アレルギーや喘息に伴う過敏な免疫反応や慢性炎症が、がん発症に防御的に働くのか、あるいは促進するのかについては、依然として議論されている。今回、国立がん研究センターの平林 万葉氏らが、日本人の多目的コホート研究(JPHC Study)から得られたデータを用いて前向き観察研究を実施したところ、アレルギーや喘息の既往はがん全体のリスクとは関連しないものの、喫煙男性では大腸がん、非喫煙女性では子宮頸がんのリスク上昇と関連することが示された。Cancer Medicine誌2026年7月号に掲載。
参加者は、自記式質問票で、医師からアレルギー、喘息、またはその両方(以下、アレルギー/喘息)と診断されたことがあるかを回答し、2013年12月まで追跡された。アレルギー/喘息の既往歴の組み合わせと、全体および部位別がんリスクとの関連について、Cox比例ハザードモデルを用いてハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を推定した。また、喫煙状況によるサブグループ解析も実施した。
主な結果は以下のとおり。
・追跡期間中に1万7,679例でがんが確認され、6.5%にアレルギー/喘息の既往歴があった。
・アレルギー/喘息の既往歴と、日本人集団におけるがん全体の罹患リスクとの間に関連は認められなかった。
・部位別に見ると、アレルギー/喘息の既往歴と甲状腺がんとの間に境界線上の関連が認められた(HR:1.54、95%CI:1.00〜2.35)。
・サブグループ解析の結果、喫煙歴がありアレルギー/喘息の既往歴のある男性では、大腸がんのリスク上昇が認められた(HR:1.30、95%CI:1.03〜1.63)。
・一方、喫煙歴がなくアレルギー/喘息の既往歴のある女性では、子宮頸がんのリスク上昇が示された(HR:1.98、95%CI:1.01〜3.86)。
著者らは「日本人集団においてアレルギーや喘息、またはその両方の既往歴とがんリスクとの関連は認められなかったが、一部の部位のがんとの関連が示され、さらなる調査が必要」としている。
(ケアネット 金沢 浩子)