日本語でわかる最新の海外医学論文|page:2

SGLT2阻害薬、腎臓の加齢変化抑制の可能性――老化が速い魚で検証

 糖尿病などの治療に用いられているSGLT2阻害薬(SGLT2-i)という薬に、老化した腎臓を保護するように働く可能性があることが報告された。米MDI生物学研究所のHermann Haller氏らの研究によるもので、詳細は「Kidney International」3月号に掲載された。  この研究では、寿命がわずか4~6カ月のアフリカンターコイズキリフィッシュという小魚が用いられた。この魚は非常に老化が速いため、わずか数週間の研究でヒトの数十年分に相当する加齢現象を観察することができる。研究の結果、SGLT2-iの投与によって、加齢に伴う腎臓の変化が抑えられ、腎臓の健康が維持されることが示された。

貧血を伴わない鉄欠乏は、中等度~重度のアトピー性皮膚炎で高頻度に認められる

 中等度~重度のアトピー性皮膚炎(AD)では、貧血を伴わない鉄欠乏が高頻度に認められるとする研究結果が、「Nutrients」に11月28日掲載された。  ヴロツワフ医科大学(ポーランド)のMalgorzata Ponikowska氏らは、AD患者における鉄代謝の状態を評価し、疾患重症度および生活の質(QOL)との関連を検討した。解析対象は、中等症~重症のAD成人患者86人であった。  解析の結果、ヘモグロビン値は概ね正常であるにもかかわらず、鉄欠乏を示す鉄バイオマーカーの異常が、AD患者に多く認められた。具体的には、患者の45%はトランスフェリン飽和度が低く(Tsat 20%未満)、37%はフェリチン値が低く、26%は血清鉄が低値であった。

中年期の健康的な食事は認知機能低下リスクを抑制する?

 今日の食卓に並んでいるものが、高齢になったときの脳の老化に影響を与える可能性があるようだ。中年期に健康的な食事をしている人では高齢期に認知機能が低下するリスクが低いことが、新たな研究で示された。米ハーバードT.H.チャン公衆衛生大学院疫学・栄養学分野のKjetil Bjornevik氏らによるこの研究の詳細は、「JAMA Neurology」に2月23日掲載された。  Bjornevik氏らは、「野菜や魚を豊富に、ワインは適量を摂取することは、認知機能低下リスクの抑制に寄与していた一方、赤肉や加工肉、フライドポテト、糖分の多い飲料は認知機能の低下に関連していた。この結果は、健康的な食事が将来の脳の健康に有益である可能性を示唆している」と述べている。

急性低酸素性呼吸不全、高流量酸素療法vs.標準酸素療法/NEJM

 急性低酸素性呼吸不全において、高流量鼻カニュラ酸素療法(HFNC)は標準酸素療法と比較して28日死亡率を有意に低下しなかった。フランス・Centre Hospitalier Universitare de PoitiersのJean-Pierre Frat氏らが、同国42ヵ所のICUで実施した無作為化非盲検試験「SOHO試験」の結果を報告した。急性低酸素性呼吸不全患者において、標準的な酸素療法と比較したHFNCの気管挿管および死亡率に関するデータが必要とされていた。NEJM誌オンライン版2026年3月17日号掲載の報告。

HER2陽性転移乳がん1次治療、pyrotinib上乗せで予後改善/BMJ

 中国・Cancer Hospital Chinese Academy of Medical Sciences and Peking Union Medical CollegeのFei Ma氏らは、中国の40施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「PHILA試験」の主要評価項目である、治験責任医師評価による無増悪生存期間(PFS)の最終解析結果を報告した。未治療のHER2陽性転移乳がんに対するトラスツズマブ+ドセタキセルへのpyrotinib併用は、プラセボ併用と比較してPFSの有意な改善が維持されており、全生存期間(OS)においても改善傾向が認められたという。安全性プロファイルは中間解析結果と一致しており、長期追跡期間中に新たな安全性に対する懸念は認められなかった。著者は、「今回の解析結果は、同患者集団に対する治療戦略として、pyrotinib+トラスツズマブによる抗HER2併用療法の有効性を裏付けるものである」とまとめている。BMJ誌2026年3月16日号掲載の報告。

EGFR・TP53変異NSCLCの1次治療、オシメルチニブ+化学療法がPFS改善(TOP)/ELCC2026

EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)において、TP53遺伝子変異は高頻度にみられ、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬単剤療法の効果不良と関連することが知られている。そこで、TP53遺伝子変異を併存するEGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者を対象として、オシメルチニブ+化学療法(FLAURA2レジメン)とオシメルチニブ単剤を比較する第III相試験「TOP試験」が中国で実施されている。本試験において、TP53遺伝子変異が併存する集団でも、FLAURA2レジメンが無増悪生存期間(PFS)を改善し、全生存期間(OS)も良好な傾向がみられた。欧州肺がん学会(ELCC2026)において、Yunpeng Yang氏(中国・中山大学がんセンター)が本試験のPFSの主解析およびOSの中間解析の結果を報告した。

医師の有料職業紹介事業の課題と提言/日医

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は、3月18日に定例の記者会見を開催した。会見では、医師会と四病院団体協議会が合同してまとめた「有料職業紹介事業に関するワーキンググループ報告書」の概要と日本医師会ドクターサポートセンターのリニューアルが説明された。  初めに松本氏が、「有料職業紹介事業について、利便性が高く、多くの医療機関が利用している一方で、違約金の高額化、需給のミスマッチなどさまざまな問題点がある。

認知症患者に対する抗精神病薬使用が死亡リスクに及ぼす影響は

 神経精神症状は、認知症で頻繁にみられ、機能低下、介護者の負担、死亡率の主要な要因となっている。症状が重症化したり、非薬物療法に反応しなくなったりすると、抗精神病薬を使用することが多いが、いまだに安全性への懸念が残っている。とくに、地域社会で生活する神経精神症状を有する患者において抗精神病薬の使用が生存率に及ぼす影響は依然として明らかになっていない。スペイン・Clinica Josefina ArreguiのKevin O'Hara-Veintimilla氏らは、認知症および神経精神症状を有する高齢者における抗精神病薬使用と全死亡率との関連性を検討するため、以前発表したシステマティックレビューおよびメタ解析の2次解析を行った。Dementia and Geriatric Cognitive Disorders誌オンライン版2026年2月10日号の報告。

ピロリ除菌10年経過後の胃がん発症リスク因子~日本での研究

 Helicobacter pylori除菌療法後10年以上経過した患者における胃がん発症のリスク因子を検討した横浜市立大学の小野寺 翔氏らの症例対照研究の結果、開放型萎縮と重度腸上皮化生が独立したリスク因子であることが明らかになった。Scandinavian Journal of Gastroenterology誌2026年3月号に掲載。

冠動脈プラーク、女性は男性より少なくても高リスク

 女性は男性よりも動脈硬化の原因となるプラークの形成が少ない傾向にあるが、それは、必ずしも心臓の健康を守ることにつながるとは限らないようだ。冠動脈にプラークが認められる女性の割合は男性より少なく、量も少ない傾向があるにもかかわらず、心筋梗塞や胸痛による入院などの主要心血管イベント(MACE)のリスクは男性とほぼ同程度であることが明らかになった。米ハーバード大学医学大学院放射線医学分野のBorek Foldyna氏らによるこの研究の詳細は、「Circulation: Cardiovascular Imaging」に2月23日掲載された。

呼吸器感染症やアレルギーに対する点鼻ワクチン、動物実験で有望な結果

 注射を何本も打たれるのが嫌でワクチン接種を避けてきた人にとって、希望の持てるニュースがある。米国の主要5大学の科学者たちが、将来的にはインフルエンザや新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、細菌性肺炎、さらには一般的なアレルギーにまで効果を発揮し得る点鼻スプレー型ワクチンの開発に大きな一歩を踏み出したのだ。このワクチンのマウスでの実験に携わった米スタンフォード大学医学部の微生物学・免疫学教授であるBali Pulendran氏は、「これは医療のあり方を一変させる可能性がある」と語っている。この研究の詳細は、「Science」に2月19日掲載された。

胃・胃食道接合部腺がん1次治療、CAPOXへのcamrelizumabおよびapatinibの上乗せは?/BMJ

 胃・胃食道接合部腺がん(HER2陰性で切除不能な局所進行または転移あり)の1次治療として、camrelizumab+カペシタビン+オキサリプラチン(CAPOX)投与後のcamrelizumabベースの維持療法は、CAPOX単独と比べて、全生存期間(OS)の延長と関連したことが示された。探索的検討では、維持療法のcamrelizumabへapatinibを追加しても、生存ベネフィットの改善は認められず、Grade3以上の治療関連有害事象(TRAE)および治療中止が高頻度であった。中国・北京大学がん病院・研究所のZhi Peng氏らが第III相無作為化非盲検試験の結果を報告した。BMJ誌2026年3月12日号掲載の報告。

重度外傷患者への搬送時輸血、全血vs.成分輸血/NEJM

 生命を脅かす外傷性出血が認められる患者において、病院到着前の2単位の全血輸血は標準治療の成分輸血と比べて、24時間以内の死亡または大量輸血のリスク低下に関する優越性は示されなかったことが、英国・Royal Centre for Defence MedicineのJason E. Smith氏らSWiFT Trial Groupによる大規模臨床試験で示された。安全性プロファイルも両者で類似していた。重度の出血の管理は、近年では全血輸血が支持を得ているが、臨床的有効性および安全性を大規模臨床試験で評価したデータは不足していた。NEJM誌オンライン版2026年3月17日号掲載の報告。

AI搭載聴診器は英国プライマリケア医による心不全検出率を改善せず(解説:佐田政隆氏)

 高齢化社会を迎え心不全患者は激増すると予測され、心不全パンデミック時代に向けて早期診断、早期介入の必要性が各国で強調されている。  心疾患の検出においては聴診などのphysical examinationが重要であるが、すべての医師が日常診療で十分な理学的所見をとるスキルがあるとは必ずしも言えない。最近は、AIがX線や内視鏡、心電図、超音波診断などの大きな助けになりつつあるが、聴診においてもAI搭載聴診器が開発され、その有用性が報告されている。  本TRICORDER試験では、「AI搭載聴診器を使用することがプライマリケア医の実臨床における心不全検出率を向上するか」が、RCTで検討された。

デュピルマブ、水疱性類天疱瘡の適応追加/サノフィ

 サノフィは2026年3月23日、水疱性類天疱瘡に対するデュピルマブ(商品名:デュピクセント)の製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表した。水疱性類天疱瘡は、自己免疫性の表皮下水疱を生じるまれな疾患で、本邦では指定難病とされている。全身に強い痒みや水疱、紅斑、びらん、痛みを伴い、再発を繰り返すため、日常生活に深刻な影響を及ぼす。主に高齢者に発症し、標準治療にはステロイド薬や免疫抑制薬が使用されるが、長期使用による合併症や副作用への影響が指摘されている。

PCI後早期のLDL-C値55mg/dL未満達成でMACEリスク激減/日本循環器学会

 欧州心臓病学会(ESC)および欧州動脈硬化学会(EAS)のガイドラインでは、アテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の二次予防において、非常に高リスクな患者にはLDLコレステロール(LDL-C)55mg/dL未満、きわめて高リスクな場合には40mg/dL未満という目標値を推奨している1)。しかし、日本人患者においてこれほど厳格な管理が実際に予後を改善するかは十分に検証されていなかった。現在、日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」では、二次予防の目標値は、原則100mg/dL未満、ハイリスク者で70mg/dL未満と設定されている2)。

薬剤師による尿培養陽性患者のフォローアップが抗菌薬の適正使用を支援

 薬剤師が主導するフォローアッププログラムが尿培養陽性となった患者におけるantimicrobial stewardship(抗菌薬適正使用支援)を改善した。  この後ろ向きコホート研究では、救急外来(ED:emergency department)または緊急治療センター(UC:urgent care)を受診した際に尿培養検査で陽性反応が出た成人女性患者を対象とした。薬剤師がフォローアップと症状評価のために連絡を取り、尿路症状のある患者には抗菌薬療法を開始または変更し、症状のない患者には新たな抗菌薬処方は行わなかった。

アミバンタマブ治療肺がん患者向けサポート・プログラムを提供開始/J&J

 Johnson & Johnsonは2026年3月18日、EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)もしくはEGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の切除不能な進行・再発NSCLCで、アミバンタマブ・ボルヒアルロニダーゼ アルファ皮下注射(リブロファズ)もしくはアミバンタマブ点滴静注(ライブリバント)で治療を始める患者・家族などを対象としたペイシェント・サポート・プログラム「リブロファズ/ライブリバントwithMe(ウイズミー)」の提供を開始する。定期的な連絡および肺がんや上記治療薬に関する情報提供によって、同剤の適正使用を支援することを主な目的としている。

双極症患者の心理社会的機能回復を阻害している症状は?

 閾値下うつ症状は、双極症患者の機能回復を著しく阻害することが知られている。これまでの多くの研究では、これらの症状が機能に与える影響を評価するために全体的スコアが用いられてきた。スペイン・サン・パウ病院のC. M. Bonnin氏らは、寛解期双極症患者において、どの閾値下うつ症状が最も機能回復を阻害するのかを検証するため、本研究を実施した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2026年2月14日号の報告。  対象は、双極症患者413例。17項目からなるハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)を用いて閾値下うつ症状を評価し、機能評価簡易検査(FAST)を用いて心理社会的機能を測定した。HAM-Dの項目に加え、機能障害に関連するその他の臨床的および人口統計学的変数を同定するために、二変量解析を行った。

BMIが低下するとがんのリスクも減少するか

体重の増加はがんの危険因子となるのであろうか。このテーマについて、米国クリーブランド・クリニック量的代謝研究センターのKenda Alkwatli氏らの研究グループは、米国人約14万人の健康記録からがん発症の相関を調査した。その結果、体重の減少は、肥満関連がんおよびそのほかのがんリスク低下と関連していることが判明した。Obesity誌2026年オンライン版3月10日号に掲載。