lorundrostatがコントロール不良の高血圧に有効/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2025/07/16

 

 コントロール不良または治療抵抗性の高血圧で、2~5種類の降圧薬を使用している患者において、プラセボと比較し経口アルドステロン合成酵素阻害薬lorundrostatは、収縮期血圧の降圧効果が有意に優れ、参加者全体の約半数に認めた試験治療下で発現した有害事象(TEAE)のほとんどが軽度または中等度であったことが、イングランド・Barts Health NHS Trust and Queen Mary UniversityのManish Saxena氏らLaunch-HTN Investigatorsが実施した「Launch-HTN試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2025年6月30日号で報告された。

13ヵ国の無作為化プラセボ対照第III相試験

 Launch-HTN試験は、13ヵ国159施設で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2023年11月~2024年9月に参加者のスクリーニングを行った(Mineralys Therapeuticsの助成を受けた)。

 年齢18歳以上のコントロール不良または治療抵抗性の高血圧患者を対象とした。医療従事者非同席下の自動血圧計による診察室収縮期血圧が135~180mmHg、かつ拡張期血圧が65~110mmHgまたは特定の条件下での自動血圧計による診察室拡張期血圧が90~110mmHgで、2~5種の降圧薬を安定用量で使用していることとした。

 これらの患者を、lorundrostat 50mg/日を6週間投与後に同100mg/日を6週間投与する群(50/100mg群)、同50mg/日を12週間投与する群、プラセボを12週間投与する群に、1対2対1の割合で無作為に割り付けた。lorundrostat 50/100mg群の6週目までの50mg投与と同50mg群を合わせた808例を統合50mg群とした。

 主要アウトカムは、6週目における統合50mg群とプラセボ群の自動血圧計による診察室収縮期血圧とした。

収縮期血圧130mmHg未満達成率も優れた

 1,083例(平均年齢61.6[SD 10.3]歳、女性508例[46.9%]、肥満[BMI値≧30]685例[63.3%])を登録し、lorundrostat 50/100mg群に270例、同50mg群に541例、プラセボ群に272例を割り付けた。無作為化の時点で、432例(39.9%)が降圧薬を2剤、651例(60.1%)が3剤以上処方されていた。

 ベースラインから6週目までの自動血圧計による診察室収縮期血圧の最小二乗平均変化量は、プラセボ群が-7.9mmHg(95%信頼区間[CI]:-11.5~-4.2)であったのに対し、統合50mg群は-16.9mmHg(-19.0~-14.9)と降圧効果が有意に優れた(最小二乗平均群間差:-9.1mmHg[95%CI:-13.3~-4.9]、p<0.001)。

 6週目の時点で、診察室収縮期血圧130mmHg未満を達成した患者の割合は、プラセボ群の24.1%に比べ、統合50mg群は44.1%であり有意に高かった(オッズ比:3.4[95%CI:1.5~7.8]、p=0.003)。

 また、降圧薬2剤併用例(最小二乗平均群間差:-8.8mmHg[97.5%CI:-14.8~-2.9]、p<0.001)および同3剤以上併用例(-9.0mmHg[-14.0~-4.1]、p<0.001)とも、ベースラインから6週目までの診察室収縮期血圧の最小二乗平均変化量が、プラセボ群と比較し統合50mg群で有意に良好だった。

低ナトリウム血症による被験薬の減量、投与中断、中止が多い

 TEAEは患者の49.9%(538/1,078例)にみられ、重症度はほとんどが軽度または中等度であった。重篤な有害事象は、50/100mg群で2例(0.7%)、50mg群で12例(2.2%)、プラセボ群で8例(3.0%)に発現した。プラセボ群の1例が死亡した(治療関連ではない)。

 被験薬の減量、投与中断、投与中止に至った低ナトリウム血症(50/100mg群10.4%、50mg群6.9%、プラセボ群3.3%)、高カリウム血症(2.6%、2.0%、0.4%)、腎機能低下(推算糸球体濾過量の低下)(3.3%、3.0%、0.7%)の報告は、プラセボ群よりもlorundrostat群で多かった。

 50/100mg群では、高カリウム血症による投与中止が1例(0.37%)、低ナトリウム血症による治療中止が1例(0.37%)に発生した。50mg投与群では、高カリウム血症による投与中止が2例(0.37%)、低ナトリウム血症による投与中止が2例(0.37%)、腎機能低下による投与中止が3例(0.56%)にみられた。

 著者は、「本試験では、lorundrostatの1日50mgの6週間の投与で収縮期血圧が有意に低下し、この降圧効果は12週にわたって維持された。50mgを100mgに増量しても、50mgで目標血圧を達成しなかった患者における付加的な有益性は得られなかった」「これらのデータは、コントロール不良または治療抵抗性の高血圧の治療選択肢としてのlorundrostatを支持するものである」としている。

(医学ライター 菅野 守)