KRAS G12C陽性NSCLCの1次治療、divarasib+ペムブロリズマブが有望(Krascendo-170)/ASCO2026

提供元:ケアネット

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公開日:2026/06/10

 

 KRAS G12C変異陽性の進行・転移非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療では、免疫チェックポイント阻害薬単剤または化学療法との併用が標準治療として用いられている。しかし、全生存期間中央値は約1.5年であり、アンメットニーズが存在する。KRAS G12C阻害薬としてはソトラシブが臨床応用されているが、2次治療以降での使用が適応となっている。

 そこで、1次治療において経口KRAS G12C阻害薬divarasibとペムブロリズマブの併用療法の安全性・有効性を検討する国際共同第Ib/II相試験「Krascendo-170試験」が実施されている。米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)において、本試験の解析結果が報告され、PD-L1≧1%コホート、PD-L1<1%コホートのいずれにおいても良好な奏効が得られ、管理可能な安全性プロファイルが示された。Ferdinandos Skoulidis氏(米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンター)が、本解析結果を報告した。

 Krascendo-170試験は、未治療のKRAS G12C変異陽性進行・転移非扁平上皮NSCLC患者を対象とした国際共同第Ib/II相非盲検用量探索・用量拡大試験である。今回は、PD-L1≧1%コホート(コホートA1)におけるdivarasib 400mg 1日1回+ペムブロリズマブ200mg 3週ごと投与の主要解析、PD-L1<1%コホート(コホートA2)における同用量の予備的解析の結果が報告された。主要評価項目は安全性であり、主要な副次評価項目として奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、患者報告アウトカム、薬物動態、推奨用量が評価された。

 主な結果は以下のとおり。

【PD-L1≧1%コホート】
・divarasib 400mg+ペムブロリズマブによる治療を受ける群に59例が組み入れられた。年齢中央値は67歳で、男性の割合は62.7%であった。PD-L1 1~49%が37.3%、≧50%が61.0%であった。追跡期間中央値は12.2ヵ月。
・確定ORRは72.9%(CR 10.2%、PR 62.7%)で、DOR中央値は未到達であった。
・PFS中央値は19.3ヵ月で、6ヵ月PFS率は83.5%であった。なお、PFSのデータは未成熟であった。

【PD-L1<1%コホート】
・登録された23例の年齢中央値は72歳で、男性の割合は69.6%であった。追跡期間中央値は3.4ヵ月。
・ORRは69.6%(すべてPR)で、初回奏効までの期間中央値は40.5日であった。
・PFSデータは未成熟であった。

【PD-L1≧1%コホート+PD-L1<1%コホート】
・安全性は、PD-L1≧1%コホートおよびPD-L1<1%コホートを併合した安全性解析対象78例で評価された。有害事象は全例に認められ、Grade3以上の有害事象は76.9%、重篤な有害事象は50.0%に発現した。
・治療関連有害事象(TRAE)は98.7%に認められ、Grade3/4のTRAEは65.4%、重篤なTRAEは28.2%に発現した。Grade5のTRAEは0例であった。
・divarasibの減量に至ったTRAEは52.6%、中断に至ったTRAEは69.2%、試験治療中止に至ったTRAEは12.8%に認められた。
・主なTRAE(40%以上に発現)は、下痢(74.4%)、悪心(64.1%)、ALT上昇(52.6%)、AST上昇(48.7%)であった。Grade3/4の下痢、ALT上昇、AST上昇はそれぞれ17.9%、23.1%、17.9%に認められた。

 本試験結果について、Skoulidis氏は「KRAS G12C変異陽性の進行NSCLC患者において、1次治療としてのdivarasib+ペムブロリズマブは良好な臨床活性を示した。頻度の高いTRAEは、低Gradeが多く可逆的であり、管理可能であった。なお、有害事象の予防レジメン、有害事象管理アルゴリズム、忍容性に応じた用量調整方法が本試験中に段階的に開発されており、第III相Krascendo-2試験では患者の臨床アウトカムを最適化するために、試験開始時から導入されている」とまとめた。

 なお、未治療のKRAS G12C変異陽性の進行・転移NSCLC患者を対象とする国際共同第III相試験「Krascendo-2試験」が進行中であり、KRAS G12C変異陽性のStageIIIA/IIIBの完全切除NSCLC患者を対象として、術後療法におけるdivarasibの有用性を検証する国際共同第III相試験「Krascendo-3試験」が計画されている。

(ケアネット 佐藤 亮)