日本語でわかる最新の海外医学論文|page:5

ビタミンA高値は喘息患者の良好な肺機能と関連

 ビタミンAは、喘息を有する人の肺機能の改善に役立つ可能性がある。ビタミンAおよびビタミンDの肺機能に対する影響を検討した新たな研究で、血液中のビタミンA濃度が高いことは、喘息を有する小児と成人の双方において良好な肺機能と関連することが示された。一方、ビタミンDについては、効果が見られたのは成人の喘息患者のみであった。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のMichael McGeachie氏らによるこの研究結果は、「Thorax」に6月30日掲載された。  ビタミンAおよびDは遺伝子発現を調節し、肺の発達に影響すると考えられている。喘息患者ではビタミンA欠乏症が多く見られ、これは気道の過敏性と関連していることが報告されている。

メラトニン、慢性筋骨格系疼痛に鎮痛効果の可能性

 メラトニンは、概日リズムを調節し、自然な入眠を促すホルモンで、米国では睡眠補助サプリメントとしても販売されているが、筋肉や関節の慢性的な疼痛にも有効かもしれない。新たな研究で、慢性的な筋骨格系(MSK)疼痛に対するメラトニンの鎮痛効果は、オピオイドやアスピリン、ナプロキセン、アセトアミノフェンなどの鎮痛薬と同程度である可能性が示唆された。シドニー大学(オーストラリア)のKangchao Wu氏らによるこの研究の詳細は、「Pain」に6月30日掲載された。  Wu氏は、「メラトニンを常備している家庭は少なくない上に、安価で安全性も確認されている。注目すべき点は、メラトニンが慢性疼痛の管理にも役立ち、よりリスクの高い薬剤への依存を減らす可能性を秘めている点である」と述べている。

心筋梗塞を経験した人は認知機能の低下が速い

 心筋梗塞の既往がある人は認知機能の低下が速く、認知機能障害へ進行するリスクも高いことを示すデータが報告された。心筋梗塞を経験していない人と比較して、認知機能障害に進行するリスクが、1年当たり約5%高いという。米オハイオ州立大学のMohamed Ridha氏らの研究によるもので、詳細は「Stroke」に5月14日掲載された。  この研究は、脳卒中リスクの地理的・人種的差異を検討する疫学研究(REGARDS)のデータを用いて行われた。追跡開始時点(ベースライン)で認知機能障害が記録されていた人や、解析に必要なデータのない人などを除外し、2万923人(年齢中央値63歳〔四分位範囲57~70〕、女性57.2%)を、中央値10.1年(四分位範囲7.0~12.1)追跡して、認知機能の低下速度と認知機能障害の発生リスクを心筋梗塞の既往の有無で比較した。

AF合併PCI患者の2剤抗血栓療法、1ヵ月vs.12ヵ月(OPTIMA-AF試験)/Lancet

 心房細動を合併した主に慢性冠症候群を有する患者において、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後に2剤併用抗血栓療法を1ヵ月行い、その後に直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)単剤療法を行った群は、2剤併用抗血栓療法を12ヵ月行った群と比較し、12ヵ月時の死亡または血栓塞栓性イベントに関して非劣性であることが示され、大出血または臨床的に問題となる非大出血(CRNM)は有意に減少した。大阪大学の外海 洋平氏らOPTIMA-AF Investigatorsが、国内75施設で実施した無作為化非盲検実薬対照並行群間試験「OPTIMA-AF試験」の結果を報告した。心房細動患者におけるPCI後の2剤併用抗血栓療法の至適期間は、依然として不明であった。

レカネマブで重度アルツハイマー病への進行は何年遅らせることができるか

 主要な臨床試験において、レカネマブなどによる抗アミロイド療法は、早期アルツハイマー病患者の臨床認知症評価尺度(CDR-SB)スコアの悪化を統計的に有意に遅らせることが示されている。CDR-SBにおける治療群間の差を「疾患進行の遅延期間」に換算することは、患者や介護者に対して臨床的な意義をより効果的に伝える一助となりうる。米国・CurtのTroy Williams氏らは、レカネマブの長期的な「疾患進行の遅延期間」を推定するため、本研究を実施した。Alzheimer's & Dementia誌2026年6月21日号の報告。

抗TROP-2 ADCはTROP-2発現レベルで効果が変わるか

 抗TROP-2抗体薬物複合体(ADC)は、転移乳がんの治療薬として有効性を示しているが、患者のTROP-2の発現レベルによって効果がどの程度異なるかは明らかではなかった。今回、イタリア・Istituto Nazionale Tumori, IRCCS Fondazione G. PascaleのRoberto Buonaiuto氏らのシステマティックレビューおよびメタ解析により、抗TROP-2 ADCは転移乳がんの無増悪生存期間(PFS)を有意に改善するが、その治療効果はTROP-2発現レベルが高い患者でより顕著であることが示された。Journal of the National Cancer Institute誌オンライン版2026年7月10日号掲載の報告。

アレルギーや喘息で、がんリスクは上がる?下がる?〜JPHC研究

 アレルギーや喘息に伴う過敏な免疫反応や慢性炎症が、がん発症に防御的に働くのか、あるいは促進するのかについては、依然として議論されている。今回、国立がん研究センターの平林 万葉氏らが、日本人の多目的コホート研究(JPHC Study)から得られたデータを用いて前向き観察研究を実施したところ、アレルギーや喘息の既往はがん全体のリスクとは関連しないものの、喫煙男性では大腸がん、非喫煙女性では子宮頸がんのリスク上昇と関連することが示された。Cancer Medicine誌2026年7月号に掲載。

日本の骨髄線維症患者における貧血および輸血依存の関係

日本の骨髄線維症(MF)患者において、貧血および輸血が罹患率、死亡率、医療費の増加と関連していることが後方視的コホート研究で示された。同研究結果はPLOS One誌(2026年5月8日付オンライン版)で発表された。 同研究は、日本の大規模診療データベース(Medical Data Vision)を使用し、MF患者全体およびJAK阻害薬治療を受けたサブグループにおける、治療パターン、輸血負担などを調査することを目的に実施された。対象は2015年4月1日~2022年6月30日に特定されたMF患者で、全体コホートは836例、そのうちJAK阻害薬投与サブグループは281例であった。

夏の理想的な水分補給は「4つのS」で/アボット

 糖尿病管理のための持続グルコース測定器「リブレ」や循環器疾患領域などの医療機器を全世界で開発・販売しているアボットは、夏の熱中症対策と高血糖リスクの関連について、都内でメディアセミナーを開催した。セミナーでは、「ペットボトル症候群」への警鐘と夏期の糖尿病患者への対応などが解説された。  「『理想的な水分補給』と血糖管理~夏の熱中症対策が“高血糖のリスク”になる?~」をテーマに、川名部 新氏(おばな内科クリニック 院長)が、夏期の脱水予防と血糖管理の重要性について講演した。

1時間ごとの5分間の運動休憩で気分改善、疲労感軽減

 1時間ごとに5分間の歩行休憩を挟むことで、気分が改善し疲労感が軽減するとともに、長時間の座位行動による健康への悪影響を和らげられる可能性が、米コロンビア大学医療センターのKeith Diaz氏らによる研究で示された。Diaz氏らは、「短時間の運動休憩は仕事の生産性を低下させるのではないかという懸念は、こうした取り組みの実施・普及を妨げる要因の一つとして指摘されてきた。しかし今回の研究結果は、そのような認識に反するものだった」と述べている。この研究の詳細は、「British Journal of Sports Medicine」に6月23日掲載された。

妊娠悪阻は有害妊娠転帰と関連

 妊娠悪阻(hyperemesis gravidarum;HG)は母子双方の合併症リスクを高める可能性があることが、新たな研究で示された。HGは、早産や在胎週数に比べて小さい児(SGA児)などの有害妊娠転帰や貧血のリスク増加と関連し、このリスク増加は、妊娠第2トリメスター(妊娠13週以上27週未満)にHGにより入院した女性で高かったという。米スタンフォード大学医学部疫学・公衆衛生分野のRebecca Gardner氏らによるこの研究結果は、「American Journal of Epidemiology」に6月16日掲載された。

人工関節置換術後のVTE予防、アスピリン単独は有用か?/NEJM

 股関節および膝関節の人工関節全置換術(THA/TKA)後の症候性静脈血栓塞栓症(VTE)の予防効果は、リバーロキサバン短期投与後のアスピリン切り替えと比較し、アスピリン単独投与でも非劣性であることが示された。出血イベントも臨床的に意味のある差はなかった。カナダ・ダルハウジー大学のSudeep Shivakumar氏らEPCAT III Trial Investigatorsが、同国の15施設で実施した無作為化二重盲検比較試験「EPCAT III試験」の結果を報告した。THA/TKA後のVTE予防において、リバーロキサバン短期投与後のアスピリンへの切り替えは安全かつ有効であることがEPCAT II試験で認められたが、アスピリン単独投与の有用性については依然として不明であった。NEJM誌オンライン版2026年7月12日号掲載の報告。

既治療CLL/SLL、ピルトブルチニブ+VRでPFS改善(BRUIN CLL-322)/Lancet

 前治療歴のある慢性リンパ性白血病(CLL)患者において、非共有結合型BTK阻害薬ピルトブルチニブは、ベネトクラクス+リツキシマブ療法(VR)との併用により、VRと比較して無増悪生存期間(PFS)を有意に改善し、この効果は共有結合型BTK阻害薬の前治療歴のある患者においても一貫しており、新たな安全性シグナルは認められないことが示された。米国・ダナファーバーがん研究所のMatthew S. Davids氏らが、22ヵ国152施設で実施された無作為化非盲検実薬対照第III相試験「BRUIN CLL-322試験」の結果を報告した。Lancet誌オンライン版2026年7月9日号掲載の報告。

新ガイドラインで変わり始めたうつ病治療/塩野義

 2025年12月に『うつ病診療ガイドライン2025』が公表された1)。ゼロベースで全面的に改訂された本ガイドラインでは、エビデンスに基づく治療に加え、患者と医療者が治療方針を共に決める「SDM:Shared Decision Making(共有意思決定)」や、症状を定量的に評価しながら治療を進める「MBC:Measurement-Based Care(測定に基づく診療)」が重視された。  塩野義製薬は2026年7月1日に「新ガイドライン導入で変わり始めたうつ病治療 患者と医師が“一緒に考える”診療の最前線を解説」と題したプレスセミナーを開催した。加藤 正樹氏(関西医科大学 精神神経科学講座)が登壇し、うつ病診療の課題、『うつ病診療ガイドライン2025』の概要、新たに期待される薬剤について解説した。

PCI実施の急性冠症候群患者、LDL-C40未満でMACEリスク最小化/CVIT

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行した急性冠症候群(ACS)患者において、PCI後早期におけるLDL-C40 mg/dL未満の達成は、長期的な主要心血管イベント(MACE)リスクの最小化に直結し、慢性冠症候群(CCS)患者と比較してもはるかに大きな臨床的恩恵をもたらすことが明らかになった。本結果は片岡 有氏(国立循環器病研究センター 循環器内科)が2026年7月16~18日に開催された第34回日本心血管インターベンション治療学会のLate Breaking Clinical Trials 1にて発表し、JACC Asia誌オンライン版2026年7月17日号に同時掲載された。

双極症の躁状態における白質の構造変化が判明

 双極症は、躁状態とうつ状態のエピソードを繰り返すことを特徴とする重篤な精神疾患である。双極症の重要な側面の1つが「フェーズ・スイッチング」である。これは、気分状態が急速に切り替わる現象だが、その神経生物学的な機序についてはいまだ十分に解明されていない。近年、神経画像技術、とくに拡散テンソル画像(DTI)やトラクトグラフィーの進歩により、気分の変動に伴う白質の構造的変化に関する知見が得られるようになった。イタリア・ミラノ大学のGiuseppe Delvecchio氏らは、躁およびうつ状態の患者およびフェーズ・スイッチングの過程にある双極症患者を対象に、白質の変化を調査する統合的な拡散神経画像研究を実施した。Bipolar Disorders誌2026年8月号の報告。

不規則な食事時間が老化を早める!?

 国立長寿医療研究センターの木下 かほり氏らの研究グループは、地域在住高齢者を対象に、食事時間の不規則性と生物学的老化の潜在的バイオマーカーGrowth Differentiation Factor-15(GDF-15)との関連、およびそれに対する食事の質の媒介効果を評価した。その結果、食事時間が不規則な高齢者は、規則的な高齢者と比較して年齢が有意に若いにもかかわらず、血清GDF-15が高く、食事の質が低いことが明らかになった 。本研究結果は、European Geriatric Medicine誌2026年6月16日号オンライン版掲載の報告。

チルゼパチドvs.セマグルチド、日本における肥満症患者の体重減少効果は?(SURMOUNT-5サブ解析)

 日本における肥満症の薬物療法適応基準を満たす集団において、チルゼパチドはセマグルチドと比較して72週時点での体重変化率が有意に大きく、体重、BMI、腹囲のいずれにおいても減少幅が有意に大きいことが示された。千葉大学大学院医学研究院の北本 匠氏らによるこの研究成果は、Current Medical Research and Opinion誌2026年7月11日号に掲載された。  本研究は、国際共同試験であるSURMOUNT-5のサブ解析として実施された。日本における肥満症の薬物療法適応基準を満たす参加者(BMI 27~34.9、高血圧、脂質異常症のいずれかを有し、さらに肥満関連健康障害[ORHD]を2つ以上有する、またはBMI ≧35かつORHDを 1つ以上有する)を対象とした。

高用量DHAサプリ、認知機能低下の抑制効果示せず

 多くの米国人が、加齢に伴う認知機能の低下を防ぐことを期待して魚油のサプリメントを摂取している。魚油に含まれているオメガ3系不飽和脂肪酸のDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)は、中性脂肪の低下など健康へのさまざまな効果が報告されている。しかし、「EBioMedicine」に6月18日付で発表された最新の研究で、こうしたサプリメントには期待されるような認知機能向上効果はない可能性が示唆された。  論文の筆頭著者である米南カリフォルニア大学ケック医学部神経学分野のHussein Naji Yassine氏は、「誰もがアルツハイマー病予防の“特効薬”を望んでいる。

StageIV肺限局型NSCLCへの肺移植、1年OS率100%/JAMA

 内科的治療に抵抗性の病変が肺に限局したStageIVの非小細胞肺がん(NSCLC)で、呼吸不全を呈する患者において、内科的治療単独と比較して肺移植を受けた患者の早期生存成績は良好であることが、米国・ノースウェスタン大学のAnkit Bharat氏らによる前向き単施設レジストリ研究の結果で示された。移植群の推定1年全生存(OS)率は100%であったのに対し、内科的治療単独群は40.8%であった。著者は、「長期の追跡評価および生活の質(QOL)の評価が求められる」とまとめている。両肺移植は、肉眼的に確認できる病変をすべて切除可能であるが、肺がんについては過去の肺移植成績が不良であったことから適応にならないとされている。JAMA誌オンライン版2026年7月8日号掲載の報告。