関連7例[1%])、デグルデク群37例(11%、治療関連1例[<1%])に発現し、両群とも最も多かったのは主に心血管関連事象であった(約1%)。

 試験中に9例(efsitora群7例、デグルデク群2例)が死亡したが、いずれも試験治療とは関連していなかった。

(医学ライター 吉尾 幸恵)