うつ病に対するボルチオキセチン治療と自殺リスク 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2019/07/12 米国・BlackThorn TherapeuticsのAtul R. Mahableshwarkar氏らは、成人うつ病患者に対するボルチオキセチン治療に関連する自殺念慮や自殺行動のリスクを評価するため検討を行った。CNS Spectrums誌オンライン版2019年6月14日号の報告。 自殺関連事象は、2つの試験プール(短期[6~8週間]プール試験:10ランダム化プラセボ対照試験、長期[52週間]プール試験:3オープンラベル拡大試験)を用いて事後評価した。自殺関連事象の評価には、コロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS)および治療下で発現した有害事象(TEAE)のデータを用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・ベースライン時、短期プール試験においてC-SSRSの自殺念慮または自殺行動が報告された患者の割合は、プラセボ(14.7%)と同程度であった(ボルチオキセチン5mg:19.8%、ボルチオキセチン10mg:13.0%、ボルチオキセチン15mg:11.2%、ボルチオキセチン20mg:13.7%、デュロキセチン:13.2%)。また、6~8週間の治療期間を通じて変化は認められなかった(プラセボ:17.0%、ボルチオキセチン5mg:19.3%、ボルチオキセチン10mg:13.5%、ボルチオキセチン15mg:12.6%、ボルチオキセチン20mg:15%、デュロキセチン:11.3%)。 ・短期プール試験でのTEAEに基づく自殺関連事象の発生率は、プラセボ0.4%、ボルチオキセチン5mg:0.2%、ボルチオキセチン10mg:1.0%、ボルチオキセチン15mg:0.7%、ボルチオキセチン20mg:0.7%、デュロキセチン:0.7%であった。 ・52週間のボルチオキセチン治療後での発生率は、C-SSRSの自殺念慮9.8%、C-SSRSの自殺行動0.2%、TEAEに基づく自殺関連事象1%未満であった。 ・いずれの研究においても、自殺は完遂されなかった。 著者らは「うつ病患者の自殺念慮や自殺行動リスクの増加に、ボルチオキセチンは影響を及ぼさないことが示唆された」としている。 ■「ボルチオキセチン」関連記事 ボルチオキセチン治療中のうつ病患者における睡眠と抑うつ症状との関係 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Mahableshwarkar AR, et al. CNS Spectr. 2019 Jun 14. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 うつ病成人の自殺傾向に対するSSRIの影響 医療一般(2018/03/20) うつ病による自殺のリスク因子 医療一般(2018/12/27) 大うつ病と自殺念慮に関する治療抵抗性うつ病研究グループの報告 医療一般(2018/07/02) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] FUS-ALSの治療、jacifusenが有望/Lancet(2025/06/09) 軽症~中等症COVID-19、40種の薬物療法を比較/BMJ(2025/06/09) 胃がん周術期、FLOTにデュルバルマブ上乗せでEFS改善(MATTERHORN)/ASCO2025(2025/06/09) 統合失調症とうつ病における幻聴の違いは(2025/06/09) 進行尿路上皮がん1次治療、EV+ペムブロリズマブによるCR・PR症例の探索的解析結果(EV-302/KEYNOTE-A39)/ASCO2025(2025/06/09) 乳がん内分泌療法に伴うホットフラッシュにelinzanetantが有効(OASIS-4)/ASCO2025(2025/06/09) がん患者のワクチン接種率を上げるカギは医療者からの勧め/日本がんサポーティブケア学会(2025/06/09) 好奇心は加齢に伴い減退する?(2025/06/09) [ あわせて読みたい ] ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15) Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20)