日本語でわかる最新の海外医学論文|page:3

小細胞肺がん脳転移例の2次治療、タルラタマブがCNS進行リスクを低下(DeLLphi-304)/ASCO2026

 小細胞肺がん(SCLC)では脳転移を来す患者が多く、脳転移を有する患者の予後は不良である。しかし、脳転移を有するSCLCの2次治療において、タルラタマブが良好な治療成績を示す可能性がある。プラチナ製剤を含む化学療法後に進行したSCLC患者を対象とした国際共同第III相試験「DeLLphi-304試験」1)において、ベースライン時に脳転移を有する患者のpost-hoc解析が実施された。その結果、タルラタマブは化学療法と比較して、中枢神経系無増悪生存期間(CNS PFS)を延長し、全生存期間(OS)も改善した。本研究結果は、米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)において、Giannis S. Mountzios氏(ギリシャ・Henry Dunant Hospital Center)によって報告された。

パーキンソン病患者を支援する遠隔診療への期待/アボット

 アボットは、2025年7月に発売したパーキンソン病(PD)などの治療に使用される脳深部刺激療法(Deep Brain Stimulation:DBS)の治療機器、充電式脳深部刺激システム「Liberta RC DBSシステム」が、令和8年の診療報酬改定で「遠隔プログラミング」として新たに算定されたことに寄せ、都内でPDの診療に関するメディアセミナーを開催した。  DBSはジスキネジア(自分の意思に反する身体の動き)などにより日常生活に支障がある患者に対し、前胸部の皮下に植え込んだ刺激装置から脳深部に電気刺激を与えることで、異常な神経信号を中断し、運動症状の改善を図る治療法。DBSの認定医は脳神経外科医の約3%程度である一方で、遠方などの患者の通院負荷が課題とされていた。

統合失調症スペクトラム症に最適な抗精神病薬の投与量は?

 急性期の統合失調症スペクトラム症に対する最適な抗精神病薬の用量に関する研究が進められている。しかし、依然として不明点が多く残存している。ドイツ・ミュンヘン工科大学の古川 由己氏らは、急性期統合失調症における抗精神病薬の用量反応関係を明らかにするため、2段階アプローチよりも多くの情報を活用した1段階用量反応メタ解析を実施した。EClinicalMedicine誌2026年3月26日号の報告。  2025年1月13日までのCochrane Schizophrenia Groupレジストリーおよび2026年1月19日までのPubMedより、成人および小児・青年の急性期統合失調症患者を対象に、20種類の抗精神病薬を固定用量で検討した研究を検索した。

バージンオリーブオイルが脳に良い可能性とその理由

 バージンオリーブオイル(VOO)は、腸や脳に良い影響を及ぼす可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。一方、一般的により安価で販売されている精製オリーブオイルには、そのような効果が認められないという。ルビーラ・イ・ビルジーリ大学(スペイン)のJiaqi Ni氏らの研究によるもので、詳細は「Microbiome」に1月24日掲載された。論文の筆頭著者である同氏は、「全てのオリーブオイルが認知機能に良い影響を与えるわけではない」と述べている。

開発中の塩基編集治療薬、単回投与でPCSK9およびLDL-Cを低下/NEJM

 LDLコレステロール(LDL-C)を管理する現行の治療モデルの限界を打ち破るために開発中のVERVE-102の第I相試験の結果が、米国・Verve Therapeutics(Eli Lillyの完全子会社)のScott B. Vafai氏らによって報告された。単回投与により、PCSK9およびLDL-C値が用量依存的に持続的かつ顕著に低下したことが示されたという。PCSK9機能喪失型変異を有する人は有さない人よりも、LDL-C値が低く、アテローム動脈硬化性心血管疾患を呈する人が少ないことが知られている。VERVE-102は、肝臓でのPCSK9産生を永続的に抑制するようデザインされた、体内で塩基編集を行う治療薬であり、アデニン塩基編集タンパク質をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)と、PCSK9を標的とするガイドRNA(gRNA)から構成され、これらがN-アセチルガラクトサミンを含む脂質ナノ粒子(LNP)に封入されている。NEJM誌オンライン版2026年5月25日号掲載の報告。

未治療MCLへのイブルチニブを含む1次治療±ASCT、長期解析結果(TRIANGLE)/Lancet

 18~65歳の未治療マントル細胞リンパ腫(MCL)患者において、標準的な免疫化学療法へイブルチニブを追加した治療に、自家造血幹細胞移植(ASCT)を追加する意義を検討した「TRIANGLE試験」の長期追跡評価(55ヵ月)の結果が、ドイツ・LMU University HospitalのMartin Dreyling氏らEuropean Mantle Cell Lymphoma Networkによって報告された。イブルチニブ追加療法群は治療成功生存期間(Failure Free Survival:FFS)のみならず全生存期間(OS)の改善との関連も示された。一方で、イブルチニブ追加療法+ASCT群ではASCT追加のベネフィットは示されず、毒性の増加が認められた。

つなぐべきか、つながざるべきか、それが問題だ(解説:山地杏平氏)

弁膜症の外科手術を行う際には、左主幹部病変であれば50%以上、その他の主要冠動脈であれば70%以上の狭窄を合併している場合、冠動脈バイパス術(CABG)を同時に施行することが推奨されます。また、中等度大動脈弁狭窄症など、本来であれば単独では手術適応とならない弁膜症であっても、CABGが必要な症例では同時手術が検討されることもあります。開胸するのであれば、冠血行再建も同時に行うという考え方はリーズナブルだと思います。とくに内胸動脈グラフトや、近年良好な成績が報告されている静脈グラフトを用いることで、将来的な冠動脈イベントの抑制が期待されます。

免疫療法の適応とならない転移TN乳がん1次治療のSG、PFS2と後治療までの期間(ASCENT-03)/ASCO2026

 ASCENT-03試験において、PD-(L)1阻害薬の適応とならない転移のあるトリプルネガティブ乳がん(TNBC)の1次治療で、サシツズマブ ゴビテカン(SG)が化学療法より無増悪生存期間(PFS)を改善したことがすでに報告されている。今回、PFS2と後治療までの期間を解析した結果、クロスオーバー率が高いにもかかわらずPFS2がSGで長く、最初と2番目の後治療までの期間がどちらもSG群で長かったことがわかった。米国・Dana-Farber Cancer InstituteのSara M. Tolaney氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)で発表した。

大腸がん術後患者の運動プログラム、費用対効果検証でも有益(CHALLENGE)/ASCO2026

 2025年の米国臨床腫瘍学会(ASCO 2025)で発表されたCHALLENGE試験は、大腸がん術後患者に対する構造化運動プログラムが生存期間を延長することを示し、NEJM誌に同時掲載されるなど大きな注目を集めた。  CHALLENGE試験では、StageIIIまたは高リスクStageIIの大腸腺がんで切除術を受け、術後補助化学療法を完了した患者を対象に、標準的な経過観察と健康教育資料の提供のみを受ける群、健康教育資料+3年間の構造化運動プログラム(structured exercise program:SEP)を受ける運動群に1対1の割合で割り付けた。

未治療尿路上皮がんへのEV+ペムブロリズマブ、3.5年の長期解析結果(EV-302/KEYNOTE-A39)/ASCO2026

 EV-302/KEYNOTE-A39試験の結果に基づき、エンホルツマブ ベドチン(EV)+ペムブロリズマブ併用療法は、未治療の局所進行または転移を有する尿路上皮がんに対する標準治療となっている。英国・Barts Cancer InstituteのThomas Powles氏は、米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)で、3.5年時点における同試験のフォローアップ解析結果を発表した。 ・対象:未治療の局所進行/転移を有する尿路上皮がん患者(GFR≧30mL/分、ECOG PS≦2)

小型NSCLC、複雑区域切除の治療成績は?(JCOG0802/WJOG4607L) /ASCO2026

 臨床病期IA期で最大腫瘍径2cm以下の肺野末梢小型非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、区域切除と肺葉切除を比較した無作為化非劣性検証試験「JCOG0802/WJOG4607L試験」のpost-hoc解析の結果、複雑区域切除は単純区域切除と同様に、肺葉切除と比較して全生存期間(OS)改善傾向を示し、呼吸機能の低下も小さかった。一方、局所領域再発リスクは肺葉切除より高かった。米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)において、上垣内 篤氏(広島大学病院 呼吸器外科)が結果を報告した。

高尿酸血症リスク、1日6~28gの大豆食品摂取で低下

 大豆食品の摂取と高尿酸血症の発症との関連を評価した、大規模前向きコホート研究の結果、大豆食品の摂取は高尿酸血症リスクと非線形的かつ逆相関の関係にあることが示された。1日当たり6~28gの大豆食品摂取で最も顕著なリスク低減効果が観察された。中国・Minhang District Center for Disease Control and PreventionのXiaoli Xu氏らによるNutrients誌2026年4月24日号掲載の報告。  本研究では、上海市郊外成人コホート・バイオバンク(SSACB)のベースラインおよび追跡調査データを用いて、食事と高尿酸血症発症率(男性:血清尿酸値420μmol/L以上、女性:360μmol/L以上)を評価した。29の食品カテゴリーからなる食物摂取頻度調査票(FFQ)を用いて、過去12ヵ月間の食品摂取量を定量化した。

統合失調症に対するブレクスピプラゾール2~4mgの有用性評価:メタ解析

 ブレクスピプラゾールは、統合失調症治療薬として承認された新規ドーパミンD2パーシャルアゴニストであり、D2、5-HT1A、5-HT2A受容体への作用バランスを取ることで、有効性と忍容性を向上させた薬剤である。パキスタン・イスラマバード大学のSher Bano氏らは、ブレクスピプラゾール2~4mg/日の有効性と安全性に関する最新のエビデンスを評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。PCN Reports誌2026年4月12日号の報告。  PubMed、ScienceDirect、Cochrane Libraryより、2011~25年に公表された研究を、特定のキーワードを用いて検索した。

FAST試験:迅速抗菌薬感受性試験は菌血症患者の予後を改善するのか(解説:小金丸 博氏)

グラム陰性菌菌血症に対する迅速抗菌薬感受性試験(迅速AST)の臨床的有用性を検証したランダム化比較試験がJAMA誌オンライン版2026年4月18日号に報告された。本研究の目的は、血液培養陽性後に迅速な表現型感受性試験を導入することで、患者予後が改善するかを明らかにする点にあった。従来の感受性試験では、菌の同定から感受性結果の判明まで通常1~2日を要する。一方、本研究で用いられた迅速ASTは、陽性血液培養ボトルから直接感受性を測定することで、より早期に抗菌薬選択を最適化することが期待できる。研究は薬剤耐性菌頻度の高いギリシャ、インド、イスラエル、スペインの7施設で実施された。約900例が登録され、迅速AST群と標準AST群に割り付けられた。

StageIAのHER2+乳がん、術後カペシタビン+トラスツズマブで5年iDFS率97.8%(IRIS-A)/ASCO2026

 StageIAのHER2陽性(HER2+)乳がんにおいて、カペシタビンとトラスツズマブによる術後療法により97.8%という優れた5年無浸潤疾患生存(iDFS)率が得られ、治療継続に影響を及ぼす有害事象は認められなかったことがIRIS-A試験で示された。中国・Fudan University Shanghai Cancer CenterのRuo-Xi Wang氏らが米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)で発表した。  IRIS試験シリーズは、早期HER2+乳がんにおける静脈内化学療法を行わない術後療法のde-escalationを検討する単群第II相試験として設計された4つの試験で、IRIS-A試験はカペシタビン6サイクルとトラスツズマブ1年間の併用を検討。

BRAF V600E変異転移大腸がんに対するEC+FOLFIRI、PFS・OSを改善(BREAKWATER)/ASCO2026

BRAF V600E変異陽性転移大腸がん(mCRC)は予後不良で知られ、従来の1次治療ではFOLFOX系またはFOLFIRI系±ベバシズマブが標準療法として用いられてきた。BREAKWATER試験では、BRAF阻害薬エンコラフェニブと抗EGFRモノクローナル抗体・セツキシマブの併用(EC)+mFOLFOX6が従来の標準療法と比較して、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、奏効率(ORR)を有意に改善したことが報告されている。  一方、実臨床ではオキサリプラチン不適応例に対してFOLFOX に替えてFOLFIRIを併用するレジメンも用いられていることから、BREAKWATER試験では同レジメンとEC+FOLFIRIを比較する「コホート3」が設定された。

麻しんの現状を解説/感染症クォータリーレポート

 ケアネットライブにて4半期に1回実施している感染症クォータリーレポート。6月3日に配信された2026年第2クォーターの報告を期間限定で無料公開する。  感染症クォータリーレポートでは感染症専門医である国立国際医療センター・国際感染症センターの石金 正裕氏が、世界の病原微生物の流行状況を4半期ごとにレポートしている。  第2クォーターでは麻しんを取り上げる。

ACC/AHA脂質異常症GLで格上げの石灰化スコア、30分の心臓ドックで評価/CVIC

 心臓画像診断を専門とする医療法人社団CVIC心臓画像クリニック飯田橋(以下、CVIC)は、30分で心血管リスクを可視化する新サービス「スピーディー心臓ドック」の提供を開始した。これは冠動脈石灰化スコア、大動脈石灰化スコア、心血管バイオマーカー検査を組み合わせたもので、非造影CTおよび血液検査によって行われる。この中に含まれる冠動脈石灰化スコアは、近年その重要性が明らかになっており、米国心臓病学会(ACC)と米国心臓協会(AHA)の合同委員会が関連学会とともに2026年3月に公開した『脂質異常症管理ガイドライン2026年版』1)において、推奨度が引き上げられた。

atypical EGFR変異NSCLC、アミバンタマブ+ラゼルチニブのOS中央値41ヵ月(CHRYSALIS-2)/ASCO2026

 非小細胞肺がん(NSCLC)におけるEGFR遺伝子変異の多くは、exon19欠失またはL858R変異などであるが、G719X、S768I、L861Qなどのatypical変異も一定割合で認められる。atypical EGFR遺伝子変異陽性進行NSCLCでは、既存のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)の効果が限定的であり、治療選択肢の拡充が求められている。そこで、atypical変異を有するNSCLC患者を対象に、アミバンタマブとラゼルチニブの併用療法を評価するCHRYSALIS-2試験コホートCにおいて、長期追跡が行われた。その結果、1次治療としてアミバンタマブ+ラゼルチニブによる治療を受けたatypical EGFR遺伝子変異陽性進行NSCLC患者において、全生存期間(OS)中央値は41.0ヵ月であった。Joel W. Neal氏(米国・スタンフォードがん研究所)が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)で報告した。

日本において軽度うつ病の初回受診時から抗うつ薬が処方される割合は?

 軽度うつ病に対する抗うつ薬の有効性については、依然として議論が続いている。ガイドラインでは、まず心理社会的介入を推奨しているが、実際の臨床現場では抗うつ薬が処方されることが少なくない。杏林大学の浦田 実氏らは、軽度うつ病患者の精神科初診時における抗うつ薬の処方パターンを調査し、処方決定に影響を与える症状関連因子を特定することを目的に、レトロスペクティブカルテレビュー研究を実施した。Pharmacopsychiatry誌オンライン版2026年4月8日号の報告。