抗精神病薬が脳容積の減少に関与か

抗精神病薬投与が、統合失調症患者でみられる発症後の脳容積減少に関与している可能性が示された。フィンランド・オウル大学のJuha Veijola氏らが、一般住民ベースの出生コホートの被験者を9年間追跡し脳容積の変化などを評価し報告した。先行研究において、統合失調症患者では経時的に脳容積が減少することが示されていた。PLoS One誌オンライン版2014年7月18日号の掲載報告。
研究グループは、追跡期間が約10年と比較的長期に行われていた一般住民ベースのコホートサンプルから、統合失調症を有する被験者と対照被験者を選定し、脳容積の変化、その重症度との関連、機能、認知および抗精神病薬治療について調べた。1999~2001年の間に、33~35歳で、あらゆる精神障害を有していたNorthern Finland Birth Cohort 1966の全参加者と、精神疾患を有していなかったランダムサンプルに対して、MRI脳スキャン、臨床および認知機能の評価を行い、9年後の2008~2010年にフォローアップを行った。両時点のデータを基に、回帰モデルを用いて、脳容積変化が臨床および認知機能の変化を予測するかどうか、また抗精神病薬治療が脳容積変化を予測するかを調べた。
主な結果は以下のとおり。
・両時点でMRI脳スキャンを行ったのは、統合失調症被験者33例、対照被験者71例であった。
・年平均の全脳容積減少は、統合失調症群で0.69%、対照群0.49%であった(性別、教育水準、アルコール摂取、体重増加で補正後p=0.003)。
・統合失調症患者の脳容積減少は、とくに側頭葉、脳室周囲領域でみられた。
・統合失調症における脳容積減少と、重症度および機能レベル、認知機能の低下との関連はみられなかった。
・追跡期間中に受けた抗精神病薬の投与量(クロルプロマジン換算100mg/日の年間投与量に相当)は、脳容積減少を有意に予測した(症状、アルコール摂取、体重増加で補正後p=0.003)。
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(ケアネット)
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