急性期統合失調症患者におけるブレクスピプラゾールの代謝パラメータや体重増加への影響

提供元:ケアネット

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公開日:2018/08/07

 

 米国・フロリダ・アトランティック大学のJohn W. Newcomer氏らは、ブレクスピプラゾールの主要な2つの第III相試験と長期試験のデータより、成人の統合失調症患者における、代謝パラメータおよび体重に対するブレクスピプラゾールの影響について、患者のサブグループを含めて検討を行った。Current Medical Research and Opinion誌オンライン版2018年7月9日号の報告。

 第III相試験は、6週間のランダム化二重盲検プラセボ対照試験(固定用量2および4mg/日)として実施された。長期試験は、第III相試験を完了した患者を対象とした52週間のオープンラベル試験として実施された。ブレクスピプラゾールの最大投与期間は、58週であった。空腹時の代謝パラメータおよび体重は、研究期間中にわたり測定された。代謝関連の値は、一般的に報告された閾値を用いて、正常値~境界値~高値(コレステロール、トリグリセライド、グルコース)と低値~正常値(HDL)にて分類を行った。代謝パラメータ変化の発生率は、治療の最初の6週間、最初の6ヵ月間、最後の6ヵ月間における、ベースラインから任意の時間で測定が行われた。

 主な結果は以下のとおり。

・第III相試験(短期試験)におけるブレクスピプラゾール治療患者の代謝パラメータは、悪化する割合が低く、プラセボ治療患者と同様であった。また、代謝パラメータ値の変化は、用量依存的ではなかった。
・短期および長期試験において、ブレクスピプラゾール治療による代謝パラメータの悪化の発生率は、良好の発生率よりも低かった。
・短期試験における体重の平均増加量は、ブレクスピプラゾール群で1.2kg、プラセボ群で0.2kgであった。
・長期試験における体重の平均増加量は、58週目で3.2kgであった。

 著者らは「ブレクスピプラゾールは、短期および長期の治療において、適度な体重増加と代謝パラメータのわずかな変化しか認められなかった」としている。

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(鷹野 敦夫)