ウォーキングと慢性腰痛リスクとの関連性を調査した前向きコホート研究の結果、慢性腰痛の予防においては歩行時間のほうが歩行強度よりも重要な要素である可能性が示された。1日の歩行時間が長いほど慢性腰痛のリスクが低く、1日の歩行時間が101分超の参加者は78分未満の参加者と比較して慢性腰痛リスクが23%低かったことを、ノルウェー科学技術大学のRayane Haddadj氏らが明らかにした。JAMA Network Open誌2025年6月13日号掲載の報告。
定期的な身体活動は慢性腰痛を軽減する可能性が示唆されているが、ウォーキングと慢性腰痛リスクとの関連性は明らかではない。そこで研究グループは、ノルウェーの人口ベースのHUNT4研究(2017~19年)の参加者1万1,194人を対象に、加速度計を用いて計測した1日の歩行時間と歩行強度(MET)が、その後の慢性腰痛の発症リスクと関連するかどうかを調べた。追跡期間は約4.2年で、慢性腰痛は過去12ヵ月間に3ヵ月以上継続した腰痛と定義した。
主な結果は以下のとおり。
●参加者の平均年齢は55.3歳で、女性は6,564人(58.6%)であった。
●追跡期間中に1,659例(14.8%)が慢性腰痛を報告した。
●1日の歩行時間は慢性腰痛のリスクと逆相関していた。歩行時間が78分/日未満(第1四分位)の参加者と比較した場合の相対リスク(RR)と95%信頼区間(CI)は以下のとおり。
・78~100分/日のRR:0.87(95%CI:0.77~0.98)
・101~124分/日のRR:0.77(95%CI:0.68~0.87)
・125分以上/日のRR:0.76(95%CI:0.67~0.87)
●歩行時間と慢性腰痛リスクとの関連性は、65歳以上でより強く認められた。
●性別との関連性は認められなかった。
●歩行強度が高いことも慢性腰痛リスクの低下と関連していたが、1日の歩行時間で調整するとこの関連性は弱まった。
(ケアネット 森)