HER2+胃食道腺がん1次治療、zanidatamab+化学療法±チスレリズマブがPFS延長(HERIZON-GEA-01)/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2026/06/10

 

 HER2陽性胃食道腺がんの1次治療において、従来の標準治療であるトラスツズマブと化学療法の併用と比較して、zanidatamab(HER2の細胞外ドメイン2および4に結合する二重特異性IgG1様抗体)と化学療法の併用は、チスレリズマブ(抗PD-1抗体)の併用、非併用のいずれの場合でも、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長し、チスレリズマブとの併用では全生存期間(OS)に関しても有意な有益性をもたらすことが、国立がん研究センター東病院の設楽 紘平氏らHERIZON-GEA-01 Investigatorsが実施した「HERIZON-GEA-01試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2026年5月28日号で報告された。

日本を含む33ヵ国の無作為化第III相試験

 研究グループは、zanidatamabの補体依存性細胞傷害作用を含む免疫介在性効果と、チスレリズマブによるPD-1阻害作用を併用することで、HER2陽性胃食道腺がんにおける抗腫瘍免疫がさらに増強するとの仮説を立て、これを検証する目的で非盲検無作為化実薬対照第III相試験を行った(Jazz Pharmaceuticalsなどの助成を受けた)。

 対象は、年齢18歳以上、未治療で切除不能な局所進行または転移・再発のあるHER2陽性胃・胃食道接合部・食道腺がんの患者であった。

 被験者を、zanidatamab+チスレリズマブ+化学療法、zanidatamab+化学療法、トラスツズマブ+化学療法のいずれかを受ける群に、1対1対1の割合で無作為に割り付けた。化学療法は、カペシタビン+オキサリプラチンまたはフルオロウラシル+シスプラチンのいずれかを選択した。

 主要評価項目は、盲検下独立中央判定によるPFSとOSの2つとした。

 2021年12月~2025年2月に、日本を含む33ヵ国の225施設で914例を登録した。zanidatamab+チスレリズマブ群に302例(年齢中央値63歳[範囲:22~81]、女性58例[19.2%])、zanidatamab群に304例(62.5歳[25~87]、60例[19.7%])、トラスツズマブ群に308例(64歳[21~84]、70例[22.7%])を割り付けた。

奏効率、奏効期間も良好

 追跡期間中央値25.9ヵ月の時点における中間解析で、PFS中央値は、トラスツズマブ群が8.1ヵ月であったのに対し、zanidatamab+チスレリズマブ群は12.4ヵ月(ハザード比[HR]:0.63、95%信頼区間[CI]:0.51~0.78、p<0.001)、zanidatamab群は12.4ヵ月(HR:0.65、95%CI:0.52~0.81、p<0.001)と、いずれも有意に延長した。

 OS中央値は、トラスツズマブ群の19.2ヵ月に比べ、zanidatamab+チスレリズマブ群は26.4ヵ月と有意に長かった(HR:0.72、95%CI:0.57~0.90、p=0.004)。一方、zanidatamab群のOS中央値は24.4ヵ月であり、この初回中間解析時にはトラスツズマブ群との間に有意差を認めなかった(HR:0.80、95%CI:0.64~1.01、p=0.06)。

 奏効率は、zanidatamab+チスレリズマブ群が70.7%、zanidatamab群が69.6%、トラスツズマブ群は65.7%であり、このうち完全奏効を達成した患者の割合はそれぞれ19.6%、17.1%、11.0%であった。また、奏効例における奏効期間中央値は、それぞれ20.7ヵ月、14.3ヵ月、8.3ヵ月だった。

下痢の頻度が高い

 Grade3以上の有害事象はzanidatamab+チスレリズマブ群で83.3%、zanidatamab群で73.8%、トラスツズマブ群で74.5%に発現した。このうち下痢の頻度が最も高く、それぞれ24.8%、20.0%、12.9%の患者に認めた。薬剤関連の下痢によるHER2標的療法(zanidatamab、トラスツズマブ)の中止は、zanidatamab+チスレリズマブ群の4.1%とzanidatamab群の1.3%で生じた。

 重篤な有害事象は、zanidatamab+チスレリズマブ群の58.5%、zanidatamab群の49.2%、トラスツズマブ群の42.4%に発現し、HER2標的療法の中止に至った有害事象は、それぞれ13.3%、10.5%、5.6%に認めた。免疫介在性有害事象は、zanidatamab+チスレリズマブ群の37.8%で報告され、発疹(14.3%)の頻度が最も高かった。Grade5の薬剤関連有害事象(死亡)は、zanidatamab+チスレリズマブ群で多かった(それぞれ2.4%、0.3%、1.3%)。

 著者は、これらの結果について、「チスレリズマブの併用の有無にかかわらず、zanidatamabはHER2陽性胃食道腺がん患者にとって、有望な標的治療の選択肢であることを裏付けている」「単一のHER2ドメインにのみ結合するトラスツズマブよりも、zanidatamab独自の二重のHER2標的化メカニズムが、大きな臨床的利益をもたらすことが示唆される」としている。

(医学ライター 菅野 守)

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コメンテーター : 上村 直実( うえむら なおみ ) 氏

国立国際医療研究センター国府台病院 名誉院長

東京医科大学内視鏡センター 客員教授

J-CLEAR評議員