母体HIVウイルス量、母子感染に与える影響は?/Lancet

米国・マサチューセッツ総合病院のCaitlin M. Dugdale氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析において、母体HIVウイルス量(mHVL)が50コピー/mL未満の場合、周産期感染は全体で0.2%以下であり、とくに妊娠前から抗レトロウイルス療法(ART)を受け出産直前にmHVLが50コピー/mL未満の女性では感染は認められなかったが、授乳期の感染リスクはきわめて低いもののゼロではなかったことを示した。持続的なウイルス学的抑制状態にある人からの性行為によるHIV感染リスクはゼロであることを支持するエビデンスは増加傾向にあり、「U=U(undetectable[検出不能]= untransmittable[感染不能])」として知られるが、これが垂直感染(母子感染)にも当てはまるかを判断するにはデータが不十分であった。著者は、「妊娠と出産におけるU=Uを支持する結果が示されたが、現在のデータは主に、頻回のmHVLモニタリングや最新の1次ARTレジメンを実施していない研究から得られたものであり、授乳中のU=Uを評価するには不十分である」とまとめている。Lancet誌オンライン版2025年7月10日号掲載の報告。