日本語でわかる最新の海外医学論文|page:3

乳がんのsBRCA変異とgBRCA変異、生物学的特徴と治療反応が異なる/ESMO Open

 BRCA変異のうち、生殖細胞系列(g)BRCA変異は生物学的および臨床的な重要性が十分に確立されているが、体細胞(s)BRCA変異の意義については不明な点が多い。今回、横浜市立大学の押 正徳氏らが、日本全国のがんゲノム医療データベース(C-CAT)を用いて大規模な乳がんゲノム解析を実施した結果、sBRCAのみ変異ありは、gBRCAとsBRCAの両方変異ありより多くみられ、sBRCA変異はgBRCA変異の有無によって明確なゲノムパターンが示された。また、gBRCAのみ、変異ありがCDK4/6阻害薬の治療継続期間の短縮と関連していた。ESMO Open誌2026年7月23日号に掲載。

卵巣明細胞がんに対するPI3Kα阻害薬リソバリシブ発売/大鵬薬品

 大鵬薬品は、PI3Kα阻害薬リソバリシブ(商品名:ハイツエキシン)が、2026年7月15日に薬価収載され、同月28日に日本国内で発売を開始したと発表した。  同薬は、中国・Haihe Biopharmaの子会社である海和製薬が、2026年3月に「がん化学療法後に増悪したPIK3CA遺伝子変異を有する卵巣明細胞癌」の効能又は効果で、日本国内での製造販売承認を取得。大鵬薬品は、Haihe Biopharmaとの契約に基づき、同薬の日本国内においての販売および情報提供活動を行う。  卵巣がんは世界で約32万件が新たに診断される(2022年)。日本における卵巣がんの症例数は1万6,590例(2023年の報告)で、明細胞がんはそのうち21.9%を占める。

臨床医が見落としやすい認知症のタイプは?

 認知症の早期かつ適切な診断(タイムリーな診断)は、治療計画や支援において重要とされるが、実臨床での過少診断(見落としや診断の遅れ)は頻繁に発生している。米国・Rush University Medical Center Rush Alzheimer's Disease CenterのYi Chen氏らの研究グループは、認知症コホートとメディケアの医療保険請求データ、および死後病理解剖データを結合した大規模解析を行った。その結果、アルツハイマー病(AD)やADと類似した臨床像を呈する辺縁系優位型加齢性TDP-43脳症(LATE-NC)の病理像を持つ患者は医療機関でタイムリーに認知症と診断されやすい一方、血管性病変や新皮質レビー小体(LB)病理を持つ患者は見落とされやすいことを明らかにした。Neurology誌2026年8月11日号に掲載。

PSAより正確?前立腺がん検出の新たな血液検査とは

 次世代の血液検査Stockholm3により、前立腺がんの中でも悪性度の高いがんを早期発見できる可能性があることを示した研究結果が、「Annals of Internal Medicine」に6月23日掲載された。この検査は、従来のPSA(前立腺特異抗原)検査よりも多くの臨床的に重要な前立腺がん(clinically significant prostate cancer;csPC)症例を検出した一方、不必要な追加検査を受ける男性の数を増やすことはなかったという。  論文の筆頭著者であるカロリンスカ研究所(スウェーデン)のThorgerdur Palsdottir氏は、「前立腺がん検診における最大の課題は、より多くのがんを見つけることではなく、本当に危険ながんを見極めることだ。

高齢者では認知機能低下が心血管疾患イベントに先行か

 高齢者では、認知機能低下が心血管疾患(CVD)イベントに先立って認められるという研究結果が、「JAMA Network Open」に4月20日掲載された。  モナシュ大学(オーストラリア)のSwarna Vishwanath氏らは、ネステッドケースコントロール研究において、CVDイベント発生前の高齢者における認知機能の推移を、CVDイベントがない対照群と比較した。データは、Aspirin in Reducing Events in the Elderly(ASPREE)ランダム化比較試験およびその延長観察研究(ASPREE-XT)から抽出した。対象は、CVDの病歴がない、オーストラリアおよび米国の地域在住高齢者(65歳以上)から成る前向きコホートであった。

多発性骨髄腫の維持療法、2年vs.無期限/NEJM

 新規に多発性骨髄腫と診断され、初回治療として自家造血幹細胞移植が非適応の標準リスクの患者における、導入療法後の維持療法の投与期間について、無期限投与は固定期間(2年間)投与と比較し全生存期間(OS)を有意に延長しなかった。米国・Mayo ClinicのShaji Kumar氏らが、無作為化第III相試験「ENDURANCE試験」の結果を報告した。現行治療では、レナリドミドによる維持療法は病勢進行までとされているが、最適な投与期間について明らかにされていなかった。NEJM誌2026年7月16日号掲載の報告。

がん患者の肺塞栓症診断、YEARSアルゴリズムは有効か?/JAMA

 がん患者における肺塞栓症(PE)の診断戦略について、YEARSアルゴリズムの使用はCT肺動脈造影(CTPA)のみ使用の場合と安全性は同等であることが、オランダ・ライデン大学医療センターのBram Akerboom氏らHydra Study Investigatorsが実施した研究者主導の無作為化非盲検非劣性試験「Hydra試験」の結果で示された。同試験において22%の患者がYEARSアルゴリズムの使用でCTPAの実施を回避できたことも示された。YEARSアルゴリズムは、急性PEを除外する安全かつ効率的な方法とされているが、がん患者における精度に関する確固たるエビデンスは不足しており、現行のガイドラインでは直接CTPAを行うことが推奨されている。JAMA誌オンライン版2026年7月12日号掲載の報告。

基礎インスリンで治療中の2型糖尿病患者における、cagrilintide/セマグルチド配合薬の追加治療の有効性と安全性(解説:田村嘉章氏)

cagrilintide(C)は長時間作用型アミリンアナログであり、満腹感の増加、食欲抑制効果により体重減少効果をもつ。また食後のグルカゴン分泌を抑制し血糖降下作用を示すと考えられている。CagriSemaは、CとGLP-1受容体作動薬セマグルチド(S)との配合薬であり、2型糖尿病患者への投与の効果をみたREDEFINE 2試験では、CagriSema投与群ではHbA1c、体重とも、S単独群より減少効果が大きいことが示されている1)。本研究(REIMAGINE 3)は、1日1回の基礎インスリン投与を行っている2型糖尿病患者に対し、CagriSemaをアドオン投与することによる有効性と安全性を評価するプラセボ対照二重盲検試験である。

高リスクIgA腎症へのエンドセリンA受容体拮抗薬の腎機能低下抑制効果?(解説:浦信行氏)

エンドセリンA受容体拮抗薬の蛋白尿改善効果はIgA腎症をはじめとして、慢性腎臓病(CKD)や巣状糸球体硬化症等で次々に報告されるようになった。本研究(ALIGN研究)は高リスクIgA腎症を対象とし、エンドセリンA受容体拮抗薬atrasentanが36週での尿蛋白を36.1%有意に減少させたとすでに報告しているが、今回は136週までの最終評価(Lancet誌2026年6月13日号)においても尿蛋白抑制効果に関しては有意であった。主要評価項目のeGFR減少抑制効果は残念ながらp=0.057と傾向にとどまり、後付けである追跡期間を除く132週ではp=0.039であった。

認知症リスクを考慮した帯状疱疹ワクチン、最適なタイミングは

 これまでの観察研究において、帯状疱疹ワクチン接種と認知症との間に予防的な関連があることが報告されている。しかし、これらの研究には方法論的な限界がある、あるいは米国では現在利用できない生ワクチンが対象となっていた。米国・Brown UniversityのKaleen N. Hayes氏らは、亜急性期ケアまたは長期ケアを目的として専門看護施設に最近入所した高齢者を対象に、入所後12ヵ月以内または退所後の遺伝子組み換え帯状疱疹ワクチン接種(RZV)と認知症との関連を推定するため、本研究を実施した。Annals of Internal Medicine誌7月号の報告。

飲酒中のチェイサーは二日酔いの症状を軽減しない/大分大

 多量の飲酒のあとに起こるいわゆる「二日酔い」を一度は経験したことがある人は多いはず。二日酔いでは、頭痛や倦怠感などの身体症状だけでなく、自動車の運転や就業中の判断力に影響を及ぼすことはよく知られている。症状の軽減策としては、飲酒中の水(いわゆる「チェイサー」)の摂取が知られているが、その効果はどのくらいあるのだろう。このテーマに関して、大分大学の今井 浩光氏(大分大学医学部医学生物学講座および医療倫理学講座 教授)らの研究グループは、チェイサーが体内のエタノールおよびアセトアルデヒドの動態に影響を与えるかどうか、また、翌日の精神運動機能検査や自覚症状において二日酔いの症状を軽減するかどうかを検討した。

脂肪肝は大腸がんの予後不良な肝転移を促進する?

 脂肪性肝疾患(脂肪肝)を有する大腸がん患者では、予後不良なタイプの肝転移が発生しやすいことが、新たな研究で示唆された。研究グループは、「この研究は、がんの進展が、腫瘍細胞そのものだけでなく、脂肪肝に伴う代謝環境の変化による影響も受ける可能性を示したものであり、患者の代謝状態に合わせた個別化治療の開発につながる可能性がある」との見解を示している。VIB-KU Leuven Center for Cancer Biology(ベルギー)のSarah-Maria Fendt氏らによるこの研究の詳細は、7月1日付で「Nature」に掲載された。

重症外傷患者へのビタミンC投与は死亡や敗血症リスクの低下と関連

 重症外傷患者に高用量のビタミンCを静脈内(IV)投与することで、死亡リスクや敗血症リスクが低下する可能性がある――新たなエビデンスレビューでこのような結果が示された。さらに、ビタミンCのIV投与によって集中治療室(ICU)在室日数や入院日数が短縮する可能性も示唆されたという。英NHS Academic Department of Military Trauma & OrthopedicsのNandesh Patel氏らによるこの研究結果は、6月30日付で「BMJ Military Health」に掲載された。研究グループは、「今回のレビューは、外傷患者の治療においてビタミンCのIV投与が果たす潜在的な役割を支持する、限定的ではあるが肯定的なエビデンスを示している」と記している。

セマグルチド使用拡大で誤使用による相談が急増

 米国では、GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)のセマグルチドが肥満症治療薬として承認されて以降、中毒情報センターへの電話相談が急増しているという実態が報告された。その多くは、投与量を間違えてしまったという相談だという。米テキサス大学サンアントニオ校のJordan Miller氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of Medical Toxicology」4月号に掲載された。  GLP-1RAは当初、2型糖尿病(T2DM)の治療薬として上市されたが、米国では2021年に肥満症治療薬としても承認され、それを機に処方が拡大した。特に、週1回皮下注射するタイプのセマグルチドが承認された後に、より顕著な増加が生じた。

高齢入院患者の睡眠薬継続使用、院内転倒リスク上昇と関連

 高齢入院患者の転倒は、骨折や身体機能の低下につながり得るため、医療現場で重要な課題となっている。日本の急性期病院に入院した高齢患者6万人超を対象とした研究で、睡眠薬の継続使用は院内転倒リスクの上昇と関連することが示された。一方、ベンゾジアゼピン系・Z薬とオレキシン受容体拮抗薬/ラメルテオンとの間で、転倒リスクに有意な差は認められなかった。研究は、日本医科大学医療管理学の西野拓也氏らによるもので、詳細は6月8日付の「PLoS One」に掲載された。

早期アルツハイマー病、OGA阻害薬ceperognastatの有用性/JAMA

 O-結合型N-アセチルグルコサミニダーゼ(OGA)阻害薬のceperognastatは、早期症候性アルツハイマー病(AD)の疾患進行抑制効果が認められなかった。米国・Eli Lilly and CompanyのAdam S. Fleisher氏らが、日本を含む5ヵ国72施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照第II相試験「PROSPECT-ALZ試験」の結果を報告した。OGAを阻害することで、過リン酸化タウの蓄積や神経原線維変化の形成を抑制できることが示唆されていたことから、開発が行われていた。JAMA誌オンライン版2026年7月13日号掲載の報告。

閉経前女性のホルモン避妊薬使用、大腸がんと関連なし/BMJ

 現代のホルモン避妊薬の現在または最近の使用は、大腸がん発症リスクに影響を及ぼさなかったことを、デンマーク・Danish Cancer InstituteのIsabella H. Lange氏らが、同国レジストリーを用いたコホート研究の結果で報告した。ホルモン避妊薬は、卵巣がんや子宮内膜がんのリスクを低減させる一方、乳がんのリスクを高めることが知られている。しかしながら大腸がんとの関連については依然として限定的で一貫性がなく、とくに現代のホルモン避妊薬(新規プロゲスチン、プロゲスチン単剤、非経口製剤を含む)が大腸がんのリスクに与える影響は明らかにされていなかった。

敗血症性ショック早期蘇生における輸液量と昇圧薬のタイミング(解説:寺田教彦氏)

2001年にRiversらがearly goal-directed therapy(EGDT)による死亡率低下を報告して以降、早期輸液を含むプロトコール化された蘇生が広く普及した。一方、その後の観察研究では、正の水分出納と死亡との関連が指摘され、輸液過剰への懸念が高まった。2023年のCLOVERS試験では、1~3Lの輸液を受けた敗血症性低血圧患者において、輸液を制限して昇圧薬を優先する方針と、輸液を優先する方針との間で主要転帰に有意差を認めなかった。また、本研究が公表される前の2026年3月に発表されたSurviving Sepsis Campaign(SSC)2026は、敗血症による低灌流または敗血症性ショックに対して、最初の3時間に少なくとも30mL/kgの晶質液を投与することを条件付きで推奨しているが、エビデンスの確実性は低いとしている。

高用量ビタミンDでがん治療関連皮膚障害が改善する可能性

 化学療法や放射線療法に伴う皮膚障害は、疼痛や灼熱感、紅斑などによって患者のQOLを大きく低下させるだけでなく、抗がん治療の減量や中断の原因となる。今回、高用量ビタミンD内服により、化学療法・放射線療法関連皮膚障害が改善する可能性が示された。イリノイ大学(米国)のMihir K. Patil氏らによる本研究結果は、JAMA Dermatology誌オンライン版2026年7月15日号に掲載された。  本研究は2021年12月~2024年1月に米国の3つの医療機関で実施された後ろ向きケースシリーズだった。対象は化学療法誘発性紅斑(toxic erythema of chemotherapy:TEC)または急性放射線皮膚炎(acute radiation dermatitis:ARD)に対して高用量ビタミンDを投与され、10日間以上の追跡が可能であった33例だった。

統合失調症と自閉スペクトラム症に共通する6つのポイント

 歴史的に、統合失調症と自閉スペクトラム症(ASD)は、一方は精神疾患、もう一方は神経発達障害として、それぞれ異なる疾患に分類されてきた。しかし近年の研究では、これら2つの疾患の間には、重複している部分が多い可能性が示唆されている。サウジアラビア・Northern Border UniversityのNahi Sabih Alruwaili氏らは、両疾患の類似点を示す疾患発症に関与する生物学的メカニズムについてのレビューを行った。Progress in Neuro-psychopharmacology & Biological Psychiatry誌オンライン版2026年6月11日号の報告。