各種抗精神病薬のEPS発現を副作用データベースから分析

提供元:ケアネット

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公開日:2017/01/26

 

 定型抗精神病薬は、錐体外路症状(EPS)などの有害事象が多く発現する。一方、非定型抗精神病薬による有害事象発生頻度は低い。そのため、統合失調症治療には非定型抗精神病薬が広く使用されている。しかし、定型、非定型抗精神病薬のEPS発現頻度には、差が認められないとの報告もある。日本大学の小瀬 英司氏らは、日本の医薬品副作用(JADER)データベースを用いて、定型、非定型抗精神病薬治療におけるEPS発現プロファイルの評価を行った。Yakugaku zasshi誌2017年号の報告。

定型、非定型抗精神病薬の報告オッズ比に違いがほとんどなかった
 JADERデータベースのEPS報告を分析し、EPSに関連する抗精神病薬の報告オッズ比(ROR)を算出した。データベースのtime-to-event dataには、ワイブル分布を用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・定型、非定型抗精神病薬のRORに、違いがほとんどなかった。
・EPSの発現時期に関連する有意な差は認められなかった。
・しかし、各薬剤を比較すると、パリペリドン、ペロスピロン、ブロナンセリン、アリピプラゾールは、早期にEPSが発現していた。
・一方、リスペリドン、クロザピン、オランザピン、クエチアピンは、早期だけでなく長期使用後もEPSが発現していた。

(鷹野 敦夫)