日本語でわかる最新の海外医学論文|page:2

パーソナリティ障害はストーカー行為のリスク因子なのか

 ストーカー行為は、深刻な心理的影響を及ぼす執拗な嫌がらせを伴う行為である。一部の国では近年になって、ようやく犯罪として規定されるようになった。イタリア・Vita-Salute San Raffaele UniversityのEmma Flutti氏らは、ストーカー行為の有病率、類型、パーソナリティプロファイル、性差、ならびに予防および治療戦略の必要性について検討した。La Clinica Terapeutica誌2026年9・10月号の報告。  臨床および司法の混合対象集団を包含し、Medline/PubMed、Scopusを用いて、システマティックに文献検索した。分析対象は、ストーカー行為を行った患者2,378例(女性の割合:14%)。

小細胞肺がん、タルラタマブ3週・4週ごと投与の可能性(DeLLphi-309)/WCLC2026

 既治療の小細胞肺がん(SCLC)に対するタルラタマブの3週ごとおよび4週ごと投与は、従来の2週ごと投与に加えて、患者の状態に合わせた治療の柔軟性を提供する可能性を示した。  既治療のSCLC患者でタルラタマブの投与間隔延長を検討した無作為化第II相DeLLphi-309試験の結果を、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のJonathan Goldman氏が世界肺がん学会(WCLC2026)で発表した。  タルラタマブの2週間ごと10mg投与は、既治療のSCLC患者において、化学療法と比較して優れた全生存期間(OS)を示すことが実証されている1)。DeLLphi-309試験では、より投与間隔の長い20mg 3週間ごと、または30mg4週間ごと投与が、既存の10mg 2週間ごと投与と同等の臨床的有効性、安全性、薬物動態プロファイルを示すかを評価した。

肝硬変リスク、飲酒の影響が肥満や糖尿病を上回る/J Hepatol

アルコール摂取と心代謝リスク因子は、肝硬変リスクに複合的に関与することが注目されている。そこで、デンマーク・Zealand University HospitalのJonas Hedelund Ronn氏らは、一般住民コホートを用いて、飲酒量と心代謝リスク因子が肝硬変リスクに及ぼす単独および複合的な影響を検討した。その結果、肝硬変リスクに対する寄与は飲酒が最も大きく、肥満、糖尿病、高血圧、喫煙もリスク上昇と関連したが、脂質異常症との関連は明確ではなかった。本研究結果は、Journal of Hepatology誌オンライン版2026年8月24日号に掲載された。

少しの身体活動でも心房細動患者の脳卒中リスク低下

 心房細動患者では、たとえ少ない身体活動量でも脳卒中や死亡リスクが低下する可能性を示唆する研究結果が報告された。ノルウェー北極大学(トロムソ大学)のKristoffer Johansen氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of the American Heart Association(JAHA)」に8月5日付で掲載された。  心房細動は不整脈の一種で、脳卒中のリスクを高める。米国では推定1050万人の成人が心房細動に罹患しているとされている。一方、一般住民の脳卒中リスクは、習慣的な身体活動量が多いほど低いことが知られている。

国産手術支援ロボット「hinotori」、膵体尾部切除術でda Vinciと概ね同等の周術期成績

 国産初の手術支援ロボットシステム「hinotori」は2020年に製造販売承認を受け、国内の消化器外科領域でも導入が進んでいる。今回、hinotoriを用いたロボット支援下膵体尾部切除術(RDP)の周術期成績をda Vinci Surgical System(da Vinci)と比較した研究で、両者は概ね同等の周術期成績を示した。また、hinotori群では入院費がda Vinci群と比べて有意に低く、この差は手術時期をそろえた解析でも認められた。研究は、獨協医科大学埼玉医療センター外科の川﨑圭史氏、吉富秀幸氏らによるもので、詳細は7月30日付の「Asian Journal of Endoscopic Surgery」に掲載された。

発症後48時間以内の脳梗塞、loberamisal追加vs.標準治療のみ/JAMA

 発症後48時間以内の急性虚血性脳卒中患者において、標準治療へのloberamisal静脈内投与の追加は標準治療のみと比較し、90日時点における良好な機能予後の達成率を上昇させた。中国・首都医科大学のShuya Li氏らLAIS investigatorsが、同国32施設で実施した第III相無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「LAIS試験」の結果を報告した。急性虚血性脳卒中に対する神経保護療法および神経修復療法は、依然として限られている。loberamisalは、シナプス後肥厚部タンパク質95(PSD-95)経路とα2-γ-アミノ酪酸A(α2-GABAA)受容体の両方を標的とする低分子化合物で、第II相無作為化試験において良好な忍容性と有効性が示唆されていた。

小細胞肺がんの2次治療、tambotatug pelitecanでOSが有意に延長/NEJM

 プラチナ製剤を含む1次治療中または治療後に再発した小細胞肺がん(SCLC)患者において、tambotatug pelitecan(Tam-Peli)はトポテカンと比較し、全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)を有意に延長した。奏効率(ORR)も有意に高く、Grade3以上の有害事象の発現割合は低かった。中国・中山大学がんセンターのYuanyuan Zhao氏らTAISHAN-302 Investigatorsが、同国内85施設で実施した第III相無作為化非盲検比較試験「TAISHAN-302試験」の結果を報告した。Tam-Peliは免疫チェックポイント分子B7-H3を標的とする新規抗体薬物複合体で、初期の臨床試験において再発SCLC患者での有望な臨床効果が示されていた。NEJM誌オンライン版2026年9月12日号掲載の報告。

GLP-1/グルカゴン受容体dual agonistであるsurvodutideは肥満症治療薬として有効である(解説:住谷哲氏)

肥満症治療薬としてのGLP-1受容体作動薬はすでにセマグルチド(商品名:ウゴービ)が市場に登場して多くの患者に処方されている。さらにGLP-1/GIP受容体のdual agonistであるチルゼパチド(商品名:ゼップバウンド)も処方可能となっている。本試験SYNCHRONIZE-1で検討されたのはGLP-1/グルカゴン受容体のdual agonistであるsurvodutideである。survodutideは内因性ホルモンであるoxyntomodulinの誘導体である。oxyntomodulinは37アミノ酸からなるペプチドホルモンでグルカゴン分子に8アミノ酸が付加されており、グルカゴンの前駆ホルモンであるproglucagonから産生される。ちなみにGLP-1も同じproglucagonから産生される(GIPは別の前駆体であるproGIPから産生される)。

アザチオプリンや免疫チェックポイント阻害薬などに重大な副作用追加/厚労省

 2026年9月29日、厚生労働省より添付文書の改訂指示が発出され、アザチオプリンや各種免疫チェックポイント阻害薬(ICI)、トシリズマブなどに対して、「重大な副作用」などが追記された。  免疫抑制薬のアザチオプリン(商品名:アザニン、イムラン)では、「可逆性後白質脳症症候群」および「肝類洞閉塞症候群(SOS)/肝中心静脈閉塞症(VOD)」が追記された。頭痛、意識障害、痙攣などの症状が現れた場合には、MRIなどによる画像診断を行うとともに、投与を中止し適切な処置を行うよう追記された。

生殖細胞系列病的バリアントを有する乳がん、出産10年以降の診断と授乳歴でOS良好/ESMO Open

 出産や授乳は乳がんの生涯リスク低下と関連する一方、出産後早期は一過性に乳がんリスクや予後不良リスクが高まることが知られている。今回、オーストラリア・Peter MacCallum Cancer CenterのCourtney T. van Geelen氏らが生殖細胞系列病的バリアント(PV)を有する乳がん患者において、最終出産から乳がん診断までの期間や授乳歴と全生存期間(OS)との関連を検討したところ、最終出産から10年以上経過した後の診断および授乳歴は、良好なOSと独立して関連していた。ESMO Open誌2026年9月号に掲載。

早期および晩期発症のアルツハイマー病における抗Aβ免疫療法後の脳容積推移

 抗アミロイドβ免疫療法(AAT)の試験において、脳容積減少の加速が観察されている。しかし、早期発症アルツハイマー病(EOAD)と晩期発症アルツハイマー病(LOAD)における、この逆説的な現象については、依然として十分にわかっていない。米国・ウェストバージニア大学のRashi I. Mehta氏らは、EOADおよびLOADにおけるAAT後の脳容積の変化をレトロスペクティブに解析した。Alzheimer's & Dementia誌2026年8月22日号の報告。  AAT開始後1年間の脳容積の変化をレトロスペクティブに解析した。脳容積の年間変化率を算出し、線形混合効果モデルを用いて、EOADとLOADにおける脳容積の経時的変化を評価した。

EGFR exon20挿入変異陽性NSCLCに対するアミバンタマブ+化学療法のOS最終結果(PAPILLON)/WCLC2026

 EGFR exon20挿入変異陽性の局所進行および転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療において、アミバンタマブと化学療法の併用療法は、化学療法単独と比較した全生存期間(OS)が発表された。  世界肺がん学会(WCLC2026)において、同対象におけるアミバンタマブ+化学療法の有用性を検討した国際共同第III相PAPILLON試験のOS最終解析結果を、米国・Georgetown Cancer InstituteのChul Kim氏が報告した。  PAPILLON試験では、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)において、アミバンタマブ+化学療法群が化学療法単独群に対して優越性を示したことがすでに報告されている。同学会では全生存期間(OS)の最終解析結果が発表された。

高齢者の骨折予防にビタミンD補充は有効か

 ビタミンD単独補充による骨折予防効果については、これまで一貫した結果が得られていない。今回、ビタミンD3が骨折リスクなどに及ぼす影響を評価した無作為化比較試験(FIND試験)により、ビタミンDがおおむね充足している高齢者集団ではビタミンD3補充を5年間行っても骨折リスクは低下しなかったことが、フィンランド・University of Eastern FinlandのToni Rikkonen氏らによって示された。Bone誌2026年12月号掲載の報告。  本試験の対象は、フィンランド在住の心血管疾患やがんの既往歴のない60歳以上の男性および65歳以上の女性であった。ビタミンD3を1,600 IU/日摂取する群、ビタミンD3を3,200 IU/日摂取する群、プラセボを摂取する群に1:1:1に無作為に割り付けられ、それぞれを5年間補充した。骨折はフィンランドの全国医療登録および死亡原因登録から把握した。骨折リスクは、年齢と性別で調整したCox比例ハザード回帰モデルを用いて評価し、プラセボ群を基準としたビタミンD3補充群のハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。

階段を上ることで死亡リスク24%低下か~メタ解析

 エレベーターではなく階段を使うことは、思っている以上に健康に良いかもしれない。「American Journal of Cardiovascular Drugs」に8月13日付で報告された研究で、階段を上ることは、心血管疾患(CVD)による死亡リスクの39%の低下、全死因死亡リスクの24%の低下と関連することが明らかになった。  論文の上席著者である英イースト・アングリア大学ノリッジ医学校心臓病学教授のVassilios Vassiliou氏は研究背景について、「階段を上ることは日常生活に身体活動を取り入れるための実用的な方法だが、見過ごされがちである。われわれは、この日常的な活動に命を救う可能性がどれほどあるのかについて、理解を深めたかった」と述べている。

PCI後のACS患者、プラスグレルvs.チカグレロル/NEJM

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた急性冠症候群患者において、標準的に使用するP2Y12阻害薬としてプラスグレルを用いても、チカグレロルと比較し主要心血管イベントのリスクは改善しなかった。スウェーデン・ヨーテボリ大学のElmir Omerovic氏らが、研究者主導のステップウェッジ法を用いた非盲検クラスター無作為化比較試験「SWITCH-SWEDEHEART試験」の結果を報告した。急性冠症候群患者において、P2Y12阻害薬としてプラスグレルとチカグレロルのどちらを優先すべきかは明らかになっていない。NEJM誌オンライン版2026年8月29日号掲載の報告。なお、本研究は2026年8月28~31日にドイツ・ミュンヘンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2026(ESC2026、欧州心臓病学会)で発表された。

切除不能早期NSCLC、SBRTへのアテゾリズマブ併用は?/Lancet

 切除不能早期非小細胞肺がん(NSCLC)に対するアテゾリズマブ+体幹部定位放射線治療(SBRT)の併用療法について、SBRT単独療法と比較して全生存期間(OS)の改善は認められず、Grade3以上の有害事象の発現が多かった。米国・カリフォルニア大学アーバイン校チャオファミリー総合がんセンターのMegan E. Daly氏らが、同国国立がん研究所(NCI)の臨床試験ネットワーク内の146施設で実施した第III相無作為化非盲検比較試験「SWOG/NRG S1914試験」の結果を報告した。SBRTは、早期の切除不能NSCLCに対する標準治療であるが、早期NSCLCに対するSBRTとアテゾリズマブの併用療法の有効性は明らかになっていなかった。Lancet誌オンライン版2026年9月6日号掲載の報告。

TP53共変異を伴うEGFR陽性進行肺がんに対するオシメルチニブ+化学療法(解説:田中希宇人氏/山口佳寿博氏)

EGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対する1次治療は、FLAURA2試験の結果を受け、オシメルチニブ+プラチナ併用化学療法が臨床の現場で幅広く選択されている。しかし、併用療法は骨髄抑制や消化器毒性を伴い、頻回の点滴通院が必要となる。故に、本当に併用療法が必要な集団はどのような症例か、といった議論は今も絶えない。その選別の一助となりうるのが、EGFR陽性例の約50%に認められる「TP53共変異」である。TP53変異はゲノム不安定性やアポトーシス回避を惹起し、EGFR-TKI単剤に対する初期耐性をもたらす強力な予後不良因子として知られる。

静岡がんセンター、世界の専門家を招く「Oncology Seminar」をスタート

 静岡県立静岡がんセンターは2026年8月、国内外のがん診療の専門家を招く「Shizuoka Cancer Center Oncology Seminar」をスタートした。英語で講演とディスカッションを行う30分間のウェビナーで、以後月1回開催が予定されている。国内と海外の演者が交互に登壇し、最新のがん診療について学ぶとともに、若手医師が英語で議論する機会をつくることも狙いだ。  セミナー企画の中心となったのは、同センター消化器内科(胆膵)医長の大場 彬博氏。企画の出発点には、従来の院内勉強会をもっと魅力あるものにしたいという思いがあった。

小児の毎日続く頭痛、専門医受診遅延が治療結果に及ぼす影響が明らかに

 小児の毎日続く頭痛(連日性頭痛)は、難治性であり、日常生活に支障を来す疾患である。しかし、連日性頭痛の発症から専門医への初回受診までの期間が臨床アウトカムに及ぼす影響については、これまで明らかになっていなかった。兵庫医科大学の徳永 沙知氏らは、連日性頭痛を呈した小児および青年を対象に初回受診までの期間と症状改善までの期間との関係を明らかにするため、レトロスペクティブ観察研究を実施した。Medical Sciences誌2026年7月27日号の報告。  対象は、連日性頭痛を呈した小児および青年51例。受診までの期間は、頭痛が連日性となった日から初回受診日までの期間と定義した。

EGFR変異陽性NSCLCに対するオシメルチニブ術後補助療法、8年OS率7割超(ADAURA)/WCLC2026

 完全切除後のEGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対するオシメルチニブ術後補助療法の8年解析追跡結果が発表され、同レジメンの8年全生存(OS)率は、全体集団(StageIB~IIIA)においても、主要評価集団(StageII~IIIA)においても7割を超えたことが明らかとなった。  この結果は、世界肺がん学会(WCLC2026)において、米国・Dartmouth Cancer CenterのRoy S. Herbst氏が国際共同第III相ADAURA試験の探索的8年OSランドマーク解析の結果を報告したもの。  EGFR変異陽性NSCLCに対するEGFR-TKI術後補助療法は無病生存期間(DFS)改善効果を示したものの、OSの改善効果については複数の臨床試験で認められていなかった。そのような中、ADAURA試験ではDFSとともに、OSについても2023年の米国臨床腫瘍学会(ASCO2023)で有意な延長が報告されている(5年OS率:88%vs.78%、ハザード比[HR]:0.49、95.03%信頼区間[CI]:0.34~0.70、p<0.0001)。