急性期脳梗塞、再灌流後のtenecteplase動脈内投与の有効性、安全性は?/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2025/07/22

 

 主幹動脈閉塞(LVO)を伴う急性期脳梗塞を呈し、最終健常確認時刻から4.5~24時間以内に血管内血栓除去術(EVT)を受け再灌流を達成した患者に対するtenecteplase動脈内投与は、症候性頭蓋内出血(sICH)または死亡のリスクを増加させることなく、90日時点の神経学的アウトカムが良好となる可能性が高いことが示された。中国・Capital Medical UniversityのZhongrong Miao氏らANGEL-TNK Investigatorsが前向き非盲検エンドポイント盲検無作為化試験の結果を報告した。ただし、有効性の副次解析では主要解析の所見を裏付けることができなかった。そのため著者は、「さらなる試験を行い、結果を検証する必要がある」とまとめている。LVOを伴いEVTが奏効した急性期脳梗塞患者に対するtenecteplase動脈内投与の有効性・安全性は明らかになっていない。JAMA誌オンライン版2025年7月5日号掲載の報告。

90日時点の良好なアウトカムを評価

 試験は、2023年2月16日~2024年3月23日に中国の19施設で行われた。最終追跡日は2024年7月4日。

 LVOを伴う急性期の前方循環脳梗塞を呈し、最終健常確認時刻から4.5~24時間以内にEVTを受けた患者を試験に組み入れた。

 EVT後に再灌流を達成(eTICIスケールスコア2b以上と定義)した患者を、tenecteplase 0.125mg/kg動脈内投与群(126例)または標準薬物治療群(129例)に無作為に割り付けた。

 主要エンドポイントは90日時点の良好なアウトカムで、修正Rankinスケール(mRS、範囲:0[症状なし]~6[死亡])スコアの0~1と定義した。

 有効性の副次エンドポイントは、(1)90日時点のmRSスコア、(2)90日時点のmRSスコア0~2、(3)90日時点のmRSスコア0~3、(4)36時間時点のNIHSSスコア0~1または10ポイント以上の改善、(5)90日時点のEuropean Quality of Life Visual Analogue Scale(EQ-VAS)スコア、(6)24時間時点のCT評価による極度の低灌流(最大値まで6秒超)、(7)梗塞部位容積量のベースラインからの変化。

 安全性のエンドポイントは、(1)48時間以内のsICH、(2)48時間以内のあらゆるICH、(3)90日以内の全死因死亡であった。

有効性、7つの副次エンドポイントでは有意差が示されず

 無作為化された256例(年齢中央値71.6歳[四分位範囲:61.3~79.2]、女性113例[44.1%])のうち、255例(99.6%)が試験を完了した。

 90日時点でmRSスコア0~1であった患者の割合は、tenecteplase動脈内投与群40.5%(51例)、標準薬物治療群26.4%(34例)であった(相対リスク[RR]:1.44、95%信頼区間[CI]:1.06~1.95、p=0.02)。

 事前に規定した7つの有効性副次エンドポイントのうち、有意差を示したものはなかった。

 安全性のエンドポイントについて、48時間以内のsICHの発現は有意差が示されなかった(5.6%vs.6.2%、RR:0.95[95%CI:0.36~2.53]、p=0.92)。90日時点の死亡についても有意差が示されなかった(21.4%vs.21.7%、0.76[0.40~1.43]、p=0.78)。

(ケアネット)