日本語でわかる最新の海外医学論文|page:1

ショウガは片頭痛予防に有効?

 オーストラリア・Bond UniversityのTiffany Atkins氏らは、片頭痛の治療およびマネジメントにおけるショウガの有効性を明らかにするため、ランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。BMJ Evidence-Based Medicine誌オンライン版2026年8月14日号の報告。  ショウガの単独または補助療法の効果を、プラセボまたは通常の有効対照薬(バルプロ酸、アミトリプチリン、スマトリプタンなど)と比較したRCTを対象とした。2025年3月26日(2026年4月16日に更新)までに公表された研究をPubMed、Embase、CINAHL、PsycINFO、Epistemonikos、Cochrane CENTRALより検索した。採用された対象研究について、引用文献および被引用文献のフォローアップ調査(前方・後方検索)を実施した。2人の著者が独立して文献のスクリーニングとデータ抽出を行い、Cochrane Risk of Bias 2(ROB 2)ツールを用いてバイアスのリスクを評価した。主要評価項目には、治療後の頭痛重症度または疼痛スコア、治療後に疼痛消失または疼痛緩和が得られた患者の割合、片頭痛発作の頻度と持続時間、片頭痛に伴う症状を含めた。ランダム効果モデルを用いたメタ解析を実施し、Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation(GRADE)手法を用いてエビデンスの確実性を評価した。

乳がん術後放射線療法、左側と右側で虚血性心疾患リスクに差

 乳がん術後放射線療法の部位(左側vs.右側)と虚血性心疾患リスクとの関連を調査した後ろ向きコホート研究の結果、ベースライン時の心血管リスクが高い患者では、左側乳房への放射線療法(左側RT)は、右側乳房への放射線療法(右側RT)と比較して虚血性心疾患リスクの上昇と関連したことを、韓国・Ajou University School of MedicineのChung Seung Yeun氏らが示した。JAMA Network Open誌2026年9月2日号掲載の報告。  研究グループは、韓国国民健康保険公団のデータベースを用いて、全国規模の後ろ向きコホート研究を実施した。

高過ぎるテストステロン値は心房細動リスクを高める?

 「低テストステロン」は注目を集めている健康トピックであり、年齢を重ねた男性に対し、テストステロン(T)がまさに「若返りの泉」であるかのように宣伝されている。しかし、T値が高過ぎるのも、心臓の健康には良くないようだ。新たなレビューで、T値が低い男性と高い男性はいずれも、不整脈の一種である心房細動(AF)のリスクが高まる可能性が示唆された。米カンザスシティ退役軍人医療センターのRajat Barua氏らによるこのレビューは、9月1日付で「Journal of the Endocrine Society」に掲載された。

降圧薬、処方通りの服用で心血管リスクが低下

 高血圧の薬を処方通りに飲まなくても健康への影響はそれほどないと思っている人は、その考えを改めた方がよさそうだ。新たな研究で、降圧薬の服薬アドヒアランスが低いと、降圧効果が小さくなり、脳卒中や心筋梗塞などに対する予防効果も得られにくくなることが示された。英オックスフォード大学のQianqian Yang氏らによるこの研究結果は、欧州心臓病学会学術集会(ESC Congress 2026、8月28~31日、ドイツ・ミュンヘン)で発表された。  Yang氏はニュースリリースの中で、「今回の結果は、『薬は飲まなければ効かない』という言葉を裏付けるものだ。服薬アドヒアランスが低い患者では心血管系への恩恵がほとんど、あるいは全く得られなかったのに対し、服薬アドヒアランスが高い患者では血圧がより大きく低下し、心血管イベントも予防された」と述べている。

香り付きの清掃製品が室内空気汚染の原因に?

 掃除したばかりの部屋に漂う柑橘系や松、花の香りには、予想外のものが伴っている可能性がある。それは、目に見えない空気汚染である。新たな研究で、一般的な香り付きの製品か植物由来成分の製品かにかかわらず、清掃製品から放出される香料成分が室内の空気中のオゾンと反応してナノ粒子を形成することが示された。この粒子を吸い込むと、肺の奥深くまで到達する可能性があるという。米パデュー大学土木・建設工学分野のBrandon Boor氏らによるこの研究は、米国化学会主催の秋季国際会議(ACS Fall 2026、8月23~27日、米シカゴ)で発表された。研究グループは、曝露を減らすため、無香料の製品を選ぶことや使用中に換気扇を使うこと、洗浄中はオゾン発生装置を使用しないことを推奨している。

IBDの自己管理、「病気の捉え方」が鍵に

 炎症性腸疾患(IBD)患者では、疾患認識とセルフマネジメント行動との間に有意な負の関連が認められるという研究結果が、「Scientific Reports」に6月16日掲載された。  重慶医科大学附属第一医院(中国)のRonghua Wang氏らは、2023年6月~2025年6月に登録されたIBD患者326人を対象に、疾患認識とセルフマネジメント行動との関連における健康不安の媒介効果を検討した。  その結果、Brief Illness Perception Questionnaire(BIPQ)、Short Health Anxiety Inventory(SHAI)、IBD Self-Management Behavior Scaleの平均スコアは、それぞれ47.31、28.89、67.79であった。

専門医への紹介を要したせん妄、認知症・せん妄既往・大量飲酒が関連

 せん妄は、注意・意識・認知機能が急性に変化し、患者の安全や治療経過に影響する。今回、専門チームへの紹介を経て診断されたせん妄には、認知症、せん妄既往歴、大量飲酒が関連することが、2万人超の入院患者を対象とした研究で明らかになった。研究は、奈良県立医科大学附属病院精神医療センターの松田恵美氏、同大学健康管理センター・精神医学講座の山室和彦氏らによるもので、詳細は7月30日付の「PCN Reports」に掲載された。  せん妄は、入院中の合併症で、短期間に注意力や意識、認知機能の障害が生じ、高齢者や身体的に弱い患者に多い。

起きてすぐソーシャルメディアを使う人はうつ病リスクが高い!

 ソーシャルメディアの利用が急速に拡大し広く普及するにつれ、抑うつ症状との関連性が数多く報告されるようになっている。しかし、成人における起床直後のソーシャルメディア利用やソーシャルメディアの総利用時間が、抑うつ症状とどのような関連にあるかについては、ほとんど明らかになっていない。米国・オレゴン州立大学のHyosin Kim氏らは、米国の成人を対象とした全国規模のサンプルを用いて、ソーシャルメディアの利用と抑うつ症状との関連を検討した。Journal of Prevention誌オンライン版2026年7月28日号の報告。

B7-H3標的ADC risvutatug rezetecanが再発小細胞肺がんのOS延長(ARTEMIS-008)/WCLC2026

 プラチナ製剤を含む1次治療歴を有する再発小細胞肺がん(SCLC)に対し、B7-H3標的抗体薬物複合体(ADC)のrisvutatug rezetecan(Ris-Rez)が、標準治療の1つであるトポテカンと比較して統計学的に有意かつ臨床的に意義のある全生存期間(OS)の延長を示した。  第III相ARTEMIS-008試験の事前規定中間解析の結果が、Jie Wang氏(中国・National Cancer Center/National Clinical Research Center for Cancer/Cancer Hospital, Chinese Academy of Medical Sciences Peking Union Medical College)により、世界肺がん学会(WCLC2026)で発表された。

医療者で多い心血管リスク因子と管理状況は?/ESC2026

医療者は心血管予防の担い手である一方、自身の心血管リスク管理の実態は十分に明らかではない。そこでスイス・チューリッヒ大学のFlorian A. Wenzl氏らは、2025年8月29日~9月1日にスペイン・マドリードで開催されたEuropean Society of Cardiology ESC 2025(ESC2025、欧州心臓病学会)に参加した医療者の心血管リスク、治療状況、目標達成率などを評価した。その結果、医療者は一般集団より良好な心血管リスクプロファイルを示すものの、心血管疾患予防やガイドライン推奨薬物の使用に関しては大きなギャップがみられたことが明らかになった。本研究結果は2026年8月28~31日にドイツ・ミュンヘンで開催されたESC2026で発表され、European Heart Journal誌オンライン版2026年8月30日号に同時掲載された。

早期TNBCのMRD検出、tissue-free vs.tumor-informed ctDNAアッセイ/JAMA Oncol

 分子残存病変(MRD)検出は、再発リスクの層別化や術後療法の選択への応用が期待されている。しかし、これまでのエビデンスの多くは、腫瘍組織が必要なtumor-informedアッセイによるものであり、原発腫瘍のシーケンス解析が不要なtissue-free血中循環腫瘍DNA(ctDNA)アッセイの精度は十分に検証されていない。今回、英国・Royal Marsden HospitalのNiamh Cunningham氏が早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者におけるtissue-free ctDNAアッセイを評価した結果、ctDNAの検出は再発と強く関連し、再発までのリードタイムはmultivariant tumor-informedアッセイと同程度であったという。JAMA Oncology誌オンライン版2026年8月13日号に掲載。

脳深部刺激療法で外傷性脳損傷後の発話・嚥下機能が改善か

 脳に電極を植え込んで電気刺激を与える脳深部刺激療法(DBS)が、外傷性脳損傷(TBI)後の構音障害や嚥下障害の改善を促す可能性が、新たな研究で示された。このDBSは、脳深部の領域である運動視床に低周波の電気刺激を与えるもの。今回の小規模研究では、薬物治療抵抗性の左右非対称な本態性振戦の治療目的でDBS用電極の植え込みを受けた8人を対象に低周波のDBSを行ったところ、顔面筋および口腔咽頭筋の運動出力が増強したことが確認された。さらに、TBI後に重度の構音障害と中等度の嚥下障害を来した患者1人でも、発話や嚥下機能の改善が認められた。

アプリが認知症患者のアジテーションや攻撃性への対処を支援

 WeCareAdvisorと呼ばれるウェブベースのアプリを利用することで、介護者は薬に頼らずに認知症の家族によりうまく対処できる可能性が、新たな研究で示された。このアプリは、認知症患者に見られるアジテーションや攻撃性などの行動として現れる症状(以下、行動症状)に介護者が対処するための方法を提供する。アプリの使用により、こうした行動症状の頻度や重症度が有意に低下するわけではないものの、介護者がそれらの症状によって感じる苦痛は時間の経過とともに軽減し、ウェルビーイングも改善することが示されたという。米ドレクセル大学看護・医療専門職学部名誉学部長のLaura Gitlin氏らによるこの研究結果は、8月6日付で「Journal of the American Geriatrics Society」に報告された。

若年発症大腸がんリスクに関連する特性が明らかに

 人口統計学的特性、出生時の特性、および親の特性が若年発症大腸がん(early-onset colorectal cancer;EOCRC)のリスクと関連するという研究結果が、「Cancer」に6月22日掲載された。  米イェール大学公衆衛生大学院のSunny Siddique氏らは、1988~2021年に米カリフォルニア州で出生し、0~39歳でEOCRCと診断された1,221人と、出生年で頻度マッチングさせた対照6万1,050人を対象に、人口統計学的特性、出生時の特性、および親の特性とEOCRCリスクとの関連を検討した。

記憶するための写真撮影やスクリーンショットは逆効果?

 何かを覚えておくために写真やスクリーンショットを撮る行為は、その場では役に立つかもしれないが、長い目で見ると記憶に悪影響を及ぼす可能性がある。ある体験をしている最中に写真やスクリーンショットを撮ることは、その具体的な情報や出来事が記憶に残りにくくなることと関連しているとする研究が、8月3日付で「Memory & Cognition」に掲載された。論文の筆頭著者である米ニューヨーク州立大学ビンガムトン校心理学分野のSophia Fabrizio氏は、「それらの画像を、記憶を詳しく呼び起こすための手がかりとして積極的に見返さない限り、役に立つ可能性は低いだろう」とニュースリリースで述べている。

zenagamtide:アミリン受容体がもたらす新たな経口糖尿病治療薬の展望(解説:永井聡氏)

zenagamtideは、食欲を抑制するGLP-1受容体と、満腹感を促進するアミリン受容体の双方に作用する経口のペプチドデュアルアゴニストである。アミリンは、インスリンとともに膵β細胞から分泌されるホルモンであり、食欲中枢に作用して満腹感を促進する。アミリン受容体作動薬としてはcagrilintideが先行して開発されており、セマグルチドとの配合剤であるCagriSemaが、肥満症治療において最近良好な結果を報告している。次世代のGLP-1関連薬であるzenagamtideは、単一のペプチドでこれらと同等の効果を実現しつつ、2型糖尿病や肥満症に対する「経口薬」としても開発が進められている点が大きな特徴である。

イプタコパンがIgA腎症の適応追加/ノバルティス

 ノバルティス ファーマは2026年9月16日、経口補体B因子阻害薬イプタコパン(商品名:ファビハルタカプセル200mg)について、IgA腎症に対する効能又は効果の追加承認を取得したことを発表した。今回の承認により、本剤の効能又は効果は、発作性夜間ヘモグロビン尿症、C3腎症、IgA腎症となった。  今回の承認は、主に国際共同第III相試験(APPLAUSE-IgAN試験)の結果に基づく。本試験は、生検により確認されたIgA腎症患者477例(日本人28例を含む)を対象とし、イプタコパン(200mgを1日2回)またはプラセボを投与して最長24ヵ月間追跡した。イプタコパン群では24ヵ月で推定した年換算eGFR total slopeにおいて、プラセボ群と比較して統計学的に有意かつ臨床的に意義のある腎機能低下の抑制を示した。また、腎不全への進行リスクを43%低減し、2年間にわたり尿蛋白の持続的な減少を示した。

T-DXdおよびDato-DXd、転移乳がん患者への1次治療に承認取得/第一三共

 第一三共は2026年9月16日、抗HER2抗体薬物複合体(ADC)トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd、商品名:エンハーツ)および抗TROP-2 ADCダトポタマブ デルクステカン(Dato-DXd、商品名:ダトロウェイ)について、転移乳がん患者への1次治療に係る2つの製造販売承認事項一部変更承認を取得したと発表した。T-DXdはペルツズマブとの併用療法における「HER2陽性の手術不能又は再発乳癌」、Dato-DXdは「ホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」について、それぞれ一部変更承認を取得した。

何年禁煙すればアルツハイマー病リスクが元に戻るのか?

 喫煙は、アルツハイマー病の修正可能なリスク因子の1つである。しかし、禁煙後のアルツハイマー病リスク低下の経時的パターンについては依然として不明であった。韓国・慶熙大学のSeong-Ho Moon氏らは、大規模な全国コホートを用いて、継続的な禁煙期間に応じてアルツハイマー病リスクが低下するかどうかを調査した。Alzheimer's Research & Therapy誌オンライン版2026年6月29日号の報告。  2002~23年の韓国国民健康保険公団(NHIS)のデータベースを用いて、2年ごとの定期健康診断に基づき、長期間にわたり喫煙状況が安定していた成人140万3,636人を特定した。喫煙状況は「非喫煙者」「現在喫煙者」「継続的禁煙者」に分類し、禁煙期間は2年刻みで区分した(2年未満、2~3年、4~5年、6~7年、8年以上)。アルツハイマー病の発症は、NHISへの保険請求が2回以上行われた場合と定義した。人口統計学的因子、生活習慣因子、代謝因子を調整した後、Cox比例ハザードモデルを用いて調整ハザード比(aHR)と95%信頼区間(CI)を推定した。

アミバンタマブ皮下注、ラゼルチニブ併用で4週1回投与が可能に/J&J

Johnson & Johnson(日本における医療用医薬品事業の法人名:ヤンセンファーマ)は2026年9月16日、EGFRおよびMETを標的とする二重特異性抗体アミバンタマブの皮下注製剤「リブロファズ配合皮下注」について、ラゼルチニブとの併用時に4週に1回投与する用法・用量の追加承認を取得したことを発表した。あわせて、アミバンタマブ3,520mgを含有する「リブロファズ配合皮下注22mL」の製造販売承認も取得した(従来は1,600mg、10mL)。