cagrilintide/セマグルチド配合薬、肥満糖尿病の減量に有効/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2025/07/14

 

 過体重または肥満の2型糖尿病の成人患者において、プラセボと比較してcagrilintide(長時間作用型アミリン類似体)とセマグルチド(GLP-1受容体作動薬)の配合薬の週1回投与は、68週の時点で有意な体重減少をもたらし、5%以上の体重減少の達成率が高く、良好な血糖コントロールを示すことが、英国・University of LeicesterのMelanie J. Davies氏らが実施した「REDEFINE 2試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2025年6月22日号で報告された。

12ヵ国の無作為化プラセボ対照第IIIa相試験

 REDEFINE 2試験は、欧州、北米、アジアの12ヵ国の施設が参加した68週間の二重盲検無作為化プラセボ対照第IIIa相試験であり、2023年2~8月に患者のスクリーニングを行った(Novo Nordiskの助成を受けた)。

 年齢18歳以上、BMI値27以上、HbA1c値7~10%で、減量を目的とした食事制限に少なくとも1回失敗したと自己報告している患者を対象とした。これらの患者を、固定用量のcagrilintide/セマグルチド配合薬またはプラセボを週1回皮下投与する群に3対1の割合で無作為に割り付けた。全例に生活様式への介入を行った。

 cagrilintide/セマグルチド配合薬は、各薬剤0.25mgずつを含有する製剤で開始し、その後は4週ごとに各0.5、1.0、1.7mgと漸増し、16週目以降は維持量として各2.4mgの製剤を52週間投与した。

 主要エンドポイントは2つで、体重の変化率および体重が5%以上減少した患者の割合であった。効果推定値は、treatment-policy estimandを用いて算出した。

約4分の3で、HbA1c値6.5%以下を達成

 1,206例を登録し、cagrilintide/セマグルチド群に904例、プラセボ群に302例を割り付けた。ベースライン全体の平均年齢は56.0歳、637例(52.8%)が男性で、平均体重は102.2kg、平均BMI値は36.2、平均ウエスト周囲長は115.8cm、平均HbA1c値は8.0%、平均糖尿病罹患期間は8.5年であった。

 ベースラインから68週目までの体重推定平均変化率は、プラセボ群が-3.4%であったのに対し、cagrilintide/セマグルチド群は-13.7%と減量効果が有意に優れた(推定群間差:-10.4%ポイント[95%信頼区間[CI]:-11.2~-9.5]、p<0.001)。

 この間に体重が5%以上減少した患者の割合は、プラセボ群の30.8%に比べ、cagrilintide/セマグルチド群は83.6%であり有意に高かった(推定群間差:52.8%ポイント[95%CI:46.7~58.9]、p<0.001)。

 さらに、体重が10%以上減少した患者の割合(cagrilintide/セマグルチド群65.6%vs.プラセボ群10.3%、推定群間差:55.4%ポイント[95%CI:50.5~60.2])、同15%以上(43.8%vs.2.4%、41.5%ポイント[37.7~45.3])、同20%以上(22.9%vs.0.5%、22.4%ポイント[19.5~25.3])の減少についても、cagrilintide/セマグルチド群で良好だった(p<0.001)。

 同期間におけるウエスト周囲長(cagrilintide/セマグルチド群-11.9cm vs.プラセボ群-3.6cm、推定群間差:-8.3cm[95%CI:-9.3~-7.3]、p<0.001)、HbA1c値(-1.8%vs.-0.4%、-1.4%ポイント[-1.6~-1.2]、p<0.001)、収縮期血圧(-6.5mmHg vs.-2.4mmHg、-4.1mmHg[-6.0~-2.1]、p<0.001)の変化量も、cagrilintide/セマグルチド群で有意に優れた。また、HbA1c値6.5%以下の達成率は、それぞれ73.5%および15.9%だった。

消化器障害が約7割、低血糖は少ない

 重篤な有害事象は、cagrilintide/セマグルチド群で10.4%、プラセボ群で12.9%に発現した。cagrilintide/セマグルチド群で最も頻度が高かった有害事象は消化器障害(72.5%)であった(プラセボ群は34.4%)。全般に消化器系の有害事象の重症度は軽度または中等度で、重度はわずかだった。プラセボ群に比べcagrilintide/セマグルチド群は、有害事象によって恒久的な投与中止に至った患者が多く(8.4%vs.3.0%)、その原因として最も頻度が高かったのは消化器障害(4.8%vs.0.7%)であった。

 レベル2(臨床的に重要)の低血糖は、cagrilintide/セマグルチド群で54例(6.0%)、プラセボ群で10例(3.3%)に認めた。レベル3(重症)の低血糖は、cagrilintide/セマグルチド群の2例(0.2%)にのみ発生し、いずれもスルホニル尿素薬を併用していた。

 著者は、「cagrilintide/セマグルチド配合薬は、過体重または肥満の成人2型糖尿病患者において、心血管リスク因子と身体機能の改善とともに、ほぼ正常な血糖コントロールをもたらしたことから、本薬はこの患者集団に対する有望な治療選択肢となる可能性がある」「cagrilintide/セマグルチド群は低血糖の発生率が低かったが、達成された血糖コントロールの水準と、ベースライン時に約4分の1の患者がスルホニル尿素薬の投与を受けていたことを考慮すると、これは有望な知見と考えられる」としている。

(医学ライター 菅野 守)