マルチターゲット便DNA検査は免疫学的便潜血検査よりも大腸がん発見のコストが高い

提供元:HealthDay News

印刷ボタン

公開日:2025/07/11

 

 マルチターゲット便DNA検査(MSDT)および次世代MSDT(N-G MSDT)を用いたスクリーニングは、免疫学的便潜血検査(FIT)と比較して、発見できるAdvanced neoplasiaや早期大腸がん(CRC)1例当たりのコストが高いというリサーチレターが、「Annals of Internal Medicine」に5月13日掲載された。

 ドイツがん研究センターのHermann Brenner氏らは、MSDTがFITと比較して高感度であり、米国でCRCスクリーニングに使用される機会が増えていることに着目し、2件の研究の結果に基づいて、FIT、MSDT、N-G MSDTを用いたCRCスクリーニングにおいて発見できる標的所見1件当たりのコストを比較検討した。

 その結果、便検査で陽性となった場合の大腸内視鏡検査実施率を60%と仮定した場合、発見されるAdvanced neoplasiaまたは早期CRC1例当たりのスクリーニングコストは、MSDTおよびN-G MSDTを用いたスクリーニングで、FITを用いたスクリーニングよりも約7~9倍高くなることが分かった。FITを用いたスクリーニングと比較して、MSDTあるいはN-G MSDTにより追加で早期発見されるCRC1例当たりのコストはいずれも70万ドルを超え、これはFITで発見されるCRC1例当たりの約40倍および30倍に相当した。MSDTおよびN-G MSDTの1回当たりのコストが100ドル(現在のコストの20%未満)に引き下げられたとしても、MSDTまたはN-G MSDTにより追加で発見されるCRCまたはAdvanced neoplasia1例当たりのコストは、依然としてFITより何倍も高くなると考えられる。

 著者らは、「今回の結果は、米国におけるFIT使用率の低下とMSDT使用率の上昇という現在の傾向を逆転させることができれば、得られるものが非常に大きい可能性を示している」と述べている。

[2025年5月14日/HealthDayNews]Copyright (c) 2025 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら