日本語でわかる最新の海外医学論文|page:2

治療抵抗性うつ病に対するブレクスピプラゾール補助療法、実臨床における評価

 ブレクスピプラゾールは、既存治療で十分な効果が認められないうつ病に対する増強療法として用いることのできる抗精神病薬である。トルコ・Private PracticeのHuseyin Kara氏らは、実臨床における治療抵抗性うつ病に対するブレクスピプラゾールの有効性を評価した。Dusunen Adam誌2026年4月6日号の報告。  本研究は、2024年5月1日~2025年1月1日に実施された。治療抵抗性うつ病に対する増強療法としてブレクスピプラゾールの投与が開始された患者の診療記録をレトロスペクティブに検討した。解析には、社会人口統計学的データに加え、ベックうつ病評価尺度(BDI)、ベック不安尺度(BAI)、全体的評価尺度(GAS)のスコアが記録された患者データを組み入れた。

閉塞性睡眠時無呼吸へのCPAP、不眠症併存例でより血圧低下

 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と不眠症の併存(comorbid insomnia and obstructive sleep apnea:COMISA)は血圧コントロール悪化と関連している。今回、中国・Capital Medical UniversityのShuang Li氏らは、4週間の持続陽圧呼吸療法(CPAP)による降圧効果をCOMISA患者とOSA単独患者で比較したところ、COMISA患者で収縮期血圧が有意に低下したことがわかった。Chest誌オンライン版2026年7月31日号に掲載。

卵巣がんの新たな3つのターゲット療法、日本人患者の成績/日本婦人科腫瘍学会

 これまで有効な治療選択肢が限られていた卵巣がんの組織型に対し、分子標的療法の臨床試験が有望な成果を示している。第68回日本婦人科腫瘍学会学術集会では、3つの組織型の新薬における日本人患者の成績を三重大学 金田 倫子氏、兵庫県立がんセンター 山本 香澄氏、名古屋大学 新美 薫氏が紹介した。  低異型度漿液性卵巣がん(LGSOC)は卵巣がんの10%未満とまれな組織型である。再発に対する化学療法の奏効率は0~13%と低く、新たな治療法の開発が強く望まれている。

ピロリ菌で大腸がんリスク増、除菌の恩恵を受けやすい人は?

 Helicobacter pylori(H. pylori)感染は大腸がん発症リスクを高める可能性があり、除菌治療が長期的なリスク低減につながる可能性が示された。中国で実施された2つの大規模ランダム化試験の解析により、遺伝的リスクや病原性因子を考慮した層別解析では、除菌の恩恵を受けやすい集団が存在することも明らかになった。北京大学のXuan Han氏らによる研究結果は、Gut誌オンライン版2026年6月30日号に掲載された。  H. pyloriは胃がんや消化性潰瘍の原因菌として知られる一方、近年は慢性炎症や腸内細菌叢の変化などを介して大腸がんにも関与する可能性が指摘されている。今回の解析では、中国・山東省で実施された2つのランダム化試験を対象とした。1つは1995年開始のShandong Intervention Trial(SIT、3,365例、追跡期間29.4年)、もう1つは2011年開始のMass Intervention Trial in Linqu, Shandong Province(MITS、18万284例、追跡期間13.8年)である。MITSでは、宿主の遺伝的リスクとH. pyloriの病原性因子に対する血清陽性率に基づいて大腸がんリスクを評価するケースコホート研究も実施された。

うつ病の個別化磁気刺激療法、MRIに基づく刺激部位決定で有効性向上

 MRIで評価した患者ごとの脳の機能的結合に基づいて刺激部位を決定する経頭蓋磁気刺激療法(TMS)により、標準的な治療法に反応しない治療抵抗性うつ病患者に対する治療効果が向上する可能性が、新たな研究で示された。  論文の筆頭著者である米マス・ジェネラル・ブリガムCenter for Brain Circuit TherapeuticsのJoseph Taylor氏は、「今回の結果は、機能的MRI(fMRI)による脳画像を用いてTMSの刺激部位を決定することに臨床的な利点がある可能性を前向きに示したものである。

重度歯周炎、高齢者の脳卒中リスク上昇――医療費増加とも関連

 口腔の健康状態は、脳卒中発症だけでなく、その後の医療負担にも影響するのだろうか。今回、高齢者1,997人を対象とした5年間の追跡研究で、重度歯周炎は脳卒中発症リスクの上昇と関連し、脳卒中後の医療費増加にも関与する可能性が示された。研究は愛知学院大学歯学部口腔衛生学講座の齋藤瑞季氏、嶋崎義浩氏らによるもので、詳細は6月12日付で「Journal of Clinical Periodontology」に掲載された。  歯周炎は口腔内の慢性炎症性疾患であり、歯周病菌や炎症反応が血管に影響することで、心血管疾患リスクを高める可能性が指摘されている。

肺動脈性肺高血圧症、ralinepagが臨床的悪化リスクを半減/Lancet

 現在の標準治療を受けている肺動脈性肺高血圧症(PAH)患者において、ralinepagはプラセボと比較し、臨床的悪化の初回イベントリスクを有意に低下させたが、有害事象による治療中止の発現割合は高かった。米国・ミシガン大学のVallerie V. McLaughlin氏らADVANCE OUTCOMES Investigatorsが、30ヵ国の169施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「ADVANCE OUTCOMES」の結果を報告した。PAHは肺血管抵抗の上昇を特徴とする希少かつ進行性の疾患であり、右心不全や早期死亡に至る可能性がある。ralinepagは選択的プロスタサイクリン(IP)受容体作動薬で、1日1回経口投与のPAH治療薬として開発された。Lancet誌オンライン版2026年7月28日号掲載の報告。

腫瘍崩壊症候群、ラスブリカーゼ早期投与が有用/BMJ

 腫瘍崩壊症候群(TLS)を呈した成人において、ラスブリカーゼによる早期治療は、投与が遅れた場合や投与されなかった場合と比較し、腎代替療法を要する急性腎障害または死亡のリスクを約3分の1減少させることが示された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のTushar Shenoy氏らが、標的試験エミュレーション研究「Study of the Treatment and Outcomes in Patients with Tumour Lysis Syndrome:STOP-TLS」の結果を報告した。これまでの研究で、ラスブリカーゼはTLS患者において血清尿酸値の急速な低下にきわめて有効であることが示されているが、ラスブリカーゼがこうした患者の臨床アウトカムを改善するかどうかを厳密に検証した研究はなかった。BMJ誌2026年7月23日号掲載の報告。

GLP-1薬は骨折リスクを上げる?下げる?

 GLP-1受容体作動薬(以下「GLP-1薬」)の投与開始は、DPP-4阻害薬の投与開始と比較して、2型糖尿病患者における脆弱性骨折リスクの低下と関連することが、米国・カリフォルニア大学のChristopher D. Hamad氏らの研究で示された。一方、GLP-1薬開始群と非開始群を比較した糖尿病の有無別の感度分析では、非2型糖尿病患者においてGLP-1薬使用は骨折リスク増加と関連していた。JAMA Network Open誌オンライン版2026年7月24日号掲載の報告。

8月29日・30日、産業保健の最新動向を学ぶ!日本産業保健法学会【ご案内】

 2026年8月29日(土)~30日(日)、KFC Hall & Rooms(国際ファッションセンター)(東京・墨田区)を会場に、日本産業保健法学会第6回学術大会が行われる。全体テーマは、「変化する労働者像と産業保健法」。誰のための産業保健なのか、その目指す姿と役割をいま一度確認しつつ、産業医、産業保健専門職、研究者、実務担当者がそれぞれの立場から課題を共有し、今後求められる産業保健の在り方や法制度について議論し、法制度と実務をつなぐ実践的な知見を深める。

高血圧の日本人、大腸がん発症率が高い

 高血圧と大腸がん発症率の関連については依然として議論されている。今回、静岡社会健康医学大学院大学の水野 仁美氏らが、日本の大規模コホートデータを用いて、高血圧と大腸がん発症率の関連を検討したところ、降圧薬非服用者では男性において高血圧と大腸がん発症率が関連し、降圧薬服用者では女性において高血圧と大腸がん発症率が関連していた。一方、血圧に関する多遺伝子リスクスコアと大腸がん発症率には関連はみられなかった。Hypertension Research誌オンライン版2026年7月28日号に掲載。

本当にCGRP関連抗体薬で片頭痛の高水準ケアは可能となったのか?

 国際頭痛学会は、より高い治療水準を確立するため、実臨床における片頭痛予防の新たな治療目標を提示した。スペイン・Vall d'Hebron HospitalのEdoardo Caronna氏らは、CGRP関連抗体薬による片頭痛特異的治療を6ヵ月間行った後に、これらの目標を達成した患者の割合を評価する初の研究として、欧州における多施設共同実臨床プロスペクティブコホート研究(EUREkAコホート研究)を実施した。Cephalalgia誌2026年6月号の報告。  対象は、CGRP関連抗体薬(エレヌマブ70mgまたは140mgを毎月、ガルカネズマブ120mgを毎月+240mgの負荷投与、フレマネズマブ225mgを毎月またはフレマネズマブ675mgを四半期ごと)による治療を行った成人片頭痛患者。

母親の素早い応答は子どもの精神疾患リスク低下と関連か

 忙しくてイライラしがちな母親にとってはさらにプレッシャーとなるかもしれないが、赤ちゃんの「あー」や「うー」などの発声(クーイング)や「ばばば」「ダーダー」などの喃語に対する反応が遅いと、子どもが後に精神疾患を発症するリスクが高まる可能性があるようだ。新たな研究で、乳児の発声に対し、母親が1秒以内に応答する確率が高いほど、乳児が7歳までに精神疾患と診断されるオッズは低かったことが示された。英アバディーン大学のPhilip Wilson氏らによるこの研究結果は、「PLOS One」に7月1日掲載された。Wilson氏は、「今回の結果は、乳児からのサインに対する母親の応答が遅いことと、その後の子どもの精神健康上の問題との間に強い関連があることを示唆している」と述べている。

hinotoriによるロボット支援前立腺全摘、real-worldデータでda Vinciと比較

 手塚治虫氏の漫画『火の鳥』にちなんで名付けられた国産手術支援ロボット「hinotori」の前立腺がん手術への臨床導入が進む中、real-worldデータを用いて「da Vinci」との治療成績を比較した研究結果が報告された。hinotoriでは手術時間が長かった一方、陽性切除断端率や尿禁制回復、早期の生化学的再発などの主要アウトカムはda Vinciと同等の成績だった。研究は、滋賀医科大学泌尿器科講座の西田将成氏らによるもので、詳細は6月15日付の「Asian Journal of Endoscopic Surgery」に掲載された。

アトピー性皮膚炎への抗ヒスタミン薬、ルーチン使用を支持せず/BMJ

 アトピー性皮膚炎患者において、ヒスタミンH1受容体拮抗薬(抗ヒスタミン薬)の追加投与は、重症度およびかゆみについて臨床的に意義のある改善には至らない可能性があり、睡眠障害やアトピー性皮膚炎の増悪も軽減しないことが示唆された。また、第1世代の同薬剤は認知機能障害の増加および有害事象による治療中断を増加させる可能性があり、第2世代の同薬剤では認知機能障害リスクに差異があることも示された。カナダ・マクマスター大学のAlexandro W.L. Chu氏らが無作為化試験のシステマティックレビューおよびネットワークメタ解析の結果を報告した。

HIV-1感染者への週1回配合剤、1日1回薬に非劣性/NEJM

 ウイルス学的抑制を維持しているHIV-1感染者において、週1回投与の配合錠イスラトラビル/レナカパビル(ISL/LEN)は1日1回投与の配合錠ビクテグラビル/エムトリシタビン/テノホビル アラフェナミド(B/F/TAF)に対して、HIVウイルス量の抑制維持に関して非劣性であることが示された。ドイツ・ボン大学病院のJurgen K. Rockstroh氏らISLEND-1 Study Teamが日本を含む12ヵ国106施設で実施した第III相の二重盲検無作為化実薬対照非劣性試験「ISLEND-1試験」の結果を報告した。1日1回投与の配合錠はHIV-1感染者の治療を一変させたが、服薬アドヒアランスに関する課題が効果を限定的なものとしていることから、研究グループは長期作用型経口薬との組み合わせが投与頻度を抑えた新たな治療選択肢となりうるかを検証した。NEJM誌オンライン版2026年7月29日号掲載の報告。

断水時の熱中症や災害関連死を防ぐポイント/3学会合同記者会見

 2026年8月3日、日本救急医学会、日本災害医学会、日本生気象学会の3学会合同による緊急オンライン記者会見『避難生活における熱中症予防の留意点』が開催された。本会見は、令和8年熊本地震の被災地において、猛暑とライフライン障害(断水・停電)が重なる中、避難所や復旧作業現場での「熱中症」および「災害関連疾病」の予防・対策・処置について、各専門家が最新の知見と緊急提言を発信するために実施された。  被災地での災害関連死を防ぐためには、避難所環境の改善から二次災害(エコノミークラス症候群[深部静脈血栓症]、感染症、誤嚥性肺炎などの発生)予防、そして熱中症対策が今回の災害では重要になる。

長鎖脂肪酸代謝異常症患者のエネルギー代謝を改善/ウルトラジェニクス ジャパン

 希少疾患分野に特化し、治療薬の研究開発・製造・販売を行うウルトラジェニクス ジャパンは、希少疾患である長鎖脂肪酸代謝異常症(LC-FAOD)について、2026年5月21日に治療薬トリヘプタノイン(商品名:ドジョルビ内用液100%)を発売した。この発売によせ、都内でメディアセミナーを開催した。セミナーでは、LC-FAODの診療やトリヘプタノインの概要などみついて専門医がレクチャーを行った。  「エネルギー代謝の破綻にどのように向き合うか-長鎖脂肪酸代謝異常症とトリヘプタノイン-」をテーマに村山 圭氏(順天堂大学大学院医学研究科 小児科学講座 /難治性疾患診断・治療学 教授)が、LC-FAODの病態や診療の実際、トリヘプタノインの特徴や臨床試験の概要などを説明した。

抗精神病薬の治療反応と関連する生物学的マーカーは?

 精神疾患において抗精神病薬治療に反応しないことと関連する神経生物学的マーカーを明らかにすることは、転帰予測や新たな治療標的の特定に役立つ可能性がある。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのBridget King氏らは、個々の参加者データおよびメタ解析を用いて、抗精神病薬治療に反応しない精神疾患患者と反応する患者との間で、神経代謝物質の差異を検討した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2026年6月24日号の報告。  1980年1月1日〜2025年11月1日までに公表された研究を対象に、Web of Scienceより検索した。2024年8月以前に特定された適格な21件の研究の著者に対し、個々の参加者データの提供を依頼した。

日本人高齢者、ゴルフと認知機能が関連

 ゴルフは身体的、認知的、社会的要求を伴う多面的な活動であるため、高齢者の身体的および認知的機能の維持に関連している可能性があるが、ゴルフの継続期間や頻度と認知機能との関係は明らかになっていない。そこで、国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センターの島田 裕之氏らは、高齢者におけるゴルフと認知機能との関連、継続期間や練習パターンとの関連を検討した。その結果、高齢期にゴルフを継続することは認知機能低下リスクが低いことと関連しており、またゴルフ歴が長いほどリスクが低いことが示された。Acta Psychologica誌2026年8月号に掲載。