うつ病スクリーニングがたった2つの質問で可能

高齢者に対するうつ病のスクリーニングは推奨されている。中国・香港中文大学のKelvin K F Tsoi氏らは、高齢者における2項目スクリーン(Two-Question Screen)の診断精度を評価し、ほかのうつ病スクリーニング法と比較した。2項目スクリーンの質問項目は、「過去1ヵ月間で、気持ちが落ち込んだり、憂鬱な気分、絶望的な気分になりましたか」および「過去1ヵ月間で、しばしば小さなことに悩まされたり、何をしても楽しくないと感じますか」である。The British journal of psychiatry誌オンライン版2017年2月16日号の報告。
うつ病スクリーニングにおいて、2項目スクリーンが診断精度良好
高齢者における、うつ病スクリーニング法の診断精度を評価した研究の、文献検索を行った。主要アウトカムは、感受性と特異性を含む総合的な診断精度とした。潜在的なバイアスリスクと研究の質についても評価した。うつ病スクリーニング法の診断精度評価の主な結果は以下のとおり。
・133件の研究において、4万6,651例が16種類のスクリーニング法により評価されていた。
・大部分の研究(64/133件)において、さまざまなバージョンの老年期うつ病評価尺度(Geriatric Depression Scale:GDS)が使用されており、2項目スクリーンは6件で使用されていた。
・2項目スクリーンの総合感受性と特異性は、91.8%(95%CI:85.2~95.6)と67.7%(95%CI:58.1~76.0)であった。また、診断精度のAUCは90%であった。
・2項目スクリーンは、臨床医評価尺度を含むほかの尺度と同等の精度を示した。
・1項目スクリーンは、AUCが78%であり、診断精度が最も低かった。
・サブグループ解析においても、うつ病のスクリーニングにおいて、2項目スクリーンの良好な診断精度が示された。
著者らは「2項目スクリーンは、うつ病スクリーニングのためのシンプルかつ簡便な診断法である。その診断精度は、ほかの診断法と同等であり、高齢者のスクリーニングプログラムに使用することが好ましい」としている。
(鷹野 敦夫)
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