日本語でわかる最新の海外医学論文|page:2

「スマートウェア」がフィットネストラッキングの次の最前線に

健康意識の高い人は、ウォーキングやジョギングの前に手首にFitbitを装着したり、ベルトに歩数計を付けたりすることが習慣になっている。しかし、追加の装置を用意しなくても歩数の測定や身体の動きの追跡が可能な「スマートウェア」の実現につながる新たな研究結果が明らかになった。現在使用されている肌に密着させるセンサーよりも、ゆったりとした衣服に取り付けた小型センサーの方が、身体の動きを正確に記録できることを突き止めたという。英キングス・カレッジ・ロンドン(KCL)工学分野のMatthew Howard氏らによるこの研究の詳細は、「Nature Communications」に1月20日掲載された。

身体活動の不足が糖尿病の合併症を引き起こす

 身体活動の不足と糖尿病の合併症リスクとの関連を示すデータが報告された。合併症の最大10%程度が身体活動の不足に起因していると考えられるという。リオグランデ・ド・スル連邦大学(ブラジル)のJayne Feter氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of Sport and Health Science」に1月14日掲載された。論文の筆頭著者である同氏は、「糖尿病の合併症は避けようのないものだと見なされることが多い。しかしわれわれの研究結果は、糖尿病患者が身体活動量を増やすことで、合併症のかなりの部分を予防できる可能性があることを示している」と述べている。

寝室の温度は高齢者の睡眠に影響

 暑くて寝苦しい夜、眠れずに寝返りを打ち、枕をひっくり返したりした経験はないだろうか?オーストラリアの高齢者を対象とした研究で、寝室の温度が睡眠の質に大きな影響を与える可能性のあることが示された。グリフィス大学(オーストラリア)保健医療・スポーツ・ソーシャルワーク学分野のFergus O’Connor氏らによるこの研究の詳細は、「BMC Medicine」に12月29日掲載された。  この研究では、2024年12月から2025年3月の夏季に、オーストラリアの65歳以上の高齢者を対象に、寝室の温度が睡眠にどのような影響を与えるのかが検討された。

子宮頸がん検診、受診率は制度で変わる? 東京都51自治体解析

 日本では子宮頸がんの罹患が増加する一方、検診受診率の低さが課題となっている。今回、東京都内の51自治体を対象とした研究で、検診受診率には大きな地域差があり、医療機関数や予約制度、HPV検査導入などの制度的要因が関連していることが示された。研究は、東京科学大学公衆衛生看護学分野の原田伊織氏、月野木ルミ氏らによるもので、詳細は1月21日付で「The Asian Pacific Journal of Cancer Prevention」に掲載された。  日本では1990年代半ば以降、子宮頸がんの罹患率・死亡率が上昇しているにもかかわらず、検診受診率は欧米に比べ低い状況が続いている。

治療抵抗性高血圧、baxdrostat上乗せで24時間SBP改善/Lancet

 治療抵抗性高血圧症の患者において、選択的アルドステロン合成酵素阻害薬baxdrostatはプラセボと比較して、24時間自由行動下収縮期血圧(SBP)を有意に低下させたことが、フランス・パリ・シテ大学のMichel Azizi氏らBax24 investigatorsによる海外第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「Bax24試験」の結果で示された。著者は、「コントロールが困難な高血圧症の治療に、選択的アルドステロン合成酵素阻害薬が有望であるエビデンスが上積みされた」とまとめている。Lancet誌2026年3月7日号掲載の報告。  Bax24試験は22ヵ国79臨床施設(プライマリ、2次、3次医療施設および研究施設)で行われ、利尿薬を含む降圧薬3剤以上を服用しているにもかかわらず、座位SBPが140mmHg以上170mmHg未満の成人(18歳以上)を対象とした。

特発性肺線維症への吸入トレプロスチニルがFVC低下を抑制/NEJM

 特発性肺線維症(IPF)患者への吸入トレプロスチニル投与(12吸入を1日4回)は、プラセボと比較して52週間にわたり、努力肺活量(FVC)低下および臨床的悪化のイベント発現を抑制したことが示された。米国・Inova Fairfax HospitalのSteven D. Nathan氏らTETON-2 Trial Investigatorsが、日本を含む16ヵ国107施設で被験者を募り実施した第III相の二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果を報告した。前臨床データにおいて、吸入トレプロスチニルは抗線維化作用によりIPFの治療に有効である可能性が示されており、臨床でもその可能性を支持する所見が示されていた。NEJM誌オンライン版2026年3月11日号掲載の報告。

再発・難治性の濾胞性リンパ腫治療薬タファシタマブを発売/インサイト・ジャパン

 インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパンは、「再発又は難治性の濾胞性リンパ腫」の適応で、タファシタマブ(遺伝子組換え)(商品名:ミンジュビ)を2026年3月18日に発売したことを発表した。タファシタマブとリツキシマブおよびレナリドミドの併用療法は、再発・難治性のFLに対する日本初のCD19およびCD20の両方を標的とした免疫療法となる。

3疾患を追加し8年ぶりに改訂「自己炎症性疾患診療ガイドライン2026」

 自己炎症性疾患とは、自然免疫系の遺伝子の異常で発症し、症状として発熱と眼、関節、皮膚、漿膜などに及ぶ全身炎症を特徴とする疾患である。その概念は比較的新しく1999年から提唱されている。現在では、診療技術の進歩などにより疾患分類なども整備されている。そして、その疾患の多くは希少疾病や難病として知られている。2017年に『自己炎症性疾患診療ガイドライン 2017』が発行され、遺伝学的検査など検査が一般的となり、日本免疫不全・自己炎症学会も創設された。その後、厚生労働科学研究などの研究班研究により、掲載疾患の改訂と新規疾患のガイドライン作成作業を経て『自己炎症性疾患診療ガイドライン2026』が発刊された。

原発性局所多汗症の関連因子は?/神戸大

 原発性局所多汗症は、温熱や精神的な負荷、またそれらによらずに大量の発汗が起こり、日常生活に支障を来す状態と定義されている。本邦における過去の調査では、患者の大部分が医療機関を受診していない可能性が示唆されており、関連のある因子を特定することは、未治療の患者を発見し適切な医療介入を行ううえで有用と考えられる。神戸大学の福本 毅氏らは、多施設共同の横断的質問紙調査(KOBE study)を行い、原発性局所多汗症の関連因子について検討した。Frontiers in Medicine誌2026年2月9日号の報告。

統合失調症に対するLAI抗精神病薬治療が入院率や再発率に及ぼす影響

 長期作用型注射(LAI)抗精神病薬は、統合失調スペクトラム症の長期治療マネジメントにおいて重要な治療選択肢である。新たなエビデンスは、入院および/または再発リスクといった長期治療アウトカムに有益な影響を与えることを示唆している。イタリア・University Magna Graecia of CatanzaroのRenato de Filippis氏らは、自然発生的な外来診療環境における統合失調スペクトラム症患者を対象に、LAI抗精神病薬治療開始前後3年間の再発率、入院率、入院日数を比較するため、3年間のフォローアップミラー観察デザイン研究を実施した。Therapeutic Advances in Psychopharmacology誌2026年2月11日号の報告。

低炭水化物か低脂肪かではなく、食品の質が重要

 これまで長年にわたり、健康のためには低炭水化物の食生活が良いと主張する人たちと、低脂肪の食生活が良いと主張する人たちの間で議論が繰り返されてきた。しかし、新たに報告された大規模なデータに基づく研究から、重要なことは主要栄養素の比率ではなく、食品としての品質であることが示唆された。米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院のZhiyuan Wu氏らの研究によるもので、詳細は米国心臓病学会(ACC)発行の「Journal of the American College of Cardiology(JACC)」に2月11日掲載された。  この研究では、米国内の医療従事者対象調査(HPFS)に参加した男性4万2,720人、看護師健康調査(NHS)に参加した女性6万4,164人、NHS IIに参加した女性9万1,589人の30年以上にわたる追跡データが解析された。

術後ホルモン療法追加で、前立腺がんの予後は改善するか/Lancet

 限局性前立腺がんの治療において、根治的放射線療法へのホルモン療法の追加は全生存期間(OS)を改善するが、根治的前立腺全摘除術後の術後放射線療法(PORT)にホルモン療法を加えた場合に、同様のOSの改善効果が得られるかは明らかでない。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のAmar U. Kishan氏らは「POSEIDON試験」において、PORTにホルモン療法を追加してもOSは改善しないが、PORT前のPSA値が1.6ng/mL超の患者では、長期(24ヵ月)ホルモン療法を加えることでOSの向上が得られる可能性があることを示した。研究の成果は、Lancet誌2026年3月14日号で報告された。

乳がん周術期化学療法後に長期持続する有害事象、患者報告アウトカムで明らかに~日本の前向き研究

 乳がん周術期化学療法終了後、末梢神経障害、味覚異常、不眠、爪脱落が6ヵ月以上持続することが、患者報告アウトカム(PRO)に基づく質問票を用いた前向き観察研究で明らかになった。日本医科大学の藤井 孝明氏らがCancer Diagnosis & Prognosis誌2026年3月1日号で報告した。  本研究は、2016年1月~2023年3月に群馬大学でドセタキセル/シクロホスファミド療法(TC)またはアントラサイクリン系とタキサン系併用療法(A+T)による周術期化学療法を受けた手術可能な原発性乳がん患者を対象に、化学療法後の有害事象の長期経過を評価した。

日本人の認知症予防戦略、修正可能なリスク要因とその低減効果は

 世界的に認知症有病率が増加しており、修正可能リスク因子を標的とした予防戦略の重要性がますます高まっている。超高齢化社会を迎えた日本において、認知症は高齢者の障害調整生存年数の増加の主な原因となっている。東海大学の和佐野 浩一郎氏らは、日本特有の有病率データを用いて、高齢者における認知症に対する14の修正可能リスク因子を定量化しようと試みた。The Lancet Regional Health誌2026年1月11日号の報告。  日本の全国調査およびコホート研究より抽出した最近公表されている有病率データ、2024年版ランセット委員会による認知症に関する報告書の相対リスクおよびコミュニティ性重み付けを用いて、人口寄与率(PAF)および潜在的影響率(PIF)を算出した。

夕食中心の食事でフレイルリスク上昇

 夕食にエネルギー摂取が偏る高齢者や、朝食と夕食にエネルギー摂取のピークがある高齢者では、朝食・昼食・夕食で均等にエネルギーを摂取する高齢者と比べてフレイルの有病率が高い可能性を、韓国国立保健研究院のHan Byul Jang氏らが示した。Nutrients誌2026年2月22日号掲載の報告。  高齢者のフレイル予防において食事は重要な要素であるが、これまでの研究は主に総エネルギー摂取量や栄養の質に焦点が当てられてきた。近年、時間栄養学(chrono-nutrition)の観点から食事タイミングの重要性が示唆されているが、1日を通したエネルギー摂取の時間的分布を包括的に検討した研究は限られている。そこで研究グループは、食事の量・質・タイミングが高齢者のフレイルと独立して関連するかどうかを検討するため、横断研究を実施した。

日帰り経カテーテル大動脈弁置換術の安全性は?

 心臓弁置換術を受ける一部の患者は日帰り手術できる可能性のあることが、新たな研究で示された。経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)の実施日に退院した患者と、健康状態の懸念から入院継続となった「同日退院の適格者」との間で、予後に差は認められなかったという。英ジェームズ・クック大学病院の循環器専門医であるKrishnarpan Chatterjee氏らによるこの研究は、欧州心臓病学会(ESC)の部会の一つであるEuropean Association of Percutaneous Cardiovascular Interventions(EAPCI)が主催する「EAPCI Summit 2026」(2月19〜20日、ドイツ・ミュンヘン)で発表された。

生涯学習は認知症リスクの低下と関連

 米国の実業家であるヘンリー・フォード(Henry Ford)氏はかつて、「20歳であろうと80歳であろうと、学ぶことをやめた人は老いている。学び続ける人はいつまでも若い」と述べているが、この言葉には確かな根拠があるようだ。生涯にわたり学習を続ける人は、アルツハイマー病(AD)のリスクが低く、脳の老化も緩やかになることが、新たな研究で明らかにされた。米ラッシュ大学医療センター精神科・行動科学分野のAndrea Zammit氏らによるこの研究の詳細は、「Neurology」に2月11日掲載された。

自宅リハビリの実施状況、4人に3人が不十分

 多くの人が、自宅で行うように指示された理学療法の「宿題」の一部、あるいは全てを実施しておらず、その結果、回復の遅延や停滞が生じている可能性のあることが、新たな調査で明らかになった。米オハイオ州立大学ウェクスナー医療センターが行った調査によると、4人に3人(76%)の患者が、自宅で取り組むように言われたリハビリテーション(以下、リハビリ)を、指示通りに実施していないことが判明したという。

脳インプラントがパーキンソン病の歩行をリアルタイムで把握

 新たな脳インプラントにより、キッチンまで歩く、公園を散歩するなど、日常生活の中で何らかの動作をしているパーキンソン病患者から歩行に関連する脳信号をリアルタイムで記録し、その場で歩行中か否かを判定できることを示した研究結果が報告された。この完全埋め込み型のインプラントを使用することで、医師はパーキンソン病患者の運動機能をより効果的に改善できる可能性がある。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のDoris Wang氏らによるこの研究結果は、「Science Advances」に2月13日掲載された。