新しい喘息治療薬、FF/VIへの期待

提供元:ケアネット

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公開日:2014/02/28

 

 フルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF)/ビランテロール(VI)配合剤(商品名:レルベア)は、新しい吸入器(エリプタ)を用いた気管支喘息に対する新規吸入用散剤であり、ICS/LABA配合剤としては、世界初の1日1吸入タイプの薬剤である。国立病院機構東京病院の大田 健氏らは、FF/VIの現時点におけるエビデンスをまとめ、「使用が簡便であることから、アドヒアランスや喘息コントロールを改善させうる可能性があり、実医療下で高い効果が期待できる薬剤であると考えられる」と報告した。アレルギー・免疫誌2014年1月号の掲載報告。

日本人を含む国内外の臨床試験で喘息患者への有用性を検証
 FF/VIは日本人を含む国内外の臨床試験により、喘息患者に対する有用性が検証され開発された新規吸入用散剤である。本報告では、FF、VIの用量設定試験の結果、FF/VI配合剤としての臨床試験結果などの概要が紹介されている。

 用量設定試験により、有効性および忍容性の観点からICSであるFFは100μgおよび200μgの2用量が、LABAであるVIは25μgが喘息患者における適切な用量として選択された。またVIは、1日1回夜投与で24時間効果が持続する新規LABAであることが、海外試験(喘息患者対象7日間の二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験、12.5μgを1日1回夜vs. 6.25μgを1日2回投与)により確認・報告された。

呼吸機能改善効果を24時間維持、忍容性も良好
 FF/VI配合剤は、朝 vs. 夜投与の海外比較試験の結果、投与時間帯の違いによる日内変動への影響は観察されず、いずれの投与でも1日1吸入で呼吸機能改善効果を24時間維持した。また、日本人を含む国際共同二重盲検並行群間比較試験で、FF単剤よりも重度の喘息増悪の発現リスクが20%低下した(p=0.036)。ACQ7スコア0.75超の被験者についての評価でも、同スコア0.75以下へと良好に管理される可能性がFF単剤よりも約50%有意に高い(p<0.001)ことが示されている。

 既存のICS/LABA配合剤との比較試験は、フルチカゾンプロピオン酸エステル(FP)/サルメテロール(SLM)配合剤(FP/SLM、商品名:アドエア)との検討が行われた。12歳以上806例を対象とした海外二重盲検比較試験の結果、FF/VI 100/25μg 1日1回投与の臨床効果(治療24週間で評価)は、FP/SLM 250/50μg 1日2回投与と同程度であることが確認された。主要評価項目の24週時点のFEV1加重平均値(投与後0~24時間)の群間差(調整済p=0.162)、また副次評価項目のFEV1トラフ値、ACTスコア、AQLQスコアなども群間差が認められなかった(それぞれp=0.485、p=0.310、p=0.130)。

 長期投与の安全性試験は国内外で行われ忍容性が確認された。本邦では18歳以上241例を対象とした52週間の多施設共同非対照並行非盲検試験が行われている。FF/VI 100/25μg(60例)、FF/VI 200/25μg(93例)、FF 100μg(90例)の3群にて検討した結果、副作用の発現率はそれぞれ23%、28%、18%で、FF/VI群での発現率に大きな違いはないことが確認されている。主な副作用は、ICSや吸入剤で知られている口腔カンジダ症、発声障害など、あるいはβ2刺激薬で知られている事象ですべて軽度であった。24時間尿中コルチゾール排泄量の評価(72例)では、FF単剤群ではベースライン時から52週時点までに約20%の減少が認められたが、FF/VI群では大きな減少は認められなかった。

 以上を踏まえて著者は、「FF/VIはその簡便性から、実医療下で高い効果が期待できる薬剤であり、必ずしも十分とはいえない本邦の喘息コントロール状況が改善することを期待したい」とのコメントを記している。