2023年、日本で早期アルツハイマー病の治療薬として抗Aβ抗体薬レカネマブが承認された。本剤は、承認後1年間で約6,000例に処方されている。東京大学の佐藤 謙一郎氏らは、レカネマブ導入後の実際の診療とその課題、そして潜在的な解決策を明らかにするため、認知症専門医を対象にアンケート調査を実施し、その結果を公表した。Alzheimer's & Dementia誌2025年10月号の報告。
レカネマブを処方可能な認知症専門医を対象に、匿名のオンライン調査を実施した。回答した認知症専門医311人が1年間でレカネマブによる治療を行った患者数は3,259例であった。
主な結果は以下のとおり。
・初回診察から初回点滴までの待ち時間が3ヵ月以内であると回答した専門医の割合は79%であった。
・回答者の4分の1が、外来診療スペースおよび人員が逼迫しており、想定よりも治療能力が大幅に低いと回答した。
・安全性に関する懸念は限定的であり、アミロイド関連画像異常(ARIA)による中断は3.5%であった。
・回答者の半数以上が、点滴関連サービスへの追加的な診療報酬およびアポリポ蛋白E(APOE)遺伝子検査の保険適用を強く支持した。
著者らは「抗Aβ抗体薬への早期アクセスは実現可能であると考えられるものの、インフラ整備と財政面でのハードルが依然として高いことが明らかとなった」とし「日本において、抗Aβ抗体薬による認知症治療をより安全で、よりアクセスしやすく、持続的に行うためにも、APOE遺伝子検査の保険適用が不可欠である可能性が示唆された」としている。
(鷹野 敦夫)