日本語でわかる最新の海外医学論文|page:2

スタチンとARBの併用で認知症リスクは低下するのか

 高血圧と脂質異常症は、認知症の修正可能な危険因子であり、スタチンと降圧薬の併用は保護的な効果をもたらす可能性がある。しかし、特定の薬剤の組み合わせに関するエビデンスは依然として限られている。オーストラリア・タスマニア大学のEyayaw Ashete Belachew氏らは、アンジオテンシンII(Ang-II)産生を増加させる降圧薬(Ang-II産生促進薬)とスタチンの併用と、Ang-II産生を減少させる降圧薬(Ang-II産生抑制薬)とスタチンの併用を、認知症リスクとの関連について比較検討した。International Journal of Geriatric Psychiatry誌2026年8月号の報告。

イサツキシマブ皮下注製剤発売、投与時間の短縮と患者・医療者の負担軽減に/サノフィ

 サノフィは2026年8月27日、イサツキシマブの皮下注製剤「サークリサ皮下注1400mg」を発売した。本製剤は、多発性骨髄腫に対するポマリドミド・デキサメタゾン併用療法(Pd)、カルフィルゾミブ・デキサメタゾン併用療法(Kd)、ボルテゾミブ・レナリドミド・デキサメタゾン併用療法(VRd)が適応となる。点滴静注に加えて皮下注による投与が可能となることで、患者や医療者のニーズに応じて投与方法を選択できるようになった。  イサツキシマブは 2020年8月、再発または難治性の多発性骨髄腫治療薬として日本で発売され、2025年2月には、VRdに本剤を追加するIsaVRd 療法として、国内初の未治療の多発性骨髄腫を対象とする4剤併用療法の承認を受け、治療選択肢を広げた。

卵巣予備能がHR+/HER2-乳がんの術後化学療法ベネフィットを予測/Ann Oncol

 21遺伝子アッセイ(オンコタイプDX)の再発スコアが25以下のHR+/HER2-乳がん患者を対象に、術後の内分泌療法と内分泌療法+化学療法(化学内分泌療法)を比較した第III相RxPONDER試験の55歳未満を対象とするバイオマーカー解析の結果、超高感度アッセイを用いて測定した卵巣予備能の指標である抗ミュラー管ホルモン(AMH)が化学療法追加のベネフィットを予測し、AMHが低値の患者では化学療法追加によるベネフィットが認められなかったことを、米国・エモリー大学のKevin Kalinsky氏らが示した。Annals of Oncology誌2026年9月号掲載の報告。

細菌性腟症の女性、性感染症の検査陽性と関連

 細菌性腟症(BV)がある女性では、BVがない女性と比べて性感染症(STI)の検査で陽性となる可能性が約3倍高いことが、米Quest Diagnostics社のDamian Alagia氏らの研究で示された。研究グループは、BVの治療を受けている女性は、類似した症状が現れることのあるSTIについても検査を受けるべきだとする米疾病対策センター(CDC)の指針を裏付ける研究結果だとしている。詳細は、7月23日付で「O&G Open」に掲載された。  Alagia氏は、「今回の研究から得られたデータが、この臨床分野で大いに必要とされているさらなる研究を促すことを期待している。

生活リズムが規則的な高齢者は痛みや抑うつ症状が少ない傾向

 規則正しい生活リズムを維持することは、心身の健康維持につながるかもしれない。毎日の睡眠や食事、社会的交流などの行動や社会生活のリズム(以下、生活リズム)が規則的な人は、痛みや抑うつ症状が少ない傾向にあることが、新たな研究で示された。また、このような生活リズムの規則性と健康との関連は、不眠症状の有無に関わりなく認められたという。米ミズーリ大学人間発達学分野のEunjin Tracy氏らによるこの研究結果は、「Journal of Behavioral Medicine」6月号に掲載された。

2~5歳児にインフルワクチンが有効、米国では秋生まれに感染が少ない

 2~5歳児において、秋生まれの小児はインフルエンザワクチンの接種を受ける可能性が高く、インフルエンザと診断される可能性が低いという研究結果が、「JAMA Pediatrics」に6月1日掲載された。  米マサチューセッツ総合病院のChristopher M. Worsham氏らは、2016~2023年の各インフルエンザシーズンについて、秋生まれと夏生まれの2~5歳児におけるインフルエンザワクチン接種の有効性を検討した。  その結果、対象となった各インフルエンザシーズンにおいて、秋生まれの小児はインフルエンザワクチンの接種を受ける可能性が高く、インフルエンザと診断される可能性が低いことが分かった。

鎌状赤血球症へのアルギニン療法、疼痛発作時間を短縮せず/JAMA

 鎌状赤血球症に伴う急性疼痛発作を有する小児および若年成人において、アルギニン療法はプラセボと比較し、疼痛発作消失までの時間を短縮しなかった。米国・エモリー大学のClaudia R. Morris氏らPediatric Emergency Care Applied Research Network(PECARN)が、同国の小児病院10施設で実施した第III相無作為化二重盲検比較試験「Sickle Cell Disease Treatment With Arginine Therapy trial:STArT試験」の結果で示された。鎌状赤血球症患者において、急性疼痛発作は救急外来受診や入院の主な原因であるが、米国食品医薬品局(FDA)により承認された治療薬は存在しない。急性疼痛発作中に患者は急性アルギニン欠乏を呈し、発作消失までの時間の延長や非経口オピオイドの総投与量が増加する。単施設で行われた複数の第II相無作為化試験では、アルギニンは安全でオピオイド使用量を減少させ、心肺機能を改善し、入院期間を短縮することが示されていた。JAMA誌オンライン版2026年8月19日号掲載の報告。

禁煙中の妊婦、産後禁煙維持支援の有効性は?/BMJ

 禁煙維持支援プログラム「BabyBreathe」は通常ケアと比較して、妊娠中に禁煙していた妊婦の産後禁煙維持率を有意に増加させることはなかったが、計画どおり支援プログラムを受けた妊婦のみを対象としたper-protocol解析では有意な増加が示された。英国・University of East AngliaのCaitlin Notley氏らBabyBreathe site research associatesが、プラグマティックな多施設共同無作為化非盲検比較試験の結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「今後なすべきは、プログラムを忠実に実施することや、社会経済的地位の低い集団への適用に重点を置くことだろう」とまとめている。BMJ誌2026年8月18日号掲載の報告。

治療抵抗性統合失調症の発生率はどのくらい?

 治療抵抗性統合失調症の真の発生率は、依然として不明である。その主な理由は、過去の研究が不均一な定義やレトロスペクティブ評価に依存していたことにあると考えられる。Treatment Response and Resistance in Psychosis(TRRIP)コンセンサス基準が標準化されたが、これがプロスペクティブに適用されることはまれであった。英国・リバプール大学のDan W. Joyce氏らは、大規模な地域ベースの臨床試験において、操作的に定義されたTRRIP基準を用い、治療抵抗性統合失調症の発生率をプロスペクティブに推定した。また、ベースライン時の人口統計学的変数や臨床的変数が治療抵抗性統合失調症の発生を予測するかどうかを検討した。BJPsych Open誌2026年7月20日号の報告。

研修医のどのくらいが臨床で生成AIを使用しているか/東大ほか

 生成AI(GenAI)は、われわれの日常生活にも広く浸透しており、臨床現場でも活用されている。では、臨床で医師、とくに研修医はどのくらいGenAIを使用しているのであろうか。このテーマについて東京大学大学院医学系研究科生体防御感染症学の三輪 俊貴氏らの研究グループは、研修医の臨床現場における検索エンジンとしてのGenAI使用状況を調査した。その結果、GenAIの使用は「知識の崩壊」を示唆するような自己申告行動とは関連しておらず、GenAIの非使用者におけるリテラシーは依然として限定的であることがわかった。JMIR AI誌2026年7月17日号に掲載。

アルツハイマー病と強く関連したのは、高血圧より低血圧?

 アルツハイマー病(AD)と関連する心血管疾患(CVD)のサブタイプが特定され、最も強く一貫した関連が見られたのは低血圧であったという研究結果が、「Journal of the American Heart Association(JAHA)」6月16日号に掲載された。  米ミシガン工科大学のAili Toyli氏らは、UKバイオバンク(対象者50万2,133人)とAll of Us研究プログラム(対象者28万7,011人)という2つの大規模なバイオバンクにおいて、ADと11種類のCVDサブタイプとの関連を検討した。

父親の超加工食品摂取が新生児の体格に関連か

 健康な妊娠の準備というと、通常は母親に焦点が当てられる。しかし、新たな研究で、父親の超加工食品(UPF)の摂取量は新生児の身体計測値と関連する可能性が示された。サンパウロ大学(ブラジル)のDaniela Sartorelli氏らによるこの研究結果は、「Nutrition Research」7月号に掲載された。Sartorelli氏は、「赤ちゃんの誕生前後を通じて、母親の栄養状態や健康についてはこれまでも注目されてきたが、父親の食生活がもたらす影響についてはほとんど語られてこなかった。この研究結果は、それが子どもの健康にも極めて重要であることを示している」と述べている。

体重の増減を繰り返すと太ももの筋肉が減る?

 中高年を対象とした研究で、48カ月間の追跡期間中に体重の増減を繰り返した人では、最終的な体重の変化が小さくても、大腿部(太もも)の筋肉体積の減少率が増減を繰り返さなかった人の4倍近くに上ったことが示された。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)放射線科教授のThomas Link氏らによるこの研究結果は、7月21日付で「Radiology」に掲載された。Link氏は、「体重の増減を繰り返した人では、脂肪とともに多くの筋肉が失われ、その筋肉を取り戻すことはなかった。これは、減量中に筋肉体積を維持する方法を明らかにすることが、全身の健康にとって重要であることを示している」とニュースリリースで述べている。

ペムブロリズマブ投与後の好酸球割合、irAE発現リスク評価の手掛かりに

 免疫チェックポイント阻害薬はがん治療に大きく貢献している一方、免疫関連有害事象(irAE)への対応が課題となっている。今回、転移性尿路上皮がん患者を対象とした研究で、ペムブロリズマブ投与3週間後の好酸球割合が、irAE発現リスクを評価する手掛かりとなる可能性が示された。研究は名古屋市立大学大学院医学研究科臨床薬剤学分野の小田切州広氏、同大学医学部附属西部医療センター泌尿器科の内木拓氏らによるもので、詳細は7月1日付の「Cancer Medicine」に掲載された。

非分節型白斑、ウパダシチニブの有効性・安全性を確認/Lancet

 12歳以上の非分節型白斑患者において、ウパダシチニブ15mgの1日1回経口投与によりプラセボと比較し、顔面および全身の臨床的に意味のある色素再沈着が認められ、新たな安全性に関する懸念は確認されなかった。フランス・コート・ダジュール大学のThierry Passeron氏らが、アジア、欧州、北米および南米の18ヵ国138施設で実施した第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「Viti-Up試験」の48週時の主要解析結果を報告した。非分節型白斑は、皮膚の色素脱失を引き起こす自己免疫疾患で、全身療法として承認されたものはなく、新たな治療選択肢が求められていた。Lancet誌2026年8月15日号掲載の報告。

結核治療へのデジタル服薬支援の導入、治療成功率・脱落率を改善/BMJ

 薬剤感受性結核患者の治療において、多面的双方向性のデジタル服薬支援ツール「結核治療支援ツール(TB-TST)」は治療成功率および脱落率を改善させ、とくに若年層や女性でその効果が大きく、資源の限られた環境下での結核治療の服薬順守支援における実現可能性と有効性が示された。アルゼンチン・Instituto de Efectividad Clinica y SanitariaのFernando Rubinstein氏らが、ブエノスアイレスにある公立基幹病院4施設において実施したプラグマティックな無作為化比較試験の結果を報告した。著者は、「今後の研究では、アプリの利用状況、新型コロナウイルス感染症の流行などの状況的要因、費用対効果、および結核以外の慢性疾患の管理における本ツールの活用について評価すべきである」とまとめている。BMJ誌2026年8月6日号掲載の報告。

ドンペリドン、葛根湯などに重大な副作用追加/厚労省

 2026年8月25日、厚生労働省は添付文書の改訂指示を発出し、ドンペリドンおよびメトクロプラミド、葛根湯、一部の免疫チェックポイント阻害薬などにおいて「重大な副作用」が追記された。  ドンペリドン(商品名:ナウゼリン錠ほか)、メトクロプラミド(同:プリンペラン錠ほか)および塩酸メトクロプラミド(同:プリンペラン注射液)に対し、国内外の疫学調査において致死性不整脈および心突然死のリスク増加が示唆されたことから、「重大な副作用」に「重篤な不整脈」が追加された。

児童生徒のサングラス・カラーレンズの使用に関する見解/日本眼科学会ほか

 児童生徒の学校生活におけるサングラス・カラーレンズなどの使用について、日本眼科学会、日本眼科医会 日本弱視斜視学会、日本小児眼科学会、日本近視学会、日本視能訓練士協会が共同で見解を発表した。  近年の紫外線対策への関心の高まりを受け、学校での着用を巡る議論が増えているが、今回の発表では「一律の常用は推奨せず、個々の特性や疾患に応じた個別配慮を求める」という方針が示されている。主要なポイントを以下に整理する。

日本人片頭痛患者の特徴と治療パターンが判明~OVERCOME研究

 片頭痛が個人の生活に及ぼす負担は、その人の背景と関連している。しかし、日本においては、年齢、性別、就労状況、収入、家族の介護といった要因と患者報告アウトカム(PRO)や片頭痛の治療パターンとの関連に関するエビデンスは限られている。大分・おおば脳神経外科・頭痛クリニックの大場 さとみ氏らは、日本における片頭痛の疫学・治療・ケアに関する観察研究であるOVERCOME(Japan)第2回研究のデータを用い、人口統計学的サブグループごとの片頭痛による負担および治療薬の使用状況について解析を行った。Pain and Therapy誌オンライン版2026年7月14日号の報告。

食事速度は将来の体型に影響するか/藤田医科大

 「早食いは肥満や糖尿病のリスク」ということはよく知られている。食事の速度は体重の推移とどのように関連するのであろうか。このテーマについて藤田医科大学医学部臨床栄養学 主任教授の飯塚 勝美氏は、約56万例の健康診断データを解析し、食事速度と長期的な体重推移との関連を検討した。その結果、食事速度が長期的な体重推移の区分に関連する行動特性である可能性が示唆された。Nutrients誌オンライン版2026年7月24日号に掲載。