日本語でわかる最新の海外医学論文|page:2

アザチオプリンや免疫チェックポイント阻害薬などに重大な副作用追加/厚労省

 2026年9月29日、厚生労働省より添付文書の改訂指示が発出され、アザチオプリンや各種免疫チェックポイント阻害薬(ICI)、トシリズマブなどに対して、「重大な副作用」などが追記された。  免疫抑制薬のアザチオプリン(商品名:アザニン、イムラン)では、「可逆性後白質脳症症候群」および「肝類洞閉塞症候群(SOS)/肝中心静脈閉塞症(VOD)」が追記された。頭痛、意識障害、痙攣などの症状が現れた場合には、MRIなどによる画像診断を行うとともに、投与を中止し適切な処置を行うよう追記された。

生殖細胞系列病的バリアントを有する乳がん、出産10年以降の診断と授乳歴でOS良好/ESMO Open

 出産や授乳は乳がんの生涯リスク低下と関連する一方、出産後早期は一過性に乳がんリスクや予後不良リスクが高まることが知られている。今回、オーストラリア・Peter MacCallum Cancer CenterのCourtney T. van Geelen氏らが生殖細胞系列病的バリアント(PV)を有する乳がん患者において、最終出産から乳がん診断までの期間や授乳歴と全生存期間(OS)との関連を検討したところ、最終出産から10年以上経過した後の診断および授乳歴は、良好なOSと独立して関連していた。ESMO Open誌2026年9月号に掲載。

早期および晩期発症のアルツハイマー病における抗Aβ免疫療法後の脳容積推移

 抗アミロイドβ免疫療法(AAT)の試験において、脳容積減少の加速が観察されている。しかし、早期発症アルツハイマー病(EOAD)と晩期発症アルツハイマー病(LOAD)における、この逆説的な現象については、依然として十分にわかっていない。米国・ウェストバージニア大学のRashi I. Mehta氏らは、EOADおよびLOADにおけるAAT後の脳容積の変化をレトロスペクティブに解析した。Alzheimer's & Dementia誌2026年8月22日号の報告。  AAT開始後1年間の脳容積の変化をレトロスペクティブに解析した。脳容積の年間変化率を算出し、線形混合効果モデルを用いて、EOADとLOADにおける脳容積の経時的変化を評価した。

EGFR exon20挿入変異陽性NSCLCに対するアミバンタマブ+化学療法のOS最終結果(PAPILLON)/WCLC2026

 EGFR exon20挿入変異陽性の局所進行および転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療において、アミバンタマブと化学療法の併用療法は、化学療法単独と比較した全生存期間(OS)が発表された。  世界肺がん学会(WCLC2026)において、同対象におけるアミバンタマブ+化学療法の有用性を検討した国際共同第III相PAPILLON試験のOS最終解析結果を、米国・Georgetown Cancer InstituteのChul Kim氏が報告した。  PAPILLON試験では、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)において、アミバンタマブ+化学療法群が化学療法単独群に対して優越性を示したことがすでに報告されている。同学会では全生存期間(OS)の最終解析結果が発表された。

高齢者の骨折予防にビタミンD補充は有効か

 ビタミンD単独補充による骨折予防効果については、これまで一貫した結果が得られていない。今回、ビタミンD3が骨折リスクなどに及ぼす影響を評価した無作為化比較試験(FIND試験)により、ビタミンDがおおむね充足している高齢者集団ではビタミンD3補充を5年間行っても骨折リスクは低下しなかったことが、フィンランド・University of Eastern FinlandのToni Rikkonen氏らによって示された。Bone誌2026年12月号掲載の報告。  本試験の対象は、フィンランド在住の心血管疾患やがんの既往歴のない60歳以上の男性および65歳以上の女性であった。ビタミンD3を1,600 IU/日摂取する群、ビタミンD3を3,200 IU/日摂取する群、プラセボを摂取する群に1:1:1に無作為に割り付けられ、それぞれを5年間補充した。骨折はフィンランドの全国医療登録および死亡原因登録から把握した。骨折リスクは、年齢と性別で調整したCox比例ハザード回帰モデルを用いて評価し、プラセボ群を基準としたビタミンD3補充群のハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。

階段を上ることで死亡リスク24%低下か~メタ解析

 エレベーターではなく階段を使うことは、思っている以上に健康に良いかもしれない。「American Journal of Cardiovascular Drugs」に8月13日付で報告された研究で、階段を上ることは、心血管疾患(CVD)による死亡リスクの39%の低下、全死因死亡リスクの24%の低下と関連することが明らかになった。  論文の上席著者である英イースト・アングリア大学ノリッジ医学校心臓病学教授のVassilios Vassiliou氏は研究背景について、「階段を上ることは日常生活に身体活動を取り入れるための実用的な方法だが、見過ごされがちである。われわれは、この日常的な活動に命を救う可能性がどれほどあるのかについて、理解を深めたかった」と述べている。

PCI後のACS患者、プラスグレルvs.チカグレロル/NEJM

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた急性冠症候群患者において、標準的に使用するP2Y12阻害薬としてプラスグレルを用いても、チカグレロルと比較し主要心血管イベントのリスクは改善しなかった。スウェーデン・ヨーテボリ大学のElmir Omerovic氏らが、研究者主導のステップウェッジ法を用いた非盲検クラスター無作為化比較試験「SWITCH-SWEDEHEART試験」の結果を報告した。急性冠症候群患者において、P2Y12阻害薬としてプラスグレルとチカグレロルのどちらを優先すべきかは明らかになっていない。NEJM誌オンライン版2026年8月29日号掲載の報告。なお、本研究は2026年8月28~31日にドイツ・ミュンヘンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2026(ESC2026、欧州心臓病学会)で発表された。

切除不能早期NSCLC、SBRTへのアテゾリズマブ併用は?/Lancet

 切除不能早期非小細胞肺がん(NSCLC)に対するアテゾリズマブ+体幹部定位放射線治療(SBRT)の併用療法について、SBRT単独療法と比較して全生存期間(OS)の改善は認められず、Grade3以上の有害事象の発現が多かった。米国・カリフォルニア大学アーバイン校チャオファミリー総合がんセンターのMegan E. Daly氏らが、同国国立がん研究所(NCI)の臨床試験ネットワーク内の146施設で実施した第III相無作為化非盲検比較試験「SWOG/NRG S1914試験」の結果を報告した。SBRTは、早期の切除不能NSCLCに対する標準治療であるが、早期NSCLCに対するSBRTとアテゾリズマブの併用療法の有効性は明らかになっていなかった。Lancet誌オンライン版2026年9月6日号掲載の報告。

TP53共変異を伴うEGFR陽性進行肺がんに対するオシメルチニブ+化学療法(解説:田中希宇人氏/山口佳寿博氏)

EGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対する1次治療は、FLAURA2試験の結果を受け、オシメルチニブ+プラチナ併用化学療法が臨床の現場で幅広く選択されている。しかし、併用療法は骨髄抑制や消化器毒性を伴い、頻回の点滴通院が必要となる。故に、本当に併用療法が必要な集団はどのような症例か、といった議論は今も絶えない。その選別の一助となりうるのが、EGFR陽性例の約50%に認められる「TP53共変異」である。TP53変異はゲノム不安定性やアポトーシス回避を惹起し、EGFR-TKI単剤に対する初期耐性をもたらす強力な予後不良因子として知られる。

静岡がんセンター、世界の専門家を招く「Oncology Seminar」をスタート

 静岡県立静岡がんセンターは2026年8月、国内外のがん診療の専門家を招く「Shizuoka Cancer Center Oncology Seminar」をスタートした。英語で講演とディスカッションを行う30分間のウェビナーで、以後月1回開催が予定されている。国内と海外の演者が交互に登壇し、最新のがん診療について学ぶとともに、若手医師が英語で議論する機会をつくることも狙いだ。  セミナー企画の中心となったのは、同センター消化器内科(胆膵)医長の大場 彬博氏。企画の出発点には、従来の院内勉強会をもっと魅力あるものにしたいという思いがあった。

小児の毎日続く頭痛、専門医受診遅延が治療結果に及ぼす影響が明らかに

 小児の毎日続く頭痛(連日性頭痛)は、難治性であり、日常生活に支障を来す疾患である。しかし、連日性頭痛の発症から専門医への初回受診までの期間が臨床アウトカムに及ぼす影響については、これまで明らかになっていなかった。兵庫医科大学の徳永 沙知氏らは、連日性頭痛を呈した小児および青年を対象に初回受診までの期間と症状改善までの期間との関係を明らかにするため、レトロスペクティブ観察研究を実施した。Medical Sciences誌2026年7月27日号の報告。  対象は、連日性頭痛を呈した小児および青年51例。受診までの期間は、頭痛が連日性となった日から初回受診日までの期間と定義した。

EGFR変異陽性NSCLCに対するオシメルチニブ術後補助療法、8年OS率7割超(ADAURA)/WCLC2026

 完全切除後のEGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対するオシメルチニブ術後補助療法の8年解析追跡結果が発表され、同レジメンの8年全生存(OS)率は、全体集団(StageIB~IIIA)においても、主要評価集団(StageII~IIIA)においても7割を超えたことが明らかとなった。  この結果は、世界肺がん学会(WCLC2026)において、米国・Dartmouth Cancer CenterのRoy S. Herbst氏が国際共同第III相ADAURA試験の探索的8年OSランドマーク解析の結果を報告したもの。  EGFR変異陽性NSCLCに対するEGFR-TKI術後補助療法は無病生存期間(DFS)改善効果を示したものの、OSの改善効果については複数の臨床試験で認められていなかった。そのような中、ADAURA試験ではDFSとともに、OSについても2023年の米国臨床腫瘍学会(ASCO2023)で有意な延長が報告されている(5年OS率:88%vs.78%、ハザード比[HR]:0.49、95.03%信頼区間[CI]:0.34~0.70、p<0.0001)。

単純性膀胱炎へのセフェム、第3世代vs.第1/2世代~日本の4万例を解析

セフェム系薬は単純性膀胱炎に対して用いられるが、第3世代は第1/2世代と比べて経口バイオアベイラビリティが低く、臨床効果に差が生じる可能性がある。そこで、谷口 順平氏(東京大学)らは、日本のレセプトデータベースを用いて、女性の急性単純性膀胱炎に対する経口の第3世代セフェム系薬と第1/2世代セフェム系薬(セファレキシンまたはセファクロル)の有効性を比較した。その結果、経口の第3世代セフェム系薬は、セファレキシンやセファクロルと比較して、腎盂腎炎診断または抗菌薬の追加使用の複合アウトカムが多かった。ただし、この差は主に抗菌薬の追加使用によるもので、腎盂腎炎診断には差がなかった。本研究結果は、European Journal of Clinical Microbiology & Infectious Diseases誌オンライン版2026年8月7日号に掲載された。

脳卒中後のリハビリ、AHA/ASAが新ガイドラインを公表

 サンフランシスコでメイクアップアーティストとして働いていたSara Kutzleさんは、39歳のときに脳卒中を発症し、1週間にわたって集中治療を受け、1カ月間入院した。退院後のKutzleさんは、何カ月もかけて、歩くことや文字を書くこと、右利きのアーティストとして再び仕事をすることなど、日常生活や仕事に必要な能力を一から身に付け直す必要があった。彼女はニュースリリースの中で、「当初は体の回復に集中していたが、すぐに、回復にはそれ以上のことが関わっていると気付いた。自信、メンタルヘルス、人間関係、自立しているという感覚の全てが影響を受けた」と振り返っている。

クリーニング店の近くに住む人はパーキンソン病リスクが高い?

 クリーニング店の近くに住んでいる人では、パーキンソン病リスクが上昇する可能性があるようだ。8月5日付で「npj Parkinson’s Disease」に早期公開された研究で、ドライクリーニングを扱うクリーニング店(以下、クリーニング店)から約500フィート(約152 m)以内に住んでいる人では、4~5マイル(約6.4~8 km)離れた場所に住んでいる人と比べて、パーキンソン病である可能性が高いことが示された。また、自宅がクリーニング店から離れているほど、パーキンソン病リスクは低かったという。

CRTの左室リード、最遅延部位への標的留置は予後を改善せず/Lancet

 心臓再同期療法(CRT)の両室ペーシングでは、電気的興奮が最も遅い部位(最遅延部位)への左室リードの留置が、左室収縮機能の大幅な改善と生存率の向上をもたらすことが、観察研究によって報告されている。デンマーク・オーフス大学病院のJens Cosedis Nielsen氏らDANISH-CRT Trial Investigatorsは「DANISH-CRT試験」において、QRS時間の延長を伴う心不全患者に対するCRTの左室リードの位置について、最遅延部位への標的留置は従来の冠静脈洞分枝の後壁・側壁の非心尖部への留置と比較して、死亡または心不全による予定外の入院の複合評価項目を改善せず、左室リード関連の合併症が数値上は増加することを示した。Lancet誌2026年9月26日号掲載の報告。なお、本研究は2026年8月28~31日にドイツ・ミュンヘンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2026(ESC2026、欧州心臓病学会)で発表された。

原因不明の失神、14日間携帯型ECGモニタリングで再発率は改善するか/NEJM

 欧米では、失神を主訴に救急診療科を受診した患者の約50%が原因不明で、1ヵ月以内に約7%が臨床的に重篤な病態を呈するため、血管迷走神経性および起立性低血圧などによる良性の失神と、不整脈などによる心原性失神の鑑別が課題である。また、失神患者の約50%が1年以内に再発するが、不整脈が特定されて治療を受けると再発率は約10%に低下することが知られ、早期診断が重要である。英国・エジンバラ大学のMatthew J. Reed氏らASPIRED Investigatorsは「ASPIRED試験」で、救急外来受診時に原因が特定されなかった失神患者において、携帯型心電図(ECG)による14日間のモニタリングを実施しても、標準治療と比較して1年後の患者報告による失神発作回数が低減しなかったことを示した。研究の詳細は、NEJM誌オンライン版2026年8月31日号に掲載された。

今さらシャム試験が必要か?(解説:高月誠司氏)

本研究は、カテーテルアブレーションによるQOL改善効果をプラセボ効果から分離するという点で、シャム対照試験の科学的意義を有している。しかし、すでに一定の有効性が確立された侵襲的治療に対し、患者に直接的な治療利益をもたらさない鎮静や静脈穿刺を実施し、アブレーションを延期することの倫理的妥当性には慎重な検討が必要である。実際にシャム群でも血管合併症や脳卒中が発生している。また、シャム群においてもAFEQTおよびNT-proBNPの改善を認めたが、これには薬物治療の調整、レートコントロール、電気的除細動などの治療効果が寄与した可能性がある。したがって、これらの改善をプラセボ効果と単純に解釈することはできない。

第2世代抗精神病薬に関連する低ナトリウム血症リスクの比較

 低ナトリウム血症は、抗精神病薬の使用に伴う有害事象である。しかし、第2世代抗精神病薬間でのリスクを比較したエビデンスは、これまで限られていた。藤田医科大学の波多野 正和氏らは、個々の第2世代抗精神病薬に伴う低ナトリウム血症のリスクを比較するため、本研究を実施した。JAMA Network Open誌2026年8月13日号の報告。  本研究は、レトロスペクティブコホート研究および不均衡性分析として実施した。データは、FDAの有害事象報告システム(FAERS:1997年第4四半期~2023年第3四半期)のデータを基に日本医薬情報センター(JAPIC)が整備したデータセット、メディカル・データ・ビジョンのレセプトデータベース(2008年4月~2024年4月)から取得した。

PD-L1陽性NSCLC1次治療におけるサシツズマブ ゴビテカン+ペムブロリズマブの成績(EVOKE-03/KEYNOTE D46)/WCLC2026

 PD-L1 TPS高発現(50%以上)の転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療において、サシツズマブ ゴビテカン(SG)とペムブロリズマブの併用療法は、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)の主要評価項目を達成しなかった。世界肺がん学会(WCLC2026)において、ギリシャ・Henry Dunant Hospital CenterのGiannis Mountzios氏が報告した国際共同第III相EVOKE-03/KEYNOTE D46試験の初回解析の結果。