日本語でわかる最新の海外医学論文|page:2

アルツハイマー病に伴うアジテーション、抗うつ薬併用有無でブレクスピプラゾールの有効性に違いはあるか

 抗うつ薬使用の有無により、アルツハイマー病に伴うアジテーションに対するブレクスピプラゾールの有効性および安全性に違いはあるのかを明らかにするため、米国・Connecticut Clinical ResearchのC. Brendan Montano氏らは、ブレクスピプラゾールの2つの第III相臨床試験のデータを統合し、事後解析を実施した。The American Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2026年6月30日号の報告。  ブレクスピプラゾールに関する2つの第III相試験(12週間、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照)のデータを統合した。事後解析として、抗うつ薬使用の有無により患者を層別化した。有効性はCohen-Mansfield Agitation Inventory(CMAI)、安全性は治療中に発現した有害事象(TEAE)を用いて評価した。

卵巣明細胞がん治療薬リソバリシブ使用時の高血糖に関する注意喚起/日本糖尿病学会

 卵巣明細胞がんの新たな治療薬としてPI3Kα阻害薬リソバリシブ(商品名:ハイツエキシン)が発売された。リソバリシブはその薬剤特性から高い有効性とともに、高血糖リスクが懸念される。日本糖尿病学会は、同薬の高血糖などで紹介を受ける糖尿病医への情報共有を目的に「PI3Kα阻害剤リソバリシブメシル酸塩水和物使用時の高血糖発現についての注意喚起」を発出した。  卵巣明細胞がんではPIK3CA遺伝子変異が高頻度に認められ、PIK3CAがコードするPI3Kαは有望な治療標的である。

高リスク閉塞性睡眠時無呼吸、スマートウォッチが高精度に検出

 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は心血管疾患や神経認知機能障害などの長期的影響と関連する一方、終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査へのアクセスや費用の問題から診断・治療がなされないことが少なくない。今回、米国・スタンフォード大学のArash Alavi氏らは、一般消費者向けスマートウォッチであるSamsung Galaxy Watchによる中等症~重症OSAおよび高リスクOSAの検出性能を前向きに検討した。その結果、Galaxy Watchは中等症~重症OSAを高い精度で検出し、PSG由来の低酸素負荷(HB)で定義した高リスクOSAの識別でも良好な性能を示した。Journal of Clinical Sleep Medicine誌2026年8月27日号に掲載。

がん既往CKM症候群でもフィネレノンの効果は一貫(FINE-HEART)/Eur Heart J

心血管・腎・代謝(CKM)症候群では、共通のリスク因子や病態機序を背景にがんを併存する患者が少なくない。しかし、がん既往を有するCKM症候群患者において、非ステロイド型ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬フィネレノンの有効性・安全性が同様に得られるかは明らかではない。そこで、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のMihaly Ruppert氏らは、FINE-HEART統合解析を用いて、がん既往の有無別の臨床像、転帰、フィネレノンの治療反応を検討した。その結果、がん既往は全死亡および全入院リスクの上昇と関連したが、フィネレノンの治療効果はがん既往の有無にかかわらず一貫していた。本研究結果は、European Heart Journal誌オンライン版2026年8月18日号に掲載された。

ビーガン食、わずか1カ月で「細胞の老化」に変化

 たとえ短期間でもビーガン食に切り替えることで、炎症が軽減し、細胞レベルで老化が遅くなる可能性が、新たな研究で示された。わずか1カ月間だけビーガン食を取り入れた人では、肉類を多く含む食事を取った人と比べて、炎症の軽減や生物学的老化の減速に関連するDNAメチル化に変化が認められたという。米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)医学部神経科学分野のJerome Mertens氏らによるこの研究結果は、8月3日付で「MedComm」に掲載された。

PREVENT-ASCVD式に石灰化スコア追加、予測能への影響/JAMA

 45~79歳の米国成人において、アテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の10年リスク推定式であるPredicting Risk of cardiovascular disease EVENTs(PREVENT)-ASCVDに、冠動脈石灰化(CAC)スコアを追加しても、すべてのリスク群全体でモデルの識別能および再分類能の改善はわずかであり、一部の群では変化がみられなかった。米国・ノースウェスタン大学ファインバーグ医学部のXiaoning Huang氏らが、同国6施設で実施された縦断的コホート研究「Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis:MESA試験」の解析結果を報告した。

ブンディブギョ型エボラ出血熱に承認済みワクチンは有効か?/Lancet

 米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のMegan Halbrook氏らは、ブンディブギョ型エボラウイルス(BDBV)によるエボラウイルス病の過去最大の流行(2026 outbreak)が続いているコンゴ(旧ザイール)における縦断的コホート研究の結果、エボラウイルス(EBOV)によるエボラウイルス病に対して承認されている組み換え水疱性口内炎ウイルス-ザイールエボラウイルス糖タンパク質(rVSVΔG-ZEBOV-GP)ワクチンは、BDBVに対して交差反応性抗体反応を示したことを報告した。ただし、地域によってその反応性は異なっていた。BDBVによるエボラウイルス病に対して承認されたワクチンは存在しない。これまでに、rVSVΔG-ZEBOV-GPワクチン接種後にBDBVに対する交差反応性抗体反応が生じることはヒトにおいて示されているが、BDBV流行中に同ワクチン接種を受けた集団における反応の持続性や経時的な動態は不明であった。著者らは、「血清反応性に地域による違いがみられたことから、関連する疫学的および免疫学的要因についてさらなる研究が必要である。今回の知見は、現在のBDBV流行地の居住集団における、承認済みエボラウイルス病ワクチン接種後のBDBV血清反応性を明らかにした初めてのデータであり、本流行中にrVSVΔG-ZEBOV-GPワクチンの厳密な臨床評価を行うことを支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2026年8月25日号掲載の報告。

高齢2型糖尿病、SGLT2阻害薬で死亡・透析リスク低く/統数研・横浜市大ほか

 高齢の糖尿病患者への薬物治療では、DPP-4阻害薬だけでなく、近年ではSGLT2阻害薬も使用されている。その一方で、SGLT2阻害薬の75歳以上の成人におけるエビデンス、とくにDPP-4阻害薬との比較データは限られている。このテーマについて野間 久史氏(統計数理研究所/総合研究大学院大学 教授)、後藤 温氏(横浜市立大学医学部 教授)らの研究グループは、レセプトデータなどを基に標的試験エミュレーションを実施した。その結果、SGLT2阻害薬は、DPP-4阻害薬と比較し、全死因死亡および腎臓関連リスクの低下と関連していることが示唆された。Age and Ageing誌2026年8月3日号に掲載。

キシリトールが心血管イベント増加と関連/ESC2026

 人工甘味料のキシリトールは食品や口腔ケア製品などに広く使用されているが、一般集団における長期的な心血管安全性に関するエビデンスは限定的である。今回、カナダ・マギル大学のThomas M. Zheng氏らの研究グループが、北米と欧州の2つの大規模前向き観察コホートのデータを用いて解析した。その結果、血中キシリトール濃度が高い一般集団において、主要心血管イベント(MACE)リスクが有意に上昇することが示された。本研究結果は、ドイツ・ミュンヘンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2026(ESC2026、欧州心臓病学会)において8月29日に発表された。

急性期統合失調症に対する8つの抗精神病薬とKarXTとの比較~ネットワークメタ解析

 米国FDAは、xanomelineとtrospiumを配合したKarXTを統合失調症の新たな治療薬として2024年に承認した。KarXTは、成人統合失調症患者を対象とした3つのランダム化比較試験(RCT)において、プラセボに対する優越性が報告されている。しかし、従来の抗精神病薬との比較は明らかになっていない。英国・LumanityのConor Hickey氏らは、急性期統合失調症の治療に対する8つの第2世代抗精神病薬とKarXTの相対的な有効性、安全性、忍容性を比較するため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。Journal of Comparative Effectiveness Research誌2026年8月号の報告。

若年婦人科がん40年にわたる死亡率・罹患率の変化(NORDCANレジストリ)

 北欧諸国における若年(0~49歳)の婦人科がん患者を対象とした国際コホート研究の結果、子宮体がん、卵巣がん、子宮頸がんそれぞれ独自の動向が示された。  本研究は、スウェーデン・カロリンスカ研究所のCharlotta Riese氏ら(PredictAYAコンソーシアム)によるものであり、Gynecologic Oncology誌オンライン版2026年8月19日号で発表されている。  子宮体がん、卵巣がん、子宮頸がんは中高年女性に多くみられるが、若年女性においては特有の危険因子(肥満、経口避妊薬の使用、HPV感染など)や臨床的特徴を持つため経時変化が異なる可能性がある。しかし、若年層に焦点を当てた長期的な疫学動向は十分に解明されていなかった。

組織的なスポーツ活動で自閉症スペクトラム症の子どもの運動能力が向上

 自閉症スペクトラム症(ASD)の子どもは運動能力の課題を抱えていることが少なくないが、組織的なスポーツ、特に武道や水中トレーニングによって、運動能力が向上する可能性が報告された。米オールド・ドミニオン大学のSonia Khurana氏らが行ったシステマティックレビューの結果であり、詳細は「Developmental Medicine & Child Neurology」に7月22日付で掲載された。  ASDの診断基準に、運動能力に関する項目は含まれていない。しかし、最近報告されたメタ解析から、ASDの子どもの50~88%が、バランス感覚、手と目の協調性、微細運動の制御、手先の器用さなどに、何らかの困難を抱えていると推定されている。

アルコール依存症患者の飲酒関連がん、遺伝的体質でリスクに差

 飲酒は頭頸部がんや食道がんなどの飲酒関連がんの重要なリスク因子として知られている。今回、日本人のアルコール依存症患者を対象とした研究で、アルコール代謝に関わる遺伝的体質によって、こうしたがんのリスクが異なることが明らかになった。研究は、国立病院機構久里浜医療センターアルコール内科の横山顕氏、国立保健医療科学院生涯健康研究部の横山徹爾氏によるもので、詳細は7月7日付の「Cancer Medicine」に掲載された。  飲酒は頭頸部がんや食道がん、肝がん、大腸がん、胃がんなどのリスク因子として知られている。

進行肝細胞がん、アテゾリズマブ+ベバシズマブ後の肝切除追加でTTF延長/Lancet

 未治療の大血管浸潤を伴う局所進行肝細胞がん(HCC)患者において、アテゾリズマブ+ベバシズマブによる治療後に肝切除術を行って術後に同療法を再開することは、アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法を継続する場合と比較して、治療成功期間(TTF)を有意に延長させたことが、中国・復旦大学のHui-Chuan Sun氏らによる多施設共同非盲検無作為化第III相試験「TALENTOP試験」の結果で示された。進行HCC患者に対して全身療法後に肝切除術を行うことは、さらなる治療効果をもたらす可能性が示されているが、この治療方針を支持する質の高いエビデンスが不十分である。そこで、研究グループは全身療法で病勢コントロールが得られた進行HCC患者において、肝切除術の追加の有効性と安全性を検討した。Lancet誌2026年8月22日号掲載の報告。

在胎不当過小児、生後14日以内開始の多面的介入が発育を改善/JAMA

 在胎不当過小(SGA)児において、生後14日以内に開始した多面的介入が、12ヵ月齢時の体重および年齢別体重Zスコアの改善に結びついたことが、インド・Society for Applied StudiesのRanadip Chowdhury氏らSmall Babies Trial Study Groupによる無作為化試験の結果で示された。世界中で年間約2,300万児がSGA児として生誕しており、南アジアにおける有病率は40%だという。SGA児は低栄養や発達遅滞のリスクが高く、成長や神経発達を促す多面的介入が必要と示唆されており、研究グループは、正期産生誕SGA児の乳児期に実施する、母子への多面的介入の有効性を検証した。JAMA誌オンライン版2026年7月27日号掲載の報告。

低用量リバーロキサバン、LAAO後の無症候性脳塞栓の減少や認知機能維持に効果/ESC2026

心房細動(AF)患者に対する左心耳閉鎖術(LAAO)後の抗血栓療法において、長期維持療法の最適なレジメンは確立されていない。今回、LAAO成功後のAF患者を対象に、低用量リバーロキサバン(10mg/日)が抗血小板療法と比較して無症候性脳塞栓(SCE)を減少させ、認知機能を維持しうるかを検討する「HALO-SCE試験」を実施。その結果、低用量リバーロキサバンは抗血小板療法と比較し、新規SCEの発生率を有意に低下させ、認知機能低下の抑制効果が認められることが明らかになった。本研究結果は、中国・南京医科大学第一附属病院のKexin Wang氏が8月28~31日にドイツ・ミュンヘンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2026(ESC2026、欧州心臓病学会)で発表し、European Heart Journal誌オンライン版2026年8月31日号に同時掲載された。

睡眠薬の切り替えまたは減量に関する推奨事項

 世界人口の10~30%が不眠症に罹患しているといわれている。また、睡眠薬を服用する人の4人に1人が、その薬剤に依存するようになるともいわれている。不眠症では、利用可能な薬剤の種類が多岐にわたるため、薬剤の切り替えは複雑である。しかし、これまでの推奨事項は、すべての薬剤クラスを網羅しているわけではなかった。そのため、欧州全体および各地域の診療の特性を考慮した、実践的かつエビデンスに基づいた推奨事項が求められていた。ドイツ・ケルン大学のGoran Hajak氏らは、睡眠薬の切り替えまたは減量に関する推奨事項について、ドイツ睡眠学会およびオーストリア睡眠学会の不眠症ワーキンググループによるナラティブレビューを実施した。

降圧薬による認知症リスクの低下、ARB vs.Ca拮抗薬~日本人大規模データ

 降圧薬の「種類」の違いが、血圧低下とは独立して認知症リスクに影響するかについては、十分に明らかになっていなかった。今回、統計数理研究所/総合研究大学院大学の野間 久史氏らが実施した65歳以上を対象とした標的試験エミュレーションの結果、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)の新規開始はカルシウム拮抗薬(CCB)の新規開始に比べて、認知症、とくに血管性認知症のリスクが低いことが示された。Alzheimer’s & Dementia誌2026年8月号に掲載。  本研究では、19自治体の医療・健診情報を統合した約505万人の大規模医療データベースであるLIFE Studyの2014年4月~2024年9月のデータから、新規にARBまたはCCBによる高血圧治療を開始した65歳以上の認知症ではない成人を対象に、標的試験エミュレーションによりARB開始群とCCB開始群の認知症リスクを比較した。

セラピードッグが脳卒中リハビリを後押し

 動物との触れ合いがもたらす有益な作用を人間の心身の健康状態の向上に活用しようとする動物介在療法(AAT)は、脳卒中のリハビリテーション(以下、リハビリ)にも有効かもしれない。新たな研究で、最近脳卒中を発症した患者のリハビリでは、セラピードッグを取り入れることで患者のリハビリ参加度が高まり、身体活動量も増えたことが示された。米メイヨー・クリニック動物介在療法サービスマネジャーのWhitney Romine氏らによるこの研究結果は、「Mayo Clinic Proceedings」8月号に掲載された。

胚移植の成功率を高めるための3つの手法、その効果は?

 体外受精(IVF)での胚移植は治療の最終段階であり、成功率を高めるためにさまざまな方法が試みられている。例えば、移植時の子宮の角度を改善する目的で膀胱を充満させる方法、移植前に子宮頸管粘液を除去する方法、カテーテル留置後に胚を装填する方法(アフターローディング法)などである。しかし、加藤レディスクリニックの産婦人科医である秋野亮介氏らが8月6日付で「Cochrane Database of Systematic Reviews」に発表した研究で、これらの3つの手法の有効性を裏付ける確実性の高いエビデンスは得られていないことが示された。秋野氏は、「ある意味では、エビデンスよりも慣習が診療を動かしている例と言える。