日本語でわかる最新の海外医学論文|page:3

PPIやNSAIDsの併用、ICIの有効性に影響せず

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)治療中、プロトンポンプ阻害薬(PPI)、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの一般的な併用薬が治療効果に影響するとの報告があるが、その因果関係には議論がある。米国・ミシガン大学のDaria Brinzevich氏らは、米国退役軍人保健局(VHA)の全国データベースを用い、非小細胞肺がん(NSCLC)患者における一般的併用薬とICI治療成績の関連を検証した。Cancer誌オンライン版2025年12月15日号掲載の報告。  2005~23年に治療を受けたStageⅣのNSCLC患者のうち、1次または2次治療でICI(n=3,739)または化学療法(n=6,585)を受けた患者を対象とした。

オキシブチニンが前立腺がんのホットフラッシュを大幅に軽減

 過活動膀胱の治療に使われる薬であるオキシブチニン塩酸塩(以下、オキシブチニン)が、前立腺がんのホルモン療法であるアンドロゲン除去療法(ADT)を受けている男性のほてり(ホットフラッシュ)軽減にも有効であることが、ランダム化比較試験で示された。オキシブチニン(5mg、2.5mg)群ではプラセボ群と比較して、1日当たりのホットフラッシュの回数が有意に減少し、症状による生活への支障度も有意に改善したという。米メイヨー・クリニックの放射線腫瘍科医であるBradley Stish氏らによるこの研究結果は、「Journal of Clinical Oncology」に1月26日掲載された。Stish氏は、「これらの結果は、この困難で見過ごされがちな前立腺がん治療の副作用を管理する上で、オキシブチニンが有効な選択肢であることを強く支持するものだ」と話している。

寿命の半分以上は遺伝で決まる?

 長生きするためには、健康的な食生活を送り、適度に運動を行い、悪い習慣を避けることが基本だと言われている。しかし、遺伝の影響(遺伝率)はそれ以上に重要かもしれない。新たな研究で、寿命の約55%は遺伝によって説明される可能性が示された。これは、これまでの推定(6〜33%)を大きく上回る数字だ。ワイツマン科学研究所(イスラエル)のBen Shenhar氏らによるこの大規模研究の詳細は、「Science」に1月29日掲載された。  これまで推定された寿命の遺伝率は20~25%程度と推定されており、なかには6%と見積もられたこともあった。

高齢者の術後せん妄の予防に有効な薬物療法とは/BMJ

 術後せん妄の予防に鎮静薬デクスメデトミジンが有効であり、エビデンスの質は高くないもののコルチコステロイド、メラトニン受容体作動薬、parecoxib、経鼻インスリン、オランザピンにも潜在的な有益性があることが、英国・オックスフォード大学のMatthew Luney氏らの検討で示された。手術後に急激な意識障害や注意力の低下を来す術後せん妄は、認知症発症のリスクを高めるだけでなく、多大な医療コストの要因ともなっており、高齢化社会における重大な課題とされるが、有効な薬物療法は確立されていない。BMJ誌2026年2月12日号掲載の報告。

膀胱がんへの周術期EV+ペムブロリズマブ、EFS・OS改善(KEYNOTE-905/EV-303)/NEJM

 筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)でシスプラチンベース化学療法適応外の患者において、エンホルツマブ ベドチン(ネクチン-4を標的とする抗体薬物複合体)+ペムブロリズマブ(抗PD-1抗体)併用療法による周術期治療は、手術単独と比較して2年時の無イベント生存率(EFS)が有意に優れ、全生存率(OS)も改善することが示された。ベルギー・Integrated Cancer Center GhentのChristof Vulsteke氏らKEYNOTE-905/EV-303 Investigatorsが、「KEYNOTE-905/EV-303試験」の結果を報告した。MIBCの標準治療は、シスプラチンベースの術前化学療法と骨盤リンパ節郭清+根治的膀胱全摘除術であるが、ほぼ半数の患者が腎機能障害、高齢、併存疾患などの理由で適応外となり、手術単独による治療を受ける。これらの患者は、術前・術後の周術期治療により、アウトカムの改善の可能性が示唆されていた。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2026年2月18日号に掲載された。

tenecteplaseは標準治療より脳底動脈閉塞症に有効か?(解説:内山真一郎氏)

TRACE-5試験は、中国で行われた、発症後24時間以内の脳底動脈閉塞症に対するtenecteplase静注療法と標準的治療を比較したPROBEデザインによる無作為化試験である。結果は、90日後に転帰良好例(改訂ランキンスケールスコア0または1)がtenecteplase群で対照群より有意に多く、頭蓋内出血例と死亡例は同等であった。この効果は、TRACE-3試験で示された、血栓回収療法を受けていない前方循環系の大血管閉塞例に対する効果に匹敵した。本試験結果は、tenecteplase静注療法は、発症後24時間以内という広い治療可能時間枠の脳底動脈閉塞症に対して、特別な画像検査を用いたミスマッチによる患者選択の必要なしに、血栓回収療法との併用効果が期待できることを示唆している。ただし、オープンラベルの試験であったこと、重症例(pc-ASPECT 6点未満)は含まれなかったこと、症例は中国人のみであったことに限界があり、プラセボ対照試験の実施、より重症例での検討、他の人種への全般化が今後の課題である。

コーヒーは片頭痛のリスク因子か?

 コーヒー摂取と頭痛との関連性については、依然として議論が続いている。カフェインは、鎮痛作用と血管収縮作用を有しているが、過剰摂取は頭痛の有病率上昇と関連しているといわれている。台湾・高雄医学大学のPin-Rong Chen氏らは、台湾の大規模コホートにおいて、コーヒー摂取と頭痛の関連性を調査するため、横断研究を実施した。International Journal of Medical Sciences誌2026年1月1日号の報告。  台湾バイオバンクより30〜70歳の2万7,109例の参加者からデータを取得した。頭痛の状態とコーヒー摂取パターン(種類、頻度、1日当たりの摂取量など)は、構造化質問票を用いて評価した。関連性の評価には、多変量ロジスティック回帰モデルを用いた。

タケノコが血糖管理などの健康維持に役立つ可能性

 タケノコが血糖コントロールをサポートするように働く可能性のあることが報告された。英アングリア・ラスキン大学のLee Smith氏らの研究によるもので、血糖コントロールのほかにも、タケノコには炎症抑制や消化促進、抗酸化作用などの働きがあるという。この研究結果の詳細は「Advances in Bamboo Science」2025年11月発行号に掲載されるとともに、1月14日に同大学からニュースリリースが発行された。  竹は地球上で最も成長の速い植物と考えられていて、種類によっては1日で3フィート(約90cm)近く成長することもある。その豊富さや軽さなどのため、建築や家具製造などに広く用いられている。さらにアジア諸国では、竹の芽(ごく若い竹の茎)であるタケノコが食されていて、一部の地域では食卓に欠かせない食材となっている。

早朝シフトワーカーの覚醒状態の維持に覚醒促進薬が効果

 覚醒促進薬のsolriamfetol(商品名Sunosi)が、早朝シフトワーカーにとって、目覚めの1杯のコーヒーの代わりになる可能性を示した臨床試験の結果が報告された。同試験の対象となった早朝シフトワーカーのうち、solriamfetolを使用した人は、プラセボを使用した人と比べて眠気が少なく、より覚醒した状態を維持していたという。米マス・ジェネラル・ブリガム睡眠・サーカディアン医学部門長のCharles Czeisler氏らが実施したこの臨床試験の詳細は、「NEJM Evidence」に1月27日掲載された。  Czeisler氏は、「今回認められた改善は、臨床的に意義のあるものだった。solriamfetolを使用した労働者は、8時間の勤務時間を通じて覚醒した状態で注意力を保つことができていた。

アセトアミノフェンの乳児への処方は安全

 乳児期にアセトアミノフェン(パラセタモール)を使うと、湿疹や喘鳴のリスクが上昇することが、これまでの観察研究で報告されている。こうした中、新たな臨床試験により、アセトアミノフェンとイブプロフェンはいずれも、生後1年以内の乳児にも安全に使えることが示された。これらの市販の鎮痛薬と湿疹や細気管支炎との間に関連は認められなかったという。オークランド大学(ニュージーランド)のStuart Dalziel氏らによるこの研究の詳細は、「The Lancet Child & Adolescent Health」に1月27日掲載された。  アセトアミノフェンと非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は主要な鎮痛薬の一部であり、世界中で小児の発熱や痛みに対して最も頻繁に処方され、市販薬としても広く購入されている。NSAIDsは強い抗炎症作用を持つが胃腸障害を起こしやすい。イブプロフェンはNSAIDsの一種である。

ペムブロリズマブの術前投与が線維形成性黒色腫の生存率を改善

 すでに米食品医薬品局(FDA)に承認されている免疫療法薬のペムブロリズマブが、悪性黒色種(メラノーマ)の亜型の一つである線維形成性黒色腫を劇的に縮小させ、場合によっては完全に消失させることが、第2相臨床試験で示された。線維形成性黒色腫は悪性黒色腫全体の4%を占めるに過ぎないが、組織の奥深くまで成長し、神経に沿って広がることもあるため、手術が難しく、患部の変形リスクがあることが指摘されている。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)ジョンソン総合がんセンター腫瘍免疫学プログラム所長のAntoni Ribas氏らによるこの研究結果は、「Nature Cancer」に1月29日掲載された。  抗PD-1抗体のペムブロリズマブは、がん細胞が免疫系からの攻撃を回避するメカニズムを阻害することで作用する。

PCOS、体外受精前のビタミンD補充で出生率は向上せず/BMJ

 体外受精を予定している多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)患者において、ビタミンD補充(4,000 IU/日)の最長90日間の継続は、プラセボと比較して血清中25-ヒドロキシ(OH)ビタミンD濃度(25-OHD)を上昇させるものの、初回胚移植後の出生率は改善しなかった。中国・浙江大学のKai-Lun Hu氏らVitD-PCOS trial groupが、同国の不妊治療センター24施設において実施した無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験の結果を報告した。観察研究では、PCOSの女性におけるビタミンD欠乏と生殖アウトカム不良との関連が一貫して示されており、先行研究でビタミンD補充が体外受精に有益な効果をもたらす可能性があることが小規模な検出力不足の臨床試験において示唆されていた。今回の結果は、体外受精を受けるPCOSの女性における補助療法としてのビタミンD補充の日常的な使用に疑問を投げ掛けるものである。BMJ誌2026年2月17日号掲載の報告。

CAR-T liso-cel、再発・難治性辺縁帯リンパ腫に有効/Lancet

 再発または難治性の辺縁帯リンパ腫(MZL)患者において、CD19を標的とするCAR-T細胞療法リソカブタゲン マラルユーセル(liso-cel、商品名:ブレヤンジ)は持続的な高い奏効率を示し、安全性プロファイルは管理可能であり、新たな安全性シグナルは認められなかった。米国・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのM. Lia Palomba氏らが、米国、カナダ、欧州、日本の30施設で実施した国際共同第II相試験「TRANSCEND FL試験」におけるMZLコホートの主要解析結果を報告した。再発または難治性のMZLに対する持続的で深い奏効を示す有効な治療法は、いまだ確立されていない。著者は、「今回の結果は、再発または難治性MZLに対する新たな治療選択肢としてリソカブタゲン マラルユーセルを支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2026年2月12日号掲載の報告。

日本発、期待の新薬をどう使うか?(解説:岡慎一氏)

islatravirは、世界初のエイズ治療薬AZTを開発した満屋 裕明博士が開発した日本発の新薬である。満屋氏は、これまでにも数多くの抗HIV薬を世に送り出し、抗HIV薬創薬の世界的権威であるが、その満屋氏が「この薬剤はすごい!」と話している。どうすごいかというと、とにかく試験管内での抗HIV効果がきわめて強いことと、細胞毒性が見られないらしい。要するに、「よく効いて安全である」ということになる。本臨床試験であるが、現在の非常に強力な3剤併用療法と、ドラビリンとの2剤の合剤1日1回服用を無作為割り付けで比較し、非劣性が証明されている。

乳がん診断後の飲酒、予後との関係~メタ解析

 飲酒は乳がん罹患率に影響を及ぼすと考えられる一方で、乳がん診断後の予後との関連については十分に確立されていない。イタリア・University of GenovaのLuca Arecco氏らによる、約250万例を対象としたシステマティックレビューおよびメタ解析の結果、飲酒は用量依存的な乳がんリスク増加と関連していた一方で、乳がん診断歴を有する患者においては飲酒と予後悪化の間に関連はみられなかった。Breast誌オンライン版2026年2月5日号に掲載の報告。

米国「食事ガイドライン」改訂――初の超加工食品制限に評価も、専門家から批判も相次ぐ

 米国の「食事ガイドライン(Dietary Guidelines for Americans:DGA)」は、学校給食などをはじめとした国民の栄養摂取の指針となるもので、米国農務省(USDA)と米国保健福祉省(HHS)が5年ごとに改訂している。2026年1月7日に最新版(2025~2030年版)が発表され、大きな内容変更が話題となっている。  改訂版の中心となるメッセージは、「Eat real food(本物の食物を食べよう)」で、全体を通じて「ホールフード」(加工されていない/加工が最小限の食品、全粒粉穀物など)の摂取が推奨されている。従来のDGAは、基本的に塩分や糖分といった1日の栄養目標値の範囲内であれば、あらゆる食品の選択肢が許容されるものとしてきたが、この方針を大きく転換した。

現在の認知症診断、その費用対効果は?

 アルツハイマー病および認知症は、世界において臨床的および経済的に大きな負担となっている。早期診断や介入は、疾患の進行を遅らせる可能性がある。現在の診断ガイドラインでは、臨床評価と併せて画像診断およびバイオマーカー分析を検討することが推奨されている。しかし、医療資源は限られているため、資源配分の指針として診断技術の費用対効果を検証する必要がある。カナダ・Western UniversityのMunira Kashem氏らは、アルツハイマー病または認知症の診断および/または進行フォローアップのための神経画像診断、バイオマーカー、その他の診断、スクリーニング戦略に関する経済評価研究をシステマティックにレビューした。Alzheimer's Research & Therapy誌2026年1月23日号の報告。

飲酒と大腸がん、リスクの高い頻度と量は?

 飲酒は大腸がんリスクの上昇と関連していることが示されているが、生涯飲酒に関する研究は限られている。米国国立がん研究所のCaitlin P. O'Connell氏らは、生涯飲酒と大腸腺腫および大腸がんの発症との関連性を推定することを目的とした研究を行った。Cancer誌2026年2月1日号掲載の報告。  前立腺がん、肺がん、大腸がん、卵巣がん検診の効果を評価するPLCO試験に参加した米国成人を対象とした。参加者はビール、ワイン、蒸留酒の摂取頻度について、4つの事前定義された年齢層(18~24歳、25~39歳、40~54歳、55歳以上)ごとに、10段階の頻度カテゴリー(飲酒経験なし~1日6杯以上)を用いて回答した。また、過去1年間のビール・ワイン・蒸留酒摂取量も報告した。参加者を「非飲酒者」「元飲酒者」「現飲酒者」に分類し、生涯平均飲酒量(週1杯未満、1~7杯未満、7~14杯未満、14杯以上)でも分類した。

夜型の生活習慣は心臓の健康に悪影響

 夜更かしの習慣は、心臓の健康に悪影響を与えているかもしれない。クロノタイプが夜型の中高年は、朝型でも夜型でもない中間型の中高年と比較して、心臓の健康状態が悪い傾向にあることが、新たな研究で示された。この研究を主導した米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院内科部門のSina Kianersi氏は、「夜型の人は、食事の質が低かったり、喫煙したり、睡眠が不足していたり不規則だったりと、心血管の健康に影響を及ぼす行動を取りがちな可能性がある」と述べている。この研究結果は、「Journal of the American Heart Association」に1月28日掲載された。  研究グループによると、夜型の人は体内時計とも呼ばれる概日リズムが乱れることが多く、それが健康的な行動や心代謝機能に悪影響を及ぼす可能性が考えられるという。

枕の高さが緑内障患者の夜間眼圧に影響か

 就寝時の簡単な工夫が、緑内障の進行を遅らせるのに役立つかもしれない。新たな研究で、枕を使わずに寝ることで眼圧を下げられる可能性のあることが示された。緑内障では、眼圧の上昇によって視神経が損傷し、不可逆的な視力低下につながる恐れがある。研究では、枕を二つ重ねて使った患者の3分の2で、眼圧の上昇が確認されたという。浙江大学(中国)医学院附属第二病院眼科センターのKaijun Wang氏らによるこの研究結果は、「British Journal of Ophthalmology」に1月27日掲載された。研究グループは、「緑内障患者にとって、枕を使わずに寝ることは、薬物治療やレーザー治療に移行する前に試せる手軽な対策になり得る」と述べている。