日本の骨髄線維症(MF)患者において、貧血および輸血が罹患率、死亡率、医療費の増加と関連していることが後方視的コホート研究で示された。同研究結果はPLoS One誌(2026年5月8日付オンライン版)で発表された。
同研究は、日本の大規模診療データベース(Medical Data Vision)を使用し、MF患者全体およびJAK阻害薬治療を受けたサブグループにおける、治療パターン、輸血負担などを調査することを目的に実施された。対象は2015年4月1日~2022年6月30日に特定されたMF患者で、全体コホートは836例、そのうちJAK阻害薬投与サブグループは281例であった。
主な結果は以下のとおり。
<全体コホート>
・同コホートの59.9%が貧血を合併しており、血小板減少症の合併も18.7%で認められた。
・基準日(診断日)における輸血状況は、輸血依存が37.9%、要輸血が6.6%、輸血非依存が55.5%であった。
・MF診断からのOS中央値は83.3ヵ月。貧血なし群では未到達、貧血あり群では62.0ヵ月と、貧血なし群で有意に延長していた(p<0.0001)。
<JAK阻害薬投与サブグループ>
・同サブグループの全例がルキソリチニブの投与を受けていた。
・同サブグループの66.9%が貧血を合併しており、血小板減少症の合併も22.8%で認められた。
・基準日(投与開始日)における輸血状況は、輸血依存が47.0%、要輸血が9.3%、輸血非依存が43.8%であった。
・OS中央値は全体で53.9ヵ月。貧血なし群では未到達、貧血あり群では45.7ヵ月と、貧血なし群で有意に延長していた(p<0.0001)。
<医療資源利用と費用>
・ルキソリチニブ投与患者1例における1ヵ月間の総医療費は73万3,800円であった。そのうち全薬剤費平均値は49万8,933円であった。
・患者1例における1ヵ月の全薬剤費は貧血のある患者では51万4,259円、貧血のない患者では42万9,817円。輸血依存群の同費用は63万4,044円、非依存群は38万4,720円であった。
筆者はJAK阻害薬投与群のOSは、基準日や患者背景の違いもあり、MF全体とは比較できないと付記している。これらの結果から、日本のMF患者の半数以上が貧血を合併し、輸血に依存している現状が明らかになった。また、貧血の合併や輸血依存の状態が生命予後に影響することも示された。実臨床におけるMF患者の疾病負担を軽減するための新たなアプローチや治療戦略の必要性が浮き彫りとなった。
(ケアネット)